お布施袋(封筒)のマナー|種類・選び方・入れ方を解説

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お布施袋(封筒)のマナー|種類・選び方・入れ方を解説

この記事はこんな方におすすめです

お布施袋のマナーを知りたい
お布施袋の種類や選び方を知りたい
お布施の包み方には、奉書紙で包む伝統的な方法と封筒に入れる方法があります。お布施の封筒は宗派や地域の風習に合わせて選ぶことが大切です。この記事では、お布施を入れる封筒の種類と選び方、お札の入れ方、奉書紙を使った包み方を解説します。お布施の書き方についても簡単にご紹介します。

【基本】お布施の包み方

葬儀や法要の際に、寺院や僧侶への謝意を表すためにお布施としてお金を包みます。お布施の包み方は、奉書紙に包む方法と封筒に入れる方法があります。奉書紙に包むのが最も丁寧なやり方といわれますが、市販の封筒を使っても問題ありません。
封筒は文具店やネットショップの他に、コンビニやスーパーでも入手できます。奉書紙は文具店やネットショップで購入可能です。
お布施の意味や法要別の相場については、こちらの記事で解説しています。
奉書紙の購入場所や使い方については、こちらの記事を参考にしてください。

お布施を入れる封筒の種類と選び方

お布施は奉書紙で包むと丁寧ですが、簡易的な封筒を使っても構いません。お布施用の封筒は、大きく水引なしとありの2種類に分かれます。お布施を入れる封筒の種類と選び方を紹介します。

水引なしの封筒

どの法要にも使用できるのが飾り紐の「水引」なしのお布施袋です。

お布施用の水引なしの白封筒には、無地と表書きが印字されたものの2種類があります。無地の白封筒は自分で表書きを「お布施」または「御布施」と書きます。郵便番号の記入欄もなく、一重のものを選ぶのがマナーです。表書きが印字された封筒を使ってもマナー違反にはあたりません。
お布施の金額でも選ぶ袋が変わります。数千円から20,000円程度の金額を包むのには、水引なしの白封筒の中でも単純封筒(封筒だけのタイプ)を選びます。百箇日法要・祥月命日・盆参りは10,000円程なのでこの水引なしの白封筒を選ぶと良いでしょう。

七日参り・月命日は30,000円~50,000円程になります。30,000円以上の場合は、中袋(封筒)と外袋(外包み)がセットになったものがおすすめです。

お布施の封筒選びで迷ったら水引なしの封筒を選ぶと良いでしょう。ただし、水引ありの封筒を使う宗派や地域もあります。

黒白の水引が付いた封筒

一般的に黒白の水引が付いた不祝儀袋は、通夜や葬儀、その後の法要で故人の遺族に対して香典を包む際に使われます。水引は故人への供養の意味があるため、僧侶に感謝の気持ちを表すお布施にはふさわしくないといわれています。
ただし、地域によっては使うところもあるので、不安な場合は寺院や葬儀社、経験のある親戚などに尋ねてみると良いでしょう。不祝儀袋を使うとしても四十九日法要までで、その後の法要には水引なしの封筒を使うことが多いようです。

黄白の水引が付いた封筒

関西では遺族への香典やお布施を包む際に、黄白の水引が付いた不祝儀袋を使う風習があります。この不祝儀袋は一周忌の法要以降に使われ、四十九日法要までは黒白のタイプを使うことが多いようです。現在は関西においても水引なしの封筒を使うこともあるため、確認してから用意しましょう。

双銀の水引が付いた封筒

金額が50,000円以上の場合は、双銀の水引が付いた不祝儀袋を使うのもおすすめです。このタイプの封筒は香典だけではなく、お布施や戒名料を包む際にも使用されることがあります。格式が高い寺院に高額のお布施を渡す際は、この封筒が使われます。
なお、浄土真宗では、仏壇購入時の「入仏供養」や、お墓の建立時の「建碑法要」の際に、紅白の水引が付いた封筒を使うことがあるため、菩提寺に確認してみましょう。

お布施の封筒への入れ方

お布施の封筒には、きれいなお札をそろえて入れるのがマナーです。お布施の封筒へのお札の入れ方を紹介します。

新札を入れる

お布施はあらかじめ用意しておくべきお金なので、新札を入れるようにします。香典の場合は不幸を予期していたと思われないよう、新札を使うのは避けますが、お布施の場合はお礼を表すものなので、古いお札を使用すると失礼にあたります。
新札を準備するのが難しい場合は、汚れたり折れ曲がったりしていない、できるだけきれいなお札を入れるようにしましょう。

お札の向きをそろえて入れる

お布施袋にお札を入れる際は、肖像画の面が封筒の表になるようにして、肖像画の方を封筒の口の方へそろえて入れます。なお、香典の場合は、故人を悼む気持ちを表すために肖像画の面を下向きにして入れるのがマナーです。

お布施の包み方

お布施は、半紙で現金を包み(中包み)、奉書紙で包む(外包み)のが最も丁寧なやり方とされています。奉書紙は弔辞を書くときなどに使われる和紙の一つ。丁寧に包むことで、より感謝の気持ちを込められるとされます。

しかし、忙しい現代ではシンプルに無地の白封筒に入れることが主流です。
ここでは、奉書紙を用いて包む場合と中袋と外袋のセットで包むやり方、さらに、白封筒を用いて包む場合を紹介します。

奉書紙で包む

奉書紙で上包みする場合は中包み(中袋)も必要です。中包みはお札を直接入れるもので、中袋がない場合は無地の白封筒を使います。ただし金額が多く厚みが出る場合は、半紙で包みます。

中包みにお札を入れた後、奉書紙で外包みをする方法は次の通りです。
4. 最後に、金額が書かれている表面から見て左側に余っている紙を折り込んで完成
中袋(無地の白封筒)を用意する場合も中包みと同様に、次に説明する通りに奉書紙で包みます。

奉書紙で包む

中包みにお札を入れた後、奉書紙で外包みをする方法は次の通りです。
1. 奉書紙の表面(ツルツルしている方)と、裏面(ザラザラしている方)を確認し、ザラザラしている裏面を上にして、やや左側に中包み(中袋)を置く
2. ①左、②右の順番に奉書紙を折り曲げる
3.③下、④上の順番に奉書紙を折り曲げる
4.上側の折り曲げた方が手前に来るように整えて、完成

外袋と中袋のセットを使用して包む

外袋と中袋のセットは簡単にお布施を包めて、丁寧な印象を与えられます。まず中袋を取り出します。通常、セットの中袋は封筒タイプで普通にお札を入れられます。封筒の表面を前に組むので、前後の向きを気にする必要がありません。外袋も初めから折り目がついているので、それに沿って包めば大丈夫です。外袋の折り方がわからなくなったら、奉書紙と同じように折ります。左右の次に下を折り、最後に上から重ねるようにたためば完成です。

白封筒で包む

白封筒は郵便番号の欄がない白無地ものを使用します。また、不幸が重なるといういわれから二重封筒を避けます。

御車代、御膳料も同様の封筒が使用できます。

お布施袋(封筒)の書き方

お布施袋(封筒)に表書きの印刷がない場合は自分で記入する必要があります。名前の表記方法や中袋のある・なしの書き方も確認しておきましょう。

お布施袋の表面の書き方

お布施袋の表書きは、中央の上半分に「お布施」または「御布施」と書きます。もしくは既に印字された封筒を使用しても構いません。お布施は感謝の気持ちを表すものなので、「読経料」や「戒名料」などの対価を表す書き方は避けた方が良いとされています。下半分には、喪主や施主のフルネーム、または「〇〇家」といったように家名を書き入れます。
表書きを「御礼」「御回向料」と記載する地域もありますが、浄土真宗では使わないので注意しましょう。
そのほか、交通費として「御車代」を、会食を辞退される場合は「御膳料」と記載して渡します。
「御膳料」の渡し方や書き方については、こちらの記事を参考にしてください。

お布施袋の中袋の書き方

お布施の市販封筒によくある、たとう折りの封筒とセットの中袋や半紙で包む中包みには、表面に金額を、裏面に送る側の情報を書きます。金額は「大字(だいじ)」という字体を使って、最後に「也」と書くのがマナーです。例えば、30,000円を包むなら「金参万圓也」と書きます。裏面には「郵便番号」「住所」「氏名」「電話番号」を記します。住所内の数字は漢数字で表記しましょう。

お布施袋の裏面の書き方(中袋なしの場合)

中袋が付いていない単純封筒の場合は、裏面に包んだ金額と氏名等を書きます。裏面の左下に「郵便番号」「住所」「氏名」「電話番号」を書きます。金額は書いても書かなくても構いません。
お布施の書き方について、詳しくは以下の記事で解説しています。

お布施の封筒に関するマナーを守って準備しよう

お布施は奉書紙で包むのが丁寧な包み方ですが、封筒を使うとより簡単に準備できます。金額が30,000円以上の場合は外袋と中袋がセットになったたとう折りタイプがおすすめです。水引がない無地の封筒で構いませんが、宗派や地域の風習によっては水引があるタイプを使用するため、不安な時は親類などに確認ください。ご僧侶はきっと許してくださると思いますが、失礼がないことを心がけたいものです。お札の入れ方や包み方のマナーを守って、お布施の準備をしましょう。

監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう・てっしゅう)

験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定)