納骨のいろは|納骨式の前に知りたい知識とマナー

「納骨(のうこつ)」とは、火葬した遺骨を骨壺やお墓に納めることです。納骨と同時に納骨式もよくおこなわれます。「納骨はいつまでにするべき?」「納骨式には誰が参列する?」「そもそも納骨式ってなにをするの?」など、いずれ納骨式を取り仕切るかもしれない人に向けて、準備やマナーについてご紹介します。

目次

一般的な納骨式のおこない方

最初に納骨(のうこつ)の基礎知識やマナーについて、整理しておきましょう。日取りの決め方や式に招待する人、費用など詳しく見ていきます。

納骨とは

納骨は、火葬の後に遺骨を骨壺に納めることです。また、寺院や霊園にあるお墓や納骨堂などに納めることも指します。

納骨式とは

納骨式は、遺骨をお墓や納骨堂などに納めるための儀式です。例えば、仏教での納骨式は、お骨をお墓に納めるだけでなく、お経をあげたりお線香やお花を供えたりします。

遺族が集まりやすいことなどから、忌明けとなる四十九日法要と一緒におこなわれることが多いです。当日の流れは宗教によって違うため、自分の宗派を確認しておく必要があります。

神道では「埋葬祭」とも言い、火葬後すぐに納骨をしていました。今では主に「五十日祭」の頃におこなうことが多いようです。

またキリスト教では一般的に1ヶ月後に納骨を迎えます。カトリックの場合は追悼ミサの翌日に納骨するケースもあります。

以前は遺骨を納める場所といえばお墓がほとんどでした。最近はさまざまな供養方法があり、納骨堂や自宅供養(手元供養)、海への散骨、樹木葬など選択肢は幅広くなっています。供養の仕方によっては納骨や納骨式をしないという選択をする人もいるでしょう。

納骨式をおこなうタイミング

仏教では、亡くなってから49日経つまでは自宅にお骨を置いて供養をし、四十九日法要のときに墓地で納骨(納骨式)をするのが通例です。

ただ、お墓を新しく用意する場合は、四十九日に間に合わない可能性が高いです。その場合には、お墓が作られる間、自宅か納骨堂に一時的に安置します。

また、納骨のタイミングは「いつでも良い」とされています。「いつまでに納骨しなければいけない」という期限などは特にありません。故人を葬る際に基準となる、墓地と埋葬等に関する法律(通称『墓埋法』)でも、定められていません。そのため、四十九日や一周忌法要で納骨をすることが多いです。葬儀・告別式、火葬の当日に納骨をすませる地域やご家庭もあります。

納骨式は誰を呼ぶ?

四十九日法要とともにおこなう場合は、法要に呼ぶ家族や親族を招くのが一般的です。しかし、特に定められたルールがあるわけではありません。法要後、それとは別に納骨式は家族だけで、ということもありえます。基本的には、住んでいる地域の習わしや信仰していた宗教に則った形式になります。

納骨式の費用相場

納骨式の法要へのお布施が30,000~50,000円程度必要です。僧侶が会食に不参加の場合は御膳料・御車代として5,000円~10,000円をそれぞれ別に包みます。また、お墓を新しく建てた場合は僧侶への「開眼供養(かいげんくよう)」のお礼が30,000円~100,000円とされています。

相場もお寺や地域の考え方によって変わりますので事前に確認することをおすすめします。

納骨式の準備と当日の流れ

納骨式に参列する機会は多くないため、当日の流れがわからないという人も多いでしょう。ここでは、必要となる準備や、当日の流れについて整理しておきます。

納骨式のために必要な準備

<日取りを決める>
最初に納骨場所と日取りを決めます。お墓の場合、納骨場所は寺院墓地や公営・民営の墓地があります。ほかに納骨堂なども候補になります。納骨堂は、一時的に遺骨を預ける場所として利用されていましたが、現在では永代供養のためのお墓として利用されるケースも増加しています。

<法要を依頼する>
納骨の際は、一般的に菩提寺(ぼだいじ)などの僧侶に法要をお願いします。宗派によって、「卒塔婆(そとば・そとうば)」が必要になるため、前もって相談する必要があります。

<石材店に連絡する>
お墓に戒名を彫るために、石材店への連絡も必要です。彫刻だけでなく、カロート(お墓の下部にある納骨室)の開け閉めなどを依頼することもできるので、必要な項目について確認しておきましょう。

<参列者に連絡する>
日取りが決まり、お寺と石材店への連絡が完了したら、参列者へ連絡を取ります。四十九日法要とともにおこなう場合には、前もって案内状などを送付しましょう。納骨式の後に会食をする場合は、参列者の人数をあらかじめ把握した上で、料理屋さんへの手配もお忘れなく。

<埋葬許可証をもらう>
手続き書類を事前に確認しておきます。納骨を実施するためには「埋葬許可証」が必要です。死亡届を市区町村役場へ提出し、埋火葬許可証を発行してもらいます。火葬が終わったら、火葬場で埋火葬許可証に証明印を押してもらうことで埋葬許可証として使用できるようになります。この埋葬許可証は、納骨する寺院や霊園などへ提出します。これは「大切な書類」という事もあり、タンスにしまって見つからなくなってしまう方もいるので、納骨するまでの間は、遺骨と一緒にしておくことをお薦めします。

納骨式当日の流れ

納骨式の当日は、一般的に次のような順序で進みます。

1.施主挨拶
2.納骨
3.読経・焼香
4.施主挨拶
5.会食

準備が整うと施主が参列者へのお礼や近況の報告、会食の案内などを含めて挨拶をします。次に、お墓の納骨室などへ遺骨が納められます。納め方については、宗教や地域によって異なります。

納骨が終わると、僧侶が読経を始め、参列者は焼香をおこないます。「納骨経」と呼ばれる遺骨を納める際の読経は、故人の冥福を祈る気持ちが込められています。最後に、僧侶や参列者とともに会食の場を設け、終了となります。

ちなみに、会食は四十九日法要とともにおこなうケースに多いです。会食で故人との思い出話をするのが、目的のひとつとなります。

納骨式での服装やお供え物については、下記の記事で詳細を記載しています。

納骨を四十九日にしない場合は?

お墓にそえる花

お墓が建っておらず、四十九日に納骨ができない場合もあります。また、遺骨と離れる心の整理ができてから納骨したいと思う人もいるでしょう。納骨を四十九日法要と合わせておこなわないときにはどうしたらよいのか確認してみましょう。

四十九日以外の納骨はいつ?

四十九日法要より後に納骨する場合は、一周忌の法要の際に納骨する人が多いです。法要と一緒にするならば、それより前の百箇日(ひゃっかにち)法要で納骨するという選択肢もあります。もちろん、参列する人が集まりやすい日であれば法要の日に限らず、どのタイミングで納骨しても問題ありません。

百箇日や一周忌で納骨する場合の準備は?

四十九日法要の後に納骨する場合と同じく、僧侶へ読経をお願いします。それぞれの法要のお布施のほかに「納骨式のお布施の相場」で説明したお布施を用意します。

納骨をしないという選択肢も

最近では伝統となっていた葬儀やお墓への考え方が変化し、納骨しないというケースもあります。この章では、納骨以外の供養について言及します。

納骨しない場合の供養の方法

納骨をしない選択肢もいろいろとあります。具体的には、自宅に安置する、手元供養にする、海へ散骨する、樹木葬をおこなうなどです。

自宅にお墓を立てたり埋葬したりするのは違反ですが、自宅で保管する場合、法的には問題がなく、特に手続きも不要です。

納骨していなくても本当に大丈夫?

「本当に納骨しなくても大丈夫なの?」という声もあるでしょう。昔は、「お墓に納骨すべきである」という考えが一般的だったので目上の方ほど違和感があるかもしれません。しかし、今はいろいろな供養の仕方があります。また、「納骨しなければ成仏できない」とは限りません。納骨するにしてもしないにしても、故人や残された家族のことをよく考えて選び、親族にも理解してもらえるまでしっかりと説明することが大切ではないでしょうか。

納骨式の流れとマナーを十分確認しておこう

納骨について考えることは、送り出す側としてだけではなく、送られる側としても、「終活」に思いをはせる良い機会になります。自分の場合はどのような納骨の形式を望むのか。残された家族が困らないようにあらかじめ決めておきたいところです。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。