お墓参りを極めよう。墓石掃除、墓花、お供え、持ち物について

法事・お墓
お墓参りを極めよう。墓石掃除、墓花、お供え、持ち物について
お盆やお彼岸の恒例行事といえば、お墓参り。亡き父母や祖父母、さらには先祖のあの世での幸せを願う、家族想いで由緒ある営みです。きちんとお参りをすると、なぜだか心が整います。あると便利な持ち物や、墓石掃除の注意点、供えるといいお花などを知って、お墓参りの達人を目指しませんか。

お墓を建てる意味と、お墓参りの意味

人にはなぜお墓が必要で、どうしてお墓参りをするようになったのでしょうか。

お墓はお骨を埋葬するもの

お墓の一番の役割は、お骨(遺骨)の埋葬です。お墓に埋葬することによって、公衆衛生を守り、故人があの世でも幸せでいられるように、と供養もできます。最近は、お墓の必要のない手元供養や散骨などもあって、いろいろな埋葬方法が故人の意思や家族の意向で選ばれています。

お墓参りは故人への報告と感謝の気持ちを伝える機会

お墓参りの目的には、お墓を建てることと同じく、故人の冥福を祈る “供養” が欠かせません。しかし、それだけではありません。お墓に眠る故人に対して、家族の無事を報告したり、故人への変わらない感謝の気持ちを伝えたりするものでもあります。定期的にお墓参りをすることは、心の健康を保つことにもつながります。

お墓参りの基礎知識

ここでは、お墓参りに行くといいタイミングや、お参りに適した服装、あると便利な持ち物などの基本情報を伝えます。

いつ頃いくといいのか

お墓参りのタイミングに、決まりはありません。基本的には、命日・お彼岸・お盆・年末年始に合わせてお参りします。それ以外でも、何か報告のあるときなど、好きなタイミングでお参りして問題ありません。お墓参りに行く時期は自由ですが、夕方以降など暗くなってからは避けましょう。

お墓参りにふさわしい服装

お葬式や一周忌・三周忌などの法要の際には喪服を着ますが、お墓参りは普段着で構いません。ただし、厳粛な場所であるということを考えると、派手な色や肌の露出が多い服装は避けるべきです。また、お子さんやお孫さんの結婚や自らの再就職、再婚などの大切な報告をする際には、いつもよりもかしこまった服を着ると、気持ちが引き締まります。

お花とお供え物。あると便利な虫よけ

お墓参りには、持っていくべきものや持っていくと便利なものがいくつかあります。

まず、故人に対してのお花やお供え物。お花は故人の冥福を祈る気持ちを表す他、お参りしている人の気持ちを穏やかにしてくれます。お供え物は生前故人が好きだった食べ物などが良いとされています。

ろうそくとお線香はお参りをする際に必要です。一緒にライターも持参します。また、手を清めるための水も要ります。水はお墓掃除の際にも使えるので、多めに持っていくことをおすすめします。バケツや雑巾などの掃除用具も必要です。

これらのアイテムは、墓地や霊園によっては販売していたり、貸し出し可能なところもあります。荷物を減らしたい場合は、事前に確認すると良いでしょう。

霊園墓地は自然や水が豊富で、小虫が発生しがちです。特にお盆や秋のお彼岸の頃は、蚊の対策が必須。デング熱などの心配もあるので、虫よけスプレーがあると便利です。

お参りの手順とマナー

お墓参りの手順と作法について考えたことはありますか。お参りの仕方にも作法があります。宗教宗派によって手順などが異なる場合がありますが、ここでは一般的な手順を紹介します。

本堂へのお参り

お墓参りでは「礼を尽くす」ことが大切。お墓が寺院墓地にある場合は、故人のお墓に行く前に必ず本堂にお参りし、住職にも挨拶するのが望ましいです。霊園の場合は、管理者に挨拶します。

墓石やその周辺を清掃する

故人が眠るお墓に着いたら、墓石やその周りの掃除を始めます。このとき、手を洗って清めた上でお墓に手を合わせてから掃除を始めると良いです。お墓の周りには小さなゴミが落ちていたり、雑草が生えていたりすることがあるので、それらをきれいに取り除いてから墓石を手入れします。

ここで、墓石掃除の注意点。墓石はゴシゴシ洗うのではなく、やわらかめのスポンジや布などで優しく汚れを落とすようにします。硬めのたわしなどで洗うと墓石に傷がついてしまうことがあるためです。墓石がきれいになったら、手桶と柄杓で打ち水をしてさらに清めます。

食べ物やお花を供える

お墓の掃除が終わったら、食べ物やお花を供えます。食べ物を置く場合は墓石に直接置かずに、半紙や懐紙などを敷いた上に置くようにします。

帰るときに、食べ物や飲み物を置きっぱなしにしておくのは禁物です。動物などに荒らされる可能性があります。そのため、食べ物のお供えは、お墓参りの後にその場で食べるか、持ち帰ります。また、お酒やジュースといった水以外の飲み物を墓石にかけるのもNG。墓石の変色やカビの原因になります。

お線香をあげる

お線香に火をつけるときに炎があがることがありますが、あわてて吹き消すのではなく、手であおいで消します。その他の細かな作法・ルールは宗派や地域によって異なります。お参りの時にお寺などに確認してみましょう。いずれの場合も火の取り扱いには十分気を付けなくてはいけません。

お墓参りのお花の選び方と飾り方

お墓にお供えするお花を「墓花」といいます。花の種類に関しては、特に決まりはありません。どのようなお花を選ぶのがお墓参りにふさわしいのか、選び方のポイントを押さえていきましょう。

花屋で買える仏様へのお花

よく花屋で販売している墓花は、お墓の花立にあわせて55㎝くらいの高さに切りそろえられています。ほかにも、仏壇などに飾る「仏花」や、祭壇や会場を飾る「供花」があります。すべて、高さや大きさが違います。オリジナルの花束を作る時は、お墓参りであることを伝えましょう。

長持ちする品種を選ぶ

お花はいつか枯れてしまうものですが、なるべく長い間美しく咲いていてほしいもの。できるだけ開花状態が長持ちする花を選ぶのが良いです。お墓と言えば菊の花を連想しますが、菊が供えられることが多いのは、枯れた際に散らかりにくく、さらに花が長持ちするからです。

そう頻繁にお墓に来る人ばかりではないことから、霊園や寺院によってはお花を供えたまま帰ることを禁止しているところもあります。それぞれのルールに従ってお花を供えることが大切です。

故人の好きな花や色を取り入れる

四十九日までは白い花が良いとされています。お墓参りはそれ以降になりがちなので、生前故人が好きだった花や、好きだった色の花を入れるのもおすすめです。

地域や宗派によっては墓花に関して独特の慣習のあるところも。お墓参りのお花を購入する前に確認してください。

トゲや毒のある花、香りの強い花は避ける

お墓に供える花については基本的には決まりはありませんが、トゲや毒のある花、また香りの強い花は避けたほうが良いです。ただし、故人がトゲのある花が好きだった場合には、トゲを取った上でお供えすれば問題ありません。

左右対称になるように供える

お墓には花を供えるための花立が2つあるので、同じ花で組み合わせた花束を2セット持っていく必要があります。その際、花束に入れる花の数は3本、5本、7本など奇数であることが望ましいです。そして、実際に花立に供える際は左右対称になるように飾ります。

大切なのは日頃の感謝を伝えるという姿勢

お墓参りの手順やマナーには宗派や地域によって差がありますが、すべての宗派や地域に共通することは故人や先祖への「冥福の祈り」と「感謝の気持ち」です。故人があの世でもすこやかに暮らすことを祈り、日々を無事に過ごしていることに感謝する。この思いを持つことこそが一番大切なマナーと言えるのではないでしょうか。