ユダヤ教の葬儀とは?立教の歴史から独特の慣習まで

お葬式のマナー・基礎知識
ユダヤ教の葬儀とは?立教の歴史から独特の慣習まで
ユダヤ教は、世界三大一神教のひとつです。その歴史は、3000年、いいえ、4000年ともいわれるほど古くからあります。本記事では「ユダヤ教」の概要と、仏教とは大きく異なる「葬儀」のあれこれについて言及します。

ユダヤ教の歴史と日本との関わり

民族と宗教の成り立ちの混同、キリスト教徒との対立など、複雑な歴史が絡み合っているユダヤ教。ここでは、ユダヤ教の起源と日本とのかかわりについてお伝えします。

ユダヤ教とは

ユダヤ教は、自分たちが古代イスラエルの民であると思い、唯一の神「ヤハウェ」を信仰する宗教です。現在、イスラエルを中心に、全世界で約1,700万人が信仰しているといわれています。

3000~4000年の歴史がある、世界で最も古い宗教などと称されます。最古の実態はゾロアスター教とも競っており、定かではありません。紀元前5~6世紀頃から、ユダヤ人とよばれるようになり、これにあわせてユダヤ教も確立されたという説もあります。このように、立教時期ははっきりせず、研究過程にあります。

ユダヤ教に欠かせないのが、聖書(キリスト教のいう旧約聖書)にある「モーセの十戒」です。紀元前13世紀頃に書かれた物語で、ヘブライ人(古代イスラエル人)の「モーセ」が、避難先のエジプトから故郷の地カナン(現在のイスラエル)へと人々を引き連れて旅立ちます。モーセが杖を振り上げると海が縦に割れる奇跡のエピソードはあまりにも有名で、たびたび映画化もされています。ユダヤ教では、これに登場する神の戒律を遵守しています。

キリスト教との関係

同じように唯一創造神を崇め、ユダヤ教とも縁のある宗教が、キリスト教とイスラム教です。特にキリスト教とは因縁が深く、イエス・キリストに対する考え方でも両者は対立しています。イエス・キリストは、キリスト教では救世主であり神の子ですが、ユダヤ教では人の子です。

日本とユダヤ教の関わり

日本には第二次世界大戦前、神戸と長崎に比較的大きなユダヤ教徒のコミュニティが存在しました。戦後、その多くがアメリカへ移住しました。

現在では、日本人とユダヤ人との交流も深まってきています。2019年には、日本からイスラエルへの直行便がでて旅行者が増加。また、イスラエルなどのユダヤ人訪日客も増加し、岐阜県高山市などが人気を集めているそうです。

仏教やキリスト教と比べると少数ではありますが、日本人にもユダヤ教徒はいます。日本国内には、神戸、渋谷、横浜、名古屋にユダヤ教の会堂(シナゴーグ)があり、なかでも神戸には100人程度のユダヤ教徒が生活しているといわれます。

ユダヤ教特有の教え

ユダヤ教はユダヤ人に向けられた宗教です。民族を超えて信仰を広げる他の宗教とは異なる部分が多々あります。以下ではユダヤ教の教えの基盤である「モーセの十戒」を基に、ユダヤ教特有の教えについて紹介します。

「モーセの十戒」を解説

「モーセの十戒」は、聖書の出エジプト記に記されています。簡潔にまとめると以下の通りです。
1.主のみを神とせよ。
2.いかなるときも偶像を造ってはならない。
3.主の御名をみだりに唱えてはならない。
4.安息日を心に留め、これを聖なる日とせよ。
5.あなたの父と母を敬え。
6.人を殺してはならない。
7.不倫をしてはならない。
8.盗んではならない。
9.偽りの証言をしてはならない
10.隣人の所有物を欲しがってはならない。

「選民思想」が基盤

「選民思想」とは、ユダヤ人は神と特別な契約を結んだ唯一の民族であり、その契約を守ることにより救われるという思想です。また他の民族を救済し、正義の道へと導く使命があると信じられています。ユダヤ人に団結力があるのは、このような思想があるからだといわれているのです。

「偶像崇拝」を禁止する理由

偶像崇拝とは、神などをモチーフにした像を信仰の対象として敬い祈ることをいいます。ユダヤ教は偶像崇拝を禁止しています。人が造ったものは、本来祈るべき「神」ではないと考えているからです。

ユダヤ教の生活ルール

神との約束はユダヤ教徒にとって絶対です。ここではユダヤ教のルールのうち、代表的な部分を抜粋してまとめます。

食べ物・飲み物

ユダヤ教徒が禁じられている食べ物は、豚などのヒズメが割れていない草食動物、ラクダやウサギなど反芻(ものを飲み込んだり口内に戻したりする消化方法)をしない四つ足の動物です。イカやタコ、貝類など、ひれと鱗のない海の生き物もNGです。

また、「子山羊を、その母の乳で煮てはならない」というルールもあります。チーズなどの乳製品と肉は一緒に食べることを禁じています。チーズタッカルビはもっての他ということでしょうか。魚と乳製品の組み合わせは問題ありません。

ワインは古代に偶像崇拝の対象とされたため、禁じられてきました。偶像崇拝ではないと認められた現在でも、厳格なユダヤ教徒の中にはワインを飲まないようにしている人がいます。

服装

ユダヤ教徒の女性の服装は、肘・膝・鎖骨の露出が多いもの、派手な色や模様、ボディラインが出るもの、ズボンを着用してはいけないなどの規定があります。男性はキッパ(小さい帽子)、黒のハットやスーツを着用しています。これらはあくまでも正統派のユダヤ教徒の服装であり、現在では制約や伝統を守りながらファッションを楽しめるような、新しいデザインも作られているようです。

安息日

安息日は、原則何もしてはいけません。金曜日の日没から土曜日の日没までがユダヤ教の安息日です。この日に働いた者は「必ず殺されるであろう」といった物騒な内容が聖書に記されるほど聖なる日とされてきました。現在は命にかかわるほどの緊急事態であれば、例外として活動が許されることもあります。安息日にはろうそくを灯して礼拝をしたり、家族や友人と集い食事をしたりして過ごすのが一般的です。

ユダヤ教の葬儀内容

日本ではユダヤ教の葬儀の参列は少ないですが、今以上に国際交流が盛んになれば、参列の機会もあるかもしれません。ここでは、ユダヤ教の葬儀の流れと、参列する際に配慮する点について見ていきましょう。

葬儀の流れ

ユダヤ教には「死後の世界」という概念はなく、神の審判の日に魂が復活すると考えられています。そのため、通夜をおこなわずにその日のうちに土葬にします。

清められた遺体は棺に入れず白い布で包んだ後、墓穴まで運んで収めます。聖職者ラビにより祈りがささげられ、墓前で30分程度の葬儀がおこなわれます。土をかけて埋められその上に参列者が石を置いて終了です。昔は当日のうちに埋葬することが原則でしたが、現在では遠方からの参列者を考慮して、1・2日後でも良いようです。

参列者の注意点

日本の葬儀と異なり、告別式は催されず香典や花を用意する風習はありません。服装にも特に規定はありません。葬儀のおこなわれる国や家庭により風習が違う可能性を考慮し、派手な色や肌の露出が多いものは避けた方が良いでしょう。

葬儀終了後の流れ

遺族は葬儀後、亡くなった人の死を惜しむ「シヴァ」という7日間を過ごします。椅子を使わずに硬い床に座ったり、上着に切れ目を入れたりして悲しみを表します。故人と親しくしていた人が弔問し、家族を慰めたり思い出話をしたりするのがシヴァの過ごし方です。シヴァの終了後はパーティや結婚式などの祝い事には参加せず、1年は喪に服します。

この機にユダヤ教についての知識を深めよう

日本にはユダヤ教徒が少なく、ユダヤ教の歴史や教え、ルール、ましてや葬儀の作法について知る機会はあまり多くありません。ただし、他の国の宗教や風習ついて知識を深めることは、国際人としてのたしなみになります。相互理解を広げるきっかけにもなるでしょう。