北海道の葬儀の流れは他とは違う⁉日程・風習・香典マナーまで徹底解説【2024年版】

ご家族の通夜・葬式準備
北海道の葬儀の流れは他とは違う⁉日程・風習・香典マナーまで徹底解説【2024年版】

この記事はこんな方にオススメです

北海道で葬儀の喪主を務める
北海道の葬儀に参列する
北海道と本州の葬儀マナーの違いを知りたい
北海道の葬儀は日本全国の他の地域と流れや参列マナーなどに違いがあります。同じ北海道内でも地域の風習や家系の慣習によって火葬や会食の順番が葬儀・告別式と前後する場合もあります。この記事では、2024年3月スタートの火葬場予約制などの最新情報を交えて、北海道の葬儀の流れ、喪主の心得、参列マナーなどを詳しくご紹介します。

北海道の葬儀の流れ

北海道の葬儀の流れは基本的には全国と同じですが、部分的に他の地域と異なる特徴があります。ご逝去から搬送、通夜、葬儀・告別式、火葬などを経てご自宅へ帰宅するまで仏教形式を基本として一連の流れをみていきます。

1.ご逝去(ご臨終)

ご逝去時に亡くなられた方の状況によってご家族のとるべき対応が変わります。病院で亡くなられた場合は、医師から「ご臨終です」と告げられた後、速やかにご遺体を搬送するように伝えられます。病室や霊安室から2~3時間以内での退去を求められることもあるため、葬儀社が決まっている場合は早めに連絡をして迎えにきてもらいます。

ご自宅でお亡くなりになった場合には、息を引き取ってすぐであればかかりつけ医に連絡をします。時間が経ってしまった場合は警察の立ち合いが必要になります。どこに連絡するべきか不安な時には臨終時の対応のプロである葬儀社に連絡してみてください。実績のある葬儀社であれば、対応策をすぐに提案してくれます。

葬儀社が決まってない場合はインターネットの検索でも多数が見つかります。葬儀場が自宅に近い、Wi-Fiやバリアフリーなどの設備が整っている、施設が綺麗で新しいなどの基本項目はもちろん、葬儀件数実績、企業理念、プラン概要も確認してみてください。

2.搬送・ご安置

搬送依頼をしたら葬儀社や搬送会社が指定の場所に迎えにきます。このとき、医師から受け取った死亡診断書は、死亡届といった公的手続きにも必要になるので大切に保管します。

搬送先は最近では葬儀場の安置所がよく利用されますが、ご自宅や安置専門の保管施設なども選べます。自宅には搬送できないけれど、ご遺体を畳やお布団の上で休ませたいなどの希望がある場合は和・洋室の安置室がある葬儀場を選ぶことをおすすめします。

3.葬儀の打ち合わせ

ご安置を終えて枕飾りをしたら、葬儀内容の打ち合わせをします。会場や日程、参列人数、ご葬儀の内容、喪主は誰が務めるかなどを決めていきます。接待用のお料理、会葬礼状、香典返しなどの準備も大切ですが、お墓のあるお寺や神社などへの連絡も欠かさないように注意しましょう。

葬儀の日程が決まったら、お通夜や告別式の案内をする親族や親しい友人、忌引き休暇を取るために職場や学校にも訃報の連絡をします。ご近所やお世話になった方への訃報連絡には、北海道では新聞広告を利用するのが一般的です。
葬儀社との打ち合わせの合間で遺影写真も準備します。プリントしたものでもスマホなどのデータでもお顔が鮮明なものであれば加工可能です。式の後にも残る大切なものなので故人らしさの感じられるものを探してみてください。

4.ご納棺

布団などでお休みいただいていた故人の体を清め、白い法衣などの死装束に着替えさせて納棺します。これを納棺の儀、または湯灌(ゆかん)の儀と言います。納棺は通常、遺族や親しい人が立ち会うもので、お通夜の前日や当日の午前中におこなわれます。

葬儀の宗教形式にもよりますが、令和の今どきは、お気に入りの洋服や予め用意していたエンディングドレスなど、自由に最後の服装を選ぶ人も増えています。

5.お通夜・通夜振る舞い

お通夜とは残されたご家族が亡くなった方の死を受け入れるために一緒に過ごす最後の時間です。最近では夜通しおこなうことはなく、夕方から夜に一般の会葬者をお迎えする半通夜が主流です。北海道の葬儀では、告別式に参列する場合でも香典はお通夜で渡します。

お通夜に参列いただいた方やお経をあげられたご僧侶へのおもてなしとして、会食の席を設けます。この食事を「通夜振る舞い(つやぶるまい)」と呼びます。しかし、北海道の通夜振る舞いは遺族と親族が出席するもので、一般参列者はお通夜の焼香を終えたら退席します。

6.葬儀・告別式・出棺

葬儀・告別式は逝去の翌日あるいは通夜の翌日に執りおこなわれます。葬儀と告別式は本来意味の異なる儀式ですが、全国的に葬儀と告別式を約1時間の中で同時進行することが一般的です。これは北海道も例外ではありません。

7.火葬・骨上げ

葬儀・告別式を終えたら霊柩車に柩(ひつぎ)を乗せて出棺し、火葬場にて荼毘にふします。火葬時間は約1時間~2時間程度かかり、その後、その場にいる全員でお骨上げ(拾骨)をします。

札幌市の火葬場は2024年3月8日から予約システムの導入がスタートしました。ご遺族が直接対応することは特にありませんが、新制度対応の葬儀社に依頼すればスムーズです。

8.忌中引き(繰り上げ法要)・精進落とし

火葬を終えると葬儀場へ戻り、「繰り上げ法要と還骨法要」と締めくくりの会食「精進落とし」をします。繰り上げ法要とは初七日法要に集まるのが難しい遺族や親族のために、葬儀・告別式や火葬の日に法要や会食を繰り上げておこなうものです。

還骨供養(還骨法要)は火葬が終わりご自宅などに戻った際、後飾り祭壇にご安置しておこなわれる法要ですが、これも繰り上げ法要として同時に済ませる傾向にあります。

9.帰宅・ご自宅祭壇の設置

繰り上げ法要や会食を終え、自宅に戻ったらご遺骨の安置場所を整えます。仏間や居間などに2~3段の小さな祭壇を設置し、その上にご遺骨とお写真、白木位牌を安置します。故人様の好きだった食べ物やお花も飾って忌明けまでを過ごします。

北海道の葬儀の特徴

葬儀の日程

北海道の葬儀の日程は、亡くなられた翌日にお通夜、翌々日に葬儀・告別式→火葬とする場合が多くみられます。日数で数えると、亡くなってから1日目が死亡届の提出、2日目がお通夜、3日目に葬儀・告別式→火葬となります。札幌市などではこのスケジュールが主流ですが、函館市や根室市などではお通夜の前に火葬をおこないます。火葬をしてからお通夜や葬儀となるため、先火葬や「骨葬(こつそう)」と呼ばれます。

地方紙などに訃報案内を出す

北海道では、訃報の案内を新聞のお悔やみ欄に掲載します。本州などでは著名人や地元の名士などに限られ、掲載したい場合は有料になることが多いですが、北海道では一般市民でも無料で訃報を掲載することができます。記載内容は新聞社によって異なりますが、故人の名前と死亡日時、通夜・告別式の日程、喪主、葬儀委員長など。北海道新聞といった地域の新聞であれば掲載欄があるので、掲載希望の場合は葬儀社に依頼してみてください。

通夜振る舞いは遺族や親族でおこなう

お通夜の後の会食「通夜振る舞い」は北海道の場合、遺族や親族のみでおこなうのが通例です。一般参列者は焼香後、速やかに退席します。軽食やお酒を軽くいただく場所を設ける地域もあるようですが、その場合もしっかり食事をとるのは家族と親族に限られます。

繰り上げ法要が初七日法要ではなく忌中引き

北海道では、初七日法要と還骨法要を告別式の日に繰り上げておこなうのが主流です。三十五日・四十九日の忌日法要も合わせて繰り上げられることがあります。繰り上げ法要のことは「忌中引き(きちゅうびき)」とも言い、特に都市部の札幌市などでは一般的になっています。

北海道の火葬の特徴

北海道は葬儀だけではなく火葬にも地域特有の風習が残っています。また、札幌市では火葬需要の高まりから、2024年3月より予約制が導入されることになりました。北海道で火葬を営む、参列する際の注意点をお伝えします。

火葬場の移動は霊柩車ではなくバス

火葬場への移動は、北海道ではバスを使います。家族葬のファミーユでも20人乗りのバスのご用意があり、バスにはお棺を格納できるスペースが併設されています。本州はご遺体と喪主は霊柩車、その他の遺族・親族は自家用車やタクシーで移動するのと比べると、参列者に優しい移動手段と言えます。雪の多い北海道ならでは参列者への配慮からきている慣習のひとつです。

収骨に骨箱や納骨袋を使う

北海道の収骨(骨上げ)は、本州関東地区と同様に全ての遺骨を収める「全骨収骨」が一般的です。 また、一部の地域では骨壷を使わずに桐の「骨箱」や布の「納骨袋」に収めます。一説には厳しい寒さで骨壷が割れないように、と布や木箱を用いたからと言われています。

札幌市の火葬場は予約制になる

北海道で最も人口の多い札幌市。札幌市の人口は2023年1月時点で196.8万人と全国の市区町村の中でも横浜、大阪、名古屋に次ぐ第4位です。火葬場の需要も高く、その混雑ぶりが近年ニュースでも取り上げられていました。そこで、札幌市は2024年3月8日より火葬場の予約システムを開始。これまでは予約不要だった火葬場の利用が事前登録制になっています。市に登録された葬祭事業者が対応するため、一般の方に直接的な影響はありません。ただし、混雑時は火葬が日延べになることなどが予想されており、ご遺体の安置場所の必要性が高まっています。

住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和5年1月1日現在/総務省調べ)

北海道の葬儀で喪主が注意すること

北海道の葬儀で喪主を務める際には地域特有の対応に迫られます。受付時や香典返しの準備など、予めどのようなことに注意すべきか知っておくとスムーズに進められます。

香典には領収書を発行する

北海道の葬儀で香典をいただいたら、領収書をお渡しします。北海道では葬儀に参列できない人の代わりに香典を建て替えることが昔からよくあり、香典の受取りを証明するために領収書を渡す風習が生まれました。広大な地域、かつ冬場は特に雪などに苛まれる地域ならではの風習です。北海道で葬儀をおこなう際には、受付に領収書の準備をしておきます。

香典返しは即日返しが基本

北海道ではお通夜でも告別式でも、香典をいただいたその日に香典返しをお返しします。これを「即日返し」または「即返し」と言います。香典返しは全国的に香典の半額から1/3程度の品物をお渡しする「半返し」が多くとられますが、即日返しに関しては千円から2千円前後の一律同じものを用意します。

高額な香典をいただいたり、葬儀後に香典を渡されたりした場合は、後日金額に見合ったお礼の品を送るようにします。しかし、北海道の一部の地域やご家庭によっては香典返しを一切しない、道民同士ではしないなど独自のルールもあり、これまでの状況を調べたり親戚などに確認したりするのが安心です。

即日返し(粗供養品)はギフトカードでも良い

即日の香典返し(即日返し)にお渡しする品物を「粗供養品(そくようひん)」と言います。粗供養品には海苔やお茶、お菓子などの消え物が選ばれることが多いですが、最近では商品券やギフトカード、カタログギフトを渡すケースが増えています。かつては金額の分かる金券類は避けられることが多かったですが、現在では多くもらって困らないため選択肢のひとつになっています。

北海道の葬儀の参列マナー

北海道では、葬儀の参列マナーも他の地域と異なる部分があります。香典袋の書き方や持参方法、喪服の装いなど、参列時に気を付ける点を簡単に紹介します。

香典袋には名前・住所・金額を明記する

北海道では香典袋の書き方も他の地域と異なります。通常、中袋のない香典袋の場合、「御霊前(御香典・御仏前)」などと書いてある表書き(表面)には氏名を記すのみですが、北海道では氏名と合わせて住所を記載します。そして裏書き(裏面)に金額を書き入れます。領収書を出す都合上、氏名・住所・金額を先方が確認しやすくするための配慮とされています。ただし地域やご家庭によって、表書きに氏名、裏書きに住所と金額になる場合もあります。

香典は通夜に持参する

北海道の葬儀では、遺族親族を含めて一般の参列者も多くが通夜に訪れます。このため、香典は告別式に参列する場合でも通夜のうちに持参します。通夜の前に火葬をする地域もあることから、通夜の重要性が他の地域よりも高いため通夜で香典を渡すようになったという説もあります。

雪の時期はブーツでの参列も可

積雪の多い北海道では、葬儀場に向かう際にブーツをはくこともあります。駐車場から受付まではブーツで移動し、会場で黒のパンプスに履き替えると良いでしょう。

クロークやロッカーなどがない葬儀場で履き替えられない場合は、リボンやファーなどの装飾がないシンプルな黒いブーツをおすすめします。ご自身の安全性を第一に、遺族の心境にも配慮した装いを心がけてください。

北海道の葬儀と地域の風習

北海道の葬儀には、家族写真を撮るなど地域特有と言える風習がいくつかあります。独自に発展してきた北海道の葬儀の常識を紹介します。

家族で記念写真を撮影する

お通夜に祭壇の前で、遺族や親族で記念撮影をするのも北海道の葬儀ならではの光景です。ひと昔前は同じ北海道に住む親戚同士でも集まることは大変で、転勤や就学で本州などへ転居する人も多いことから、親族が集まる葬儀の場で集合写真を残してみんなに配るというのが自然な流れでした。現在はオリジナル祭壇などでのお見送りもあり、亡くなった方との大切な絆を確かめ、遺族を慰めるものとして、プロの写真家などによる撮影が普通におこなわれています。

仮通夜をおこなう地域がある⁉

函館市や釧路市のように通夜の前に火葬をおこなう地域では、「仮通夜」も営む風習が残っています。仮通夜は遺族や親族のみで執りおこなわれるもので、火葬の前に仮通夜の時間を設けて、火葬後に通夜、葬儀・告別式となります。

同じ先火葬でも根室市や岩見沢市では、火葬の前に仮通夜と通夜(本通夜)を営みます。北海道の同市でも地域や宗旨宗派によって異なる場合があるので、親戚やお寺、葬儀社などに事前に確認することをおすすめします。

北海道では家族葬がよく選ばれている

北海道で最近良く選ばれている葬儀形式が家族葬です。家族葬とは家族や親族などの少人数で営まれるプライベートを重視したお葬式です。2000年以降に広まり、2021年からのコロナ禍を経て現在主流の葬儀形式になっています。北海道内にも家族葬の専用式場は増加中で、家族葬のファミーユだけでも2024年2月時点で札幌市内に23の家族葬式場を展開中です。

よくある質問

同じ北海道でも市区町村などによって葬儀の風習やマナーは異なります。北海道の葬儀をおこなう、あるいは参列する際によく聞かれる質問にお答えします。
Q
亡くなってから葬儀までは何日くらい?
A
北海道の葬儀でお通夜のある場合、逝去日から2~3日後に葬儀をすることが多いです。ただし、ご逝去時の状況や読経をお頼みする住職の法要日程、火葬場がお休みになる友引などに当たると日延べになる可能性もあります。
Q
北海道の葬儀の順番は本州と違う?
A
地域によって違う場合があります。札幌市などでは本州と大きく相違なく、通夜→葬儀・告別式→火葬ですが、函館市や釧路市などでは火葬→通夜→葬儀・告別式になります。その他、漁師町や山間部でも独自の葬儀の流れや風習があるので、同じ北海道内でも出身市が異なる場合などは地元の葬儀社や葬儀場に相談してみてください。
Q
北海道の葬儀では本当に香典返しはいらない?
A
北海道で香典をいただいたら、当日、参列者に一律で同じ品物をお返する「即日返し」をします。その後の香典返しは不要ですが、高額な香典や風習の異なる本州の知人へは半返しなどの香典返しをする場合もあります。

北海道での葬儀も地域性を大切に

北海道の葬儀は四方を海に囲まれた広大な面積を持ち、雪深く寒さの厳しい土地ならではの特徴と独自性があります。また、香典の領収書や新聞での訃報告知、祭壇前の記念写真などには情がありながらも合理的で開拓精神を持ち合わせた道民性も現れています。最新の動向を取り入れつつも、このような地域の感情にも配慮したお見送りの準備をすれば間違いありません。

Coeurlien(クリアン)を発信する家族葬のファミーユには、北海道札幌市内で最多となる23の家族葬ホールがあります。地元北海道の葬儀事情に精通したスタッフがご葬儀のお手伝いをさせていただきます。北海道の葬儀でお困りの際には、お気軽にお問い合わせください。