【葬儀・法事】お礼状の例文。マナーを守り感謝を伝える

お葬式のマナー・基礎知識
【葬儀・法事】お礼状の例文。マナーを守り感謝を伝える
お礼状とは、相手にお礼の気持ちや誠意を表す手紙です。葬儀や法事では、参列者や、香典や供物などをくれた人に対して送る手紙を指します。ある程度は形式に則り、礼儀やマナーを守ることが大切です。この記事では、お礼状の決まりや書くときのポイント、例文などを紹介します。気持ちのこもったお礼状を送るための参考にしてください。

葬儀・法事にまつわるお礼状の基礎知識

葬儀や法事の後には、お礼状を準備する必要があります。最初に、お礼状の意味と注意点について解説します。

お礼状の意味

葬儀や法事のお礼状は、式に参列した人や、何らかの理由で参列できずに香典などを送ってくれた人に渡すものです。参列者には会葬礼状を当日に渡し、参列できなかった人には儀式をつつがなく終えたことを後日はがきや書状で報告します。一般的に、お礼状のみではなく、返礼品とともに送ることがほとんどです。心遣いへのお礼や家族の近状などを伝えるためにも用いられます。

なお、お通夜や葬儀の参列者へ送る会葬礼状については、下記の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

お礼状を送るときの注意点

葬儀や法事のお礼状を送るときは「ありがとう」の想いを込めるだけではなく、決まりを守った上で無作法にならないようにします。また、なるべく早くお礼状を送って誠意を見せることも大切です。香典をもらったり相手にお世話になったりした当日に送ることを心掛けましょう。遅くても2〜3日以内に送るようにしてください。

基本的なお礼状の書き方

ここでは実際にお礼状を書くときの、書き出しや結び言葉、具体的な内容など、記載事項に困らないように解説します。

書き出しと結び言葉

お礼状は最初に「拝啓」、最後に「敬具」を入れます。「拝啓」は、相手への敬意を表す言葉。「拝啓」を使う場合は、必ず文末に「敬具」を添えます。なお、季節に関する挨拶は入れません。

本文の流れ

お礼状を書く際は、基本的な流れに沿って本文の構成を決めるのがおすすめです。基本の構成は下記の通りです。
  1. お礼の理由(葬儀や法事などに参列、香典やお供え物など)
  2. 儀式が無事に済んだことのお知らせ
  3. これからも良い付き合いを続けるためのお願い
  4. 書面という略式的なお礼の形になったことへのおわび
返礼品にお礼状を添えるときは、その旨も記載します。

日付と名前

本文の末尾には、日付や住所、喪主(四十九日の法要以降は施主)の名前、親族一同と記入します。日付は、元号を含めて書いてください。郵便番号に関しては、あり・なしどちらでもかまいません。身元を明らかにし、誰からのお礼状か伝わりやすくすると受け取る相手も安心です。

【事例別】お礼状の例文

文章の作成に悩んだときに役立つ、お礼状の例文を集めました。事例別に紹介します。このまま使うのはもちろん、アレンジして活用ください。

弔辞のお礼

拝啓
故〇〇(故人の名前)儀 葬儀に際しましては 御多忙の中御参列いただきましたうえ 御芳志を賜り 誠に感謝申し上げます 亡母にかわりまして 生前のお気遣いに御礼申し上げますとともに 今後とも 変わらぬ御交誼を賜りますよう御願い申し上げます 本来であれば拝眉すべきところ 略儀ながら書中にて失礼いたします
敬具
令和〜年〜月〜日
(差出人の住所)
喪主 △△(喪主の名前)
「芳志(ほうし)」は相手の親切を敬って表す言葉、「交誼(こうぎ)」は心が通い合う交際のことです。「拝眉(はいび)」は、相手に面会することを示します。同じ意味の「拝顔(はいがん)」と書いても間違いではありませんが、葬儀の場面で故人の顔を最期に見拝むことも拝顔と言うため、避けておくのが無難です。
どの熟語も弔辞以外のお礼状で使う場合もあるので、覚えておくと重宝します。

弔電のお礼

拝啓
このたびは亡父(故人の名前)の葬儀に際し 思いのこもった御弔電を賜り 御礼を申し上げます
心温まる言葉に励まされ 葬儀もつつがなく終えることができました 生前賜りました〇〇(相手の名前)様の御芳志への感謝とともに 今後とも御交誼を賜りますようお願い申し上げます 本来ならお伺いすべきところ 略儀ではありますが書状にて失礼いたします
敬具
令和〜年〜月〜日
(差出人の住所)
喪主 △△(喪主の名前)
親族一同

供花のお礼

拝啓
この度は 亡祖母 〇〇(故人の名前)の葬儀に際しましては 御供花を賜り心より感謝申し上げます たくさんの温かな気遣いを賜り おかげさまで葬儀もつつがなく終えることができました (相手の名前)様の御芳志に厚く感謝申し上げます 本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ 略儀ではありますが書中にて失礼いたします
敬具
令和〜年〜月〜日
(差出人の住所)
喪主 △△(喪主の名前)
親族一同

香典のお礼

拝啓
亡母 〇〇(故人の名前)儀 死去の際は 御多忙にも関わらず 心のこもった御弔慰を賜り 厚く御礼申し上げます おかげさまで 本日つつがなく忌明けにいたりました 本来なら直接ご挨拶申し上げるべきところ 略儀ではありますが書中にて御挨拶申し上げます
敬具
令和〜年〜月〜日
(差出人の住所)
喪主 △△(喪主の名前)
親族一同

追伸 供養の御印までに 心ばかりの品を御届けさせていただきましたので 御受納のほど御願い申し上げます

年忌法要のお礼

拝啓
亡母 〇〇(故人の名前)儀 〇周忌法要に際しましては 御多忙の中 足をお運びいただき 誠に感謝申し上げます この〇年 心のこもった励ましの言葉を賜り 故人を失った悲しみを乗り越え 前向きに過ごすことができるようになりました 心より御礼申し上げます 本来はお伺いすべきところ 略儀となりますが書状をもちまして挨拶にかえさせていただきます
敬具
令和〜年〜月〜日
(差出人住所)
施主 △△(施主の名前)
親族一同

施設や病院などでお世話になった人へのお礼

拝啓
〇〇(相手の名前)様を始め施設(病院)の皆様には 故(故人の名前)の入居中(入院中) 大変お世話になりました 先般 亡母の葬儀もつつがなく終えることができました 亡母の生前には たくさんの温かな心配りを賜り 厚く御礼申し上げます 本来ならお伺いするべきところですが 書中をもちまして御礼にかえさせていただきます
敬具
令和〜年〜月〜日
(差出人住所)
喪主 △△(喪主の名前)
親族一同

お礼状を書くときに知っておきたいマナー

お礼状は感謝と誠意を表すためのものなので、マナーを守ることが基本です。ここでは、お礼状を作成する際のマナーについて紹介します。

故人の呼び方

逝去した人の呼称は、喪主(施主)と逝去した人の続柄で表します。喪主(施主)の父であれば「亡父」、母であれば「亡母」、もしくは亡父母と記載してください。葬儀や法事であることを表す場合は、「亡父 〇〇(故人のフルネーム)儀」または「故 〇〇(故人のフルネーム)儀」とする方法があります。

お礼状を書くうえで気を付けるべき言葉遣い

「追って」や「また」などの忌み言葉を使用しないことは、お礼状の大切なマナーです。「わざわざ」「くれぐれも」といった重ね言葉は、不幸せなことが継続する印象を与えるので、避けてください。「離別」「相次いで」といった、縁起の悪さを感じさせる言葉も、お礼状では使いません。
そのほか、句読点を用いないのもお礼状の基本です。筆を使って文字を記すときは句読点を用いない、という昔からの風習が由来とされています。また、句読点には事物を終える、縁を切るという意味もあると言われます。「弔事をつつがなく進められるように」と願いを込めて、句読点を使わずお礼状を書くとする説があります。

お礼状の封筒やはがきの決まり

伝統的で格式のあるお礼状にするには、奉書紙(ほうしょし)を用います。奉書紙とは、もともと幕府が公文書用の紙として使っていたもので、和紙の一種です。文化として残り、現在も大切な要件を伝えるための紙として取り入れられています。丁重に感謝を伝える場合や、高い金額の香典などをいただいた場合は、奉書紙がおすすめです。
お礼状のような改まった手紙は縦書きにして、1枚で完結するようにします。色は白を選んでください。また、はがきの場合も白色を選ぶのが通常です。弔事専用のはがきや切手を使うと、厚意への敬意がより伝わるでしょう。

お礼状は印刷でも問題ない

手書きのお礼状は丁寧な印象になりますが、場合によっては印刷でも差し支えはありません。葬儀に関連したお礼状は、「涙で墨が薄くなった」という意味を込め、薄墨(うすずみ)を使用すると良いとされています。ちなみに、四十九日の法要からは、濃墨(こずみ)を用いるのが一般的です。

感謝の気持ちをお礼状で伝えよう

相手に対する敬意を示すため、お礼状はきちんとマナーを守ることが大切です。ただし、お礼状で最も重要なのは、感謝の想いを伝えること。基本のマナーを踏まえつつ、心を込めたお礼状を送ると誠意が伝わるのではないでしょうか。