納棺の儀の流れとは?副葬品や参列者の服装も解説

お葬式のマナー・基礎知識
納棺の儀の流れとは?副葬品や参列者の服装も解説

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はじめて喪主をする
納棺について知りたい
納棺とは棺に故人を納める儀式のことで、「納棺の儀」とも呼ばれます。お通夜や葬儀の流れやルールは知っていても、納棺の儀については分からない方も意外と多いかもしれません。本記事では、納棺の儀の流れやおこなわれる時間帯のほか、参列者が知っておくべき服装や副葬品について紹介します。

納棺の儀について

布団で休まれていたご遺体の身なりを整え棺に納める納棺は、故人との別れを実感する瞬間のため、遺族にとって大切な儀式です。納棺の儀の流れや参列する際の服装、副葬品などのルールの前に、まずは納棺の概要について解説します。

お通夜の前におこなう

納棺の儀はお通夜の前日や、お通夜が開始される数時間前におこなわれるのが一般的です。まず、自宅あるいは斎場の安置室に到着したご遺体を布団に安置し、白木の台の上に香炉・燭台・花立てなどを置く「枕飾り」をおこないます。

枕飾りを終えた後は「枕勤め」をおこなうのが一般的です。枕勤めとは、僧侶に枕経(まくらぎょう)を読んでもらう儀式のこと。枕勤めを終えた後はお通夜や葬儀、告別式の準備や、それに伴って必要な手続きをおこないます。

死装束を着せて棺に納める

枕勤めを終え、お通夜の祭壇の準備が整ったら納棺の儀に進みます。ご遺体を納棺する前に、故人の身体を洗い清める「湯灌(ゆかん)」をおこない、ご遺体に「死装束(しにしょうぞく)」を着せます。旅立ちの装いである死装束は宗教によって異なりますが、白い仏衣が一般的。また、近年では故人が好んでいた服を着せることもあります。
今どきの死装束「エンディングドレス」などは、下記の記事で紹介しています。
死装束を着せたら、死化粧を施します。女性のいわゆるメイクだけでなく、男性もひげを剃って爪を切ったり、表情を整えたりすることもあります。
その後、遺族や葬儀社のスタッフ数人でご遺体の手足や頭を持ち、優しく棺に納めます。棺の中には副葬品を入れて周囲をたくさんの花で飾るのが一般的です。そして参加者全員で合掌をし、棺の蓋を閉めます。このとき、魔よけの意味を持つ守り刀や六文銭など、宗教や宗派によって決められている物を棺の上に置くこともあります。
納棺後に釘打ちをしていなければ、蓋を開けて故人の顔を見ることはできますが、直接気持ちを伝えられるのは納棺の儀が最後です。そのため、遺族だけでなく親族や故人と親しかった方にも参加してもらい、故人に感謝の気持ちを伝えたり、別れの言葉をかけたりすることをおすすめします。

納棺の儀の時間について

大切な人を亡くし、深い悲しみや喪失感に襲われている中でも、遺族はお通夜や葬儀などをおこなわなければいけません。この間、遺族は慌ただしく過ごすことになるやもしれません。

来客対応に追われがちなお葬式の中で、納棺の儀は少し意味合いが異なります。静かな時間が流れ、遺族が心を落ち着かせられる時間でもあるのです。納棺の儀はいつごろ、どのくらい時間をかけておこなわれるものでしょうか。

納棺の儀にかかる時間

納棺の儀にかける時間は特に決まりがないため、依頼する葬儀社やおこなわれる地域によっても異なるのが実状です。約30分~1時間程度が一般的ですが、ゆっくりおこなう場合は2時間程度かかる場合もあります。

納棺の儀がおこなわれる時間帯

お通夜の開始時間は18~19時が一般的。自宅でご遺体を安置している場合は、逆算して14時頃から納棺の儀をおこなうことが多いようです。納棺の儀にかかる時間は約30分~1時間程度が一般的とはいえ、慌ただしくならないよう時間に余裕を持つことが大切です。

自宅ではなく安置施設を利用している場合は、遺族が納棺の儀を希望するか否かでタイミングが異なります。納棺の儀を希望する場合は、自宅の場合と同様にお通夜の直前になります。一方、希望しない場合、あるいは先に納棺をおこなう必要がある場合は、遺族や葬儀社スタッフによってすみやかに納棺されます。

納棺の儀に参列する際の服装

納棺の儀に参列する際はお通夜や葬儀と同様、その場にふさわしい服装をする必要があります。そこで、納棺の儀に適した服装を実施場所ごとに紹介します。

自宅で納棺の儀がおこなわれる場合は平服でも可

自宅でおこなわれる納棺の儀は身内向けのため、喪服を着て喪に服していることを他人に示す必要はないので、平服を着用していても問題ありません。ただし、納棺後すぐに葬儀場に移る場合は慌ただしくなるため、初めから喪服を着用すると失敗を避けられます。また、遠方に住んでいる親族がおこなう納棺の儀に参加する場合も、着替える時間やスペースがない可能性があるため喪服が無難です。

葬儀場で納棺の儀がおこなわれる場合は喪服で参列

葬儀場で納棺の儀をする場合は、身内だけであっても、喪服で参列するのが一般的です。平服での参列は禁じられていませんが、納棺の儀の後にはお通夜が始まるので、着替える時間がないこともあり得ます。時間や気持ちに余裕を持つためにも、初めから喪服で参列することをおすすめします。

平服で参列の場合も控えめな服装

納棺の儀は故人を偲ぶ儀式のため、平服で参列する場合も最低限のマナーを守る必要があります。故人の死を悼んでいること、悲しんでいることを服で表現するため、派手な色や柄の服は避けて、黒やグレーなどの落ち着いた色味の服を選びましょう。

また、納棺の儀ではご遺体の手足を持ったり、副葬品を棺の中に入れたりするので、平服の場合は動きやすさも重視することが大切。ほかにも、ご遺体を傷つけないためにアクセサリー類は外しておいた方が無難です。

服装に悩んだ場合は葬儀社に相談

一般的に、自宅での納棺の儀には平服で参列しても問題ありません。しかし、地域ならではの決まりごとがある場合があります。地域の慣習や、土地柄による服装に迷いが生じたら、葬儀社にアドバイスを貰ってください。

納棺の儀の副葬品

「副葬品」とは、納棺の儀の際にご遺体と一緒に納める品のことです。ご遺体と一緒に副葬品を埋葬するのは古代から続く日本の風習で、古墳からは土器や武具などが出土しています。しかし、土葬から火葬に変わった現代では、副葬品にできる物が以前とは変わっています。そこで、続いては副葬品の代表例やNG例、事前に届け出や相談が必要な例を解説します。

副葬品の代表例

副葬品の代表例は花や手紙、故人のお気に入りだった服や、故人が趣味などを楽しんでいる”故人らしさ”が表れた写真などです。出棺の際には「別れ花」を参列者が棺に入れますが、これは副葬品ではありません。

副葬品として花を棺に入れる場合は、故人が好きだった花を花束にしたり、故人が育てていた花を切り花にしたりして、別に用意します。ハンカチや帽子、ポーチといった服飾小物を副葬品にする場合は、燃えやすい綿や麻などの天然素材か否かを確認してくださいね。

副葬品のNG例

存命中の人が写っている写真を副葬品にすると、”その人まであの世に連れていかれる”という不吉な言い伝えがあるため、写っている人の気分が悪くなる可能性があります。

また、メガネや腕時計など、故人が生前に身に着けていたものでも、燃えない素材の場合は火葬中に遺骨を傷付けてしまうため、副葬品にしてはいけません。ほかにも、革製品やビニール製品も燃えにくく、溶けて遺骨を傷付ける可能性があるうえ、有害なガスが出る可能性もあります。

事前に届出や相談が必要な例

ご遺体の体内にペースメーカーが入っている場合は、取り外すことなく火葬されます。ペースメーカーに内蔵されているリチウム電池は、加熱されると破裂する恐れがあり危険です。重大な事故につながらないよう、事前に葬儀社や火葬場のスタッフにペースメーカーが埋め込まれている旨を伝えてください。

次に、食べ物や飲み物は副葬品にして問題ありませんが、スイカなど水分量の多い食べ物や、サイズが大きい食べ物・飲み物は火葬場によっては禁止されている場合もあります。

また、分厚い書籍やアルバム、大きいぬいぐるみは燃えにくいため、ページを切り離す・小さいぬいぐるみにするなど、燃えやすくなるよう工夫を施すことが大切。ぬいぐるみに関しては禁止にしている火葬場もあります。

副葬品のチェックリスト

・公害の原因にならないか
・爆発の危険がないか
・貴金属は入ってないか
・ガラス製品は入ってないか
・不燃物ではないか
・火葬炉の故障の原因にならないか

副葬品にしても問題がないか困ったときは、上記のチェックリストが目安になります。貴金属や宝石類は価値が高くリフォームもできるので、副葬品にするのではなく形見分けにすることも一つの手段。燃やしてしまうよりも遺族や友人の手に渡った方が故人も喜ばれるのではないでしょうか。

火葬できるものかどうかは自治体や火葬場のルールによります。自己判断をせずに、事前に火葬場や葬儀社に確認することをおすすめします。

納棺は故人の旅立ちの支度

故人の身なりを整えて棺に納める納棺の儀は、故人が冥土へいくための旅支度とされています。納棺に参列する場合は、故人の冥福を祈りつつ儀式を進めていきましょう。一般的な流れが決まっている納棺の儀ですが、宗教宗派、地域の慣習などにより違いがあります。気になることがあれば、葬儀社に確認しておくと安心です。