核家族世帯が選ぶ家族葬~葬儀の流れと終活の始め方〜

わたしのお葬式
核家族世帯が選ぶ家族葬~葬儀の流れと終活の始め方〜
核家族とは、夫婦や親子のみで暮らす家族のカタチのことです。祖父母とは同居せず、夫婦と結婚していない子どもや、父親または母親と結婚していない子どもの世帯を指します。核家族が増えたことで葬儀の形式にも変化が表れ、家族葬を選択する人が増加中です。本記事では、核家族と家族葬の関係性や、核家族における終活についてお伝えします。

核家族と家族葬について

時代の変化とともに見聞きする機会が増えた、核家族という言葉。まずは定義や歴史、核家族世帯の増加が葬儀に与えた影響を説明します。

核家族の定義と歴史

まず初めに、核家族に当てはまる世帯は3種類あります。1つ目は夫婦のみの世帯です。2つ目は、夫婦と未婚の子どもだけの世帯。最後の3つ目は父親もしくは母親と、未婚の子どもだけの世帯です。一方、夫婦と子どもに加え、夫婦の親(子どもから見て祖父母)が同居している家族を「拡大家族」と呼びます。
日本の核家族化が進行したきっかけは、第2次世界大戦後に訪れた高度経済成長だと言われています。人口が大都市に集中するようになったことで、拡大家族が減少して核家族化が進行した、という考えが一般的です。

しかし、実は1920年におこなわれた国勢調査の時点で、核家族は全体の半数以上を占めていました。日本における高度経済成長期は1950~1970年代です。これらの事実から、高度経済成長期に関係なく、日本では1920年以降、核家族が徐々に増加していたことが分かります。1967年には「核家族」が流行語に選ばれ、その言葉が広く知れ渡るようになりました。

核家族の割合と世帯数の変化

核家族の割合が最も多かったのは1975年です。その後、単独世帯が増加したことにより、核家族の割合自体は減少傾向にあるものの、実際の世帯数は増加中です。一方の拡大家族は年々減少しています。

<核家族の割合(%)と世帯数(千世帯)>
・2000年(平成12年):58.3%/27,273
・2005年(平成17年):57.7%/28,327
・2010年(平成22年):56.4%/29,207
・2015年(平成27年):55.9%/29,754

※参照:https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon3/pdf/gaiyou.pdf
(平成27年 国勢調査「世帯構造等基本集計結果」 )

核家族の増加が葬儀に与えた影響

以前は会社の人や近所の人など、たくさんの人に参列してもらう一般葬が主流でした。しかし、少子高齢化や核家族化が進んでいることで、葬儀に対する考え方にも変化が表れています。参列者が少ない、家族に負担をかけたくない、費用を抑えたい、という人たちに選ばれているのが、家族葬や一日葬、直葬です。

2017年の公正取引委員会の調査では、家族葬を選択する人が増加中であることが数字に表れています。年間の増加率は一般葬が5.4%なのに対し、家族葬は51.1%。そして、家族葬がおこなわれている割合は、全体の28.4%です。家族葬は、核家族化が進む現代の日本にマッチしている葬儀のカタチなのです。

※参照:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/mar/170322_2_files/170322honbun.pdf
(2017年3月22日「葬儀の取引に関する実態調査報告書」-公正取引委員会)

家族葬について

核家族の増加とともに需要が高まっている家族葬は、名前の通り「家族のための葬儀」です。大規模な葬儀である一般葬に対し、身内だけ、親しい人だけで葬儀をおこないます。家族葬の流れや内容は一般葬とほぼ同じでありながら、参列者への対応に追われる心配がないので、故人とのお別れの時間をゆっくり過ごせます。また、「故人らしさ」を表現した葬儀をおこなえるなど、さまざまな魅力があります。

核家族世帯の人が終活でしておきたいこと

夫婦だけ、もしくは自分と子どもだけの核家族の場合は、大家族以上に残された家族にかかる負担を少なくしたいところです。こちらでは、核家族の所帯を持つ人が終活としてしておきたいことを紹介します。

葬儀の事前相談をする

終活の一環として葬儀内容を検討するときは、葬儀社への事前相談がおすすめです。葬儀の費用や流れを把握できるだけでなく、事前に葬儀内容を決めておくことで、家族間のトラブルを避けやすくなります。他にも、家族にかかる負担を軽減できるといったメリットも。

事前相談は、これまでの人生を振り返るきっかけにもなるでしょう。残された時間をどう過ごすのか、前向きな気持ちになれるかもしれません。一方の家族も、事前相談を通じて家族との絆を再確認できるはずです。ほとんどの葬儀社は対面だけでなく、電話やメール、オンライン相談といった非接触の事前相談もおこなっています。

終活イベントに参加する

葬儀社によっては、終活に役立つイベントを開催しています。家族葬のファミーユは、遺影撮影会や入棺体験、エンディングノートの書き方などをテーマにした、さまざまなイベントやセミナーの開催実績があります。

また、コロナ禍になり、非接触型の葬儀相談・終活セミナーへのニーズも高まってきました。ファミーユではこれまで同様フリーダイヤルによる電話相談はもちろん、オンライン終活セミナーや、LINEによる葬儀相談なども進めています。

遺言書やエンディングノートを準備する

混同されやすいですが、遺言書とエンディングノートは別物です。エンディングノートには、遺言書のような法的効力はありません。そのため、法定相続分の割合を変える、不動産を相続させる、相続権の廃除をする、寄付をする場合などは、遺言書を用意しておくことで家族間のトラブルを未然に防げます。

一方のエンディングノートは気軽さが魅力です。専用のノートも販売されていますが、記入するのは無地のノートでも構いません。エンディングノートには、年金や保険といった重要なものの番号や、有価証券や不動産などの資産に関する情報、終末期医療の希望など、家族が知っておきたい内容を記載しておくと良いです。

愛用品の形見分けをする

配偶者や子どもに譲りたい物がある場合は、生前に形見分けをしておいてはいかがでしょうか。終活の一つとして形見分けを始めることで、大切な物を譲る相手をじっくり決められます。生前は手元に置いておきたい場合は、遺言書やエンディングノートに譲る相手を記しておくと家族が助かります。

家族葬にしたいと思ったら・・・

家族葬は限られた人だけで、故人とゆっくりお別れできるところが特長です。こちらでは、家族葬を実際に執りおこないたい人へ概要をお伝えします。

お葬式をおこなう喪主を決める

どんなお葬式をする場合でも、主催者として喪主が必要です。喪主は、故人と一番縁の深い人が務めるのが一般的です。夫婦どちらかが亡くなった場合は配偶者が、配偶者がいない場合は子どもが喪主になります。葬儀社との打ち合わせでは、会場の他に、一般葬にするのか、家族葬にするのかといった葬儀の形式や、お通夜をするのかしないのかといった日程などを決めていきます。

家族葬の二日葬と一日葬の流れ

一般的なお葬式はお通夜のあるもので、二日葬とも呼ばれます。二日葬では1日目にお通夜をおこない、2日目に葬儀式や告別式を経て火葬、会食などが予定されています。

一方、一日葬はお通夜のないお葬式です。一日葬といっても、逝去から1日で済むものではありません。人は亡くなってから24時間が経過しないと火葬できないという法律があります。これにより、ご遺体を24時間保管したあと、葬儀・告別式をおこない、その後に火葬をします。葬儀前から火葬までの流れは、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

核家族がおこなう家族葬の費用

一般葬でも家族葬でも、葬儀にかかる費用は気になるもの。こちらでは、家族葬の一般的な費用相場と、核家族だからこそ抑えられる費用を紹介します。

家族葬の費用相場

一般的な家族葬の相場は、お布施を除いて50~150万円前後です。住んでいる地域や葬儀社によってプランは異なるので、事前に相談しておくと間違いありません。僧侶に払うお布施の金額は一般葬などと一緒で、相場は50万円前後です。

核家族が費用を抑えられる部分

核家族がおこなう家族葬で費用が比較的抑えられるのは、車両にかかる費用と飲食費です。

1つ目の車両にかかる費用は、葬儀場から火葬場などへマイクロバスやハイヤーを移動手段として使用する場合に発生します。家族だけでおこなう家族葬でこれらの車両を使用しない場合は、その分の費用を抑えられる可能性があります。

2つ目の飲食費は、会食のときに提供する食事にかかる費用です。相場は1人当たり1,500~3,000円ほど。会食に参加する人数が少ないほど費用は抑えられます。他に、祭壇に飾るお花の種類やボリューム、スタッフ数の増減によっても費用は変わります。

核家族では残された人の負担を軽くするのが大事

核家族世帯で誰かが亡くなると、残された人の負担が大きくなりがちです。終活をはじめて、家財の整理やお葬式の準備をしておいても損はありません。「葬儀は身内だけで」と考える核家族世帯の人は、残された家族への負担が少ない家族葬を検討してみてはいかがでしょうか。