御膳料の渡し方と書き方。金額相場やお布施との違いも紹介

法事・お墓
御膳料の渡し方と書き方。金額相場やお布施との違いも紹介

この記事はこんな方におすすめです

御膳料の渡し方や金額相場を知りたい
御膳料とお布施の違いを知りたい
葬儀や法要後の会食を僧侶が辞退した場合に渡す御膳料。お布施と同じタイミングで渡しても構いませんが、それぞれのマナーを理解しておく必要があります。この記事では、御膳料の基本から書き方・包み方などの事前準備、法要当日の渡し方、御膳料に関する一般的なマナー、押さえておきたいお布施や御車代との違いまでを解説します。

御膳料とは、会食の代わりに渡すお礼のこと

御膳料(おぜんりょう)とは、法事などの際に僧侶に食事のおもてなしの代わりに渡すお礼のことです。以前は、法事といえば読経などをおこなう法要の後、感謝やおもてなしの気持ちを込めて僧侶を招いて食事の席を用意するのが慣例でした。
しかし最近では、会食の場が省略されたり、僧侶が忙しくて列席できなかったりするケースが増えてきています。そのため、今では会食の代わりとして御膳料を渡すのが一般的です。なお会食に僧侶が列席する場合は、御膳料を渡す必要はありません。
法要後の会食のひとつである「お斎」については、こちらの記事で紹介しています。

【準備】御膳料を入れる封筒の書き方と包み方

ここでは御膳料にふさわしい封筒の選び方と、表書き・裏書きの書き方、お札の包み方を紹介します。白い封筒に濃墨で名前などを書き入れ、新札を入れるのが一般的な御膳料の包み方です。

御膳料にふさわしい封筒を選ぶ

御膳料を入れる封筒は、基本的には市販の縦型の白い封筒で問題ありません。ただし郵便番号欄などのない、真っ白のものを選ぶようにしてください。加えて、弔事では不向きな「不幸が重なる」ことを連想させる二重封筒は避けるよう注意が必要です。
封筒に書く文字は、薄墨ではなく濃墨を使って記入します。筆書が望ましいと言われていますが、濃い筆ペンでも大丈夫です。また行書体が書けなくとも、楷書体で構わないので丁寧に書いてください。

表書き・裏書きの書き方

また、法事の規模が大きい場合や僧侶を何人か招く場合は、水引が付いている不祝儀袋で渡すのが良いと言われています。黒白もしくは双銀で、結びきりの水引のものを選ぶのが一般的ですが、地域や法事の回数などによって異なるので、親戚などに確認するのが確実です。
封筒の表には、中央の上部に「御膳料」と書き、中央下部に喪主のフルネームもしくは「〇〇家」と書きます。下部の氏名などについては、書かない場合も多いです。
封筒の裏には、左下に住所・電話番号を書き、その横に一段下げて中身の金額を書くのが基本です。金額は旧字体の漢数字で、頭に金、金額の後に也を付けます。例えば、一万円の場合は「金壱萬円也」となります。
【表書きに記名する場合】
【裏書きに記名する場合】

お札の包み方

封筒の用意ができたら、封筒の表側と肖像画が描かれたお札の表側と封筒の表側が同じ向きになるよう揃え、肖像画が上に来るようにしてお札を中に入れます。お札を複数枚入れるときは、表裏と上下を揃えるよう気を付けてください。またお札はなるべく折り目のない新札を用意するのがよいとされます。

【当日】御膳料の渡し方

法事の当日、御膳料を渡すタイミングと詳しい渡し方を解説します。切手盆や袱紗(ふくさ)を使用して御膳料を渡すのがマナーとされています。

渡すタイミング

読経が終わった後にお布施と一緒にお渡しします。御膳料やお布施を渡すときの添え言葉は、以下を参考にしてください。
<添え言葉の例>
「本日はお心こもったおつとめをいただき、ありがとうございました。どうぞお納めください」

渡し方①切手盆を使う場合

御膳料の封筒をそのままむき出しで渡すのではなく、切手盆に乗せて渡すと丁寧な印象です。弔事では、封筒が乗るくらいの大きさで、長方形の黒塗りの切手盆を使用します。
【切手盆の使い方】
法要中は、切手盆に御膳料を乗せて袱紗を掛けて置いておきます。そして僧侶に渡すときに袱紗を外し、封筒の表書きが僧侶から読める向きに回して差し出すのが一般的です。畳や床に置いて滑らせるように差し出すのは、行儀が良くないとされているので控えてください。
また御膳料を渡すときに、お布施や御車代などを一緒に渡しても構いません。その場合は、お布施を一番上に重ねます。御膳料・御車代については、順番の決まりはありません。

渡し方②袱紗を使う場合

切手盆がない場合は、袱紗に包んで渡しても大丈夫です。袱紗には「包むタイプ」や挟むだけの「金封タイプ」などいくつか種類がありますが、ここでは基本の「包むタイプ」の使い方を紹介します。
【袱紗の包み方】
  1. 爪を左にしてひし形状に広げ、内側のやや右寄りに御膳料の封筒を乗せる
  2. 袱紗の角を右側→下側→上側の順に畳んでいく
  3. 左側を畳んで爪を留める

御膳料を渡すときに、僧侶の前で袱紗を開きます。封筒の表書きが僧侶の方を向くように回してから、軽く畳んだ袱紗を下に添えながら渡すとスマートです。

その他のタイプの使い方については、こちらの記事を参考にしてください。

こんな場合はどうする?御膳料に関するマナー

御膳料の一般的な金額相場と、状況別の包み方や渡し方のマナーを紹介します。状況に応じて、包む金額や渡し方を考えるのが大切です。

御膳料の金額相場

御膳料はおもてなしの料理の代わりとして渡すものなので、料理に見合った金額分を渡すのが基本です。自宅や斎場で仕出し弁当を用意する場合は5,000円~1万円程度、料亭やホテルのレストランで会食を予定している場合は1万円〜2万円ほどが相場となっています。地域や法要の規模によっても異なるので、あくまで目安として捉えるようにしてください。

僧侶を複数人招く場合

法事に僧侶を複数人招く場合は、御膳料も人数分用意する必要があります。なおひとり分ずつではなく、まとめて包んでも問題ありません。ただしまとめて包むなら、1万円・1万5,000円などキリの良い金額にして、端数が出ないよう配慮するのが望ましいです。

会食を省略する場合

始めから会食の予定がない場合も、御膳料を渡すのがマナーです。会食なしの場合の金額は、一般的な会食の相場である5,000円~1万円程度を目安に用意すると良いでしょう。
日頃から付き合いがあって会食がないことを把握している僧侶を招く場合は、形式上、会食がある体で僧侶に同席をお願いし、僧侶が気遣いで辞退の返事をした後に渡すのが通例です。初めて法要を頼む場合や、やり取りに不安がある場合は、会食を省略する旨を伝えて渡しても失礼には当たりません。

御膳料とお布施・御車代との違い

御膳料は、お布施や御車代などとは渡す意味合いが異なるため、別々に用意するのが基本です。最後に押さえておきたいお布施や御車代との違いを紹介します。

お布施との違い

御膳料は、おもてなしの会食を辞退した僧侶個人に向けて渡すものです。一方お布施は、読経に対するお礼としてお寺に納めるものです。僧侶は個人の報酬としてではなく、あくまでもお寺への寄付として受け取り、法務の助けとして使用します。このように御膳料とお布施とは渡す意味合いが異なるので、別々に包むのがマナーとされています。
お布施を渡すタイミングについてはこちらの記事も参照してください。

御車代との違い

御車代は僧侶へ渡す会場までの交通費です。葬儀や法要をおこなう場所まで、僧侶が車や電車・バスなどを使って自分で足を運んだ場合に用意します。御車代の相場は5,000円~1万円程度ですが、距離によっても変わってくるでしょう。また御車代も、一般的には御膳料と別々に包むのが望ましいです。
なお、お寺で法事をおこなう場合や、会場まで僧侶のために送迎を手配した場合など、移動費がかからない場合は渡す必要はありません。

御膳料は僧侶におもてなしの気持ちを伝える手段のひとつ

最近では、法要後の食事の席に僧侶が同席しないケースも多いです。そのような場合に、おもてなしの気持ちを伝えられるのが御膳料です。お布施や御車代とは渡す意味合いが異なるので、相手に失礼のないように別々に用意する必要があります。今回紹介した基本を元に、地域の慣習などを考慮して御膳料を用意してください。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。