骨壺の種類と選び方。東西で2倍もサイズに違いが

わたしのお葬式
骨壺の種類と選び方。東西で2倍もサイズに違いが
骨壺は遺骨を納めるための入れ物です。火葬後に故人の遺骨を拾って納めます。日本では2~8寸までのサイズが流通していて、どのような骨壺で眠るのかは個人の自由ですが、お墓や納骨堂などは納められる大きさや形状といった選ぶべきポイントがあります。本記事では骨壺の選び方についてサイズ、材質、デザイン、価格の観点から紹介します。

骨壺を選ぶときに確認しておきたいこと

骨壺の数え方は「一口(いっく・いっこう)」です。骨壺を選ぶときに必要な、骨壺のサイズ感、耐久性、購入場所について紹介します。

大きさが適切かどうか

骨壺を選ぶときは、お墓で遺骨を納めるカロートと呼ばれる空間の間口や、内部スペースの余裕を確認しておくことが大切です。納骨堂も、形式によって入れられる骨壺の形状や大きさが異なることがあります。事前に「機械式か」「ロッカー式か」「仏壇式か」といった形式や納められるサイズの確認が必要です。
なお、骨壺の大きさは「寸(すん)=約3.03cm」で表わすのが一般的です。骨壺の多くは円柱型をしていますから、例えば「3寸の骨壺」ならば、直径9.1cm程度と考えれば良いでしょう。お墓や納骨堂の骨壺を安置する場所の大きさをしっかりチェックし、何寸の骨壺が適切か考えてみてください。

耐久性

高温多湿な日本では、カビによる骨壺の劣化が懸念されます。耐久性を見るときは、蓋の形状や素材に注目します。まず一般に、蓋部分が円筒形の「切立型(きったてがた)」になっているものは密閉度が高く湿気を蓄えにくいと言われます。素材では、石や金属製が湿気に強いです。

骨壺の購入場所

骨壺は、葬儀社や火葬場、仏壇仏具店、石材店などで購入可能です。また、自分で購入しなくても葬儀プランに骨壺が含まれているケースが少なくありません。この場合、葬儀社のおすすめラインナップから好きな形状や色、デザインを選べます。
また、骨壺はインターネットでも購入できますが、実物のイメージが掴みにくい上、細かな相談はしにくいです。

骨壺の大きさと、地域による違い

選ぶべき骨壺サイズは、納骨する地域によって異なります。地域による大きさの違いとともに、分骨・手元供養用の骨壺のサイズを紹介します。

東日本で納骨する場合

東日本では、7寸(直径約21㎝)サイズの骨壺が一般的です。東日本の火葬では、すべての骨を骨壺に収める「全収骨」が一般的。そのため、骨壺のサイズはやや大きめとなるのです。

西日本で納骨する場合

一方の西日本は、2~6寸(直径約6~18㎝)サイズの骨壺が一般的と言われます。全収骨の東日本とは異なり、西日本では部分収骨が主流です。足、腰、胸、腕、喉仏、頭などの骨を少しずつ納めるため、東日本より小さめの骨壺が選ばれます。
納めきれなかった遺骨は、火葬場で供養してもらいます。
ただし、西日本でも地域によって習慣はさまざまです。火葬についての詳細は、葬儀社や火葬場に確認することをおすすめします。

分骨・手元供養用

分骨・手元供養用には、2寸、2.3寸、3寸、4寸が一般的。「ミニ骨壺」などと呼ばれることもあり、片手または両手で軽く持てるくらいのコンパクトなサイズ感です。選ぶときは、骨壺に入れる遺骨の量や、骨壺を安置する仏壇・場所とのバランスを考えることが大切です。

【デザイン】骨壺の種類と選び方

骨壺を選ぶときは、形状、蓋の形状、色や柄に注目してください。それぞれのポイントを紹介します。

骨壺の形状を選ぶ

骨壺の形状で最も多いのは円柱形です。とはいえ、必ずしもこの形状にする必要はありません。他にも、球体型や四角形、楕円形の骨壺も見られます。お墓や納骨堂のスペースや形式に問題がないのであれば、円柱形以外の骨壺を選ぶことも可能です。
また、ミニ骨壺はさらに形状が豊富です。球体型、筒型、ひょうたん型、フォトスタンド型なども選べます。

蓋の形状を選ぶ

昔ながらの骨壺の蓋は、上に乗せるタイプがほとんどです。白並(しらなみ)型とよばれており、骨壺本体に蓋の端が入り込む形状をしています。
一方、蓋の端が骨壺本体に覆い被さる形状が切立タイプです。水分が骨壺の中に入りにくく、湿気が溜まりにくいと言われます。現在の骨壺の多くは切立タイプですが、蓋の形状についてはきちんと確認することをおすすめします。

色や柄を選ぶ

近年は骨壺の種類が多様化しており、デザインや色が豊富です。故人のイメージに合う骨壺があれば、色や柄付きのものでも構いません。
とはいえ、葬儀にまつわるものは古来より白が主流です。白い骨壺を選んで「骨壺カバー(骨覆い)」を故人のイメージに合わせても良いでしょう。白い骨壺はイメージ通り過ぎて、目に入るだけで故人の死が思い出されて悲しみが増す人も多いそうです。白い骨壺を家に置く時間が長ければ、合わせるカバーがあっても良さそうです。
なお、一般的に一番多く使用されている白磁の骨壺は、それぞれが似ており、外見だけでの判別が困難です。そこで近年では取り違えを防止するため、骨壺の蓋の裏側に名前を記入する『骨壺記名』が推奨されるようになりました。白い骨壺を検討している場合は、記名についても葬儀社に相談してみてください。

【材質】骨壺の種類と選び方

骨壺の材質は見た目や耐久性などに影響します。ここでは材質ごとの特徴を紹介します。

陶磁器

骨壺の材質としては、最も一般的。有田焼や瀬戸焼、常滑焼などが有名です。釉薬(ゆうやく)の具合や絵付けの有無などで個性が異なり、デザインの選択肢が豊富にあります。

主なものとしては、白大理石、オニキスや黒大理石、花崗岩(かこうがん)など種類が豊富です。耐久性が魅力ですが、その分重くなりがちなので、石の骨壺を選ぶときは、重量のチェックもおすすめします。

金属

金属は、耐久性や保存性に優れているのが特徴です。デザインのバリエーションも多く、選びがいもあるでしょう。本体は頑丈なので、万が一地震などで骨壺が横倒しになっても壊れにくいのはメリットです。ただしサイズが大きくなると、やはりその分重くなります。

バイオマス

バイオマスは、生物由来の有機性資源を再利用して作られたプラスチックのことです。原材料はさまざまで、竹を主成分にしたものなどもあります。バイオマスのメリットは、土に触れることで生分解する点です。ときが経てば遺骨を自然に還せるため、一般的なお墓だけでなく樹木葬などにも適しています。

ガラス

ガラス素材は、一般サイズの骨壺よりも手元供養用に多く見られます。デザイン性が高く見た目にきれいなものが多いため、インテリアにもなじみやすいでしょう。ただしガラスですから、気を付けないと割れてしまいます。取り扱いには注意が必要です。

骨壺の価格相場

一般的な骨壺と手元供養用の骨壺それぞれについて、相場を紹介します。骨壺の金額は素材やデザインによって大幅に異なるので注意してください。

一般的な骨壺

一般的な骨壺(白磁・7寸サイズ)の金額相場は、8,000~1万円程度です。材質が大理石になるともう少し価格がアップして、同じ7寸サイズでも2~3万円程度になります。またデザインや仕様によっても金額は変わり、例えば有名窯元が作った骨壺は10万円以上するものも珍しくありません。

手元供養用の骨壺

サイズの小さな手元供養用の骨壺は、無地でごくシンプルなデザインなら500~1,000円程度で見つかります。一方、素材にこだわっていたりデザインが凝ったりしているものは高額で、1万~7万円前後が相場です。手元供養用でも、特に質の高いものは30万円以上することもあります。

地域ごとの大きさも考慮し、満足のいく骨壺選びを

骨壺を選ぶ際は、事前にお墓の仕様や空きスペースをきちんと確認しておく必要があります。サイズも地域差が大きいので注意が必要です。また、骨壺のデザイン、材質、価格はさまざま。いつかは入る自分のため、大切な人の「その人らしさ」等々、それぞれの供養のかたちに合った、理想の骨壺を見つけてください。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。