墓石の価格や選び方のポイントとは?~後世に引き継がれる、家族が生きた証~

終活
墓石の価格や選び方のポイントとは?~後世に引き継がれる、家族が生きた証~
墓石とは、石材を使用した、お骨を納めるお墓の目印です。終活をする人が増えるにつれ、新たにお墓を購入する人も増えています。本記事では、墓石の価格相場やお墓を建てるときにかかる費用、墓石選びのポイント、お墓を購入するタイミングを解説します。

墓石の価格相場とお墓を建てるときの費用

「ぼせき」や「はかいし」と読む墓石にかかる費用と、お墓を建てる費用は別物です。2つの違いを知るためにも、まずは墓石の価格相場と、お墓を建てるときにかかる主な費用を解説します。

お墓と墓石の価格相場

お墓を建てるときにかかる費用は、墓石の費用の他、永代使用料や管理費、墓誌(ぼし)や花立(はなたて)を始めとした、お墓に必要なアイテムの代金などが含まれます。お墓を建てる費用の相場は、140〜200万円前後とされています。

そのうち墓石の購入・設置費が大きなウエイトを占めます。墓石の費用の内訳は、石材費、デザイン費(加工費)、設置費用の3つです。墓石の価格相場は約120~175万円。ただし相場は目安であり、石材の種類や大きさ、デザインなどによって異なります。

石材費、永代使用料などの費用相場は次の通りです。

費用①墓石費用(石材費・デザイン費)

墓石の費用は、石の種類や石材の加工の多さ、使用量(石の大きさ)といった石材費によります。お墓を建てるときにかかる費用の大半がこの石材費と言っても過言ではありません。石材に加工やデザインを施す場合は、石材費に工賃が加算されます。

石には、国産と海外産の2種類があります。国産の石の価格はピンからキリまで幅広いです。有名産地のブランド石などは100万円~300万円以上するものもあります。海外産の石は国産よりも控えめな価格とされています。中国産:20万円前後、インド産:40万円前後です。墓石の価格のは次の章で詳しく紹介します。

費用②墓石の設置工事費

お墓の工事費(墓石の設置工事費)の相場は5万円前後です。しかし、急斜面や細い道など、墓石の運搬や工事が難しい場所にお墓を建てる場合は、工事費が割高になります。

一方、工事が簡単な場所にお墓を建てる場合や、施工負担が軽い据付型(すえつけがた)の場合は、費用を抑えられる傾向にあります。お墓の工事費が心配な場合は、墓地や石材店にあらかじめ確認すると安心です。

費用③永代使用料

お墓を建てる場所「墓地」を使用するために支払う費用を永代使用料と呼びます。永代使用料は墓地を取得した際に支払うのが一般的です。

永代使用料は墓地のある地域や立地、区画の広さなどによって異なります。東京都を例に挙げると、23区内は150〜200万円前後、それ以外の地域は70〜90万円前後が相場とされています。

費用④墓の管理費

水道代・電気代・清掃代・備品などにかかる費用を始め、お寺や霊園を運営するためにかかる費用のことを管理費と呼びます。管理費は、民営のお寺や霊園よりも公営の方が価格は控えめです。

相場は施設によって異なりますが、1年あたり5,000円〜1万5,000円ほどです。支払いは1年単位が多いですが、霊園やお寺によっては3~5年ごとだったり、永代使用料も含まれていたりする場合もあります。

墓石の価格が決まる3つのポイント

墓石自体の価格は、石の種類、デザインや加工の有無、石材店の指定や制限、という3つのポイントによって大きく左右されます。そこでこちらでは、墓石の価格が決まる3つのポイントを詳しく解説します。

ポイント①石材の種類

墓石に使用される石材は300種類以上と豊富で、花崗岩(かこうがん)・安山岩(あんざんがん)が代表的な原材料です。高級石材の大理石は、酸に弱く雨に注意が必要なのであまり使われないそうです。花崗岩のことを御影石とも言います。ピンク色の目の細かい御影石(花崗岩)は桜小目石と呼ばれ、女性に人気があります。

一般的に海外産よりも国産の石材の方が高価ですが、インド産のクンナムは国産の石材より高いなど、どちらが高価とは一概には言えないのが実情です。

墓石の価格は、石材だけでなく色の種類によっても異なります。最も高価とされているのは、原材料の採掘が難しい「黒色」です。次いでグレーなどを始めとする「その他」、最も安価なのは「白色」とされています。

国産は産地によって価格相場が異なり、ブランド石として名が知られているものもあります。それぞれの価格相場は以下の通りです。

<国産ブランド石材>
・万成石(まんなりいし):岡山県産。100万円前後
・大島石(おおしまいし):愛媛県産。100~300万円前後
・小松石(こまついし):神奈川県産。150万円前後
・浮金石(うきがねいし):福島県産。200万円前後
・庵治石(あじいし):香川県産。300~400万円前後

ポイント②墓石のデザインや加工

墓石の主な形は、古くから伝わる和型・横に長い洋型・故人らしさを表現できるデザイン型の3種類です。価格は、デザイン型>洋型>和型の順で高くなります。

デザイン型の価格が最も高いのは、オーダーメイドだったり、加工費が高額だったりするため。一般的な和型は、シンプルな作りであるため価格が抑えられるのです。どの種類であっても、オプションでパーツを付けたり加工をしたりする場合は、その分価格が高くなります。

ポイント③石材店の指定や制限

墓石を購入するとき、墓地によっては石材店が指定されている場合があります。石材店が指定されていると費用を比較できないだけでなく、好みのデザインを選べないこともあるため注意が必要です。

一般的に、公営の霊園は石材店の指定がなく、民営の霊園では石材店が指定されていることがほとんど。公営の霊園は複数の石材店を比較できるため、価格を抑えられる傾向にあります。

墓石選びの4つのポイント

お墓は後世に引き継がれる大切なものです。墓石を選ぶときは、硬さや耐久性、吸水率やキメなども確認すると、納得のいくお墓を建てられます。こちらでは、墓石選びの4つのポイントを解説します。

ポイント①墓石の硬さや耐久性

墓石は代々受け継がれる上に、雨風に当たる外に設置されることが多いため耐久性が重要です。一般的に、硬度の高い石は耐久性も高いとされています。特に、兵庫県を産地とする御影石(みかげいし)が耐久性に優れていることで有名です。

ポイント②墓石の吸水率

月日が流れるにつれ、墓石は水を吸い込んでしまうものです。水を吸った墓石はサビやヒビ、色落ちが目立つ、コケが生えるといった劣化が起きます。お墓を建てるときは、墓石の吸水性を数値化した「吸水率」に着目してください。

吸水率は低ければ低いほど、石材の隙間がないことを示しています。そのため、吸水率が低い墓石は、月日が流れても劣化しにくいのです。例に挙げた御影石であれば、5%未満を目安にすると良いとされています。

ポイント③墓石の色やキメ

これまでの墓石は黒色や灰色が一般的でしたが、最近は赤系・緑系・青系の墓石も増えています。墓石の色に関するルールは特に定められていないので、故人や家族が好きな色を選ぶのも良いのではないでしょうか。

また、キメが細かい石はその美しさに加えて、隙間が少なくて吸水率が低く、劣化しにくい傾向にあります。国産の高級石材である小松石や庵治石は、キメが細かいことでも有名です。

ポイント④墓石の産地

国産の墓石が外国産よりも、必ずしも優れているわけではありません。高品質で高級な海外産の墓石もあります。また、国産の墓石は減少傾向で、外国産の墓石が増えてきているのも事実。産地だけにこだわらず、耐久性や吸水率などを考慮した上で石材を決めることをおすすめします。

お墓を購入するタイミングとメリット

お墓は生前に購入するケースと、亡くなってから購入するケースがありますが、購入するタイミングに決まりはありません。こちらでは、お墓を購入するタイミングと、それぞれのメリットを解説します。

生前に購入する場合

生前にお墓を建てることを、仏教では寿陵(じゅりょう)と呼びます。古くから中国では「長生きができる」など、縁起が良いと考えられてきました。生前にお墓を購入するメリットは以下の3つです。

<メリット>
①購入分の相続税を節税できる
②家族への負担が減る
③自分の好きなお墓を選べる

亡くなってから購入する場合

納骨は四十九日法要に合わせる、というのが一般的な考え方ですが、お墓は購入してから完成するまでに数ヵ月かかるため、間に合わないことも。

家族が亡くなってからお墓を購入する人は、納骨と開眼供養(かいがんくよう)を同時におこなえる、一周忌をめどに購入する人が多いようです。開眼供養とは、新しくお墓を建てたときや、仏壇を新しく購入したときにおこなわれる供養のこと。お墓を建てる時期に明確な決まりはありませんが、宗派・地域によって、お墓に対する考え方、設置や供養のタイミングは異なります。

墓石の購入は求めるものと価格のバランスが大切

墓石は費用相場が数百万円になる大きな買い物です。購入するときは求めるものと価格のバランスが大切です。墓石の耐久性や吸水率、デザインなどを家族と話し合い、納得できるお墓を建ててくださいね。