「四十九日法要なし」はマナー違反なの?準備の流れや簡略化する方法

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「四十九日法要なし」はマナー違反なの?準備の流れや簡略化する方法

この記事はこんな方におすすめです

四十九日法要はやるべきか知りたい
四十九日法要を簡略化する方法を知りたい
四十九日法要をなしにするのはマナー違反ではありませんが、できる限りおこなうのが望ましいです。負担が大きいのであれば、参列者を家族のみにするなど簡略化を検討してみてください。この記事では、四十九日法要の考え方、おこなわない場合のメリット・デメリット、簡略化の方法、簡略化する場合によくある疑問について解説します。

「四十九日の法要なし」はマナー違反になる?

四十九日法要をおこなうかは基本的に家族が決めるもので、なしにしてもマナー違反とまでは言い切れないものの、実際に法要をおこなわない例はごくまれです。
四十九日法要は「喪中期間」であり「忌中期間」でもあることから特に大切な法要です。
また、四十九日法要は故人の魂が極楽浄土へ行けるようお経をあげる法要なので、親族の意向や日頃お世話になっている菩提寺の意向も無視できません。まずは規模を縮小するなど実現できる方法はないか模索するのがおすすめです。難しい事情があるなら菩提寺や親族に相談してみてください。

四十九日の法要なしを選ぶメリット・デメリット

四十九日法要をしない場合のメリット・デメリットを紹介します。どちらも把握したうえで、納得できる答えを見つけてくださいね。

メリット

四十九日法要はしないと決めた場合、法要にかかる準備や金銭面の負担を減らせます。

デメリット

法要の中でも重要な位置付けの四十九日法要をおこなわなかったことで、菩提寺や親戚との関係が悪くなる可能性が考えられます。菩提寺に納骨を拒否されてしまったという人もいるようです。
四十九日に迎えるにあたり故人への供養の気持ちや法要への思いは親族にとっても様々です。人によっては後から思い返してしっかり法要をしておけば良かったと後悔することもあるかもしれません。
四十九日法要がなぜ重要かは、こちらも参考にしてください。

「四十九日の法要なし」を選択した場合の供養方法

法要をしない場合、思い思いの方法で故人を偲ぶのも良いでしょう。下記のような方法もひとつの供養の形と言えます。
  • 親族や親しい人と故人の思い出を語り合う時間を設ける
  • 故人が好きだったレストランに遺影を持って食事に行く(※遺影が持ち込めるかは事前に要確認)
  • 故人が好きだったお花・お菓子・飲み物などを自宅に置いた遺影の前にお供えする
  • 自宅で故人の好きだった音楽を流す

「四十九日の法要あり」を選択した場合の簡略化【ケース別】

四十九日法要はしないと考えていたものの、デメリットや周囲の声をふまえて、「やはりおこなった方が良いかもしれない」と思い直した人もいるでしょう。負担を感じるケース別に簡略化できるポイントを解説するので、実現できそうな方法を見つけてください。

ケース1.参列者への配慮や日程決めが負担な場合

四十九日法要は呼ぶ人や日程など決めることが多いですが、負担を減らすことは可能です。
まず誰を呼ぶかは、施主が決めて問題ありません。故人と血縁関係のある親族・その配偶者や子どもを招待するのが基本ですが、故人と同居していた家族だけでもおこなえます。人数が減った分、当日の対応や準備の負担は軽くなるでしょう。
そして参列人数が少なければ、日程も決めやすくなります。理想は故人の命日からぴったり49日目(逮夜の場合は48日目)ですが、難しければ四十九日より前の日でも良いとされています。よく選ばれるのは、多くの人が参列しやすい四十九日前の土日祝日です。

ケース2.四十九日にかかる費用が負担な場合

四十九日法要では費用面を心配する人も少なくありません。まずは主にかかる費用が下記です。
  • お布施:僧侶へのお礼(別途お車代・御膳料が必要な場合もあり)
  • 会場費:法要会場の使用料
  • 会食費:法要後の食事会の費用
  • お礼の品:参列者へのお礼の品
一概には言えませんが、上記を合計すると安く見積もっても施主が負担する金額は10万円を超えるとされています。しかし以下の部分は抑えることが可能です。
  • 会食費:会食を省略した場合参列者へのおもてなしの食事代は割愛できる
  • 会場費:自宅やお寺でおこなえば発生しない

ケース3.会場や会食を手配するのが負担な場合

四十九日法要をおこなう場所は、自宅やお寺のほかに参列者が多い場合セレモニーホールなどを借りるのが一般的です。会場の予約・確認の手配を負担に感じる人もいますが、葬儀社に依頼すれば会場の手配もしてもらえるので手間は省けます。
会場の予約時に決めておきたいことは以下の4つです。
  • 参列者の人数
  • 法要の場所
  • 食事の席を用意するか
  • 納骨式をおこなうか

ケース4.必要なものを揃えるのが負担な場合

四十九日法要では、事前にいくつか揃えておかなければいけないものがあります。減らすことは難しいものの、悩んだり困ったりしたら葬儀社に相談することでスムーズに準備を進められます。
<四十九日法要までに用意が必要なもの>
  • 本位牌
  • 参列者への返礼品
  • お供え花
  • 僧侶へのお礼(お布施、お車代など)
四十九日の法要の際に、白木の仮位牌から本位牌に取り替えます。本位牌はできあがるまでに2〜3週間かかるので、早めの手配が必要です。

ケース5.当日の挨拶が負担な場合

人前で話すのが苦手な人は、当日の参列者への挨拶を負担に感じることもあるかもしれません。法要で施主が挨拶する場面は、開式ではなく閉式が多いです。その場合、以下のように簡潔にまとめても問題ありません。
<閉式の挨拶例>
「本日はご多忙の中、亡き母の四十九日法要にお集まりいただきありがとうございます。おかげさまで、滞りなく四十九日法要を終えることができました。母も皆様に会えて喜んでいると思います。本日は誠にありがとうございました。」
また僧侶や葬儀社に挨拶をお願いすることもできます。
こちらの記事でも、四十九日法要における施主の挨拶例について詳しく解説しています。

ケース6.当日にやることが多いのが負担な場合

四十九日には法要の後に納骨式や会食をおこなうのが一般的で、当日やることが多いのも負担に感じる原因のひとつです。なお、納骨式は必ずしも四十九日にする必要はなく、昨今では一周忌法要の際におこなうケースもあります。納骨式の日をずらせば、お墓の準備を急がなくて良いのでバタバタしがちな四十九日の準備の負担を減らせます。
ほかにも、法要後に納骨式だけ家族のみでおこなうという選択肢もあります。菩提寺があるにも関わらず、どうしても僧侶を呼ばずに納骨をしたい場合は、お墓を管理している菩提寺に必ず相談してください。
会食においては、前述の通りそれ自体を省略することが可能です。参列者にとっても香典に会食費を上乗せしなくて済むので、金銭的な負担が減って参列しやすくなるかもしれません。

四十九日の法要を簡略化する場合のQ&A

四十九日法要を簡略化した場合に、よく出てくる疑問にお答えします。地域によって変わる部分もあるので、一般的な例として参考にしてください。

招待しない親族への連絡は必要?

参列してほしい人だけに連絡をすれば支障はないものの、混乱を招くおそれがあるのでなるべくそのほかの親族にも連絡するのが望ましいです。特に葬儀に参列してくれた人には、「四十九日法要は家族のみでおこなう」旨を事前に説明するのがおすすめです。
近くに住む親族であれば直接説明しに出向くと丁寧な印象ですが、電話でも問題ありません。香典や供物・供花を辞退する場合もこの時点でしっかり伝えておくとトラブルを防げます。
葬儀に参列していない親族については、ハガキなどで四十九日法要が無事終わった旨を事後報告すれば大丈夫です。
また、四十九日法要は親族にも参列してもらうものの、次回の法要(例:一周忌法要など)からは家族のみで、と決めているご家庭もあるかもしれません。その場合、四十九日法要の場で「次回の法要(一周忌)は家族のみで行う予定です」と伝えておくと、後のトラブルを未然に防ぐことができます。

僧侶に包むお布施の金額は変わる?

四十九日を簡略化した場合も、法要自体の基本的な流れは同じなのでお布施は通常通り包みます。下記の通り、省略したものについては不要になるものもあります。
<四十九日法要でのお布施の相場と省略できるもの>
  1. 法要のお布施…3〜5万円
  2. お車代…5,000〜1万円(お寺でおこなう場合は不要)
  3. 御膳料…5,000〜2万円(会食なしでも基本的には必要。僧侶が会食に参加する場合は不要)
  4. 納骨式のお布施…1〜3万円
  5. 開眼供養...3万円~5万円
※納骨を後日にする場合は、四十九日の際に4、5は不要

香典は受け取るべき?

同居家族のみで法要をおこなう場合は、基本的に香典のやり取りは必要ありません。独立している子世帯が参列する際は、通常通り受け取るケースが多いです。会食なしの場合は包む金額が変わってくるので、案内状に記載するなどあらかじめ周知すると親切です。

身内だけでおこなう場合の服装は?

四十九日法要での服装は、準喪服が基本です。簡略化した場合も、施主は準喪服をまとうのが望ましいとされています。参列者も準喪服が主流ですが、「家族だけなので平服でも構わない」と決めても構いません。服装についても案内状などで全員に周知すると良いでしょう。

四十九日の法要なしとするかは家族で十分に相談を

重要な節目となる四十九日法要は、できる限りおこないたいもの。しかし、さまざまな事情で難しい場合もあるでしょう。簡略化することで実現できないか、家族や親族とも話し合ってみてください。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。