あなたの宗派の本尊は?意味や必要性、正しい選び方を紹介

法事・法要
あなたの宗派の本尊は?意味や必要性、正しい選び方を紹介
本尊とは、仏教寺院や仏壇の中央に祀られる信仰の対象となるものです。お寺や仏壇のある家庭には必ずあり、仏や菩薩などの彫刻・絵画・曼荼羅など種類は宗派ごとに異なります。ここでは、本尊の意味や必要性、さらには新しく仏壇を購入するときの本尊の選び方や魂入れの流れなどを紹介します。

本尊とは

本尊とは、お寺や仏壇の中央に祀られている仏像や掛け軸のことです。新たに仏壇を購入するときは本尊も合わせて購入するのが一般的です。ここでは、本尊の意味や概要を紹介します。

宗教の信仰の中心として祀られるもの

本尊は、仏教の信仰の対象となるものです。教えの中心にあるものとして、お寺や仏壇に飾られます。ただし、どのようなものを祀るかは宗派によってもさまざまです。仏像や掛け軸が一般的ですが、書や絵画の場合もあります。

このほか、物ではなく人についても本尊ということがあります。

仏像はさまざまな材質で作られている

本尊を仏像とする場合、使われる材質はさまざまあります。主なものは次の4つです。

・白木(しらき)
・柘植(つげ)
・楠(くすのき)
・白檀(びゃくだん)

白木の仏像は、やわらかい木を用いて作られるのが一般的です。松を使ったものが多く見られますが、近年は檜を使ったものも増えてきました。比較的安価で、入手しやすいのが魅力です。

一方、味わい深い経年変化を楽しめるのが柘植です。木目も控えめで品があるため、古来より仏像の素材として重宝されてきました。柘植で作った仏像は時間が経つと色味が変わり、艶が出てくるのが魅力です。また、飛鳥時代から重用されてきたのが楠です。色・艶ともに美しく、心地よい芳香を持ちます。防虫効果もあるとされ、長期保存に適しています。

さらに高級な仏像を求める人は、白檀を選択する人も多いでしょう。古くから高級香木として使われてきた白檀は、重厚感・高級感ともに他の素材を圧倒します。ただし、近年は入手しにくくなっています。

本尊の必要性

家庭でも仏壇に祀られていた本尊は、長い歴史の中で人々の生活とともにありました。近年は住宅の西洋化が進み、昔ながらの仏間や仏壇を持つ家庭も少なくなっています。ここでは、本尊や仏壇の必要性について考えてみましょう。

先祖と対話し、感謝する対象として

仏壇は家庭のお寺のようなものです。人々はここで手を合わせて、ご先祖様を供養します。そして、この家庭のお寺の中心にあるのが本尊です。人々が仏壇に向かうときは本尊を通して先祖と向き合い、感謝の気持ちを伝えています。本尊があることで、仏壇は仏壇としての役割を果たします。

悲しみを癒し、祈りの対象として

家族や親しい人が亡くなったとき、人は仏壇の前で手を合わせます。このときも、人々が手を合わせるのは本尊です。本尊を通して亡くなった人の冥福を祈り、故人が安らかに眠ることを祈ります。この「祈る」という行為は、必ずしも故人のためだけではありません。本尊に向かって故人の冥福を祈ることは、祈りを捧げる人の悲しみを癒やすことにもつながります。仏壇を「供養の場」として考えたときも、これから仏門に入る故人へのお導きを願う事を通して悲しみを癒すための対象としても、本尊は必要です。
もちろん、その祈る対象は亡くなった人の象徴とも言える「位牌」や「遺影」、「形見」であっても構いません。

本尊の形式や安置方法

本尊の配置や設置には、細かい決まりがあります。本尊を仏壇に置く際、注意したいポイントを見ていきましょう。

仏壇の中央に安置

本尊は、仏壇の要ともいえるものです。安置場所として最もふさわしい場所は、仏壇中央です。仏像を本尊として飾るなら、仏壇中央の台に設置してください。これは「須弥壇(しゅみだん)」とよばれるものです。一方、掛け軸を本尊とするならば、中央奥の壁に掛けて祀ります。

これだけでも十分ですが、より形式にこだわって祀りたい場合は、「祖師像(そしぞう)」などの掛け軸を配置します。本尊を挟むように両脇に置くのが習わしです。「脇掛け(わきがけ)とよばれます。ただし、脇掛け軸の種類は宗派によって異なります。家庭の宗派に適したものを選んでください。

魂入れが必要

本尊を新たに設置する際は、魂入れの法要が必要です。檀家の寺の僧侶を招くなどして、法要をおこなってください。僧侶が本尊に向かってお経を唱えることで、初めて本尊に魂が宿ります。

魂入れの法要は、本尊購入後すぐに執り行って構いません。ただし、魂入れは故人の位牌を仏壇に収める際にも必要です。「本尊の安置と位牌の安置を同時にしたい」という場合は、故人の四十九日法要や一周忌法要などと併せて魂入れをおこなっても良いでしょう。

魂入れの法要は一般的な法要のマナーに準じます。服装は基本礼服ですが、四十九日などの法要も同時にするときは弔事用の服装を選びます。

僧侶に渡すお布施も必要です。お布施の金額相場は1~3万円が一般的ですが、お寺や地域によって金額は異なるかもしれません。不明な場合は、事前にお寺に相談することをおすすめします。

宗派別の本尊の選び方・配置

本尊として何の仏様を祀るかは宗派によって異なります。ここでは、宗派ごとの本尊と両脇に配置する脇侍を紹介します。自分の宗派の本尊は何なのか確認してください。

天台宗

天台宗は、阿弥陀如来(あみだにょらい)、釈迦如来(しゃかにょらい)などを本尊とします。また、本尊の両側に配置する「脇掛け」は、本尊に向かって右側に天台大師智顗(ちぎ)、左側に伝教大師最澄とするのが一般的です。

真言宗

真言宗の本尊は大日如来(だいにちにょらい)です。また、本尊に向かって右側には宗派の開祖である弘法大師(空海)を祀ります。一方、向かって左側には不動明王を祀るのが一般的です。不動明王は、大日如来の化身とも考えられています。

浄土宗

浄土宗の本尊は、(あみだにょらい)です。「脇掛け」として、本尊に向かって右側には高祖善導大師(こうそぜんどうだいし)、そして向かって左側には、宗派の開祖である元祖圓光大師(がんそえんこうだいし:法然上人)を祀ります。

浄土真宗(本願寺派)

浄土真宗でも、西本願寺を総本山とするのが本願寺派です。本尊として阿弥陀如来を祀ります。また、本尊から向かって右側には親鸞聖人(しんらんしょうにん)、向かって左側には蓮如上人(れんにょしょうにん)を配置するのが一般的です。

なお、脇掛けとして親鸞聖人の代わりに「十字名合(じゅうじみょうごう)」、蓮如上人の代わりに「九字名号(くじみょうごう)」を祀ることもあります。

浄土真宗(大谷派)

浄土真宗の大谷派は、東本願寺を総本山とする宗派です。本尊は、本願寺派と同じ阿弥陀如来です。

そして本尊から向かって右には「十字名合」、左には「九字名号」を祀ります。また、本願寺派と同様に「十字名合」の代わりに親鸞聖人、「九字名号」の代わりに蓮如上人の組み合わせにするケースもあります。

曹洞宗

曹洞宗では、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)が本尊です。そして、本尊から向かって右側には永平寺を開山した高祖道元禅師(こうそどうげんぜんし)を、左側には総持寺を開山した太祖瑩山禅師(たいそけいざんぜんし)を祀ります。

臨済宗

臨済宗の本尊は釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)です。本尊から向かって右側には禅宗の開祖である達磨大師(だるまたいし)を、左側には観世音菩薩を祀ります。

臨済宗の妙心寺派では、右側に開山無相大師(かいざんむそうだいし)、左側には花園法皇を祀るのが一般的です。

日蓮宗

日蓮宗では、本尊として仏像ではなく「十界曼荼羅(じっかいまんだら)」を置きます。本尊にお題目である「南無妙法蓮華経」を掲げる場合も多くあります。脇掛けとして、本尊から向かって右側に「鬼子母神(きしもじん)」を、左側に「大黒天(だいこくてん)」を安置するのが習わしです。

宗派に合った本尊を祀って手を合わせよう

本尊は仏教信仰の中心にあるものです。また、仏壇を購入する際は本尊も同時に用意するようにします。本尊となる仏様は宗派によって異なり、左右に配置する脇侍も変わります。自分の宗派の本尊をお迎えして、きちんと拝むようにしたいですね。