通夜見舞いを詳しく解説。マナーや注意点もご紹介

お葬式のマナー・基礎知識
通夜見舞いを詳しく解説。マナーや注意点もご紹介
故人の生前に見舞いへ行けなかった代わりとして、お通夜の前に品物などを持っていくことを通夜見舞いといいます。地域的な風習であまり広くは知られていないため、言葉自体が聞き慣れない人も多いのではないでしょうか。今回はいざというときのためにも「通夜見舞い」についてご紹介していきます。本記事を参考にして、通夜見舞いの際に失礼のないようにしましょう。

知っておくべき通夜見舞いの基礎知識

まずは通夜見舞いとはどういうものなのかを解説していきます。通夜見舞いのタイミングなど、基本的なことを押さえておけば、故人や遺族に失礼なく通夜見舞いをおこなうことができるでしょう。

通夜見舞いとは

通夜見舞いとは、生前、故人の入院見舞いができなかった代わりとして、お通夜の前に遺族へお見舞いをお渡しする風習のことです。

お世話になっていたのに入院見舞いができず、急に訃報が届いて驚いてしまう人もいるでしょう。こんなことなら入院見舞いに行けばよかったと後悔が残るときには、代わりに通夜見舞いをすることで、気持ちを表すことができます。通夜見舞いのときに故人や遺族へ自分自身の気持ちとお悔やみを伝えるとよいでしょう。

通夜見舞いは、茨城県・千葉県・新潟県・福岡県などの一部地域で主流となっていますが、全国的ではありません。

また、通夜見舞いと香典は全く別物ですので注意しましょう。

通夜見舞いのタイミングは?

通夜見舞いをするタイミングは、一般的にお通夜が始まる前です。「お通夜の前だと忙しそうだけれど大丈夫なのか」と躊躇する人もいるかもしれません。しかし実際は、お通夜の最中の方が遺族も忙しいので始まる前に済ませます。

また、通夜見舞いをする人は、基本的にお通夜に出席することが前提となります。お葬式や告別式だけに出席する場合には、通夜見舞いを持っていく必要はありません。それでも、どうしても故人や遺族を見舞いたいときは、代わりにお供え物などをお渡しするとよいでしょう。

ただし、お供え物や供花はすでに葬儀の準備で用意されている可能性があります。必ず遺族に確認をしてから持参するようにします。

通夜見舞いの服装は?

通夜見舞いの服装については、まだお通夜が始まっていないので喪服ではなく、平服を選びます。できる限り黒や紺などの暗い色を選び、平服でも派手にならず落ち着いた雰囲気の服装を心がけてください。

さらに、お通夜では基本的に喪服を着用するので、通夜見舞いのときにお通夜用の服を忘れずに持参しておきます。また、お通夜の場で手伝いをする可能性があるならば、エプロンも持参しておくとよいでしょう。エプロンは柄のない黒色のものを用意するのが一般的です。ただ、急なことで用意できなかった場合は、地味な色合いのものを選べば問題ないでしょう。

通夜見舞いには何を持っていく?

ここからは、通夜見舞いに持っていくものをご紹介します。選ぶ際の参考にしてくださいね。

通夜見舞いに最適な品物とは

通夜見舞いは、遺族や親族への「いたわりの気持ち」を表すためのものなので、その品物は気持ちを込めて選ぶことが大切です。

具体的には、軽食やお菓子などが最適とされています。遺族は故人に夜通しで付き添うため、気軽に口に入れられるものが適していると考えられています。

軽食の場合はサンドイッチやおにぎりなど、お菓子の場合は和菓子や焼き菓子など、好みによらず食べやすいものがよいでしょう。ただし、食品は賞味期限があるので、遺族にできるだけ気を遣わせないよう、ある程度日持ちするものを選びます。

また、品物を持参するときには、必ず通夜見舞いであることを伝えるようにします。そうしなければ、お供え物と間違われてしまう場合もあります。

通夜見舞いの相場について

通夜見舞いを品物でする場合は2,000円〜3,000円程度のものが相場といわれています。あまりにも高額な品物を選んでしまうと、遺族に余計な気を遣わせてしまいます。

通夜見舞いの目的には、遺族をいたわることも含まれています。そのため、値の張るものは避け、シンプルで相場相応の品物を選んでください。

焼き菓子などは可愛らしいパッケージのものも多いですが、プレゼントとは違います。喜んでもらうのが目的ではないので、選ぶ際に配慮するとよいでしょう。

通夜見舞いはお金でもいいの?

通夜見舞いはお金(現金)で用意しても問題ありません。お金を渡す場合でも、1,000円〜3,000円程度が相場であるといわれています。

通夜見舞いに訪れる関係であるということは、故人や遺族と親しいお付き合いがあるということでしょう。そのため、相場の金額では少なく感じる人もいるかもしれません。しかし、香典との金額に差をつけることで、遺族や親族が香典と通夜見舞いを混同せずに済みます。そのときは相場通りの金額で問題ありません。

通夜見舞いでの注意点

通夜見舞いの際に注意すべき点がいくつかあります。遺族の方々に失礼がないようにするためにも必要なことなので、事前に確認しておきましょう。

通夜見舞いの袋や、かけ紙に注意

通夜見舞いの際に品物を持って行く場合、サンドイッチやおにぎりなどの軽食にかけ紙は基本的に必要ありません。一方、箱に入ったお菓子などはかけ紙をしても問題ありません。ただ、そのときは黒結び切りの水引のものを選びます。

また、通夜見舞いとしてお金を渡す場合は、香典と同じく不祝儀袋に包みます。不祝儀袋にはさまざまなデザインがあり、中には少々豪華なデザインもみられます。通夜見舞いの金額相場は先述したように1,000円〜3,000円程なので、金額に見合ったシンプルな不祝儀袋を選ぶようにするとよいでしょう。

通夜見舞いの表書きや外袋・中袋の書き方に注意

通夜見舞いに現金を包む場合、不祝儀袋の表書きは「御通夜見舞い」または「御見舞」と書きます。注意すべきなのは、表書きに香典と同じく「御霊前」と書いてしまうことです。通夜見舞いには「御霊前」と書く習わしはなく、また、香典と混同されてしまうため注意します。

外袋の表、上段中央へ「御通夜見舞い」と縦に書きます。この際、ペンは必ず薄墨のものを使用してください。そしてその真下に自分の名前を記入します。

中袋の表中央に包んだ金額を書き、中袋の裏右下に住所と名前を書きます。また金額の表記については、縦書きで金額を記載する場合は旧字体の漢数字を使用し、横書きの場合はアラビア数字を使用します。例えば3,000円を包んだ場合、縦書きなら「参仟圓」もしくは「参阡圓」と記し、横書きなら「3,000円」と記入します。

外袋も中袋もどちらもきちんと記入するのがマナーですので、外袋だけでなく中袋へ金額や住所・名前を記入することも忘れないようにしてください。

通夜見舞いは地域によっても違うので注意

通夜見舞いの風習がある地域として、茨城県・千葉県・新潟県・福岡県などが挙げられます。しかし、通夜見舞いの風習がない地域もあり、そのような地域で通夜見舞いをおこなうと遺族が混乱してしまう可能性がありますので注意が必要です。

また、全国には通夜見舞いに似た風習(愛知県・岐阜県・三重県の風習で遺族へのねぎらいを込めて品物を差し入れる「淋し見舞い」など)もあり、地域ごとにマナーが違います。

さらに、地域の違いに関係なく、遺族の事情や自分の立場などでも、通夜見舞いをしてよいものか迷う場合もあるでしょう。その地域の通夜見舞いの風習がわからない場合は、葬儀社などへ相談し、遺族へ負担や迷惑がないように配慮しましょう。

マナーを守って失礼のない通夜見舞いをしよう

「葬儀」のマナーは細かく、また、通夜見舞いのように地域ごとの風習も数多くあります。すべてを完璧に覚えるのは難しいことですが、基本的なことは覚えておきたいものです。ルールやマナーを守ることは、ご遺族に対していたわりや弔いの気持ちを表すことにもつながります。この記事で紹介したポイントを押さえて、きちんと通夜見舞いをしましょう。