香典の金額で偶数はいけない?避けるべき金額やタブー

お葬式のマナー・基礎知識
香典の金額で偶数はいけない?避けるべき金額やタブー

この記事はこんな方におすすめです

香典で偶数の金額を避ける理由を知りたい
香典のタブーやマナーを知りたい
香典は、線香や花など故人に向けたお供え物の代わりに哀悼の意を込めて渡すもの。葬儀にはさまざまな決まりがありますが、香典で包む金額にもきちんとした配慮が必要です。この記事では、香典で避けるべき金額や包み方、マナーなどを紹介します。突然の訃報に際して、基本的なマナーを確認するための参考にしてください。

香典の金額で偶数はいけない理由と対応

最初に、香典で偶数の金額を避けるべき理由を説明します。法事や結婚式といった慶弔事では、偶数の金額を包むのは控えた方が無難です。理由を理解し、正しい金額を包むための参考にしてはいかがでしょうか。

偶数は割り切れるため縁が切れることを連想させるから

割り切れる数字である偶数は、亡くなった人との縁が「切れる」ことを想起させます。そのため、香典で偶数の金額を包むのは避けられるようになりました。
なお、結婚式で渡すご祝儀も偶数の金額はタブー。せっかく結ばれた男女の縁が切れることを連想させるからです。このように割り切れる数の金額は不穏なイメージを持たれるので、慶弔事では避けた方が良いとされています。

香典には奇数の金額を包むのが無難

地域により慶弔事の決まりは変わるため、偶数の金額を香典に用いても問題ないとする場合もあります。もし、葬儀をおこなう地域に昔から住む親族などから「偶数でもかまわない」と聞いたのであれば、土地の習わしに従って金額を決めても差し支えはありません。
地域の習わしを把握できていない場合は、奇数の金額を準備した方が安心です。なお、どうしても偶数になる場合の対処法は後述するので、迷ったときに役立ててください。

そのほかのいけない香典の金額

香典には、偶数以外にも避けた方が良い金額があります。そこで、続いては忌み数や多すぎる金額など、香典で気を付けるべきポイントとその理由を解説します。

「4」や「9」の忌み数の金額

香典の金額では、忌み数とされる「4」や「9」も避けます。「4」は死を、「9」は苦を連想させる数字。縁起を重要視する日本では、不吉な忌み数を使わないのがマナーです。

多すぎる・少なすぎる金額

香典の金額が多すぎたり、少なすぎたりすると失礼にあたることがあるため注意が必要です。例えば、多すぎる金額を包むと紙幣が重なった状態になり「不幸が重なる」と相手が感じる可能性があります。
また、多すぎる金額は遺族が香典返しをする際の負担になる場合も。さらに、地域の習わしや親族間のルールとして香典の金額が決まっているときは、多すぎる金額を包むことで周囲から浮き、今後の付き合いに影響が出る恐れがあるので気を付けてください。
同様に、相場より少なすぎる金額の香典も相手に失礼な印象を与える場合があります。少なすぎる金額を渡すことで人間関係にヒビが入り、親族内の立場が悪くなることもあるかもしれません。渡してから後悔しないよう、香典は相場に応じた金額を準備することが大切です。

香典の金額相場

避けるべき金額の次は、香典の相場を紹介します。相場は相手との関係性や年齢によって変わるため、自分のパターンに当てはめて考えることが重要です。

故人との続柄や関係性が近いほど高額になる

香典の金額は故人との関係で変わり、近い続柄(つづきがら)であるほど高額になります。ただし、親戚でなくとも故人と親しくしていた友人・知人は金額が高くなることも。後述する金額はあくまでも目安として役立ててください。
【故人との関係性による香典の相場】
  • 祖父母:1万~5万円
  • 両親:3万~10万円
  • 兄弟姉妹:3万~5万円
  • 叔父・叔母:1万~3万円
  • 上記以外の親族:1万~3万円
  • 友人・知人:3千~1万円
  • 近所の人:3千~1万円
  • 職場の関係者:3千~1万円

自分の年齢が高くなるほど高額になる

年齢も香典の金額に影響し、年齢が上がるほど高額になります。故人との続柄から見た香典の相場に幅があるのは、本人の年齢も関係しているのが理由です。一般的には年齢が上がれば収入も高くなるため、より多くの金額を包んだ方が良いと考えられています。
  • 20代:高額だと生活の負担になるため、相場の下限金額を準備するケースが多いです。
  • 30代~40代:相場の平均的な金額を準備します。無理に上限の金額にする必要はありません。
  • 50代以上:相場の上限金額を包むケースが多いです。
香典は、急に準備しなければならないことがほとんど。あらかじめ自分の年齢に見合った相場を把握しておくと、いざというときにも安心です。

知っておきたい香典の包み方マナー

ここからは、香典を包む際のマナーを紹介します。お札の種類や枚数、入れる向き、香典袋の種類など金額以外のことも確認しておけば、不安なく香典を準備できるのではないでしょうか。

新札は避ける

急に訪れた訃報に際して「たまたま所持していたお札を包んだ」ということを表すため、香典では新札を避けます。新札を用意すると、あらかじめ故人が息を引き取ると分かっていたと受け取られかねません。また、故人が亡くなることが念頭にあり、早めに香典を用意していたと思われる可能性もあります。
遺族の気持ちに配慮し、香典では新札以外のお札を使ってください。用意できるのが新札のみの場合は、半分に折り目を付けると良いとされています。

お札は裏向きに揃える

香典袋に入れるお札は、裏向きに揃えます。お札は人物が描かれた面が表、描かれていない面が裏です。お札の裏側(人物が描かれていない面)が香典袋の表側になるのに加え、表面の人物が下側になるように入れます。中袋付きの香典袋でもお札は裏側で揃え、中袋を開いた際にお札の人物の顔が見えないようにしてください。

お札の枚数は最小限にする

香典で準備するお札の枚数は、最小限にします。最小限の枚数にすれば、香典を受け取った人も金額を把握しやすいからです。枚数が多すぎると、お札が重なって「不吉なことが重なる」「縁起が悪い」という思いを相手に抱かせる場合があります。また、お札の枚数も金額と同様に偶数や忌み数を避けるのが基本です。

香典袋は包む金額や宗派によって使い分ける

香典袋には印刷された水引や本物の水引、水引の色、結び方の違いなどによって複数の種類があり、香典の金額や宗派に合わせて使い分けます。
香典の金額 3,000円以上 水引が印刷されたタイプ
5,000円以上 藍銀の水引が印刷されたタイプ
1万円以上 本物の黒白水引をかけた水引金封タイプ
5万円以上 本物の双銀水引をかけた中金封タイプ
水引の形 結び切り
なお、弔事の水引は黒白の結び切りなら宗教・宗派に関係なく使えます。また、宗派や宗教によって表書きが変わり、浄土真宗は御仏前、神式は御霊前、キリスト教はお花料とするのも押さえておきたいポイントです。

ふくさに包んで渡す

香典は素のままではなく、ふくさや布に包んで渡します。ふくさに包むのは、相手に寄り添う気持ちを表すほか、水引の乱れや汚れを防ぐためです。ふくさの種類は慶事用と弔事用に大きく分けられ、色で使い分けます。
  • 慶事用:赤や朱色を始めとした明るい色
  • 弔事用:紫色、鼠色、藍色など
慶弔兼用の色である紫はどちらのシーンでも使えるため、1つ持っておくと便利です。

香典が包んではいけない金額になってしまう場合の対処法

最後に、どうしても香典の金額が偶数や忌み数になる場合の対処法を紹介します。香典の金額は故人との関係性によって異なり、偶数や忌み数の金額が妥当になるケースも少なくありません。迷ったときは、ちょっとした工夫を取り入れるのがおすすめです。

2万円を包む場合

2万円を包む場合は、1万円札1枚と5,000円札2枚でお札の枚数を奇数にする方法があります。ただし、お札の数は最小限に留めるのが香典のマナーです。お札の枚数を増やす対処法はあくまでも特例として扱ってください。
なお、偶数の2万円は本来避けるべきとされていましたが、近年は金額が妥当であれば2万円でも問題ないと捉える風潮が出てきました。ただし、地域の習わしや遺族の考え方によっては2万円に抵抗を感じる人も多いため、あらかじめ確認しておくと無用なトラブルを避けられます。

忌み数になる場合

忌み数の金額になる場合は、香典だけでなくお供え物を用意したり、お札の枚数を工夫したりすれば印象を変えられます。
故人との関係を鑑みて「3万円では少ないものの、5万円では多すぎる」といった場合や、ほかの人と連名で香典を包む場合は、偶数や忌み数になることも珍しくありません。例えば、4万円が妥当な金額だと判断したときは、3万円の香典と1万円分のお供え物を添えると悪い印象を与えるのを避けられます。
また、1万円札1枚を5,000円札2枚にするなど、お札の枚数を変えるのも1つの方法です。しかし、こちらもお札の数を最小限にするというマナーと矛盾するため、どうしても忌み数を避けなければならないときの最終手段として、親族とも相談しながら決めるようにしてください。

香典は先方へ配慮をした金額を心がけ、故人への供養の気持ちを表そう

香典における偶数の金額は、縁が切れることを想起させるため避けた方が良いとされています。香典は、故人への供養の気持ちを表すもの。マナーを守ることは、遺族の想いに寄り添うことにも繋がります。金額に配慮して香典を用意し、遺族に故人への想いを伝えてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。