お葬式の香典マナー。金額相場、香典袋の書き方・渡し方まで

お葬式のマナー・基礎知識
お葬式の香典マナー。金額相場、香典袋の書き方・渡し方まで

この記事はこんな方におすすめです

香典の金額相場を知りたい
香典袋の選び方や書き方、渡し方を知りたい
香典は、故人を慰めるために霊前へ供えるお香の代金が由来となったものです。お葬式の参列者は、故人への哀悼の意を示すために遺族へ香典を渡します。この記事では、香典を包む際の基本的なマナーを説明します。相場や香典袋の選び方・書き方なども紹介しますので、いざというときの参考にしてください。

お葬式の香典とは

香典とは、花や線香の代替として霊前に供える金銭のことです。昔はお香料としてお香を霊前に供えていましたが、明治期頃からはお葬式にまつわる急な出費への支援の意味合いも含め、香典として現金を渡すのが一般的になりました。
お葬式とは通夜や葬儀、告別式といった故人に弔意を示す儀式全体のことです。すべての儀式に参列する場合は、通夜で香典を渡すのが通例です。

知っておきたいお葬式の香典マナー

香典を包むときには配慮したいポイントがあります。お葬式前に把握しておきたい香典のマナーについて紹介します。

香典は奇数の金額を包む

香典では、奇数の金額を包むのが礼儀です。割り切れる偶数は、個人との縁が切れることを想起させるため控えてください。また、4は「死」、9は「苦」をイメージさせるので避けた方が無難です。

相場以上や少なすぎる金額は包まない

故人との関係や自分の年齢によって香典の相場は変わります。相手との関係性にもよりますが、相場を上回る金額を包むのはマナー違反になることもあります。

香典をもらった遺族は、香典返しをおこなう必要があるのに加え、香典を渡した側の葬儀に参列する際には同じ金額の香典を返しているのが通例です。縁は続くので相手の負担も考慮します。

その逆もしかりで、少なすぎる金額もマナー違反です。お葬式の参列者へのおもてなしには、それなりにお金がかかります。喪主側は会食費や会葬御礼(返礼品)で一人当たり5,000円以上負担することも少なくありません。せめて故人へのお線香代は残してあげたいと思うのでしたら、それ以上の金額にしておくことをおすすめします。もちろん、経済事情にもよるので金額は気持ちで構いませんが、相手の負担になることはなるべく避けます。

お葬式に参列できなかった場合は後日弔問や郵送で渡す

やむを得ずお葬式に参列できない場合や、葬儀後に故人が亡くなったことを知った場合など、当日香典を渡せないケースでは後日改めて弔問したり、郵送したりして対応します。お葬式後に弔問する際は、あらかじめ遺族から許可を得た上で四十九日前に弔問の予定を組んでください。後日弔問するときでも香典に包む金額は変わりません。
郵送の場合は、現金書留で送るのが基本です。香典に加え、お葬式に参列できなかった理由や哀悼の意を含んだ手紙も添えると、故人への想いをしっかりと伝えられるでしょう。

お札を香典袋へ入れる際のマナー

香典袋にお金を入れるときにもマナーがあります。香典は、お札の入れ方にも配慮することで、遺族の悲しみに寄り添う気持ちが伝えられます。

お札を出したときに裏になるように入れる

お札は、出したときに裏向きに下になるように入れるのがマナー。人物が描かれたお札の表面を下に向けます。中袋がある場合も同様に、お札を裏向きにして入れてください。
裏向きにお札を入れるのは、故人が旅立ったことへの悲しみや哀悼の意を表すためです。複数のお札を入れる場合は、向きを合わせるのを忘れないよう注意が必要です。

新札や欠損しているお札は入れない

弔事で新札を用いるのはマナーに反します。故人の死を予期し、香典用として事前に新札を用意していたイメージを与えるからです。ただし、使い古して破れたり汚れたりしたお札は使えない可能性があり、新札ではなくても失礼な印象を与えます。

新札しかない場合は、1つ折り目をつけておくのがおすすめです。また、香典を受け取った人が金額を把握しやすいように、最小限のお札数に抑える配慮も忘れないようにしてください。

故人との関係性で異なる香典の金額相場

香典マナーを心得た上で、包む金額を検討します。香典の相場は、故人との付き合いや関係性、自分の年齢によって変わります。一般的な相場は、以下の通りです。
自分と故人との関係 相場
3万~10万円
祖父母 1万~5万円
友人・知人 5,000円~1万円
職場関係・取引先 5,000円~1万円
ご近所 3,000円~1万円
なお、自分の親が亡くなって葬儀費用を負担する場合、香典の用意は不要です。

お葬式の香典袋の選び方

不祝儀袋とも呼ばれる香典袋は、収める金額や宗教によって水引のグレードや色が異なります。基本的な選び方は、以下の通りです。

金額別の選び方

  • 5,000円まで:水引が印刷されたもの
  • 1万円以上:帯紐で結ばれた水引がついたもの
  • 5万円以上:銀色で統一された双銀の水引がついたもの

宗教別の選び方

  • 仏式:黒と白の水引がついている、もしくは印刷されたもの
  • キリスト教:水引がついていない白無地、もしくは十字架や百合などが描かれたもの
  • 神式:黒白や双銀の水引がついたもの

お葬式の香典袋の書き方

一般的な香典袋には外袋と中袋があり、それぞれ記載項目が決まっています。ここでは、香典袋の表書きや金額の書き方を紹介します。

香典袋に記載する項目

香典袋には、表書き、氏名、住所、金額を記載します。外袋と中袋の記載項目は、以下の通りです。

中袋つきの香典袋の場合

  • 外袋:表書きと氏名
  • 中袋の表:香典の金額
  • 中袋の裏:郵便番号と住所、氏名

中袋がつかない香典袋の場合

  • 表:上段は表書き、下段は氏名
  • 裏:金額と郵便番号、住所

香典袋の外袋の書き方

香典袋には、薄墨を使って必要項目を記入するのが基本。薄墨には「急な不幸で濃い墨を準備できなかった」「涙が流れて墨が薄くなった」といった意味があり、弔意を示すことにつながります。
外袋は表側の上段に表書き、下段に氏名を書きます。表書きは、故人の宗教や宗派によって以下のように変わるため注意が必要です。
  • 仏教(浄土真宗以外):御霊前、御香典
  • 仏教(浄土真宗):御仏前、御香典
  • 神道:御霊前、御玉串料、神饌料、御榊料
  • キリスト教:献花料、御花料、御香典
  • 宗派がわからないまたは無宗教:御香料、御香典
氏名の記載方法は、個人か団体かで異なります。個人の場合、表側の下段に姓と名を記載しますが、3人程度でまとめて渡すなら連名も可能です。人数が多ければ〇〇一同とし、全員の氏名を記入した別紙を作って香典袋に入れます。仕事関係者が亡くなった場合は、自分の会社名を記入します。

香典袋の中袋の書き方

中袋の表側は、収めた金額を縦書きで記載します。金額の前に「金」、最後に「圓」(「円」でも可)とつけてください。
金額は大字(だいじ)で記載するのが正式と考えられていますが、現在は略式の漢数字でも問題はありません。金額欄が印刷されている場合は、欄に合わせて記入します。なお、金額欄が横書きなら、算用数字(アラビア数字)を使うのが一般的です。
中袋の裏側には住所と氏名を記載します。左側に寄せ、右から郵便番号、住所、氏名の順で書きます。氏名は、2人なら裏側に連名で記載しても差し支えありません。3名以上になるときは、別紙に全員の住所と氏名を記載し、中袋に収めます。

お葬式での香典の渡し方

ここからは、お葬式における香典の渡し方を紹介します。基本の流れを確認し、故人への哀悼の意を示してください。

香典は記帳を済ませた後に渡す

一般的に、香典は受付で記帳を終えてから渡します。通夜と葬儀、告別式のすべてに参列する場合、香典を渡す回数は1回です。2回に分けて香典を渡すと、不幸が重なることを想起させるためマナー違反に当たります。なお、突然の訃報で通夜に間に合わないときは、葬儀や告別式で香典を渡しても問題はありません。

香典は袱紗に包んで持参する

香典は、袱紗(ふくさ)に包んで渡します。袱紗を使うのは、香典袋が汚れたり水引が乱れたりするのを防ぐためです。また、相手(故人)に対して自身の弔意を表す作法のひとつでもあります。
最初に、香典袋を表に向けて袱紗の中心から右寄りに置きます。右、下、上、左の順番で包み、右側に収まり切らない部分は内側に折り込んでください。これが、お葬式における基本の包み方です。ただし、袱紗は冠婚葬祭の種類によって適切な包み方や色が異なるため、場面に合わせて対応する必要があります。

受付・施主にお悔やみの言葉を添えて渡す

お葬式の受付で香典を渡す際は、右手に袱紗を置き、左手で開いて香典袋を取り出します。相手が自分の氏名を読めるように正面を向け、お悔やみの言葉を添えながら両手で渡してください。

同じ日に葬儀と法要をする際には、それぞれの香典が必要!?

葬儀当日に初七日や四十九日を行うケースもありますが、この場合、地域によっては香典を分けて準備するケースもあります。周りのご親戚などに確認すると良いでしょう。

お葬式ではマナーを守って香典を渡そう

香典は、故人の霊前に供える線香や花が金品へ変わったものです。包む金額は故人との関係性などによって異なり、香典袋の書き方も宗教や宗派ごとに変わります。いざというときも慌てずに遺族の心に寄り添い、故人を偲ぶ気持ちを伝えるために、香典のマナーを知っておくと安心ではないでしょうか。

監修:1級葬祭ディレクター 瀬戸隆史

家族葬のファミーユにて新入社員にお葬式のマナー、業界知識などを伝える葬祭基礎研修の講師を務める。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)/サービス介助士、訪問介護員2級養成研修課程修了