般若心経は心穏やかになるお経。全文の読み方と初心者向け訳つき

法事・お墓
般若心経は心穏やかになるお経。全文の読み方と初心者向け訳つき
お経とは仏教の経典のことで、般若心経(はんにゃしんぎょう)もその1つです。「はんにゃーはーらーみーたー」というフレーズをお葬式や法事などで聞いたことがありませんか。この記事では、般若心経の全文にふりがなをふり、かんたんな意味と読み方、お葬式・法要での役割について紹介します。

般若心経の基礎知識

般若心経はお葬式や法要で読まれるお経のひとつです。

お経はお釈迦さまが弟子たちに説いた教えを伝えるものです。観音経(かんのんきょう)や妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)など数あるお経のなかでも、般若心経がとりわけ有名なのはなぜでしょうか。

般若心経とは仏教の真髄を伝えるお経

お経とは仏教の経典で、般若心経も数あるお経の中の1つです。正式には「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)」と呼ばれています。

西遊記の三蔵法師として有名な高僧、玄奘(げんじょう、げんぞう)がインドから中国に持ち帰った「大般若経(だいはんにゃきょう)」が原書とされています。三蔵法師は、インドのサンスクリット語で書かれていたものを漢語に訳し600巻ほどにしたためました。

そして、その600巻のエッセンスをわずか300字弱(以下でご紹介している音読文字数は266字)で表現しているといわれるのが般若心経です。般若心経には仏教の真髄ともいえる大切な教えが凝縮されています。

"般若心経"という言葉の意味

日本人の耳にもなじみ深い般若心経。しかし、その意味はわかりにくいものです。「般若波羅蜜多心経」の言葉を二語ずつに別けて考えると、少しわかりやすくなります。

「般若」は、自分の智慧(ちえ)=知恵のことです。
「波羅」は、彼岸(悟りの境地、この世の苦しみから抜けた世界)。
「蜜多」は、至る。
「心経」は、大切な教え、を表します。

つまり、「自分で考えて彼岸(悟りの境地)に至るための大切な教え」を意味しています。
人々が自ら考えることで、この世の苦しみから救われ、悟りの境地へと導かれる大切な教えが詰まっています。
「般若」についての詳細はこちらの記事にもあります。

般若心経を読む(唱える)宗派

仏教にはさまざまな教えがあり、歴史や考え方の違いによっていくつかの宗派に分かれています。しかし、般若心経は仏教の普遍的な教えを伝えるお経のため、宗派を問わず、読む(唱える)ことが多いようです。

般若心経を読む宗派には、真言宗・天台宗・曹洞宗・浄土宗などがあげられます。

反対に、般若心経を読まない宗派は浄土真宗や日蓮宗です。浄土真宗は自らの気づきではなく、阿弥陀さまの導きによって悟りの境地に至るとされる「他力本願(たりきほんがん)」を教えているためです。また、法華経によって悟りが開けるとする日蓮宗も般若心経は読みません。

心に響く般若心経の読み方と、かんたんな現代語訳

般若心経の読み方と、現代語に訳したときの簡単な意味をお伝えします。

般若心経の全文と読み方

ここには般若心経の全文を記載します。漢文の下のひらがなが読み方です。伸ばし棒の通りに歌うように唱えると、不思議と心が落ち着いてきます。
「仏説 摩訶般若波羅蜜多心経」
ぶっせつ まかはんにゃはらみったしんぎょう

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時。照見五蘊 皆空。度一切苦厄。
かんじーざいぼーさつ ぎょうじんはんにゃーはーらーみーたーじー。しょうけんごーうん かいくう。どいっさいくやく。

舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識。亦復如是。
しゃーりーしー。しきふーいーくー。くーふーいーしき。しきそくぜーくう。くうそくぜーしき。じゅーそうぎょうしき やくぶーにょーぜー。

舎利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不浄。不増不減。
しゃーりーしー。ぜーしょーほうくうそう。ふーしょうふーめつ。ふーくーふーじょう。ふーぞうふーげん。

是故空中。無色無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色声香味触法。無眼界。乃至無意識界。無無明。亦無無明尽。乃至無老死。亦無老死尽。無苦集滅道。無智亦無得。
ぜーこーくうちゅう。むーしきむーじゅーそうぎょうしき。むーげんにーびーぜっしんにー。むーしきしょうこうみーそくほう。むげんかい。ないしーむーいーしきかい。むーむーみょう。やくむーむーみょうじん。ないしーむーろうしー。やくむーろうしーじん。むーくうしゅうめつどう。むーちーやくむーとく。

以無所得故。菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無罜礙。無罜礙故。無有恐怖。遠離一切顛倒夢想。究竟涅槃。
いーむーしょーとくこ。 ぼーだいさったー。えーはんにゃーはーらーみーたーこー。しんむーけーげー。むーけーげーこ。むーうーくーふー。おんりーいっさいてんどうむーそう。くーきょうねーはん。

三世諸仏。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。
さんぜーしょーぶつ。えーはんにゃーはーらーみーたーこー。とくあーのくたーらーさんみゃくさんぼーだい。

故知般若波羅蜜多。是大神呪。是大明呪。是無上呪。是無等等呪。能除一切苦。真実不虚。
こーちーはんにゃーはーらーみーたー。ぜーだいじんしゅー。ぜーだいみょうしゅー。ぜーむーじょうしゅー。ぜーむーとうどうしゅー。のうじょーいっさいくー。しんじつふーこー。

故説般若波羅蜜多呪。即説呪曰。羯諦。羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。菩提薩婆訶。般若心経。
こーせつはんにゃーはーらーみーたーしゅー。そくせつしゅーわつ。ぎゃーてい。ぎゃーてい。はらぎゃーてい。はらそうぎゃーてい。ぼーじーそわかー。はんにゃしんぎょう。
※宗派・僧侶によって、唱え方・読み方などが異なります。
唱え方

般若心経は全文でも短いので、唱え終わるのにそれほど長い時間はかかりません。また、リズムにあわせると、意味と読みが微妙に合わないところが生じます。YouTubeなどに唱え方の動画があがっているので、お好みのものを探してみるのも面白いと思います。

般若心経のかんたんな現代語訳

般若心経の現代語訳は単純なものではありません。
600巻もの教えを約260字にするという、とんでもない圧縮率。さらに、サンスクリット語の響きを漢語にするという、伝言ゲームのような手法。難しくならない理由が見つかりません。

とはいえ、超意訳を許してもらうと次のようになります。
まず、これはお釈迦さまの教えですと記されています。具体的には、観音さまとお弟子さんの会話劇です。
お弟子さん「悟りを得て、この世の苦しみから逃れたいです」。
観音さま「この世のあらゆるものには実態がない。君の考え方次第なんだよ」。
お弟子さん「自分にもできますか」。
観音さま「できる。この言葉がきっと響くよ」。
といったところでしょうか。ここまで略すと仏門の人に怒られそうですね。
しかし、その教えの中には、テレビCMなどで聞いたことのある「色即是空」や、相撲の口上にでもなりそうな「不生不滅」といった今にも通じる考え方がみっちりと詰まっています。簡単には訳せないのでここでは省略しますが、興味のわいた人は書籍やネットでさまざまな解釈にふれてみるのもいいでしょう。

2~3年前には、ロック調の般若心経が流行りました。
『般若心経』をロックな言葉で現代語訳!超スゲェ楽になれる方法って? |grape(グレイプ)

お寺のサイトにも、初心者向けの記事があります。
ウェブ連載 …なんだそうだ、般若心経 |もっとい不動 密蔵院

調べるうちに、自分のなりの「真意」にたどりつけるかもしれません。

お葬式や法要での般若心経の役割

般若心経はお葬式や法要の場で唱えられ、これを読経(どきょう)と呼びます。最後に、お葬式や法要での般若心経の役割についてお伝えします。

お葬式で般若心経を唱えるシーン

読経は、お釈迦さまの教えを多くの人に広める布教の役割がありますが、お葬式の場では祈祷が目的になります。祈祷とは、僧侶がお釈迦さまに故人へのご加護を祈るものです。お経を唱えることで故人の安らかな旅立ちを願います。

葬儀式でメインで唱えられることは少なく、納棺前の枕経、通夜、火葬場といったシーンで般若心経が読まれることが多いそうです。ただし、唱えるタイミングは、宗派や僧侶の考え方によって異なります。

宗派によっては他のお経と組み合わせることも珍しくなく、般若心経を唱えるのは一回のみということもあります。

法要での般若心経の役割

般若心経などのお経は、初七日や四十九日といった法要でも唱えます。ただし、お葬式での読経とは少し意味が異なります。

法要における読経は、お経を唱えることで得られる自分の「徳」を、故人へ回し向ける「回向(えこう)」としておこなうのが一般的です。故人の冥途での幸福(=冥福)を祈ります。故人との縁に感謝する気持ちを込めて、般若心経を唱えましょう。

般若心経がわかると、お葬式、法要がより有意義に

日本人ならば、お葬式や法要、写経などを通じて、般若心経に触れる機会はそれなりに訪れるでしょう。般若心経には「人々をこの世の苦しみから解き放つ」という仏教の大切な教えが詰まっています。一つひとつの言葉をかみしめながら読経し、仏教の真髄に触れてみてください。単純に唱えるだけでも心穏やかになれますよ。