葬儀場には泊まれる?通夜後に宿泊するケース・費用・持ち物を解説

ご家族の通夜・葬式準備
葬儀場には泊まれる?通夜後に宿泊するケース・費用・持ち物を解説

この記事はこんな方におすすめです

葬儀場に泊まれるのかを知りたい
葬儀場に泊まる際の持ち物を知りたい
お通夜の後や葬儀の前日に、家族や親しい人が集まって自宅や葬儀場の近くなどに泊まる場合があります。いざ泊まるとなっても、葬儀場に仮眠施設があるのか、何を持って行けば良いのかなど不安に思う人もいるかもしれません。この記事では葬儀場に泊まれるかどうか、葬儀で宿泊するケースと泊まる人、持ち物などを説明します。

葬儀場には泊まれるの?葬儀で泊まる理由とは

多くの葬儀場は宿泊施設ではありませんが、利便性を高めるために休憩や仮眠ができるようになっています。まずは葬儀場の仮眠施設や一晩過ごす理由について見ていきましょう。

多くの葬儀場は仮眠施設を兼ねている

葬儀場は親族の控室に近親者用の仮眠施設を併設しているところが多く、遺族や親族が故人と最後の時間を一緒に過ごせるようになっています。ただし、仮眠施設にどのような設備があるかはその地域や葬儀場によって異なるため注意が必要です。シャワーや洗面スペース、布団をいくつか敷ける和室が用意されているのが一般的で、テレビやソファーのある施設もあります。

葬儀会場で泊まる理由は故人に付き添うため

葬儀会場で泊まる一番の理由は故人に付き添い、最後の時間を一緒に過ごすためです。自宅葬の多かった頃は、通夜の後に遺族や親族が故人に寄り添いながら線香と蝋燭の灯りを絶やさないようにする「寝ずの番」や「夜伽(よとぎ)」といわれる慣習がありました。時代の変化とともに葬儀は自宅ではなく葬儀場でおこなうことが主流になり、一晩中過ごすことに代わって、夜の数時間付き添うケースが増えています。
そのほかに、遠方から駆けつけた親族が葬儀前日に一晩過ごすケースもあります。自宅に泊まれるスペースがあれば良いのですが、人数によっては間に合わないケースもあるでしょう。葬儀場の施設が利用可能であれば、そこで過ごしてもらっても問題ありません。

葬儀前に泊まる人は

お通夜の夜や葬儀の前日に泊まる必要があるかどうかは、遺族の考えや開式時間や場所にもよります。泊まる人は、遠方から参列するなどの理由が多いでしょう。
故人に付き添うために葬儀場で仮眠する人は、配偶者や子ども、孫といった遺族や親族が一般的です。故人と最後のお別れをしたい人なら基本的に誰でも面会が可能です。ただし、施設自体は付き添い可でも状況によっては対応不可という場合もあるので、申込前によく確認しておきましょう。
さらに葬儀場によって仮眠場所の大きさや設備が異なり、部屋数や布団の数は限られている場合も多いです。あらかじめ人数や条件について葬儀場に確認し、把握しておくと安心です。

お通夜の晩に葬儀場で過ごすための費用

葬儀場で過ごす費用は、葬儀場自体の利用料金に含まれているケースがほとんどです。別途費用が必要になることはあまりありません。
ただし、例えば翌日の朝食代など、その他の費用が発生する可能性があります。どのような費用が発生するかは葬儀場によって異なるため、利用を検討する際は事前に葬儀場に確認しておくのが良いでしょう。

葬儀場に泊まるときに持って行くもの

葬儀で泊まる際は着替えやアメニティグッズのほか、式に必要な数珠や香典なども持参します。お通夜が終わった後、葬儀場やホテルなどで過ごし、そのまま翌日の葬儀にのぞむことも多いでしょう。故人との最後の時間を静かに過ごすために、事前に準備しておくと安心なものを紹介します。

着替え

まず用意したいのは、葬儀場の仮眠施設などで着るための着替えです。通夜は喪服で参列することも多くありますが、喪服は翌日の葬儀でも着用しなければいけません。喪服にしわや汚れをつけないようにし、翌日に備えて体を休めるためにも、仮眠施設では部屋着に着替えたいところ。夜半は来客もないので、普段の部屋着で問題ありません。コンビニなどに外出する際は、サンダルがあると良いかもしれません。
翌日の葬儀に備え、下着、黒い靴下や黒ストッキングなどの替えも用意しておくと良いでしょう。

アメニティグッズなど

葬儀場は宿泊施設ではないことが多いので、アメニティグッズがない可能性も考えられます。歯ブラシや洗顔料、タオルなどの基本的なものは最低限準備しておくと安心です。
施設にアメニティグッズはありますと聞いていた場合、男性が油断すると忘れがちなのが整髪料やシェービングクリームです。式の身だしなみに必要なものになるので準備しましょう。
人により、お子様がいる方はウェットティッシュ、喫煙をする方は喫煙環境を確認し、必要ならポケット灰皿があると便利です。

また、付き添い中は何かとゴミが出るので、分別用にゴミ袋があると良いです。

ドライヤーやヘアアイロンなどのかさばるものの有無は、事前に葬儀場に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。

携帯電話・タブレットの充電器

忘れることが多いのがモバイルの充電器です。携帯電話やタブレットは連絡を取り合ったり情報を得たりするのに必須アイテムとなりますので充電器も忘れないように持参しましょう。Wifi環境も確認できると良いでしょう。

手元の現金

意外と準備していないことで困ることがあります。特に足の無い配偶者などが一人付き添いしていると現金不足になりがちです。

中には淋し見舞いや香典を使う方もいますがお勧めはできません。

数珠

数珠は仮眠には必要ありませんが、翌日の葬儀に必要なので忘れずに持って行きます。葬儀場から自宅が近ければ取りに帰れますが、葬儀当日、遺族や親族は何かと忙しいもの。自宅に戻る時間がとれない場合もあるので、仮眠施設へ持って行くようにしてください。
数珠には魔除けの意味もあります。数珠を手にしていることで故人を守ってもらえるという考え方もあるので、通夜のうちから用意しておくと良いでしょう。

香典・お布施・ふくさ

香典やお布施、またそれらを包むふくさも用意しておきます。喪主の場合は葬儀に際して僧侶にお布施を渡すので、当日慌てないように事前に準備しておいてください。
遺族以外の場合は、葬儀に参列する際に香典を渡せるように用意しておきます。通夜に参列した際に香典を渡している場合は不要です。

葬儀場で泊まれるか悩む時のよくある質問

Q
どの葬儀場でも夜を過ごせますか?
A
夜を過ごせるところも多くありますが、すべての葬儀場というわけではありません。防犯上の理由から、スタッフが不在になる深夜は基本的に閉館するためです。仮眠利用に対応していない場合は過ごせないこととなります。

葬儀場に仮眠施設がない場合は、葬儀社が近郊のホテルを紹介してくれることも多いので相談してみてください。
Q
お風呂やシャワーはありますか?
A
夜を過ごせる葬儀場であっても、お風呂やシャワーがあるかどうかは施設によって異なります。仮にお風呂やシャワーがあったとしても、小規模かつ親族共同で使う葬儀場が多い傾向です。細かなアメニティグッズまで用意している施設は少数です。

もし葬儀場にお風呂やシャワーがない場合は、施設を出て銭湯や健康センターなどを利用することになるでしょう。設備がない施設で過ごす際は、葬儀場周辺の利用できそうなところをチェックしておくと安心です。
Q
子どもも夜どおし過ごせますか?
A
葬儀場で夜を過ごせる場合でも、ほとんどの場合は人数に制限があります。子どもと一緒に過ごすこともできますが、葬儀場の仮眠施設はあくまで仮眠所なのでゆっくり眠れるとは限りません。

子どもをゆっくり眠らせるためには、両親が交代で自宅に帰る、ホテルをとるなどが無難でしょう。
Q
葬儀場で絶対に夜を過ごさなければいけませんか?
A
葬儀場で仮眠するべきかどうかは家族の考え方や地域の慣習によっても異なるので、どちらが正解とはいえません。以前は寝ずの番や夜伽の慣習が多くありましたが、近年は泊まらない喪家も増えています。

故人の急な旅立ちや、これまでの看病・介護などで心身ともに疲れがあるなど、お通夜の後は残りたくない場合は自宅でゆっくり休んでも全く問題ありません。

翌日の葬儀に備え、家族と話し合い、それぞれの体調や事情に合った過ごし方を優先してください。
Q
宿泊が必要な親族の費用は誰が負担しますか?
A
参列者のホテルなどの宿泊費用は基本的に宿泊者本人が負担し、喪主側が負担する必要はありません。ただし、参列者と喪主の関係性によっては喪主側が負担する場合もあります。

遠方からの参列者は移動だけで労力的にも金銭的にも負担がかかり、慣れない土地で宿泊施設を用意するのも大変なはず。喪主側が宿泊費用を負担しない場合でも、宿泊場所や送迎車両は喪主側が手配しておくのが親切です。また、地域によっては、交通費や宿泊費は喪主負担としているところもあります。

誰が負担すべきか判断に迷う場合は、経験のある人や近隣の詳しい人に相談すると良いでしょう。

葬儀前に誰がどこに泊まるかを話し合い、最後の夜を静かに過ごそう

お通夜の晩に葬儀場で過ごせるケースもありますが、すべての葬儀場が仮眠可能なわけではありません。また故人との関係や地域の慣習によっても異なります。家族の意見や体調なども踏まえて葬儀場で夜を過ごすどうかを考え、故人との最後の夜を静かに過ごしてみてはいかがでしょうか。

監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう てっしゅう)

接客から管理職まで葬儀社歴25年。「家族葬」の黎明期からお葬式の変遷を見てきた経験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)