落語|寄席の仕組みとマナー。終活におすすめの有名演目も

お葬式のマナー・基礎知識
落語|寄席の仕組みとマナー。終活におすすめの有名演目も
落語は日本の伝統芸能の一つで、寄席(よせ)と呼ばれる演芸場でおこなわれます。大人の教養として知っておきたいものの、演目数は数百とあるので何から聞くべきか迷ってしまうかもしれません。そこで本記事では、初心者におすすめの演目を選びました。その他、寄席の仕組みやマナー、ファミーユ熊本支社が開催した「終活落語」も紹介します。

【終活と落語】葬儀や生死にまつわる有名な演目3つ

落語は、古くから人の生死や人間模様をテーマにしてきました。数ある演目の中には、葬儀や生死にまつわるものもあります。笑いながら終活について考えられるかもしれない、葬儀や生死にまつわる有名な演目を紹介します。

1.黄金餅(こがねもち)

「黄金餅」は、僧侶の遺産を奪おうと画策する金の亡者が主人公のブラックジョークと言える噺です。

<あらすじ>
寝込んでいる僧侶のもとに、味噌売りの男がお見舞いに訪れます。僧侶は男に買ってきてもらったあんころ餅の中にお金を隠し、そのまま食べてしまいました。その後、僧侶は亡くなってしまいます。それを見た味噌売りの男が、僧侶のお腹にあるお金を手に入れようと画策する...といった内容です。

2.片棒(かたぼう)

こちらの噺は、ケチな男が3人の息子に「自分の葬儀はどうするのか」と問いかける内容です。
<あらすじ>
自分の代で財を成した父親が跡継ぎを決めるため、3人の息子に「自分(父親)の葬儀はどんな風にするつもりか」と聞きだします。長男と次男は「盛大な葬儀にする」と言い、三男だけが「質素な葬儀にする」と答えました。
三男が提案したのは棺桶の代わりに樽を使うほどの質素な葬儀ですが、ケチな父親はその案を気に入ります。そこで、三男が「前棒は自分が担くが、うしろを担ぐ人間がいない」とぼやくと、棺桶に入るはずの父親が思わぬ一言を...といった滑稽噺です。

3.死神(しにがみ)

「死神」は題名こそ恐ろしいものの、内容が初心者でも分かりやすく面白いので、長年愛されている演目です。

<あらすじ>
ある男が、死神の力によって人の死期が分かるようになりました。その男は金儲けを目論んで医師になりますが、約束を破ったことで死神が激怒。死神によって地下の世界に連れていかれた男の前には、人々の寿命を表すロウソクが並んでいます。そこで、今にも消えそうになっている自分のロウソクを、別のものに移し替えようとするが...といった噺です。

この噺は噺家によってオチが異なり、バリエーション豊かなのが特徴です。
いずれの演目も、「よし、これで完璧な身じまいができる」とはなりません。しかし、自分や誰かの死を前にした噺を聞いて、返って生への活力が湧くから不思議です。

【落語の定番】初心者におすすめの演目3つ

落語を初めて聞くなら、やはり定番の演目がおすすめです。ここでは、長年多くの人から愛されている演目を3つ紹介していきます。

1.寿限無(じゅげむ)

初心者向けの代表格と言われているのが、こちらの「寿限無」です。落語に親しみがない人も、どこかで耳にしたことがあるであろう「じゅげむじゅげむ」は、この噺に出てきます。有名かつ内容が短めなので、初めての落語に行く前に動画などでちょっと聞いて見るのに最適です。
<あらすじ>
子どもに長生きしてほしいと考えた父親が、和尚さんに名付けを依頼。めでたい言葉を複数もらうものの、どれも捨てがたいとすべて入れた名前にしてしまい、結果として名前が長すぎて呼ぶのに苦労するという間抜けネタです。
「寿限無」は有名かつ内容が短めなので、初めての落語に最適です。

2.饅頭恐い(まんじゅうこわい)

相手の心理を逆手に取って自分の望みを叶えるという一般教養にもなった噺です。「饅頭恐い」は子どもでも分かりやすい演目で、日本昔話や読み聞かせの絵本の題材としても親しまれています。
<あらすじ>
「饅頭が恐い」と言う一人の男に嫌がらせをするため、男たちが次々と寝床にいる男に向かって饅頭を投げ込みます。しかし、ふと気づくと投げ込んだはずの饅頭がなくなっていました。怒った男たちが「お前の本当に恐いものは何だ」と問うと、寝床にいる男は「お茶が恐い」と言い、饅頭を食べて乾いた喉をうるおす飲み物を投げ込むように誘う噺です。

3.時そば(ときそば)

「時そば」は、数ある落語の演目の中でも特に有名な滑稽噺(こっけいばなし)です。一年の締めくくりに年越しそばならぬ、年越し時そばはいかがでしょうか?
<あらすじ>
十六文のそばを食べ終えた男が、主人の手に一文銭を1枚ずつ乗せて支払いを始めます。8枚を数えたところで、男は「今何時だい?」と主人に尋ねます。「9時」と主人が答えると、男は9を飛ばして10と数え、一文をごまかして帰ります。それを見ていた別の男が真似をするものの・・・という噺です。

ファミーユ熊本支社で「終活落語」を開催

ファミーユの熊本支社では、不定期で「終活落語」を開催しています。過去にはタレントの山内要さんによる、終活をテーマにしたオリジナル落語を無料で上演。当日は式場の見学や葬儀に関する相談、見積りの提示なども承っています。
また、イベント内容は実施後のオンデマンド配信をしています。いつかは向き合うべき終活に楽しく触れられる「終活落語」で、今後の人生をより良く生きるためのヒントを笑いながら見つけてみてはいかがでしょうか。

【これが分かれば安心】寄席の仕組みと服装ルール

寄席(よせ)と呼ばれる場所に行くと、落語を生で聞くことができます。落語に興味を持っているものの、寄席は敷居が高く感じられて、なかなか足を踏み入れられない人もいるのではないでしょうか。しかし、寄席は自由度が高い場所であり、仕組みも難しくないので心配いりません。ここでは、寄席の仕組みと服装ルールを紹介していきます。

寄席は落語が開催される場所のこと

落語などが開催される劇場、または演芸場を寄席と呼びます。常設されている寄席は、新宿「新宿末廣亭(すえひろてい)」、浅草「浅草演芸ホール」、半蔵門「国立演芸場」、横浜「横浜にぎわい座」などです。その他、飲食店などの場所を借りて定期的におこなわれる地域寄席、ホール会場などでおこなわれる寄席などもあります。
なお、寄席は基本的に毎日営業しています。「昼の部」は正午前から、「夜の部」は午後5時前くらいから始まるのが一般的です。

寄席の支払い方と相場

国立演芸場以外の寄席は予約不要です。当日に寄席の木戸(きど)でチケットを購入すれば入場できます。大人料金は2,000~3,000円が相場で、子どもには子ども料金が設定されています。

ただしコロナ禍で人気のある席は前売り券を販売する場合があります。なお、寄席の入場料は「木戸銭」と呼びます。

寄席に行くときの服装に決まりはない

落語と聞くと着物のイメージがあるかもしれませんが、服装に決まりはないので普段着で問題ありません。落語は伝統芸能ではあるものの、気軽に聞きに行けるのが魅力です。席によっては着物割引があるので、慣れてきたら挑戦してみるのも良いかもしれないですね。

寄席へ落語を聞きに行くときのマナー

自由度が高いとはいえ、寄席は無法地帯ではありません。ルールを守り、周囲のお客さんや芸人に迷惑をかけないことが大切です。入退場や飲食、小さい子ども連れに関するマナーを紹介します。

客席の入退場はタイミングを見計らう

寄席では建物自体の再入場はできませんが、落語を聞く客席の入退場は自由です。上演中であっても、いつでも客席に入場できます。ただし、高座の切れ場(演芸と演芸の間)を選ぶのがマナーです。他のお客さんや芸人の迷惑にならないよう、入退場のタイミングを見計らうことを意識すれば問題ありません。

飲食は寄席のルールに従う

寄席は基本的に飲食自由です。浅草演芸ホールなどではお弁当が販売されていて、食べながら落語を聞くのも楽しみ方の一つとされています。とはいえ、大人の嗜みとして食べる際の音には気を配りたいところ。国立演芸場では飲食が禁止されているなど、寄席によってルールが違うことがあるので注意が必要です。
なお、寄席ではアルコールを控えるのが基本的なマナーとされます。飲酒が可能でも、飲みすぎて芸人や他のお客さんに絡まないよう注意が必要です。
また、現在は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、飲酒を禁止にしている寄席や、飲食自体を禁止にしている寄席もあります。寄席のルールやマナーはどれも難しいものではありませんので、事前によく確認してルールをしっかり守った上で落語を楽しんでくださいね。

小さい子どもは「親子寄席」に連れていく

寄席は子どもも入場できますが、あまり小さい子どもは上演中に突然泣き出すことが考えられます。泣き声などが他のお客さんの迷惑になることがあるので、寄席には連れていかないのがマナーとされます。

子どもや孫と一緒に気軽に落語を楽しみたいときは、ホール会場などでおこなわれる「親子寄席」がおすすめです。運営元によりますが、なかには0歳児でも入場できる寄席もあるので調べてみてはいかがでしょうか。

気になる演目を見つけたら、落語を聞きに寄席へ行ってみよう

落語の演目は、今回紹介した以外にもたくさん存在します。いろいろ探してみると、きっと気になる演目と出会えるはず。生死や葬儀に関する演目を聞くと、終活のヒントを得られるかもしれません。

また、落語は動画サイトやCDなどでも聞けますが、やはり寄席で聞く生の落語は別格です。気になる演目や好きな噺家を見つけたら、寄席へ足を運んでみてはいかがでしょうか。