【禅宗】曹洞宗のお葬式。葬儀概要や参列マナーを知りたい

お葬式のマナー・基礎知識
【禅宗】曹洞宗のお葬式。葬儀概要や参列マナーを知りたい
曹洞宗は、お釈迦様を本尊とする禅宗の1つです。仏教には多くの宗派があり、それぞれ葬儀の特徴が異なります。曹洞宗には独特の作法があるため、葬儀に参列するときのために知っておくと安心です。この記事では、通夜、葬儀・告別式の流れからマナーや作法まで詳しく解説します。

曹洞宗の基本情報

曹洞宗を知るために、まずは基本情報を紹介します。

曹洞宗とは

曹洞宗は、お釈迦様が坐禅の修行によって悟りを開いたことを重要視し、この禅の教えの根本としてます。座禅を重んじる宗派のことを「禅宗」と呼び、禅寺とも言われます。曹洞宗と、臨済宗、黄檗宗(おうばくしゅう)を合わせて日本三禅宗と呼びます。

曹洞宗の始まりは鎌倉時代にさかのぼります。道元禅師(どうげんぜんじ)が座禅を中心とした教えの「正伝の仏法(しょうでんのぶっぽう)」を中国から日本に伝え、その教えを瑩山禅師(けいざんぜんじ)が全国へと広めました。曹洞宗では、道元禅師・瑩山禅師の2人を両祖と呼びます。

大本山は2つあります。1つは福井県の永平寺であり、道元禅師が建立しました。もう1つは瑩山禅師が譲り受けた横浜市にある總持寺(そうじじ)です。あわせて両大本山といいます。

現在は、全国に約1万5千の寺院があり、800万の信徒がいる、と「曹洞宗 曹洞禅ネット」の公式ホームページで公表しています。

曹洞宗の経典

道元禅師による正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)と瑩山禅師の提唱録である伝光録(でんこうろく)が基本経典とされています。その他に、日用経典として修証義(しゅしょうぎ)や般若心経(はんにゃしんぎょう)などを読みます。

曹洞宗のお通夜の流れ

曹洞宗には、お通夜にも特有の儀式があります。いざというときに間違いがないよう、流れを確認してみましょう。

①臨終諷経(りんじゅうふぎん)

故人の元で、僧侶が舎利礼文(しゃりらいもん)や遺教経(ゆいきょうぎょう)などのお経を唱える儀式をします。遺教経とは、お釈迦様の最後の教えを記した経典のことです。臨終諷経は、家族や生前親しい関係を持っていた人だけで静かにおこなうのが一般的です。

②通夜式

葬儀の前の日に営まれる式で、家族はもちろんのこと、親しい友人や会社関係者などの知人も招かれます。通夜諷経(つやふぎん)と呼ばれる、僧侶がお経を読む儀式がおこなわれ、その後には法話を聞くのが通常の流れです。

➂通夜振る舞い

通夜の後で食事を出し、故人の思い出話などをして過ごす会食の席を指します。喪主は参列者や僧侶を個別に回り、挨拶をします。以前は、お開きになった後も家族や近しい関係の友人などは残り、一夜を通して故人との時間を過ごすしきたりがありました。近年は翌日の予定も考慮に入れ、閉会と同時に解散することが多いようです。

曹洞宗の葬儀の流れ

曹洞宗の葬儀・告別式は「儀式」が多いと言われますが、一つ一つにすべき意味があります。ここでは、その内容について紹介します。以下に出てくる、難読漢字の熟語はお経のように僧侶が読み上げる文章とお考えください。

①剃髪(ていはつ)

剃髪は仏の徳を得るための得度式(とくどしき)の一貫で、故人を仏弟子とするための儀式です。実際に髪を剃るのではなく、お経を読みながら剃るしぐさをします。

②授戒(じゅかい)の儀式

亡くなった人が、生きているうちに犯した罪を懺悔する儀式です。酒水(しゃすい)や懺悔文(さんげもん)の後、仏に仕える者として仏法僧を心から敬う三帰戒文(さんきかいもん)、悪いことをしないと誓う三聚浄戒(さんじゅじょうかい)・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)、血脈の授与へと続きます。故人が安らかにあの世へ行くための準備として、大切な儀式と言えるでしょう。

③入龕諷経(にゅうがんふぎん)と龕前念誦(がんぜんねんじゅ)

参列者による焼香の際に、僧侶が大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)と回向文(えこうもん)を読むのが入龕諷経です。一方、龕前念誦は棺を閉じるときに十仏名(じゅうぶつみょう)と回向文という文章を読み上げる儀式です。実際には納棺は済んでいるため、儀礼的なものとしておこなわれます。

④挙龕念誦(こがんねんじゅ)

邪気を払うために大宝楼閣陀羅尼(だいほうろうかくだらに)を唱え、楽器の一種である鐃鈸(じょうはつ)の音を響かせます。他の宗派では見られない、特徴的な儀式の1つです。亡くなった人が穏やかな気持ちであの世へ行けるよう、心を込めます。

⑤引導法語(いんどうほうご)

故人を仏の世界へ導くため、導師が故人の生涯を漢詩で唱えます。線香で右回り、左回りに円を描いて故人に引導を渡し、最後に払子(ほっす)を振るって迷いと邪気を払ったら、儀式の終了です。あの世でも、幸せに過ごすための大切な儀式として捉えられます。

曹洞宗の葬儀マナーと作法

焼香の仕方や使う数珠といった葬儀マナーや作法は、宗派により異なります。ここでは、曹洞宗の焼香の仕方や数珠の使い方を紹介しますので、参考にしてください。

焼香は2回

曹洞宗では、焼香は2回です。まず、数珠を左手に持った状態で焼香台の手前で立ち止まり、本尊や遺影、位牌に対して一礼をします。続いて焼香台へ進み、左手の四指に数珠をかけて合掌礼拝してください。1回目の焼香は右手でお香をつまみ、左手を軽く添えて額にささげ、成仏を念じてから香炉へ入れます。2回目は額にささげず、お香を右手でつまんだらそのまま香炉へ入れます。左手に数珠をかけ直して合掌と礼拝の後に一礼し、席に戻るのが一連の流れです。

正式な数珠は108個からなる二重タイプ

正式な数珠は煩悩と同じ108個の珠をつけた大きな輪で、二重にして持つタイプです。しかし108個の数珠は重たく持ち運びにくいため、一般的には54個の半連や27個の四半連を使用します。数珠は左手の親指と人差し指の間にかけて持ち、房を下にたらしてください。

合掌は指先を鼻の高さに

正しい合掌のやり方は、まず指の間が広がらないように、両方の手のひらをぴったりとつけます。肘を張り気味にして、中指の先が鼻の先とほぼ同じ高さになるようにしてください。指の先は自然にまっすぐとなるようにするのがポイントです。

香典の表書きは「御霊前」や「御香典」

葬儀に際して、香典の表書きは「御霊前」や「御香典」を使用します。他に典の字を正式な漢字にした「御香奠」、「御香華料(ごこうげりょう)」、「御香料(おこうりょう)」といった表書きもあります。「御仏前」は法事の際に使用してください。

曹洞宗の祀り方

曹洞宗ではお釈迦様を本尊として祀ります。ここでは、曹洞宗での仏壇の祀り方や必要な仏具について紹介します。

一仏両祖の三尊仏

仏壇の上段中央に、本尊となる釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ=お釈迦様)の木彫りや鋳造(ちゅうぞう)の像を配置します。祀るのは基本的にお釈迦様だけで良いのですが、一仏両祖(お釈迦様と道元禅師・瑩山禅師のこと)の三尊仏の絵像を掛ける場合は、仏壇の中央に掛けてください。すでにお釈迦様の像を祀っている場合は、その後ろに絵像を掛けます。祀り方や仏壇の大小など、分らないことは菩提寺に確認してください。

仏具の選び方

お供物には、線香に代表される香り・灯明・花・水、飲食の5つを使用します。水を供えるために茶湯器(ちゃとうき)、お菓子などの飲食を供えるために高杯(たかつき)と呼ばれる仏具を用います。また花立・ロウソク立て・香炉の三具足(みつぐそく)または、花立・ロウソク立て・香炉・仏飯器・茶湯器の五具足(ごぐそく)も揃えてください。その他に、リンや木魚、精霊簿なども置きます。

曹洞宗の葬儀作法でお見送りを

曹洞宗の葬儀には、いくつか特徴的なものがあります。また、地域やお寺によっても作法が変わることがあるので、葬儀を執りおこなう際には、必要な人へご確認ください。曹洞宗のお葬式に参列する際には事前にマナーを確認して、当日は周囲にならうことをおすすめします。信徒でなければ、たとえ間違っていても問題はありません。それよりもこれまでの感謝の気持ちを込めて故人をお見送りしたいですね。