寒中見舞いを出す時期はいつ?喪中の人へ送る文例と注意点も解説

お葬式のマナー・基礎知識
寒中見舞いを出す時期はいつ?喪中の人へ送る文例と注意点も解説
寒中見舞いとは冬の挨拶状で、寒さの厳しい1月から2月初旬に相手の健康を気遣って出します。喪中の人が年賀状を受けた時や喪中はがきへの返礼として送ることもあります。この記事では、寒中見舞いの用途や基本の書き方、そして特に気を付けたい喪中の場合の注意点と文例についてお伝えします。

寒中見舞いの基礎知識

季節の挨拶状と言えば年賀状や暑中見舞いを思い浮かべる人が多く、寒中見舞いはあまり聞きなじみがないという人もいるかもしれません。まずは寒中見舞いとはどういったものなのか、いつ頃送るものなのかといった寒中見舞いの基礎について解説します。

寒中見舞いとは

寒中見舞いは、暑中見舞いや残暑見舞いなどと同じ季節の挨拶状の1つです。「寒中」とは二十四節気でいう小寒(1月5~6日ごろ)から立春(2月3~5日ごろ)までの期間を指します。ちなみに、2024年は1月6日から2月4日までです。

そのため、寒中見舞いは厳寒期に相手の健康を気遣い、同時に自分の近況報告をおこなうのが通例です。ちょうど正月の終わりの時期にあたるため、うっかり年賀状を出しそびれた時や、喪中での年賀状の代用として使われることがよくあります。

寒中見舞いを出す時期

喪中用も一般用も、寒中見舞いを送る時期に違いはありません。

「寒中」の中でも、「松の内」と呼ばれる正月用の松飾りを飾っている期間を避けて送るのがマナーとされています。「松の内」の期間は地域によって異なりますが、1月1日から、関東では1月7日まで、それ以外の地域では1月15日までのところが多いようです。さらに立春を越えると余寒(よかん)見舞いとなってしまうため、寒中見舞いは1月中旬から1月下旬ごろまでに送るのが一般的。相手の元に届くまでに数日かかることもあるので、郵送期間も考慮して出す必要があります。

喪中に出す寒中見舞いの書き方と文例

寒中見舞いの基本構成と、そのまま使える状況別の文例を紹介します。喪中に年賀状の代わりとして寒中見舞いを出す場合には、文面や単語に特に気を配る必要があります。

寒中見舞いの書き方

以下が寒中見舞いの基本の構成です。
  1. 主文(寒中見舞い申し上げます)
  2. 時候の挨拶
  3. 本文
  4. 締めの挨拶
  5. 差出した年月
  6. 差出人の住所と名前
寒中見舞いでは「拝啓」や「敬具」などの頭語(とうご)・結語(けつご)は使用しません。また、句読点は入れず、行頭の1字下げはしません。

<文例1>喪中に年賀状をもらった場合の返礼

事前に喪中を知らせなかったために、年賀状が届いてしまったときの返事として出す寒中見舞いの文例です。季節の挨拶の代わりに、喪中のお知らせが遅れたことへのおわびを入れます。
<文例>
寒中お見舞い申し上げます ご丁寧なお年始状をいただきありがとうございました
昨年◯月に父が永眠し 新年のご挨拶を控えさせていただきました ご連絡が行き届かず誠に失礼いたしました
本年も変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます
令和◯年 ◯月

<文例2>喪中に出す友人向けの堅苦しくない文例

自分が喪中の際に、友人から年賀状が届いた場合の文例を紹介します。親しい友人に出す場合は、かしこまった言葉遣いをする必要はありませんが、基本の型を守る方が書きやすいです。
<文例>
寒中お見舞い申し上げます 毎日寒い日が続いておりますがいかがお過ごしですか
心のこもったお年始状をありがとうございました 実は昨年◯月◯日に◯◯(故人との続柄)が他界しました
ようやく落ち着いてきましたが 通知が遅れてしまい申し訳ありません
まだしばらく厳しい寒さが続きますがどうぞくれぐれもお体大切に
今年もどうぞよろしくお願いします
喪中の相手には、新年を慶ぶ言葉は入れないように注意してください。もし送る相手が目上の人なら、始めの主文は「寒中お伺い申し上げます」とする方がより丁寧です。

<文例3>喪中はがきが間に合わなかった時に出す寒中見舞い

そう頻繁にはないかもしれませんが、新年のご挨拶をしたいものの自分が喪中で年賀状を送れない時に、その旨とおわびを伝えるために出す場合の文例です。
<文例>
寒中お見舞い申し上げます
寒さ厳しき折お変わりございませんか
◯◯(故人との続柄)の喪中のため年始のご挨拶を差し控えさせていただきました
本年も変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます
令和◯年◯月

<文例4>喪中の人へ出す寒中見舞い

続いて、喪中の相手に出す寒中見舞いの文例です。喪中はがきを受けた時の返事としてよく用いられます。
<文例>
寒中お見舞い申し上げます
ご服喪中と伺い年始のご挨拶は差し控えさせていただきました
◯◯様(故人の名前)がご逝去なさって ご家族の皆様におかれましてはお寂しい毎日をお過ごしのこととお察しいたします
まだまだ寒さが続きますがくれぐれもご自愛ください
本年もよろしくお願い申し上げます
令和◯年◯月 
喪中の相手には、新年を慶ぶ言葉は入れないように注意してください。もし送る相手が目上の人なら、始めの主文は「寒中お伺い申し上げます」とする方がより丁寧です。

寒中見舞いの4つの注意点

寒中見舞いは年賀状や喪中はがきなどと比べると約束事は少ないものの、知っておかないと失礼になってしまう事柄がいくつかあります。ここでは寒中見舞いを出す際に、特に気を付けるべき4つの注意点を紹介します。

1.年賀はがきは使わない

寒中見舞いには、郵便局で販売している切手の印刷された「通常はがき」や文具店などで購入できるポストカードなどを使用します。印刷された切手の柄に悩んだら、喪中の相手には胡蝶蘭の柄が良いとされています。

少し彩りがほしい場合は、季節にあったシンプルな絵柄が入ったはがきが良いでしょう。言うまでもありませんが、年賀はがきは使わないでください。

2.切手の柄にも注意する

はがきと同様、切手もシンプルで季節に合った絵柄のものを選ぶのが無難です。喪中の人とのやりとりでも、普通切手で構いません。郵便局には弔事用の切手も販売されていますが、そちらはお悔やみを目的とする場合に使うため、季節の挨拶状である寒中見舞いには不向きです。

3.喪中の場合はおめでたい意味の言葉は使わない

文章の構成は通常の寒中見舞いでも、年賀状の代わりとして出す場合でも変わりませんが、喪中の人に出す場合にはおめでたい意味を表す言葉は使わないように注意が必要です。特に年始のご挨拶を兼ねる際には、「年賀」ではなく「年始」を使うのが適切です。

4.近況報告は控えめにする

寒中見舞いは、あくまでも相手に対する「お見舞い」なので、自分の結婚や出産の写真などを載せるのは控えるべきといわれています。寒中見舞いの中での近況報告は手短に済ませ、結婚や出産などの報告をする場合は、改めてそれぞれ目的に合った挨拶状を出すのが望ましいです。

喪中以外での寒中見舞いの使い方

おもに喪中の際の寒中見舞いについてみてきましたが、本来は時候の挨拶を目的としたものです。ここでは寒中見舞いが使われる例を紹介します。

1.季節の挨拶として

まずは本来の目的通り、時候の挨拶として送りあいます。寒い季節に相手の健康を祈り、併せてこちらの近況を伝えると喜ばれるでしょう。

2.年賀状の返礼として

出していない相手から年賀状が届いた場合には、なるべく早めに年賀状を返すのが理想です。しかし、旅行や帰省などで自宅を留守にしていると、返事がなかなか返せないこともあるでしょう。どうしても松の内を過ぎてしまう場合は、寒中見舞いで年賀状のお礼を伝えられます。こちらの喪中に年賀状が送られてきた場合にも、返事として寒中見舞いが使えます。

心を込めた寒中見舞いで親交を深めよう

厳しい寒さが続く季節に友人の体調が心配なとき、また喪中の相手の心情を気遣いたいときなどに、気持ちを伝える手段となるのが寒中見舞いです。心を込めた便りを送りあうことで、親交もさらに深まることでしょう。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。