「お葬式のホールで子どもたちの活動?」戸惑いを
安心の笑顔に変えた葬祭ホールとスタッフのあたたかさ

熊本子ども劇場さん

熊本子ども劇場さん

1972年に設立以来、さまざまな分野の舞台鑑賞体験や、キャンプをはじめとした自然体験などの機会を創り提供しながら、子どもたちの生きる力を育み、地域のつながりをつくる文化活動を行ってきた「熊本子ども劇場」のみなさん。2016年の熊本地震の被災後も、コロナ禍となってからも、地域の子どもたちや親子のために、活動を続けていらっしゃいます。そこにはどんな思いがあるのでしょうか。

熊本地震での活動休止と
復活の50ステージ

「熊本子ども劇場」は、1972年の設立以来、2つの柱を軸に活動してきました。1つは、子どもたちに演劇や人形劇、音楽、伝統芸能など、さまざまな分野の生の舞台を鑑賞する機会を創り提供する「舞台鑑賞活動」。

もう1つは、キャンプや川遊びなどの自然体験、「劇あそび」などを、各地域の子どもたちが主体となって企画して楽しむ「地域・体験活動」です。これらの活動を通じて、子どもたちの豊かな心と生きる力を育むことを目指しています。

熊本地震での活動休止と復活の50ステージ

活動を続ける中では、困難な状況に直面したこともあります。2016年4月に熊本地震が起こったときには、事務所の建物自体は無事だったものの、室内はものが散乱して、どこから手をつけたらいいのかわからない状態に。子ども劇場の会員さんたちもご家庭が大変な状況で、1カ月ほど活動休止を余儀なくされました。

それでも、避難所や被災後の子どもたちに遊びを届けたいという思いから、「もっとあそび隊」として活動を再開。全国の子ども劇場や劇団の支援を受けて、8月には熊本県内のホールや地域の幼稚園、保育園などで約50ステージの公演を敢行しました。

子どもたちのために手を挙げてくださる保育園や幼稚園などの場所を探して、熱い思いをもった劇団とつなぐ。大変な状況ではありましたが、地域に公演を届けられたことで、子どもたちや子どもを見守る大人も笑顔になって、心がほどける時間を過ごしてもらえたのではないかと思います。

子ども劇場の「舞台鑑賞活動」や「地域・体験活動」は主に会員に向けたものですが、熊本地震を契機に、地域の一般の子どもやご家族も一緒に楽しんでいただける「地域公演」にも力を入れていきたいという思いが強まりました。より多くの子どもたちやご家族が公演や遊びの体験を共有することで、地域でのつながりを広げていけたらと思っています。

コロナ禍で活動に制限、
「居場所がない」との声も

熊本地震での活動休止と復活の50ステージ

コロナ禍となってからも、活動の場が制限されてしまいました。子ども劇場では「生の舞台」や「触れ合い」を大切にしてきました。その「場」と「時間」を地域の友だちや大人たちと共有し、身体を寄せ合い、ワクワク・ドキドキを共感する。そんな体験を、子どもたちものびのびと楽しんでいたと思います。

それが一転して、空間や時間を共有することが難しくなってしまいました。人と距離をとることが求められ、子どもたちもオンライン授業が日常になったことで、電子機器に向かう時間がどうしても多くなる。外遊びもなかなかできない中で、子どもたちの心や身体への影響が危惧されました。

そうなってから、生の舞台や触れ合いを大切にした私たちのそれまでの活動が、とても貴重で意義のあるものだとあらためて実感していました。とはいえ、舞台鑑賞活動を行ってきたホールなどの公的な場は次々と閉鎖。地域の子育て支援センターなども利用できなくなってしまい、小さなお子さんのいる保護者からは「私たちの居場所がない」という声が多く聞かれ、なんとかしたいという思いを抱えていました。

子どもたちが
「まだ帰りたくない」
という家族葬ホール

そんなとき、子ども劇場の元会員だったご家族から、「家族葬のファミーユ」熊本支社の山本さんをご紹介いただきました。ファミーユは熊本市内に複数の家族葬ホールを展開されていて、葬祭ホールを地域の拠り所として身近に感じられるイベントなども実施しているということで、子ども劇場の活動に通じるところがあるのではと、引き合わせてくださったのです。

そのお話をいただいた当初は、「お葬式のホールで子どもたちの活動?」という戸惑いがあったのが正直なところです。でも、私たちの事務所でファミーユの山本さんに直接お話を聞いてみると、地域の支援活動に尽力されていることがわかり、まずは一度、地域公演を企画してみることにしました。

うたのにんぎょうげき

初めての企画は、2021年7月7日の七夕の日。「家族葬のファミーユ くまなんホール」で、3歳までのお子さんと保護者に向けた遊びのイベントを実施。開催にあたっては、告知などの広報活動にもご協力いただき、感染対策を徹底するなど安心して参加できる環境を整えてくださいました。

当日はファミーユのスタッフの方たちがあたたかく迎えてくださり、会場の飾り付けなども率先して工夫してくださっていたのがうれしかったですね。葬祭ホールということで少し構えていたところがありましたが、お葬式のときとは全く違った明るい雰囲気で、くつろげる空間だったことに安心しました。ファミーユのペンギンのマスコットキャラクター「ファーミーくん」も子どもたちに大人気。何より、スタッフの方々のホスピタリティが素晴らしかったと思います。

熊本地震での活動休止と復活の50ステージ

10月には「麻生田ホール」「長嶺西ホール」をお借りして、乳幼児のための「うたのにんぎょうげき」を開催。親子で歌や人形劇を楽しんでいただいたあとも、子どもたちが「まだ帰りたくない」といって、ホールで遊んでいる姿が印象的でした。

葬祭ホールは
さまざまな人が集う
寺院のような場所

コロナ禍で活動が制限されてしまったときに、ファミーユのホールを無償で提供いただき、あたたかいサポートまでしてくださったことは、私たちにとって本当にありがたいことでした。こうした出会いがあると、活動を続けていく励みにもなります。

ファミーユの葬祭ホールでイベントを実施してみて感じたのは、葬祭ホールはさまざまな人が集まり、交流する「お寺」のような場所だということです。イベントの当日も、ホールの前の案内に目をとめて、ふらりと入っていらした親子がいました。こうした地域に開かれた場所で、私たちの遊びを中心とした活動を届けていけたら、子どもたちの日常をさらに豊かにしていけるだろうなと思っています。

葬祭ホールはさまざまな人が集う寺院のような場所

「熊本子ども劇場」は、2022年で設立50周年を迎えます。今後は「舞台鑑賞活動」や「地域・体験活動」に加えて、地域のさまざまな場所に公演や遊びを届ける活動により力を入れていきたいと考えています。子どもたちが安心してのびのびと過ごせる居場所を、保護者や地域の方たちと一緒に創って広げていきたい。そのミッションの実現に向けて、山本さんをはじめ「家族葬のファミーユ」の皆さんには、今後もぜひご協力をいただけたらうれしいですね。

山内要

熊本子ども劇場

1972年に「子どもたちの生きる力を育む」ことを目的に、子どもたちがさまざまな舞台公演を鑑賞する機会を創り提供する「熊本子ども劇場」を設立。90年前後には熊本県内に子ども劇場が広がり、2002年に各地域の子ども劇場を主管する「熊本県子ども劇場連絡会」がNPO法人(特定非営利活動法人)として認可される。現在は「熊本子ども劇場」をはじめ5つの子ども劇場が独自に活動を行い、地域のつながりをつくる文化活動なども展開している。

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