マインドフルネスの意味や瞑想法。今ここに生きるために

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マインドフルネスの意味や瞑想法。今ここに生きるために
マインドフルネスとは、瞑想などによって心を今に向け、不安やストレスを軽減させる心のトレーニング法です。実践方法はさまざまですが、いずれも現状をありのままに受け入れることを目指します。本記事では、マインドフルネスの概要や実践方法、さらにはおすすめの書籍やアプリも紹介します。

マインドフルネスとは

マインドフルネスは学術研究が進められていて、欧米ではビジネスマンやスポーツ選手などに広く浸透しています。その意味や概要について見ていきましょう。

心を「今」に向ける方法・思考法

「日本マインドフルネス学会」は、マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義しています。

さすが学会の定義は深いですが難解です。少しずれがあるかもしれませんが、とらえやすい例は、あのディズニーの大ヒット映画の主題歌です。「ありのままの自分になる」と日本語の歌詞にありますが、あの心境が近いように思えます。

語源

マインドフルネスの語源は、パーリ語の「sati(サティ)」、サンスクリット語の「smṛti(スムリティ)」とされています。どちらも仏教の禅の考えを表す言葉で、「念」「気づき」という意味です。これが「mindfulness(マインドフルネス)」と英訳され、広く知られるようになりました。

仏教由来の瞑想法・心理療法

マインドフルネスは、アメリカ・マサチューセッツ大学名誉教授であるジョン・カバットジンが世に広めました。彼が1979年に発表した「マインドフルネス・ストレス低減法(マインドフルネス瞑想法)」がそのきっかけとされています。曹洞宗の開祖である道元の禅をベースに生み出されており、この仏教由来であることについては発案者であるジョン・カバットジンが2012年に来日した際に明言しています。

しかし、現在のマインドフルネスで宗教的な要素が強調されることは、ほぼありません。マインドフルネスは、瞑想の技法(method)、技術(technique)、精神セラピー(therapy)として紹介されることがほとんどです。

実践すれば、心の安定、精神の健康を保てると言われており、科学者による検証も進められています。

大手企業やオリンピックチームで導入

マインドフルネスは、ビジネスやスポーツ界で多く導入されています。例えば、米Google社やIntel、Facebookといった大手企業・有名企業では、企業研修プログラムの一つとしてマインドフルネスを取り入れているそうです。

また、Apple社の設立者の一人である故・スティーブ・ジョブズがマインドフルネスの実践者であったことも良く知られています。

この他、スポーツ界では、欧米のオリンピックチームがマインドフルネスを取り入れたプログラムを実践しています。

期待できる効果

マインドフルネスを実践すると、さまざまな効果が期待できます。実践するときのポイントと効果について見ていきましょう。

過去や未来から解放される

マインドフルネスの実践で今に意識を集中すれば、過ぎたことへの後悔や将来への不安が少なくなります。心を今に留め置くことで、過去からは教訓を得て、未来への備えに置き換えられます。

マインドフルネスでは、今をリアルに見ることが大切です。例えば今落ち込んでいるのなら、「自分は落ち込んでいる」ことを客観視します。自分の状態を横から見ることで、意識は「落ち込んだ気分」の外に移ります。暗く落ち込んだ気分を切り離せるので、冷静になれるのです。

ありのままを受け入れられる

マインドフルネスでは、思考や判断は不要。物事をありのままに受け入れることが大切とされます。物事を知覚することに集中すれば、余計な感情にとらわれにくくなります。心の平穏を保ちやすくなるでしょう。

マインドフルネスを実践するときは、自分の状態について良し悪しの判断をしないようにします。ポジティブなこともネガティブなことも「ありのままの現実」として受け入れてください。こうすることで、物事の真の姿を把握できるようになるはずです。

緊張の緩和につながる

マインドフルネスを実践することで、緊張・鬱(うつ)状態の緩和などが期待できます。

マインドフルネスに関してさまざまな大学でも調査や実験がおこなわれています。マインドフルネスとストレスの関係についての実験をしたのは、ワシントン大学です。実験は慢性的にストレスを抱えている人を対象に、6ヵ月間実施されました。

実験の結果、マインドフルネスを実践した人はストレスに関係する遺伝子が減少したことが分かりました。これは「マインドフルネスの実践によってストレス耐性が高くなる」という説を裏付けるものと考えられます。

マインドフルネス瞑想の実践方法

マインドフルネスは瞑想とセットで語られることがほとんどです。瞑想は簡単にいえば心を無にすることです。ここでは瞑想の種類と方法を紹介します。

呼吸の瞑想

呼吸の瞑想とは、呼吸に意識を集中して心を無に近づけます。手順は次の通りです。

1. 目を軽く閉じる。または薄く開けて斜め前を見る
2. 頭と首と背筋が一直線になるよう、椅子や床に垂直に座る
3. 好きなように呼吸する
4. おなかが膨らんだり縮んだりした様子を実況する

呼吸をしているときに雑念が湧いてきたら、それも頭の中で実況しましょう。その上で雑念から離れ、また呼吸に意識を集中しなおしてください。

呼吸の瞑想に取り組む際は、1日10分からスタートするのがおすすめです。慣れてきたと感じたら、徐々に時間を延ばしていきます。

ボディスキャン瞑想

ボディスキャン瞑想では、意識が医療機器のCTスキャンのようになって体の動きや疲れなどの状態を読み取っていきます。意識的に体を診て、体と対話をすることで体と心のつながりを回復させます。次の手順で実践しましょう。

1. 横たわって目を閉じる
2. 呼吸に意識を集中する
3. 体全体に意識を向ける
4. 体の末端(手や足)から中央に向かって注意深く意識を動かす
5. 最後は頭に意識を向ける

ボディスキャン瞑想では、普段意識しない皮膚の感覚やスキャン中に湧き上がってくる感情に「気づくこと」が重要です。

食べる瞑想

食べる瞑想とは、食べる行為を通して心を整えていく方法です。次の手順で実践します。

1. 目の前の料理を観察する
2. 目を閉じて料理の香りを感じる
3. 料理をゆっくりと口に入れ、よく噛んで味わう

食べる瞑想では、食べ物に意識を集中し、味わうのがポイントです。口に入れた食材が喉を通り、胃に到達する感じまでつかめるようになると良いでしょう。

おすすめの本・アプリ

マインドフルネスが注目を集める昨今、さまざまな書籍やスマートフォンで使えるアプリが登場しています。マインドフルネスの考え方をもっと知りたかったり、実践の助けがほしかったりするときは活用してみてください。

書籍

「マインドフルネス」と冠のついた書籍は沢山出版されています。瞑想などの実践法が最も多いですが、学術論、精神論、ビジネス活用法など、アプローチ手法はさまざまです。どのジャンルでも興味のわいた書籍を手に取って、まず知識を手に入れてみるのはいかがでしょうか。

アプリ「メントレ(メンタルトレーニング) 」

こちらは、メンタリストDaiGo氏が監修したマインドフルネスアプリです。主に呼吸の瞑想とボディスキャンをサポートしてくれます。

瞑想を実践するときに立ち上げれば、心拍数の変動を計算してマインドフルネスの質を目で確認できるようにしてくれる仕様です。この他、ボディスキャン用の音声ガイダンスも利用できます。

対応OSはIOSのみです。

アプリ「Meditopia」

心理学者とヨガ・マインドフルネスの現役インストラクターが監修したアプリです。100以上の瞑想プログラムがある他、エクササイズ、7日間の集中プログラム、眠れないときのための睡眠導入などもサポートしてくれます。

OSはIOS、Android対応です。

マインドフルネスで毎日を心穏やかに

マインドフルネスによって今を見つめることで、過去への不満や未来への不安、それらに起因にするストレスを感じにくくなります。落ち込むような出来事は誰の身にも訪れます。自分に合ったマインドフルネス法を見つけておくと、先行き不安な状態を和らげられるかもしれませんね。