「岳父」とは舅(しゅうと)のこと?「義父」との違いや他の呼称も紹介

お葬式のマナー・基礎知識
「岳父」とは舅(しゅうと)のこと?「義父」との違いや他の呼称も紹介
「岳父(がくふ)」とは、妻の父、つまり舅(しゅうと)を意味します。喪中はがきなどでよく目にするかもしれません。ここでは、「岳父」の意味や使い方、よく比較される呼称について解説します。また、「岳父」と対になる「岳母(がくぼ)」についても、その意味や使い方をおさえておきましょう。

岳父とは

まずは、岳父の意味や読み方、言葉の使い方、また岳父の語源について解説します。日本語には、家族や親族の立場によって、同じ父でも呼び方がいろいろとあります。葬儀の場や喪中はがきで父の死去を第三者に知らせるときに、どのような呼称を使うべきか迷うこともあるでしょう。そんな場合に備えて、正しい意味や使い方を確認してみてください。

岳父の意味・読み方

岳父は、がくふと読みます。言葉の意味は、妻の父親。つまり、舅(しゅうと)や義父(ぎふ)のことを指しています。同じような呼び名として、岳翁(がくおう)や岳丈 (がくじょう) と称されることもあります。これらは、敬称です。

夫の立場で妻の父親を言い表す場合は岳父を使いますが、妻の立場で夫の父親を言い表す場合は義父、または単に父を使うことが多いようです。また、妻の父を亡くした男性に対して第三者が用いる呼び方はご尊父(そんぷ)になります。

岳父の使い方

岳父は、口頭ではあまり使われず、喪中はがきや弔電などの書き言葉として使用されることが多いです。喪中はがきは、身内に不幸があったために新年のご挨拶を遠慮する旨を第三者に通知するものです。故人との続柄をはっきりさせるために、岳父が用いられます。

ここでは、妻の父親が亡くなったときの喪中はがきの例文を見てみましょう。
「本年○○月、岳父○○が95歳にて永眠いたしました」「岳父○○儀 本年○○月95歳にて永眠いたしました」のように使用します。

岳父の語源

岳父という言葉は中国由来とされ、その語源には諸説あります。代表的なものを2つ紹介します。

ひとつ目は、中国の名山である泰山から由来する説です。そこにある峰の1つが「丈人(妻の父の意味)」と呼ばれていたことから、これに関連して妻の父に岳の字をつけたとされています。

ふたつ目は、「岳山(がくさん)」と「岳婿山(がくしょざん)」という名前の山に関連する説です。漢字の読みから後者は前者の婿(むこ)といった意味になるので、それにちなんでつけられたとされています。

岳父とよく比較される呼称

ここでは、岳父とよく比較される義父や尊父に注目してみました。日常生活ではあまり使わない言葉かもしれませんが、いざというときに迷わないように違いを確認してみてください。

岳父と義父との違い

義父(ぎふ)は岳父に比べると、目にする機会も口にする機会も多いのではないでしょうか。岳父と義父は、どちらも血のつながりのない父親を指す言葉です。義父が義理の父親といった意味で広く使用されるのに対して、岳父は妻の父を限定的に指す呼び名になります。

義父という呼び名は、血縁関係にはないものの、法令や慣習上で父親に準じている立場の総称です。養い親や母親の再婚相手となる継父(けいふ)のことも、義父と称します。

喪中はがきでは、岳父ではなく義父がよく使われています。第3者に対して、身内に敬称の岳父を使わないとする人が多いためです。

例文は「本年〇〇月に義父〇〇が九十五歳にて永眠いたしました」です。他に「本年〇〇月に義父〇〇儀 九十五歳にて永眠いたしました」や、「本年〇〇月、妻〇〇の父〇〇〇〇が九十五歳で永眠いたしました」といった使い方もします。

岳父と尊父との違い

岳父と似た意味を持つ言葉には、尊父(そんぷ)もあります。尊父は第三者の父親の総称になります。敬称であるため、子である立場から尊父とは呼びません。

第三者の立場から、相手の方の亡くなった父親を言い表す場合はご尊父様がよく使われます。妻の父親を亡くした男性に対してご岳父様を使用するのは、厳密にいえば間違いです。なぜなら、岳父は夫である自分の立場で使うべき妻の父親の呼び方だからです。ただし、現代では使い分けがあいまいになってきています。
弔電を送る場合は、故人と喪主、さらに送り主との関係性が重要です。基本的には、父親を亡くした遺族に対しては「ご尊父」を使います。自社の社員の妻の父親が亡くなったときに、会社が第三者の立場で送る弔電の例文は「ご尊父様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます」となります。

ただし、参列者の前で弔辞を読む場合などは、少し注意が必要です。友人の父親が亡くなった場合、喪主を友人が務めていても故人に呼び掛けるような弔辞であれば、お父上という呼びかけを使う方が自然です。

岳父に対する岳母とは

妻の父を岳父と呼ぶのに対して、妻の母は岳母(がくぼ)と呼びます。ここでは、岳母の意味や使い方、よく比較される母堂(ぼどう)との違いを解説します。こちらも、日常会話ではあまり使いませんが、正しい敬称を使用し、相手への礼儀を心がけます。

岳母の意味と使い方

妻の父を意味する岳父と比べて、妻の母を意味する岳母はあまり浸透していないようです。岳母も義母も血のつながりのない母を指す言葉ですが、日常生活の中では岳母よりも義母(ぎぼ)が使われることが多いのではないでしょうか。「岳」という文字が険しい山を連想させ、母親のイメージに重なりにくいからかもしれません。

義母は義理の母を指し示す場面で広く使用されています。義父と同じように、血のつながりがない母といった意味もあります。配偶者の母親だけでなく、養い親や実父の再婚相手にも使います。

岳母でも義母でもなく、丈母(じょうぼ)が使われることもあります。こちらも、妻の母親という意味の言葉です。ただし、義母以外の言葉は、あまり日常で使用されません。

岳母と母堂との違い

母堂(ぼどう)という呼び方も、よく見聞きする言葉ではないでしょうか。母堂は第三者の母親の総称になります。母堂だけでも敬称として成立しますが、ご母堂やご母堂様と呼ばれることが多いようです。ご母堂様は文法的には三重敬語ですが、相手の母親を敬う慣習として認められています。
ご尊父に対してのご母堂は、弔辞を読む際や弔電の文章によく使われます。

このように、岳母や母堂といった言葉は、格式が求められる場面で使われる言葉です。相手の方や周囲の方への気配りを忘れず、マナーを守った使い方を心がけてください。そうした思いが、故人を敬い偲ぶことにもつながるでしょう。

岳父の意味を知り、正しい敬称で気持ちを伝えよう

岳父の使用頻度は減ってきている印象です。しかし、葬儀の場や喪中はがきでは今なお使われています。立場によって変わる呼称は使い方が難しいですが、いざという時にすぐに対応できるようにしておきたいですね。