【終活】人生の最終章を自分プロデュースで前向きに生きる方法

終活
【終活】人生の最終章を自分プロデュースで前向きに生きる方法
「終活」とは、自分の死後に備えて葬儀や遺産相続などの準備と身辺整理、終末期医療などの検討をすることです。2009年に雑誌で紹介されてから注目され始め、最近では「就活」と間違われることも少なくなりました。
今回は終活の初級編として、始める時期、始め方、具体的な取り組みの一部を紹介します。

終活とは?

そもそも「終活」という言葉は、一昔前までは聞かなかったのに、何故急に広まってきたのでしょうか。

終活の意味

「終活」とは、身体が元気で思考力が健全なうちに、自分の死後に備えて準備と身辺整理をすることです。

一昔前までは、老いることは死期に近づくこととしてイメージされましたが、医療の進歩とともに健康でアクティブな高齢者が多くなった現代では、老いることと死期の距離が遠くなってきています。

かつての暗いイメージは薄れつつあり、終活をすることにより、残された家族の精神的、肉体的負担を軽減させるだけでなく、遺産争いなどのトラブルも防ぐことができるという点にも焦点が当てられています。

また、終焉に向けての事前活動の意味から「自分の人生のゴールを見据えることで、余生をより自分らしく生きるための活動」と姿を変えてきています。

いつから終活を始めるべき?

終活の意識が高いのは30代といわれており(両親のことを考えての親の終活)、実際に終活を始めたい年齢としては60代からが多いようです。60代はまだ仕事をしている方も多く、身体的にも元気な年代ですので、終活を始めるのには適しているといえるでしょう。

しかし人間誰しもが天寿を全うするとは限りません。不慮の事故や突然の病の発症などで若くして亡くなってしまうということは誰にでも起こり得ることです。そのため、できることは早めにやっておくに越したことはありません。

目安としては、ある程度の財産を築いた頃、子供も生まれて相続させたい人ができた頃に始めるのが良いでしょう。

終活の進め方

終活の進め方を大まかにまとめると、次のような段取りとなります。

エンディングノートを書く

エンディングノートとは、自分が死亡したときにどうして欲しいか、希望を書き記したものです。法的効力はありませんが、残された家族が迷ったり悩んだりしなくていいように、できるだけ具体的に書きましょう。

遺言書を書く

エンディングノートには法的効力がないのに対し、遺言書には法的効力があります。遺産相続など、どうしても指示通りにしてほしいものがある場合は、遺言書を作成しましょう。

遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類ありますが、最も一般的で比較的作りやすいのが「自筆証書遺言」です。これは全文自筆で、日付、署名が記載されているか、印が押されているかなどの条件を満たしている必要があり、裁判所による検認も必要となります。

生前整理をする

終活をする中で一番労力を要するのが生前整理でしょう。生前整理の代表的なものとしては、衣服、書籍関係、趣味関係などがあります。残された家族にとっても、悲しみの中での作業は辛いものです。体力が衰えてからの作業で転倒や怪我などを避けるためにも、足腰が元気なうちに整理をしてしまいましょう。

家族や信頼する人に伝える

エンディングノートや遺言書に自分の意志を残しても、それが発見されなければ意味がありません。エンディングノートや遺言書がどこに保管してあるか、家族や信頼する人にはあらかじめ伝えておきましょう。また、突然終活を始めてしまうと、不審な行動だと家族から心配されてしまう可能性もあるため、終活を行う前に伝えておいたほうが良いでしょう。

1年に1回は必ず”笑顔”の写真を撮る

葬儀の事前準備をしていなかった方が、葬儀を迎えたときに最初に困るのが遺影の写真選び。遺影は「生前のその人の姿」そのものになるので、自分らしい姿や笑顔の写真であると良いでしょう。

エンディングノートの書き方

エンディングノートにはこれといった形や決まりはありません。大学ノート、パソコンやスマートフォンなど、自分が書きやすいと思うスタイルを選びましょう。エンディングノートとして、項目があらかじめ記載されているノートも市販されていますので、自分に合ったものがあるか探してみるのもおすすめです。

個人情報について

生年月日、住所や本籍地、携帯やPCのパスワード、光熱費などの契約している会社情報と支払い方法、SNSアカウント情報、その他契約しているサービスの情報などを記載しておきましょう。家系図も分かる範囲で書いておくと良いでしょう。

財産について

現金、預金口座、有価証券、生命保険などの情報とともに、誰に何を残したいか、不動産を誰に残したいかなどを明記しておきましょう。さらに、金や骨董品などの現物資産があれば、それについても記入しましょう。また、借金がある場合は負の財産となるため、その旨も記入するようにします。

葬儀について

葬儀の規模や形式、喪主になってほしい人、埋葬の形態、一緒に埋葬してほしいものの有無、お墓の種類、宗派やお寺、誰と一緒のお墓に入りたいか、遺影に使いたい写真などの希望を記しておきます。また、葬儀を知らせてほしい友人名、連絡先などのリストも準備しておきましょう。

医療について

将来、認知症になったり寝たきりになったりしないとは限りません。持病や飲んでいる薬、アレルギーの有無とともに、かかりたい病院、医師、介護をしてもらいたい人、どこで過ごしたいかなど医療面での希望も書いておくのがおすすめです。

また、延命治療をしたいか、したくないかの希望を残すことによって、家族に辛い決断を委ねるのを防ぐことができます。できれば、死後の臓器提供や検体の有無においても希望を書いておきましょう。

終活に向けての生前整理のやり方

終活において身体的な労力を伴うことになるのが生前整理です。ここでは、生前整理のやり方を簡単に紹介していきます。

持ち物の整理

ある程度の年齢になると、持ち物も多くなりがちです。何年も使っていないものはないか見直してみましょう。まず必要なものと不必要なもののカテゴリーに分けます。使っていないけれどまだ捨てたくないものがあれば別にカテゴリーを作り、「1年後に見直し」「自分が死んだら捨ててもらう」などのルールを決めておきましょう。

1年間使用していないものは今後も使用する可能性は低いといわれています。不用品で売れそうなものはリサイクルショップに持っていくなどして売ってしまいましょう。レアもの、ビンテージ品、コレクターものは、ネットオークションなどで思わぬ値が付くこともあります。また、不用品を処分することによって部屋も広く感じ、気持ちよく過ごせるというメリットもあります。

自分がやらなければ、自分の亡き後に誰かがやらなければならないことを念頭に置いて、思い切って処分してしまう勇気も必要です。必要でないもの、使う機会があまりないものは買わないようにしましょう。

写真やアルバムの整理

様々な場所に保管され、量が膨大になりがちなのが写真やアルバム、ビデオなどです。思い出の詰まった写真やビデオは全て取っておきたくても、スペースを取ってしまうため、残された家族が処理に悩むことになるかもしれません。

写真やビデオはDVD化してくれるサービスもありますので、それを利用することによってスペースを省くという手もあります。子供や孫の成長をビデオテープに撮っていて、それを見るためだけにビデオデッキを保管している場合は、全てDVD化することによってビデオデッキも処分することができます。

また写真の整理とともに、自分の気に入った写真があれば遺影の準備もすることができます。気に入った写真がない場合も、新しく撮影したり写真館で撮ってもらったりを検討する良い機会になるでしょう。

終活は前向きに生きるためのプロセス

終活というと、遺言書や身辺整理などの手順を踏むことから、死に向かうマイナスイメージを抱く方もいるかもしれません。しかし終活を進めることは、残される家族の負担を減らすだけでなく、自分の人生を振り返る良い機会にもなります。後悔しないために、達成したいことのゴールを設定し、終活を前向きに生きるためのプロセスと捉えて、活き活きと過ごせるようにしたいものです。

ファミーユからのワンポイントアドバイス

瀬戸隆史(理念推進部/1級葬祭ディレクター)
瀬戸隆史(理念推進部/1級葬祭ディレクター)

終活=終焉活動。文字通りの解釈をしがちですが、ご葬儀の相談や遺産の決め事をするばかりではありません。

『終活は元気なうちに取り組み、その後の人生を謳歌する』、と考えるとより楽しいものになります。

終活を上手に行っている方の事例を一部紹介いたします!!

◆「生前整理は1年に1部屋ずつ片付けています。今年は寝室、来年は物置です!」
  →自宅の整理はつい億劫になりがち。無理なく目標やテーマを決めて整理ができると良いですね。

◆「預貯金を整理し不用品は買取りをしてもらい、そのお金で娘と海外クルージングを楽しみました!」
  →元気なうちに大好きな人と楽しむ。まさに終活の醍醐味かと思います。(羨ましい…!)

◆「自分で稼いだお金だもの。バリアフリーにお掃除ロボット、我が家をもっともっと快適に大改革!」
  →人は誰もが老いるもの。より便利に使いやすく住みやすく…賢いお金の使い道ですね。

あなたも前向きな終活始めてみませんか?

この記事の監修者・アドバイザー

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。