話題の映画『パラサイト』にも登場する「樹木葬」とは?

新しい埋葬のかたち「樹木葬」。アカデミー賞4冠(作品賞、脚本賞など)で話題の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』にも登場するなど、今、注目を集めています。「自然に還る」埋葬法として、今後も利用者は増えそうです。当欄では、樹木葬の基礎知識、法事やお墓参りの仕方等々をご紹介します。

目次

樹木葬とは

木漏れ日が差し込む木々

墓石の代わりに樹木を墓標に

樹木葬は墓石の代わりに樹木を墓標とする埋葬方法です。墓標とされる樹木はさまざまですが、桜やヤマツツジ、ハナミズキなどが人気です。

近年は「死後は自然の中で眠りたい」という想いから、自然葬を選ぶ方が増えています。自然葬とは、墓石を建てて遺骨を納めるのではなく、遺骨を自然に還す埋葬方法のこと。樹木葬もそのひとつで、「墓地埋葬法」によって規定されています。

宗派は問わず、管理は霊園に任せられる

基本的に樹木葬は宗教・宗派を問わず、どんな方でも利用できます。多くの場合、埋葬後の管理は霊園がおこなうため、遺族が樹木の手入れなどをする必要はありません。

公園型と里山型がある

樹木葬は「公園型」と「里山型」の2つに分けられます。

「公園型」とは、昨今急増している形で、もともと山林ではなかった場所に、新たに樹林を作り墓地とするものです。霊園の中に作られた樹木葬エリアなどがこれに当たります。

公園型樹木葬は、都市部に多いため都市型とも呼ばれます。また、さまざまなタイプがあり、埋葬するエリアや遺骨の埋葬方法に以下のような特徴があります。

埋葬エリア:
①シンボルツリーの周りに遺骨を埋葬する
②区画を区切って一人1本ずつの木を植えて埋葬する

遺骨の埋葬法:
①複数の方の遺骨を一緒に埋葬する
②個別に埋葬する

「里山型」とは、もともと山林だった場所を墓地に変え、自然環境を活かして埋葬する方法です。ひとり1本ずつの木を植樹するタイプが多いですが、もともと生えている木の下に遺骨を埋葬する方法もあります。昨今ではあまり見かけられなくなっています。

樹木葬のメリット

遠くを見つめる男性と、その表情を見る妻

樹木葬には多くのメリットがあります。ここでは代表的なものをご紹介します。

樹木葬のメリット①費用が抑えられる

樹木葬は従来のお墓に比べて費用の負担が少なくてすむことが多いです。樹木葬の相場は10万円~100万円ほど。施設や埋葬法によって幅がありますが、墓石を購入するのに比べると費用が抑えられることがほとんどです。

ただし、追加で埋葬したい場合の追加料金などは、墓地や霊園によってそれぞれ規定が異なります。契約の前によく確認する必要があるでしょう。

樹木葬のメリット②次の世代に負担をかけずにすむ

樹木葬は、基本的に継承者を必要としない「永代供養(えいたいくよう)」ですが、管理費がかかる場合があります。ただし、埋葬後に法要の必要はなく、管理費がかかる場合でも期間が定められています。これは子供世代に負担をかけたくない方や、お墓を継ぐ人がいない方にとっては大きなメリットになります。

樹木葬のメリット③開放的な雰囲気、自然の中で眠るイメージ

「死後は自然に還りたい」という想いを叶えられるのも、樹木葬のメリットです。また、樹木葬墓地は明るく環境の良い場所が多いため、遺族も「故人が眠る場所」によいイメージを持ちやすいでしょう。

樹木葬のデメリット

腕を組む女性

メリットの多い樹木葬ですが、デメリットについてもきちんと理解しておく必要があります。

樹木葬のデメリット①遺骨が取り出せないので改葬はできない

遺骨をどのように埋葬するかにもよりますが、多くの場合で樹木葬は埋葬後に遺骨を取り出すことができません。それは、複数の遺骨を一緒に埋葬する「合祀(ごうし)」形式であったり、土に還る骨壺などを使用した「自然回帰」形式であったりするためです。

個別に遺骨を埋葬した場合でも、一定期間が過ぎれば合祀になることがほとんど。もし改葬する可能性があるならば、親族間でのトラブルを防ぐためにも、契約の前によく話し合っておく必要があります。

樹木葬のデメリット②お墓が荒れてしまうケースもある

樹木葬は、自然豊かな環境が魅力である反面、管理が行き届かないリスクがあります。埋葬後の管理は霊園や寺院にゆだねられますが、場合によっては草刈りなどがおこなわれず、お墓が荒れてしまうことも。

そのほか、「悪天候でシンボルツリーが枯れる」「樹木が土地に合わず成長しない」といったケースも。契約の前に、管理についても問い合わせておきましょう。

樹木葬のデメリット③埋葬の場所がわかりにくい場合もある

樹木葬は一般のお墓に比べ、埋葬した場所が一見してわかりにくいケースもあります。樹木葬の形態は墓地によって異なり、石のプレートなどで故人の名前を表記するところ、数字やアルファベットで表すところなどさまざまです。お墓参りに訪れた人が、どこに埋葬されているかわからず困る・・・という可能性もあります。

樹木葬で注意しておきたいポイント・トラブル例とは?

秋の野山

樹木葬を考える上で注意すべきポイントと、実際に起きたトラブル例もご紹介します。

注意したいポイント①アクセスが悪すぎると足が遠のく

特に里山型の樹木葬は、お墓までのアクセスを考えて選ぶ必要があります。遺族が高齢になり、運転をしなくなったり足が不自由になったりすると、なかなかお参りできないというケースも。交通アクセスの悪すぎる場所は避けるのが賢明でしょう。

注意したいポイント②管理費がかかる場合もある

樹木葬の場合、霊園や墓地によっては、お墓の管理に費用が発生することがあります。草刈りや樹木のケアなど、さまざまな手入れが必要だからです。

また、生前契約の場合は、契約した人が全員亡くなるまでの間は毎年管理費が必要な霊園もあります。管理費を払えなくなると使用できない可能性もあるため、必ず確認しておきましょう。

注意したいポイント③冬にも下見にいってみる

樹木を墓標とする樹木葬では、季節によって景観が変化していきます。特に里山型の樹木葬の場合、冬になると木々の葉が落ち、寂しいイメージになることも。春に見学にいき生前予約をしたものの、冬に再訪して驚いたという例もあります。

契約前には、冬の里山の景色も見ておくとよいでしょう。

樹木葬にしたら、法事やお墓参りはどうなる?

山道で佇むお坊さん

樹木葬を選択した場合、法事やお墓参りはどうしたらよいのでしょうか。

樹木葬の法事

樹木葬は基本的に永代供養であるため、法事はお墓を管理する霊園や寺院がおこないます。そのため、遺族が個人で法事を手配する必要はありません。

ただし、祖先の供養のために法事をおこなう場合は可能です。故人を悼むだけでなく、残された遺族の絆を深めるために法事をされるご家族もいます。

樹木葬のお墓参り

樹木葬は、墓標が樹木であるだけで、お墓参りには変わりがありません。また、多くの場合、宗教や宗派を問わないため、宗教的な作法はそれほど気にする必要がありません。思い思いの方法で故人が偲べます。

ただし、里山型の樹木葬の場合、広大な敷地の手入れが必要であるため、お参りできる時期が指定されているケースがあります。お墓参りをしたいと思ったら、管理者に事前確認を取る必要があります。

また、霊園や墓地のそれぞれにお墓参りのルールがあることも。「お供え物は置かない」「花は持ち帰る」など、個々のルールは管理者に指示を仰いでください。特に、里山型の樹木葬の多くは、山火事を防ぐために火気の使用が禁止されています。その場合、ろうそくや線香は使えないため注意が必要です。

納得のいくまで調べて、後悔のないお墓選びを

青空に満開の花を咲かせる桜

樹木葬はメリットも多い反面、デメリットもあります。霊園や墓地によって運用方法やルールが異なるため、しっかりと調べて慎重に契約をしましょう。生前契約をする場合は、遺族が樹木葬について理解していないと、のちのちトラブルになることもあります。契約の前に親族間で話し合い、樹木葬への理解を深めてもらうことが大切ですね。