葬儀の電報「弔電」|良い文例と送る際に知っておくべきこと

お葬式のマナー・基礎知識
葬儀の電報「弔電」|良い文例と送る際に知っておくべきこと
突然の訃報には、さまざまな事情があってどうしても葬儀へ参列できない……ということもあるでしょう。このようなとき、お悔やみの気持ちは電報「弔電(ちょうでん)」で伝えられます。しかし、弔電にはいくつかマナーがあるため注意しなければなりません。そこで今回は、良い弔電の文例や失礼にあたらない送り方のマナーなどをご紹介します。

良い弔電とは

まずは、良い弔電について見ていきましょう。ご遺族にとって、どのような弔電が心和らぎ、気持ちに寄り添ったものと感じられるのでしょうか。

お悔やみの気持ちと励ましの言葉を入れる

弔電には故人へのお悔やみの気持ちを一文入れます。キリスト教などの天に召されることをポジティブにとらえる宗教はお別れの言葉に変えます。そこに、故人との思い出やエピソード、または故人の人柄などを盛り込みます。
最後に、残されたご遺族への励ましの言葉を織り交ぜます。

端的に気持ちを伝える

ご遺族は、お通夜や葬儀の準備、事務手続きなど、故人の死を悲しむ余裕もないほど時間に追われています。そのため、弔電は端的にする方が余計な負担を掛けず、ご遺族への思いやりにもつながるでしょう。
また、端的に伝えることは、後日対面した際にゆっくりお話ししましょうという意味合いもあるのです。

ただ、端的と言われてもどの程度の長さが適切なのか迷われる方も多いでしょう。その場合、故人とは顔見知り程度の関係性であればシンプルに一文のみ、親しい仲なら思い出やご遺族へ向けた言葉などを足した2~3行ほどのメッセージが丁度良いです。長くても300字以内におさめるようにしましょう。

弔電の文例を紹介

弔電のメッセージは、使ってはいけない言葉があったり使い慣れない文章があったりするため、迷ったら文例が参考になります。ここからは、故人との間柄別に弔電の文例をご紹介します。

故人が友人の家族の場合

弔電は喪主に向けて送るものです。友人の父母やご主人、奥様、お子様が亡くなった時などに弔電を送る場合、受取人と故人の続柄を踏まえて敬称を使うようにします。

【文例1】
ご尊父様のご逝去を悼み、謹んでご冥福をお祈りいたします。

【文例2】
ご主人様のご急逝の報に接し、大変驚いております。謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。

【文例3】
ご息女様の突然の悲報に愕然といたしております。ご両親様のお悲しみはいかばかりかとお察しいたします。在りし日のお姿を偲び、心より哀悼の意を捧げます。

故人が友人の場合

友人や知人など生前親しかった人が亡くなった場合でも、故人の名前ではなく、「奥様(ご令室様)」や「ご尊父様」などの敬称(喪主と故人の続柄)を書くのが一般的です。

また、文例とともに故人との思い出を添えたオリジナルのメッセージを送っても構いません。親しいばかりに長文になり過ぎないよう注意し、故人を偲ぶ気持ちを伝えると良いでしょう。

【文例】
突然の訃報に、今は悲しさで言葉も見つかりません。お酒を飲みながらお互いの孫の自慢話をして盛り上がった日々が、大切な思い出として心に残っています。奥様が安らかな旅立ちでありますよう、心から哀悼の意を表します。

職場関係の場合

職場の方が亡くなられた場合、ご遺族に向けて関係性が分かるように弔電のメッセージを作ります。職場でのエピソードや人柄などを盛り込み、ご遺族への配慮も伝えましょう。

【文例】
ご逝去の報に接し、謹んで哀悼の意を表します。職場では誰からも愛されるリーダーとして活躍してくださりました。ご遺族様のお悲しみは計り知れないものとお察しいたしますが、どうぞご自愛くださいませ。

法事や法要の場合

【文例1】
〇回忌のご法要に際し、あらためて悲しみがつのります。ご生前の面影を偲び、遥かにご冥福をお祈りいたします。

【文例2】
故・〇〇様の〇回忌ご法要のご連絡をいただきました。あいにく所用にて参列できず、誠に申し訳ありません。故人の在りし日の面影を偲びつつ、心より哀悼の意を表します。

家族葬に電報を送っても良い?

葬儀に参列できなかった時に送る弔電ですが、家族葬、密葬などでは少し注意が必要です。

遺族の気持ちを最優先して

家族葬に個人や会社から弔電を送っても問題ありません。また、最近は家族葬が増えて香典も普通に受け取ることが多いですが、遺族の意向や事情によっては香典や弔電を辞退していることもあります。葬儀の案内状に辞退の記載がないかを確認しましょう。

弔電以外に送れるものは?

弔電以外に気持ちとして何か送りたいという場合は、葬儀が終わってからお花やお線香などを送っても良いでしょう。しかしこの場合においても、ご遺族の負担にならないよう電報や手紙にて「お返しはいらない」旨を記して伝えてください。

密葬は家族だけの葬式(火葬)を指し、別にお別れ会が開かれるため、その際に参列や弔電の対応をします。

葬儀(家族葬)で弔電を送るために知っておくべきこと

それでは最後に、弔電を送る際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。せっかくのお悔やみの気持ちが、マナー違反によってご遺族へ負担を掛けないようしっかりチェックしておきましょう。

弔電を送る際に必要な情報

弔電の申し込みは、インターネットや電話などでおこないます。その際、以下の情報を準備しておかないとスムーズに手配ができないので注意してください。

◎弔電受取人(主に喪主)のフルネーム
(分からない場合は「(故人名)様 ご遺族様」などと表記します。)
◎通夜、葬儀、告別式の日時
◎弔電の送り先住所と会場名
◎弔電受取人(主に喪主)と故人の続柄

なお、クレジットカードで支払う場合は、カード番号と有効期限、セキュリティコードの確認も必要です。

弔電の文中マナー

弔電には「引き続き」や「生きていたころ」などの『忌み言葉』を使わないように気をつけます。
「くれぐれ」や「重ね重ね」のような『重ね言葉』も使ってはいけません。これは不幸が再び起こることを連想させてしまうため、お通夜や葬儀でも避けている言葉です。次に例を挙げますので参考にしてください。
【忌み言葉】・・・「次に」、「追って」、「続いて」、「また」、「死ぬ」など
【重ね言葉】・・・「重ねて」、「再三」、「いろいろ」、「いよいよ」、「益々」、「返すがえす」など

また、「4」や「9」といった数字も「死」や「苦」を連想するため使わないようにしましょう。

他にも、故人が信仰していた宗教によって避けるべき言葉があります。よく文例に用いられている「冥福」や「ご愁傷様」などの文言は、仏教以外の信仰者には使えないので事前に調べるなどして注意しましょう。

また、手紙を筆で書いていた頃の名残で冠婚葬祭などの文章には句読点を用いないという習わしがあります。ですが、弔電で句読点を使ってはいけないというルールはなく、しきたりを気にされる人への配慮は必要ですが、使っても差し支えないと考えられています。

弔電を手配するタイミング

通常、弔電は葬儀または告別式の中で読み上げられるため、それまでに届くよう送るのがマナーです。また、葬儀や告別式の開始時刻が遅い場合、まだ会場に関係者が到着しておらず電報の受け取りに行き違いが生じてしまう可能性もあります。よって、葬儀や告別式が開始される数時間前に届くよう手配するのがおすすめです。

弔電の送り先

弔電の届け先は通夜・告別式を執りおこなう場所です。斎場や家族葬ホールでの葬儀であれば、弔電を手配する際、喪主の名前とその斎場などの住所を伝えることになるので、間違いのないよう注意してください。
この他、弔電の送り方の詳細は下記の記事をご確認ください。

葬儀に参列できない時は電報で自分の気持ちを伝えよう

弔電は、訃報を知らされたら早めの準備が必要になります。送る場所や時間、メッセージの内容などマナーをしっかり守ったうえで、故人への思いを伝えるようにしましょう。

今回ご紹介した文例は、ほんの一部に過ぎません。文例通りシンプルに伝えるのも良いですが、故人やご遺族に対する気持ちをプラスして伝えるのも、心配りのひとつと言えますね。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。