「イブニング葬」とは夜のお葬式。時間帯や特徴もわかりやすく解説

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「イブニング葬」とは夜のお葬式。時間帯や特徴もわかりやすく解説
イブニング葬とは、夕方から夜間にかけて執りおこなわれる葬儀・告別式のことです。ライフスタイルや家族の形が多様化してきている現代では、お葬式においても新しいスタイルが生まれ、選択肢が増えてきています。本記事では、イブニング葬が執りおこなわれる時間帯や特徴、メリットなどを紹介します。

葬儀・告別式の開始時間

お葬式の開始時間が、イブニング葬と一般的な葬儀の大きな違いです。イブニング葬のイメージを把握するためにも、開始時間の違いから見ていきましょう。

イブニング葬の開始時間

イブニング葬は夜の1日葬とも呼ばれます。1日葬とはお通夜をせずに、葬儀・告別式と火葬をおこなう葬儀形態のことです。通常の1日葬は昼間の実施が多いですが、イブニング葬は、18時前後から葬儀・告別式が始まります。終了時間が遅いため、火葬は翌日になります。

一般的な葬儀の開始時間

お通夜のある一般的な葬儀の開始時間は、朝の10時から13時の間です。この開始時間が多く選ばれる理由には、火葬場の営業時間が関わっています。

火葬場は10時から15時の営業が一般的です。通常、葬儀や告別式の後に火葬をするため、火葬場が開いている15時までにすべてが終わるように組み立てる必要があります。そこで、葬儀・告別式の時間帯も午前中からお昼過ぎが多くなっています。

イブニング葬と一般的な葬儀の流れ

イブニング葬と一般的な葬儀の流れには違いがあるのでしょうか。新しい葬儀形態イブニング葬の流れをお伝えします。

イブニング葬の流れ

イブニング葬は全行程で2日間になります。1日目の夕方から夜間にかけて葬儀・告別式をおこないます。一般的な葬儀・告別式と内容や流れはほとんど変わりません。

ただし、仕事帰りの人でも参加できる時間帯なので、参列者の人数が増えることや、夕食と時間帯が重なるので会食を取り入れやすいということがあります。お通夜の印象に近くなるので、参列者の数読みや希望のスタイルを葬儀社に事前に相談してみるといいと思います。

2日目は出棺と火葬をおこないます。仏式のイブニング葬では既に葬儀の読経を終えているので、火葬場でおこなわれる炉前(ろまえ)のお経読みの勤行は必要ありません。もちろん希望する場合は勤行もできます。

神式やキリスト教式など他宗教のイブニング葬も可能です。無宗教スタイルでのセレモニーや、会食をメインとするスタイルも選べます。

一般的な葬儀の流れ

通常、人が亡くなってから火葬まで3日間かかります。亡くなった当日ではなく、翌日の夜にお通夜をおこなうのが一般的です。その翌日の日中に葬儀・告別式をおこない、その後火葬場に移動して荼毘(だび)にふします。さらにその後、会食をおこなう場合もあります。

イブニング葬が必要な理由

イブニング葬が必要とされる理由、つまり葬儀や告別式を夜におこなう理由はどこにあるのでしょうか。こちらでは、イブニング葬が企画された理由や、必要な理由を紹介します。

火葬場の予約が困難になっていくため

高齢社会で葬儀の数は確実に増えています。当然ながら火葬場の予約が今以上に難しくなっていきます。特に首都圏ではその傾向が顕著です。

イブニング葬ならば、夜に葬儀を終えているため、翌日の早い時間帯の火葬が可能です。そのため、午前中からお昼頃に葬儀や告別式を執りおこなう人よりも予約が取りやすいことが予想されます。

お葬式を夜におこなえる体制が整ってきたため

イブニング葬は新しい葬儀の形ですが、そもそも「葬儀や告別式を夜に執りおこなってはいけない」という決まりはありません。電気のない時代には難しかったかもしれませんが、今は夜の方がプライベートな時間を確保しやすい傾向にあります。

これまでは、お通夜と同じように葬儀を夜におこないたいと考えても、対応している葬儀社がないといった理由で断念せざるを得ませんでした。名称は様々ですが、徐々に夜型のイブニング葬をおこなう葬儀社も増えてきています。

現代人のライフスタイルが変わったため

ライフスタイルが変わり、日々忙しい生活を送っている人が多い現代では、昼間の葬儀に参列できない人も多いことでしょう。内容や規模にもよりますが、葬儀から会食まで5時間くらいかかる通常スタイルでは、ごく少ない人しか参列できない場合もあります。

さらに、外で働く女性が増えていることや、核家族化で人手が少なくなっていることもあります。昼間には亡くなった方の各種手続きをして、葬儀の準備までできないこともありえます。

現代人ならではの事情に、ご縁のある方が親族に限らないというのもあります。親戚の集まりが減る中で、仕事やSNSなどでのつながりを持つ人が増えました。友人・知人では忌引き休暇はとれないので、仕事終わりの夕刻から夜ならばお葬式に参列しやすくなります。

本当にお別れがしたい人に集まってもらえる。また、忙しい遺族が葬儀の準備をしやすい。イブニング葬は現代人のライフスタイルにそって、ひとつの葬儀のあり方を提案するものです。

夜のお葬式のメリット

遺族からの希望や、仕事を休まずに参列してお別れできる人が増えるという意味でも、近年注目を集めているイブニング葬。こちらでは、新しい葬儀のスタイルであるイブニング葬のメリットを説明します。

火葬場の予約を取りやすい

イブニング葬のメリットとして、まず挙げられるのは火葬場の予約が取りやすいところ。一般的な葬儀と違って夜に葬儀を執りおこなうため、翌日の午前中に火葬をおこなえます。高齢化が進み、火葬場の予約が困難になっている現代では、大きなメリットと言えます。

参列してもらいやすい

イブニング葬は仕事帰りの時間帯に執りおこなわれるので、参列者が仕事を休む必要がないところもメリットの1つです。また、火葬は翌日なので、比較的ゆっくりお別れができます。

遺族の負担が少ない

イブニング葬は、お通夜がなく1日で葬儀を終えることができるので、遺族の時間的負担が少なくて済みます。また、少人数での葬儀の場合は、参列者への挨拶などの負担も少なくなります。1日目は夜の葬儀・告別式、2日目は朝に身内のみで出棺・火葬なので、1日単位の拘束時間も短くなります。

葬儀の混雑を避けられる

イブニング葬は時間帯が一般的な時間帯とずれるので、火葬場や斎場が少ない地域での葬儀ラッシュや葬儀混雑を避けられる点もメリットです。

注目を浴びているイブニング葬、夜のお葬式には、こうした数々のメリットがあります。

イブニング葬を執りおこなう前に知っておきたいこと

遺族への負担が少ないなどのメリットがあるイブニング葬ですが、事前に知っておきたいポイントもあります。こちらでは、イブニング葬の注意点を説明します。

他のお葬式の形態よりもお式の時間が短い

イブニング葬ではお通夜が省略されるため、一般的な葬儀と比較するとお別れのお式の時間を短く感じるかもしれません。しかし、遺族は翌日の火葬にも付き添うので、その間に少しずつ心を整理できるでしょう。また、仏式葬儀では、その後も初七日や四十九日といった法事を重ねていくことで、区切りをつけていけます。

参列者が戸惑う可能性がある

夕方から夜にかけて執りおこなわれる葬儀に呼ばれたことのない人は、イブニング葬と聞いて戸惑うこともありえます。会葬礼状の他に式スケジュールを渡すことで、参列者の理解を深めてもらう必要があるでしょう。ただ、お通夜を経験している人には違和感は少ないかもしれません。

宗教関係者への配慮が必要

菩提寺をはじめ、お墓のある場合は特に宗教関係者に配慮し、理解を得る必要があります。ただし、宗教関係者はお通夜のような夜のお式を経験しているので、イブニング葬に完全に対応できないわけではありません。家族葬のファミーユの紹介寺院であれば、対応はスムーズです。

イブニング葬は現代のライフスタイルに合わせた新しい選択肢

高齢化が進むにつれ、特に首都圏では火葬場の予約がさらに取りにくくなると予想されています。家族や仕事の都合、火葬場不足への対応などを考慮した、お葬式の新しい選択肢の1つとして関心を持たれているのがイブニング葬です。

故人とのお別れの機会を大切にした上で、しっかりとお見送りをするために葬儀の時間帯を夕方以降に変えています。いろいろな葬儀形式の特徴を考慮し、最適な形で故人を偲べるように家族で話し合ってくださいね。