老人ホームの費用はいくら?資金計画を立て入居に備えよう

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老人ホームの費用はいくら?資金計画を立て入居に備えよう
老人ホームの入居にかかる費用の相場は、平均月額15〜20万円ほど。地域や施設のタイプにより大幅な差があります。この記事では老人ホームの費用の内訳や、施設ごとの費用の相場を紹介します。資金計画を立てる際の、おおよその目安として参考にしてくださいね。

老人ホームの種類と費用相場

ひと口に老人ホームと言っても、それぞれ特色のある施設が複数存在します。主な老人ホームの種類と受け入れ対象、また、費用相場についても一覧で紹介します。相場は施設や入所者の健康状態などで異なるため、あくまで目安とし、入居前に確認してください。

公的施設の老人ホームの費用相場

国や自治体が運営する施設を「公的施設」または「介護保険施設」と呼びます。特に介護度の高い方や、低所得者の保護と支援に重点を置いているのが特徴です。しかし、特に高額になりがちな初期費用(入居金)が特別養護老人ホームの場合は0円になるなど抑えられる分、人気が高く、すぐには入居できない可能性があります。また、施設によっては専門的なケアの支援体制が整っていない場合があるので事前確認が大事です。
この他の公的なものとして、介護の必要がなくとも、収入や家庭の事情で生活が困難な方向けの施設もあります。以下が主な公的施設の特徴と受け入れ対象、月額費用の相場一覧です。
種類 特徴 受け入れ対象 費用相場(月額)
特別養護老人ホーム 寝たきりや認知症など、介護度の高い方が対象。比較的安価で介護を受けられるので希望者が多い。 要介護3以上で常時介護が必要な65歳以上 6~15万円
介護医療院 介護度が高めの方の長期療養を目的とし、医師や看護師が常駐している。状態が改善すると退所を求められる場合も。 要介護1以上で長期療養が必要 7~15万円
軽費老人ホーム 経済的理由や家庭環境により生活が困難な方が、公的補助により低額で利用できる施設。 比較的健康な60歳以上 6~17万円
介護老人保健施設 病院退院後に、在宅復帰を目指す人が療養できる施設。3ヶ月を目安に医療ケアを受けながら暮らすことができる。 要介護状態の65歳以上 7~13万円

民間施設の老人ホームの費用相場

民間で運営する施設は、入居者のニーズを満たすため施設ごとに多様なサービスを用意しています。初期費用も月額利用料も公的施設に比べると高くなる傾向がありますが、入所条件が公的施設ほど厳しくないのが特徴です。以下が主な民間施設の特徴と受け入れ対象、月額のおおよその費用相場の一覧です。
種類 特徴 主な対象 費用相場(月額)
介護付き有料老人ホーム 介護が必要な高齢者向け施設。自立して生活ができる人も入居できる混合型もある。 「介護専用型」は要介護1以上 10~50万円
住宅型有料老人ホーム 食事や掃除など生活面での援助が受けられる。介護度が高い場合は入居できない場合も。 自立、要支援、要介護 10~35万円
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者向けのバリアフリー住宅。安否確認や生活相談などをおこなっている。 60歳以上 10~30万円
グループホーム 認知症のある人が、専門スタッフのサポートを受けながら自立した生活を送ることを目的とした施設。 認知症のある高齢者 10~30万円
健康型有料老人ホーム 介護の必要がない高齢者が、アクティブに暮らせるようにレクリエーションなどをおこなう。要介護になると退去が必要。 自立した高齢者 10~40万円

老人ホームの生活でかかる月額費用

老人ホームでの生活には、賃貸マンションなどと同じく家賃のほかに月々さまざまな費用がかかってきます。主にかかる項目を紹介します。

賃料

公的施設の賃料は「基準費用額」で定められていて、月額1万1千円~6万1千円となっています。そのうち自己負担額は部屋のタイプと入居者の世帯収入などによって決まり、目安はひと月0〜4万円ほど。民間施設の場合は、立地やグレードにより幅があります。なお「入居一時金」として前払いした場合は月々の支払いは不要です。

食費

2021年8月より高額介護サービス費の負担限度額が見直され、介護保険施設の利用者の自己負担額が変更になりました。特養などの食費(日額)の負担限度額は、本人の所得に合わせて日額300円〜1,360円ほど、月額で約1万円~4万2千円です。

管理費・光熱費

民間施設でかかる共用施設の維持管理費や、介護サービスの費用は毎月固定されている場合が多いです。水道光熱費の扱いは施設管理費に含んでいるところもあれば、実費請求の場合もあります。

医療費

医師が常勤していない施設では、嘱託医や他の医療機関の受診が必要です。その場合の診察や入院費は自己負担となります。

その他

そのほかにも日常生活費・レクリエーション参加費・理美容代・通信費などさまざまな費用が発生します。

入居を検討する際は、老人ホームの初期費用も考える

老人ホームの入居には、月額費用とは別に初期費用が発生する場合があります。初期費用の算出方法と目安、支払い方法を解説します。

老人ホームの初期費用

有料老人ホームに入る場合は、「入居一時金」と呼ばれる費用がかかることがあります。「入居一時金」とは、平均余命などから想定居住期間を算出し、その期間にかかる費用を前払いするシステムです。そのため入居時の金額が高額になることもありますが、想定居住期間を超えた賃料も含まれているため、一般的には長生きした場合も追加請求はされません。もし想定より早く退去した場合には返還されます。

費用の支払い方法

主な支払い方法は3種類あります。
  1. 全額を前払い
  2. 一部を前払いして残りを月額支払い
  3. 入居一時金0円でかかる費用はすべて月々支払う
どの支払い方法を選べるかは施設により異なるため、事前に確認しておくと安心です。

資金計画を立てて老人ホームに入居を

ここまで費用について解説した通り、老人ホームに入居するには安くはない費用がかかるため、資金計画を立てることが大切です。資金計画の立て方や、負担を軽くするために知っておきたい補助制度について紹介します。

資金計画の立て方を考える

手持ち資産と今後の収入を合わせた額が入居のための資金源となります。手持ちの資産としては、貯金・退職金・不動産・有価証券・満期の保険などが挙げられます。今後の収入としては、年金や株の配当などが考えられるでしょう。どのくらいの資金が必要かは、自分の健康状態と平均寿命などを参考に、想定の入居年数を割り出すとおおよその検討がつけられます。
なお、老後に必要な資金の算出方法や備え方については、下記の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

負担を軽くするための補助制度がある

老人ホームの入居の際にも使える公的な補助制度は各種あります。対象となりそうなものがないか確認してみてください。
・医療費控除
1年間に自分や家族が一定額以上の医療費を支払った場合に、所得控除が受けられます。介護施設の利用者負担額も医療控除に含まれるケースがあります。中でも「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」に入居している人は対象となる場合が多いです。
・高額介護サービス費支給制度
介護保険サービスの利用料が月々の負担額の上限を超えた場合に、超えた分が払い戻しされます。
・介護保険負担限度額認定証の交付・特例減額措置など
入居中の食費や居住費を減額できる場合があります。公的施設の入居者が対象となるので、詳しくはお住まいの自治体の「介護保険課」もしくは「高齢者支援課」まで問い合わせてください。

老人ホーム選びで費用面以外に気を付けること

老人ホーム選びは、入居にかかる費用以外にも、入居した後どんな暮らしになるか想定しておかないと思わぬトラブルや出費が発生してしまう場合も。安心して暮らすために気を付けるべきことを紹介します。

交通の便は良いか

外出に便利か、家族が訪ねやすいかは楽しく暮らすためにも重要です。さらに立地は、その都度かかる交通費や緊急時のタクシー代にも大きく関わります。特に、介護で家族の方が高頻度で訪れる場合は、無理なく通える距離を選ぶのが良いでしょう。

また、住み慣れた自宅近くの施設の方が安心という声もあります。交通の便がよい施設は月額費用が割高になることもあるので、条件と費用のバランスを考えて選んでくださいね。

施設の運営は安定しているか

民間施設の場合、経営状態が悪いと途中で運営会社が変わり、これまでと同じサービスが受けられなくなる可能性があります。途中で退去することになれば、せっかく工面した費用が水の泡になるかもしれません。そのため施設の運営方針なども注視しておくのがおすすめです。

老人ホームの費用相場を知って、人生プランの1つに取り入れよう

老人ホームの入居には、初期費用や月額費用などが発生します。終の棲家として自分が入居を考えている施設にかかる費用の目安を把握したら、資金計画を立てることをおすすめします。その過程で、今後の人生プランをよく考えてみてくださいね。