海洋散骨は新しい埋葬のカタチ。流れや注意点は?

海洋散骨とは、故人の遺骨(遺灰)を海へ撒く自然葬の一種です。言葉自体は聞いたことがあっても周囲に経験者がいないなど、まだ馴染みの少ない埋葬の形ではないでしょうか。ここでは、海洋散骨の具体的な方法や、費用の相場、実施までの流れ、注意する点など気になるポイントをご紹介します。

目次

海洋散骨とは

将来お墓を継ぐ人が必要ないということから、少子化が進む現代において注目されている埋葬の形「海洋散骨」。散骨といっても遺骨のまま撒くわけではなく、粉末状に粉骨してから行います。

海洋散骨は、業者に散骨を委託する「委託散骨」、他の人と合同で散骨する「合同散骨」、個人で船をチャーターする「個人散骨」の3つの方法が一般的です。

海洋散骨を選ぶ方の特徴

・海や自然を愛する方
・子供に負担をかけたくない方
・お墓や葬儀の形にこだわらない方
・宗教的こだわりのない方
・お墓を相続する人がいない方
・経済的な負担を減らしたい方

海洋散骨は、自然に還りたいという願いを叶えられることから、海や自然が好きな方にとっては魅力的な供養の仕方です。生前から海洋散骨を希望される方も少なくありません。

お墓の購入や維持が必要ない海洋散骨は、費用面でも安く抑えられることから、経済的な負担を減らしたい方や、お墓や埋葬の形にこだわらない方、宗教的なこだわりのない方にも選ばれています。

また、少子化によりお墓の管理や維持が難しくなってきています。子供に迷惑をかけたくないという考えを持つ方や、お墓を継承する人がいないというケースも増えてきています。時代的な背景もあって海洋散骨は支持されています。

費用の相場


海洋散骨の相場は、専門の業者やその内容によっても異なりますが、10万円〜50万円ほど。自分で船をチャーターすることもできますが、業者に依頼した方が安く抑えられます。

業者に散骨を委託する「委託散骨」は、ある程度の遺骨が集まってからおこなわれるため、相場は2万5千円〜8万円と安く、最も費用を抑えることができる方法です。

委託散骨の場合、遺族は同行しません。そのため本当に散骨されたのかという不安を解消するために、多くの業者で、実施時の写真や、海図に経度・緯度と散骨ポイントを記した「海洋散骨実施証明書」を発行しています。

他の遺族と合同で散骨する「合同散骨」では、7万円〜15万円が相場です。複数の遺族で船のチャーター代を分担します。合同散骨といっても、散骨するときは他の遺族と場所をずらすので、個人でおこなう場合に近い形で配慮されることが多いです。また、合同散骨は遺族の乗船できる人数に制限があります。

故人の遺族のみで行う「個人散骨」の相場は、20万円〜30万円ほど。ただし、こちらもサービスの内容や乗船人数によって異なります。音楽の生演奏や会食、豪華クルーズ、ヘリやセスナのチャーターなど、内容も様々で、50万円以上かかるケースも。

さらに、オプションとして、再び散骨した海を訪れて、故人を偲ぶクルーズを行っている業者もあります。

海洋散骨のルールは?

海洋散骨を行うこと自体は何らかの法に触れるものではありません。ただし、近隣の住民や海を管理する自治体へ配慮するなど、いくつかのルールが存在します。

海で養殖などを行っている海域では、海産物への影響や風評被害の可能性も否定できません。また、自治体によっては散骨禁止のエリアがあるなど、独自の条例による許可が必要なところもあります。

ちなみに日本では、遺骨をそのまま埋葬するには自治体の許可が必要です。それを知らずに個人で散骨を行ってしまうと、あとあとトラブルになってしまう可能性もあります。こうした事態を回避するためにも、その分野に精通した専門業者に依頼するようにしましょう。

海洋散骨の手順(業者を利用した場合)

海で花びらをばらまく男性

海洋散骨の流れ

まずは散骨業者と遺骨の受け渡し方法を決めます。業者が遺骨の引き取りにきてくれるほか、遠方の場合は郵送の手段を取ることもあります。

業者は預けられた遺骨を粉末状に粉骨処理をして乗船し、所定の港から出航します。海上では散骨のセレモニーが行われます。最後に、散骨したことを証明する書類が遺族に渡されます。

散骨において必要になる書類

海洋散骨をするにあたって、特に許可証のようなものは必要ありません。しかし業者に提出する書類として、死亡届、死亡診断書、火葬許可証(埋葬許可証)などが必要になります。また、海洋散骨を海外でおこなう場合は、各書類を現地の言葉に翻訳したものも必要です。

このほか、業者が故人の身元を確認する書類として、施主の身分証明書や同意書の提出を求められることもあるので、しっかりとチェックしておきましょう。

海洋散骨をおこなう上での注意点

ベンチに置かれたバラ

専門の業者に依頼する海洋散骨では、良質な業者を選ぶ必要があります。

信頼できる業者かどうか見極める

信頼できる業者かどうかを見極めるには、まずホームページが充実しているかを判断基準の一つとしましょう。また、業者の母体は、ボート関連の会社よりも葬儀関連の会社である方が理想的です。

何社か比較検討する中で、費用の相場が他の業者に比べて大きく外れていないかも判断のポイントとなります。すべての費用がプランに含まれており、追加の料金が発生しないところは、信頼できる可能性が高いでしょう。

また、ホームページだけを鵜呑みにせず、複数の業者に直接電話をかけてみましょう。規模の大きいところの方が専門の資格を持ったスタッフが多いため、相談しやすくなっています。説明が十分になされ、納得できるところに依頼するようにしましょう。

海洋散骨に必要な遺骨の粉砕がプランに含まれているかを確認

専門の業者はパッケージプランがあるところが多いですが、海洋散骨をするためには遺骨の粉骨処理が必要です。この料金がパッケージに含まれているのか、別料金なのかを確認しておくようにしましょう。

遺骨の一部を手元に残すか

海洋散骨は、遺骨や遺灰は手元に残りません。たとえそれが故人の意志であっても、手元に何も残らないのことに抵抗を覚える遺族も少なくないでしょう。このため、「墓碑への刻印」などという別の形で故人の名前などを残すプランを設けている業者もあります。

しかし、分骨という方法であれば一部を海洋散骨する一方で、残りの遺骨は手元供養や永代供養という形で残すことが可能です。こちらも故人と遺族の意志を考慮し、一部の遺骨を手元に残すかどうか事前に確認をしておきましょう。

天候に左右されるため実施できない可能性も

海洋散骨は自然に還る儀式ですから、天候も含めて自然と向かい合うことになります。そのため、当日の気象条件によっては、必ずしも決めた日に実行ができるとは限りません。また、海上で行われるため、乗船者の体調が崩れてしまうケースもあるかもしれません。海洋散骨を望む場合は、このようなリスクも頭に入れておく必要があるでしょう。

皆が納得できる海洋散骨にするために

海に浮かぶ花びら

故人の意志であるとはいえ、遺族の全員が海洋散骨に納得するとは限りません。後に残るものが欲しい場合は分骨にするなど、なるべく皆が納得できる形にするためにも、事前の話し合いが重要です。

家族葬のファミーユでは海洋散骨のご相談も承っています。ご興味のある方は、ファミーユのWEBサイトよりお問い合わせください。