遺品整理にはいくらかかる?整理の方法と業者の選び方

法事・お墓
遺品整理にはいくらかかる?整理の方法と業者の選び方
遺品とは亡くなった人の残した物を指し、遺品整理はこれを片付けることを意味します。家族が亡くなって、実はお葬式以上に大変なのが遺品整理です。自分たちでどこまでできるのか、どんな業者に頼めばいいのか、業者に依頼する際の料金の目安などを紹介します。

遺品整理とは

人がひとり亡くなると、身の回りの日用品から故人のコレクション、趣味の道具、思い出の品など多くの遺品が残されます。遺品整理とは、それら遺品を形見分けしたり、処分したり、廃棄したりすることです。

いつまでに整理すればいいのか

遺品整理を始めるのは四十九日が目安とされています。ただし、決まりではありません。故人の住まいが賃貸住宅の場合は、退去日までに遺品整理を終えなければなりません。持ち家の場合は、特に急ぐ理由はありませんが、家族の都合に合わせて、スケジュールを立てて進めることが理想的です。

遺品整理の始め方

まずは、遺品の分類から始めます。相続に関わる貴重品や大切な書類は真っ先に選り分けて大切に保管しましょう。それ以外は、いるもの・いらないもの、使えるもの・使えないもの、価値のあるもの・ないもの、故人との思い出のあるものに分けます。明らかにゴミと判断できるものは廃棄しますが、まだ使えるものは必要な人にあげるか、リサイクルショップに引き取ってもらいます。

遺品整理は大変手間のかかる作業です。遺される家族のことを思えば、日ごろからいらないものは捨てるなど、身の回りのものの整理をすることが大切です。なかでも家具や家電製品などの家財の整理には体力を使います。自分も家族も元気なうちにコンパクトに納めることが大切です。最後までとっておくものに関しては、どのように処分して欲しいのかをエンディングノートなどに記しておきましょう。

遺品整理にかかる費用と業者について

実際に遺品整理にかかる費用はいくらくらいなのでしょうか。また、遺品整理をしてくれる業者についても紹介します。

遺品整理にかかる費用

遺品整理にかかる費用は、自分でコツコツとやる分にはほとんどかかりません。実家に訪ねたりする場合は、交通費や飲食費くらいでしょうか。むしろ、リサイクル業者に遺品を売ったりすれば、雑収入になることもあります。

業者に頼む場合は、遺品整理の料金に幅があります。家の広さと整理するものの量に比例するからです。一般的な相場で、4LDKでは22~60万円、1LDKで7~20万円と言われています。4LDK以上の広い家でも、あらかじめ整理されていてものが少量でしたら、22万円程度になります。逆に、1LDKでも部屋にびっしりとものが残されている場合は、20万円を超えることもあります。ゴミ屋敷の処理や特殊清掃が必要な場合はさらに高額になります。

遺品整理業者の種類

「遺品整理業者」とは、亡くなった人の部屋の片付けをしてくれる専門業者です。特別な事情がなければ、この業者に依頼します。
思い出の品など残しておきたいものと処分したいものを分別し、貴重品などの捜索もしてくれます。リサイクル業者と連携している業者もあります。

実家が持ち家で、その処分を検討している場合には「空き家片付け業者」が便利です。本来は、住む人がいなくなった空き家を取り壊すために家の中のものを処分する業者です。これに付随して、遺品の仕分けをしてくれるところがあります。

「ゴミ屋敷清掃業者」は、ものが多すぎてゴミ屋敷化している特殊なケースに対応できる業者です。高度で大掛かりな遺品整理の時に依頼します。

故人が家で孤独死や事故死をしてしまった場合は、「特殊清掃業者」に依頼します。家の中のものを全て廃棄し、汚れや臭いまで取ってきれいにしてくれるクリーニング業も兼ねています。状況によってはリフォーム会社との修繕工事を示されることもあります。

遺品整理業者に必要な資格とは

遺品整理業者を選ぶ際に目安となる、必要な資格についても確認しておきましょう。一般家庭のゴミを運んで廃棄するために必要な「一般廃棄物収集運搬許可証」は必須資格です。また、遺品についての知識や適切な整理方法を身につけた「遺品整理士」、中古品の売買に必要な「古物商許可証」などがあります。

遺品整理業者の選び方

遺品整理業者はできるだけ良心的なところを選びたいものです。専門資格を持っている業者はある程度信頼できますが、中には悪徳な業者もいます。ここでは、業者選びのポイントをあげておきます。

WEBサイトの確認ポイント

遺品整理業者を探す方法として、WEBサイトを利用される人が多いでしょう。その際、業者の取り組みがわかるサイトであるか、企業理念がうたわれているかどうかを確認しましょう。代表者やスタッフが紹介されているかも重要です。顏写真が掲載されていればなおいいでしょう。

その上で遺品整理の専門かどうかを確認しましょう。遺品整理業者とうたっていても、不用品回収業が専門で遺品整理は片手間なこともあります。資格等に問題がなくても、遺品整理と不用品回収ではサービスの内容が違います。最近は遺品整理業の需要が伸びていることもあり、他業種からの参入もあるので、注意して見極める必要があります。

電話・事業所での確認方法

サイトでいくつかの業者を選んだら、直接、電話をかけてみましょう。スタッフの対応は丁寧か、だいたいの金額をたずねても明確に答えてくれるか、を確認します。

本当に信頼できる業者かどうかをしっかり確認したいときは、事業所の見学がおすすめです。トラックや回収した品物を保管するスペース、道具類などを見せてもらいます。下請け任せにしていないかどうかの確認もできます。

遺品は故人を感じられる大切なものです。たとえ使えないものでも丁寧に扱って欲しいですよね。資格を持ったスタッフが心を込めて遺品整理をしてくれる業者を選べば、故人への供養にもなり、依頼した家族の気持ちも癒されます。

遺品整理の注意点

遺品整理で最も気をつけなければならないのは、遺産相続に関わる「財産」をしっかり見極めて取り分けることです。素人で価値の判断できないものは専門の業者を頼ります。

専門家に鑑定依頼する

ブランド品や鑑定書付の宝飾品などの明らかに高価なものは分かりやすいですが、それ以外の故人のコレクションは価値の分からないものもあります。遺品整理業者の古物商許可書を持っているスタッフに依頼するか、より専門性が高い場合は別途、鑑定品の専門業者に依頼しましょう。

また、貴金属や美術品、着物などを少しでも高値で現金化したい場合も専門業者への買い取りを検討します。遺品整理業者が古物商許可証を持っていても、売却先は専門業者になります。仲介料を取られるため、直接鑑定してもらう方が有利です。

相続問題をクリアにする

遺品の中で相続に関わる財産は、遺書が残されていれば遺書の意向に沿うように、なければ法定相続人で分割します。いずれも、相続人全員で話し合い、最終的に遺産分割協議書を作成して相続人全員の押印を取ります。身内同士の話し合いで解決が難しい場合は法律家に依頼します。

遺品整理は、遺産分割が終わった段階で業者に依頼して一気におこなうのがいいでしょう。遅くても遺産放棄の期限である被相続人の死亡から3ヵ月後を期限としましょう。故人に借金がある場合は、相続を放棄することで借金を放棄することもできます。遺産放棄する場合は、故人の遺品に一切、手をつけられません。少しでも遺品整理に関わると、遺産相続の意思があるとみなされます。

遺品整理は早めに計画的に

遺品整理は時間も手間もかかる大変な作業です。急がなくてもよく、自分たちでコツコツできるのであればいいのですが、業者の力も使って無理なくおこなうのも一利あります。何より遺された子や孫が苦労しないように、生前から身の回りのものを整理しておくことが大切です。

ファミーユからのワンポイントアドバイス

寺本弘幸(都市総合支社/1級葬祭ディレクター)
寺本弘幸(都市総合支社/1級葬祭ディレクター)

生前整理は大きく①モノ、②財産、③情報、④人生(観)に分かれます。各項目ごとに、実際にファミーユでもよくご相談いただくトラブルと解決法をご紹介します。

まず「モノの生前整理」ですが、ご自身の大切なものは、ご本人にしか分かりません。他人が何と言っても残すもの、処分するものを決めていきましょう。

判断がつかないものは、保留でも結構です。期間をおいて判断すればよいと思います。それとコツとしてリサイズをおすすめします。

残すもの、または保留しているものを小さく保管することです。例えば、現物の写真であればスキャンしてデータとして保管するなどです。

また、処分した後から後悔しないように、思い入れのあるものは写真やビデオで撮ってデータとして保存し、現物は処分するのもひとつの手法です。

次に「財産の生前整理」ですが、これが一番トラブルが多いです。まず、財産として何があるのかしっかり把握すること。そして、誰に何を渡すのか、ご自身の考えをまとめ家族に伝えること。家族の意見も聞いてしっかり話し合うことが大切。

難しいようであれば、専門家に相談するのもありです。料金はかかりますが、プロとして最適の解決策を提示してくれます。

そして、「情報の生前整理」と「人生の生前整理」については、エンディングノートの記載をおすすめします。

PCやスマホ、各種有料サービスを始め、友人・知人などの交友関係、取引先銀行など(暗証番号含む)など、記録をまとめておくことが必要です。後でご家族が知らなかった、分からないといったトラブルの防止になります。

また、エンディングノートを埋めていく毎に、ご自身の人生を見つめ直し、これからの人生に対する考え方がまとまってきます。文字で残すことにより、ご家族へご自身の考え方がストレートに伝わります。

それにより、お互いに気付きが生まれ、相互理解へとつながります。情報をオープンにしてご家族で話し合うことで、ご家族の絆が深まっていきます。

まずは、一歩を踏み出してみませんか。

アドバイザープロフィール

寺本弘幸
■家族葬のファミーユ 都市総合支社/1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
■座右の銘:人は石垣、人は城、人は堀