お葬式のネクタイマナーを解説。色・柄の選び方や結び方

お葬式のマナー・基礎知識
お葬式のネクタイマナーを解説。色・柄の選び方や結び方

この記事はこんな方におすすめです

お葬式にふさわしいネクタイの色柄を知りたい
お葬式のネクタイマナーを知りたい
お葬式では、黒無地のネクタイを着用するのがマナー。そのほかにも、ネクタイピンを使わないなど、気を付けたいポイントがいくつかあります。そこで、本記事ではお葬式にふさわしいネクタイの選び方や注意点などを解説します。ネクタイ以外の身だしなみについても解説しますので、参考にしてみてください。

お葬式にふさわしいネクタイの選び方

お葬式では、哀悼の意を示すのにふさわしい黒無地のネクタイを着用することが大切です。最初に、お葬式におけるネクタイの色や柄、素材、デザインについて詳しく解説します。

色:黒のネクタイを選ぶ

お葬式で着用するネクタイは、黒が基本です。黒は故人を想う気持ちの濃さを表し、弔意を示すには色味の濃いものが良いと考えられています。漆黒のように濃い色が理想です。
突然お葬式に参列することになった場合は、葬儀場付近のコンビニなどで販売されている黒ネクタイで対応してください。コンビニ以外では、スーパーや100円均一ショップ、百貨店といった場所でも購入できます。

柄:無地のネクタイを選ぶ

ネクタイの柄は、黒無地を選びます。刺繍入りや織柄(おりがら)、ストライプ柄などは遺族に失礼な印象を与えることがあるため避けてください。

素材:シルクを選ぶ

素材は、光沢感の少ないシルクが無難です。サテンやレーヨン、ポリエステルなど光沢感のあるものはお葬式にふさわしくありません。ほかに、リネンやウールを始めとしたカジュアルな雰囲気の素材も選ばない方が良いとされています。

長さ:ズボンのベルトにかかる程度のものを選ぶ

長さに明確なルールはありませんが、結んだネクタイの先端がベルトにかかる程度だとバランス良く見えます。そのため、結んだ際の見た目を重視して長さを選ぶのがおすすめです。

デザイン:一般的なものを選ぶ

一般的なデザインのネクタイであれば問題はありません。ただし、大剣(ネクタイの最も幅が広い部分)が4〜6センチ程度の細めのナロータイはカジュアルシーンでも使われるため、お葬式にふさわしくないと捉えられています。

お葬式にふさわしいネクタイの結び方

お葬式では、プレーンノットもしくはウィンザーノットでネクタイを結ぶことが多いです。ここでは、お葬式に適したネクタイの結び方を紹介します。
なお、ノットは結び目という意味で、それぞれ結び目の形に特徴があります。

1.プレーンノット

ネクタイの基本的な結び方として知られる、プレーンノット。すっきりとした小さな結び目が控えめな印象を与え、お葬式でもよく用いられます。結び方の難易度が低いため、ネクタイに慣れていない人でも取り入れやすいのではないでしょうか。
プレーンノットの結び方
1、首にネクタイをかけたら大剣(幅の広い方)を長めに取り、これを上にして交差させる
2、大剣を小剣(幅の狭い方)の裏側へ回す
3、大剣を前方へ巻きつける
4、大剣を内側にくぐらせて、巻きつけた輪に上から差し込むように通す
5、大剣を下に引き、小さな結び目をつくる
6、小剣を引き、結び目を上げる

2.ウィンザーノット

逆三角形の結び目が印象的なウィンザーノットは、プレーンノットと同様にお葬式でよく用いられる結び方として知られています。プレーンノットよりも結び目が大きく、比較的固く結べるため、型崩れしにくいのが特徴です。大柄な人が取り入れやすく、また、襟の大きいシャツにも向いています。
ウィンザーノットの結び方
1、ネクタイを首に回しかけて、小剣(幅の狭い方)を短めに取り、大剣(幅の広い方)を上からクロスさせる
2、大剣を小剣のうしろから回し上からたらしてループを作る
3、もう一度大剣を小剣うしろから回し、反対側の首のループに上から巻きつけ下にくぐらせる
4、大剣を小剣に巻き付けて、小剣の裏側から首元のループへ下から上に通す
5、正面の結び目のループに大剣を上から下に通す
6、小剣を引き、結び目を引き上げて形を整える

押さえておきたいお葬式でのネクタイマナー

お葬式では、必ずネクタイを着用しなければなりません。さらに、ネクタイピンを使わない、ディンプルは作らないなどのマナーもあるため注意が必要です。押さえておきたいお葬式でのネクタイマナーを紹介します。

必ずネクタイを着用する

ネクタイを着用せずお葬式に参列するのは、マナーに反します。なぜなら、ネクタイがない状態だとカジュアルな見た目になるからです。また、緩めたネクタイも厳かな場に適しません。
先述の通り、ネクタイは葬儀場付近のコンビニで手に入れられるケースが多いです。マナー違反にならないよう、突然のお葬式でも必ず着用して参列してください。

ディンプルは作らない

お葬式のためにネクタイを着用する際には、ディンプルを作らないようにします。ディンプルとは、ネクタイの結び目の下にできる窪みのこと。ディンプルがあると全体が引き締まり、華やかな雰囲気になります。しかし、華やかな装いはお葬式にそぐわないので、ディンプルを作る必要はありません。

ネクタイピンは使わない

お葬式では、ネクタイピンを使いません。アクセサリーのひとつであるネクタイピンは華やかな印象があり、お葬式に不相応なアイテムと考えられています。同様に、ポケットチーフやカフスボタンも外すのがマナーです。

【ネクタイ以外】お葬式での服装マナー

お葬式ではスーツやシャツ、靴下、靴、ベルト、コートなどのアイテムにも気を付けるべきマナーがあります。最後に、ネクタイ以外の服装マナーを解説します。

ブラックスーツを着用する

お葬式では、喪服のブラックスーツを着用します。同じブラックスーツでも、ビジネス用のスーツはお葬式にはふさわしくないため、冠婚葬祭用を選んでください。冠婚葬祭用とビジネス用の違いは、黒の色味です。冠婚葬祭用スーツの色味は漆黒とも呼ばれ、ネクタイと同じように濃い黒になるほど上質とされています。
また、パンツの裾はシングルを選ぶのがマナーです。おしゃれな雰囲気を感じさせるダブルの裾は、お葬式にはふさわしくありません。

シャツは白無地のものを選ぶ

色柄物はお葬式に適さないため、無地の白シャツを着用するのが基本です。
ただし、白シャツのなかでも襟が広く開いたカッタウェイやホリゾンカラーはお葬式では不適切と考えられています。
襟の開きは、70~90度のレギュラーカラーか少し広めのワイドカラーを選びます。カッタウェイやホリゾンカラーは華やかな印象があるので、お葬式には不適切です。

また、小さいボタンが襟先についていて留められるボタンダウンシャツは、カジュアルなノーネクタイ仕様のため、お葬式では着用しません。

靴下や靴、ベルトも黒色にする

柄物や白の靴下は避け、黒を選びます。椅子に腰かけたり、足を組んだりしたときに素肌が見えない丈の長さを意識してください。素肌が見えると品を感じられず、印象が損なわれる可能性があります。例えば、ふくらはぎまでの長さがあるミドルタイプがおすすめです。
靴も黒色で、金具がないシンプルなデザインを取り入れるのがマナーです。素材はスエードやエナメルを避け、布や合成皮革、本革を始めとしたツヤのないものを選びます。ベルトに関してもシンプルな黒無地が一般的です。

コートを着る場合は黒かそれに近い色を選ぶ

コートも黒色を選びます。白いワイシャツが見えないように、襟元まで隠れるデザインが良いでしょう。お葬式専用のコートはありませんが、慶弔双方で使用できる礼装用コートを用意しておくと便利です。
黒いコートがない場合は、グレーやネイビーなど黒に近い色味が適しています。ただし、明るいネイビーやグレーは選ばないように注意が必要です。素材は、カシミアやウールならフォーマルな印象になります。
革素材や明るいボタンがついたデザイン、柄入り、フードつきなどのカジュアルなコートは控えてください。また、丈が短すぎるとフォーマル感が薄れるため、膝上を目安に選ぶと安心です。
お葬式にふさわしいコートについて、こちらで詳しく紹介しています。
お通夜の服装マナーや基本的な家族葬の服装マナーについては、こちらの記事が参考になります。

お葬式のネクタイマナーを知り、ふさわしい服装で参列しよう

お葬式では、黒無地のネクタイを着用するのがマナーです。漆黒のような深い黒を選んで、お悔やみの気持ちを表現します。結び方はプレーンノットかウィンザーノットで、ディンプルを作らないのもポイントです。遺族に不快な思いをさせないようネクタイ以外のマナーにも配慮し、身だしなみを整えてください。

監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう てっしゅう)

接客から管理職まで葬儀社歴25年。「家族葬」の黎明期からお葬式の変遷を見てきた経験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)