創価学会のお葬式|流れや費用、家族葬形式でやる方法

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創価学会のお葬式|流れや費用、家族葬形式でやる方法

この記事はこんな方におすすめです

創価学会のお葬式について詳しく知りたい
創価学会のお葬式を家族葬形式でおこなう方法を知りたい
創価学会のお葬式は、親しい人を中心に進行する友人葬(ゆうじんそう)という形式で執りおこなわれます。しっかり調整すれば、身内だけでおこなう家族葬に近づけることも可能です。この記事では友人葬を執りおこなう喪主向けに、友人葬の概要と一般的な仏式のお葬式との違い、友人葬の流れと費用、家族葬形式でおこなう方法、その他の儀式について紹介します。

創価学会のお葬式「友人葬」とは

創価学会が独自の考えに基づいておこなうお葬式が友人葬です。まずは友人葬の概要と、お葬式に対する考え方を紹介します。

創価学会独自のやり方でおこなうお葬式が「友人葬」

学会員が亡くなった時におこなう、創価学会独自のお葬式を友人葬と言います。遺族や友人・知人などの親しい人を中心に執りおこなうのが特徴で、学会員でなくとも故人と縁のあった人は参列できます。1991年ごろからおこなわれ始めた比較的新しい葬儀形式です。

お葬式で重要とされるのは「まごころ」

故人が成仏できるかはお葬式の内容とは関係なく、生前の信仰によるとするのが創価学会の考え方です。そのためお葬式では儀礼よりも、故人を悼む参列者の「まごころ」が大切にされています。創価学会は日蓮の教えを重んじる団体ではあるものの、このような考え方の違いから一般的な仏式のお葬式とはさまざまな違いが見られます。

一般的な仏式のお葬式と創価学会の「友人葬」の違い

一般的な仏式お葬式と創価学会の友人葬の違いは、大きく3つあります。それぞれ詳しく解説します。

僧侶を呼ばす導師が進行を務める

友人葬では僧侶を呼ばないのが、一般的な仏式のお葬式との最も大きな違いです。僧侶の代わりに、導師(どうし)となる学会員が進行役を担います。創価学会では「お葬式で僧侶が読経しないと故人が成仏できない」とする考えは教義にはない、と捉えているのがその理由です。
導師は儀典長(ぎてんちょう)と呼ばれる友人の代表や、儀典部(ぎてんぶ)という教義に精通した学会の幹部にお願いすることが多いようです。地域や支部により、導師の選び方や呼び方は変わる場合があります。

戒名を付けず生前の俗名を使用する

読経と同様「戒名がないと故人が成仏できない」という考えは創価学会にはないので、友人葬では戒名を付けず、もちろん戒名料も発生しません。お葬式は俗名と呼ばれる生前の名前で執りおこない、位牌にも俗名を刻みます。

樒(シキミ)祭壇を使う

一般的な仏式のお葬式では白木で作られた白木祭壇を使うことが多いですが、友人葬では樒祭壇や生花祭壇を使用します。
樒祭壇とは、樒(シキミ)という植物の枝や葉を使った祭壇のこと。樒は枯れない・散らない植物で、その香気には邪気を払う力があるとされ、特に日蓮宗のお葬式でよく用いられます。生花祭壇は、生花で彩られた祭壇のことです。樒と生花のどちらかというわけではなく、両方使うケースもあります。

創価学会のお葬式「友人葬」の流れと費用

友人葬の基本的な流れは一般的な仏式のお葬式と大きく異なるわけではありませんが、細かなところに違いが見られます。事前準備から当日の流れ、費用の目安を紹介します。

【1】事前準備

友人葬を執りおこなうにあたり、主に必要となる準備は下記の通りです。
  • 会場や日時の決定、近親者や関係者への連絡
  • 地域の創価学会の幹部へ連絡
  • 葬儀社への連絡と打ち合わせ
  • 遺体を会場に搬送し、枕飾りをする
葬儀社と打ち合わせしながら、祭壇の準備や遺影の選定、返礼品の用意、必要に応じて火葬場までの車の手配などを進めます。友人葬には対応していない、または不慣れな葬儀社もあるので手配する際はしっかり確認するのがおすすめです。
会場は基本的には公営の葬儀場や民間の貸しホールなどを使用します。お寺が運営している葬儀場などは断られる可能性があるので注意が必要です。

【2】お葬式の流れ

お葬式の主な流れと内容は下記の通りです。
①開式の辞
始めに、司会による葬儀開始の案内をおこないます。
②読経・唱題
読経では法華経の教文の2つ、「方便品(ほうべんぽん)」と「寿量品(じゅりょうほん)の自我偈(じがげ)」を、導師を中心に遺族、参列者が一緒に読みます。唱題とは、「南無妙法蓮華経」の題目を唱えることで、これも皆で参加します。
③焼香
方便品を読み終えた後、自我偈という部分を読むタイミングから焼香をおこないます。導師→副導師→親族→参列者の順に並びます。
④御祈念文・題目三唱
導師による追善供養の祈念の後、鈴の音を合図に参列者一同で題目を三唱します。
この後に、信仰が深かった人には「名誉称号ならびに名簿記載のお知らせ」が贈られることがあります。
⑤弔慰文紹介
葬儀の終盤にさしかかり、弔慰文や弔電の紹介をおこないます。
⑥導師挨拶・謝辞
導師からの挨拶と、遺族が謝辞を述べます。
⑦題目三唱
葬儀を締める前に、再び参列者全員で題目を三唱します。
⑧閉式の辞
司会者の閉式の案内をもって葬儀終了です。
地域の文化や慣習によって、順番や内容が異なる場合があります。

【3】お葬式後の儀式

葬儀・告別式後に、お別れの儀式をおこないます。みんなで題目を唱えながら、樒を棺の中に納めるのが主な内容です。儀式が終わると男性の近親者によって棺が霊柩車に運ばれ、喪主の挨拶後に出棺、火葬場へ移動となります。火葬後の骨上げなどは、一般的な仏式のやり方と同じです。

「友人葬」の費用

友人葬にかかる費用は、式をしない直葬で15万円~、通夜・葬儀(告別式)で70万円前後~が目安です。地域によっては大規模になるケースがあり、規模が大きくなるとその分費用も上がります。僧侶を呼ばないのでお布施や戒名料が不要なことや、導師に謝礼を渡す慣習がないことなどから、葬儀社に支払う費用のみとなる場合は安く済みます。
その他の宗教・宗派のお葬式と費用では変わらないもののお布施や戒名料がかからない分、費用面の負担は少なく感じるかもしれません。しかし創価学会の方針により儀礼的な香典も不要とされているため、葬儀費用への補填はできないのが気を付けたい点です。

創価学会のお葬式を家族葬形式でやるには

友人葬を家族葬形式でおこないたい場合、創価学会の地域の担当者と葬儀社との事前の調整が大事です。相談する際に気を付けたいポイントを紹介するので、家族葬形式を検討している人は目を通しておいてください。

地域の学会員に事前に相談をする

友人葬を家族葬形式の近親者のみでおこないたい場合は、お葬式の担当となる地域の創価学会幹部との事前打ち合わせが大事です。基本的に創価学会では、会員が亡くなるとその地域の全会員にお葬式のお知らせをするので、限られた人だけでひっそりと故人を送るにはあらかじめ希望を伝えておく必要があります。
合わせて地域の学会員にも、身内だけでおこなう旨を周知しておくとなお良いです。友人葬においても、参列する範囲を身内や親しい学会員に限定するケースは増えてきているので、理解も得やすくなってきているでしょう。

葬儀社にもしっかり希望を伝える

葬儀社に依頼する際も、「創価学会の友人葬を、家族葬のように身内だけでおこないたい」と伝えるとスムーズです。葬儀社によっては、友人葬の家族葬プランや自宅で見送れるプランを用意していることがあります。
なお家族葬のように参列者を限定した場合も、お葬式の流れは通常の友人葬と変わらないので、希望があれば先に伝えておいてください。

創価学会のお葬式に関わるその他の儀式

最後に、お葬式に関連する創価学会のその他の儀式を紹介します。ここでも一般的な仏式の習慣とは異なる点があるので確認しておくのがおすすめです。

埋葬について

創価学会がおこなっている埋葬の形式は、下記の3種類あります。
①墓地公園
墓地公園とは、北海道から沖縄まで15カ所ほどある学会員のための芝生墓所のことです。故人を個別で埋葬できます。
②長期収蔵型納骨堂
遺骨を20年間管理するロッカー型の納骨堂が長期収蔵型納骨堂です。
③永久収蔵納骨堂
合葬式の納骨施設で、骨壺ごと遺骨を永久収蔵します。
遺骨は長期収蔵型納骨堂に納めた後、永久収蔵納骨堂に移すパターンが多いようです。一般の霊園や墓地も利用可能ですが、「在来仏教に限る」などの条件がつくと利用できないケースもあるので要確認です。

法要について

創価学会の考えの基となる日蓮の教えでは、法事の必要性は説いておらず、会員ひとりひとりの日常の勤行や唱題こそが最大の追善供養とされています。その考えに倣い、創価学会では多くの宗派の風習となっている一周忌や三回忌などの年忌法要はしません。しかし普段めったに会えない遠方の親族が顔を合わせる場や、故人を偲ぶ機会を持つことは有意義であるとして、法要自体の否定もしておらず、法要をおこなうかどうかは各人の判断に委ねられています。
なお個人的な法要とは別に、日蓮の教えに従ってお彼岸には「彼岸勤行法要」、お盆には「諸精霊追善勤行法要」を各地の会館でおこなっています。

「まごころ」を大切に。創価学会のお葬式の準備を始めよう

創価学会のお葬式では参列者ひとりひとりの追悼の気持ちを重要視していて、一般的な仏式のお葬式とは少し違いが見られます。僧侶を呼ばないなど、仏式のお葬式に慣れている人はとまどうこともあるかもしれませんが、友人葬をおこなう際は地域の学会員や葬儀社と相談しながら準備を進めてください。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。