【インド原産】白檀(びゃくだん)の特徴は?故人を偲ぶための仏具も紹介

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【インド原産】白檀(びゃくだん)の特徴は?故人を偲ぶための仏具も紹介
香木としても有名な白檀(びゃくだん)は、仏教との関わりが深い植物です。数珠や仏像、位牌(いはい)などの仏具にも使用されています。本記事では、白檀の概要や香りの特徴、白檀を使った仏具の詳細などを紹介します。

白檀の基本情報や特徴

「白檀」は熱を加えなくても芳香を放つことから、日本では「扇子の骨」に使用されたり、「匂い袋」として生活の中でも利用されています。まずは、白檀の別名を始めとした基本情報や、香りの特徴、仏教との関係を紹介します。

白檀の基本情報

・原産地...インド
・分類...ビャクダン科ビャクダン属
・特徴...半寄生性の常緑小高木

白檀の特徴である「半寄生」とは、光合成をする力があるにもかかわらず、他の植物に寄生して栄養を吸収するものを指します。同じく「常緑小高木(じょうりょくこうぼく)」とは、1年を通して緑色の葉をつける、背の高い樹木のことです。白檀も、約3~10mまで成長します。

木の幹の部分が白っぽいことから「白檀」と呼ばれるようになったそうです。毎年5月頃になると、黄色や紫色の花が咲きます。インド南部の乾燥地域で採取されたものは特に品質が良く、「老山白檀(ろうざんびゃくだん)」と称されます。また、白檀の木材は磨くと光り、月日がたつにつれて艶に深みが増すところも特徴的です。

別名はサンダルウッド

白檀は、英名では「サンダルウッド(檀香)」、インド名では「チャンダン、チャンダナ」と呼ばれています。サンダルウッドは、インドのサンスクリット語の「チャンダナ」が語源。

白檀とサンダルウッドは同じものですが、お香として使用されているときは「白檀」、オイルとして使用されるときは「サンダルウッド」と呼ばれることが多いようです。

心の落ち着く甘い香り

甘さと上品さを感じられる白檀の香りは、サンタロールという成分が発しているものと言われています。この成分は化学合成できないため、とても貴重です。白檀の香りは心が落ち着くと評判で、白檀のお香は高い人気を集めています。白檀は常温のままでも香るところも特徴の1つ。ただし、外気にさらしたままにすると香りが薄れていくので、保存をする場合は注意が必要です。

白檀と仏教の関係

お線香やお焼香などに使用されている白檀は、仏教と深い関係があります。仏教には「お香を供える=供養」という、お釈迦様が生きていた時代からの風習や考え方が根付いています。お釈迦様を荼毘(だび)に付す(火葬・埋葬すること)時に使用したのも、白檀だったそうです。

白檀が使用されている仏具の具体例

お釈迦様を荼毘に付した際に使用されたという、白檀を用いた仏具で故人を偲んではいかがでしょうか。こちらでは、白檀が使用されている仏具を紹介します。

線香

線香の原料として最も一般的なものが白檀です。

数珠(念珠)

白檀が使用された数珠(念珠)は、2年ほど香りを楽しめます。香りが薄くなった後は、月日が流れるにつれて深みが増す、色艶の変化を楽しみましょう。これまで念珠や数珠はインド産の白檀が使用されていることが一般的でしたが、材料の不足に伴い値段が高騰。そのため、現在はインドネシア産が増えています。

位牌

位牌は表面に故人の戒名が、裏面には故人の生前の名前や、亡くなった年月日と没年齢が記されています。位牌は、仮位牌とも呼ばれる白木の位牌と、本位牌の2種類があります。白木の位牌とは、亡くなってからすぐに準備される臨時用の位牌のこと。納骨をする四十九日までの間、祭壇に飾られます。

一方の本位牌は、白木の位牌を撤去した後に永く飾られる位牌のことです。本位牌の主な種類は、塗り位牌や唐木(からき)位牌、モダン位牌などがありあます。塗り位牌とは名前の通り黒色で塗られた位牌で、金箔(きんぱく)などを使って仕上げたものです。次に、唐木位牌とは綺麗な色の木材を使用した位牌で、半分透けて見える漆を塗って仕上げたものを指します。最後にモダン位牌とは、これまでの仏具の常識に囚われない、新しいジャンルの位牌です。木材以外の材料を使用することも多いモダン位牌は、モダン仏壇やミニ仏壇に合うとされています。

白檀は本位牌に使用されることが多く、特に唐木位牌に多く使用されているようです。

仏像(仏壇用)

仏像は、優填王(うでんのう)という人物が「いつでもお釈迦様に会えるように」といった願いを込めて、白檀の木で像を作ったことで誕生したと言われています。白檀の木材を使用している仏像は、「檀像(だんぞう)」と呼ばれます。

白檀を使用した仏像は高価なものが多いことで有名です。価格は最低でも10万円、最高品質の老山白檀を使用しているものだと70万円を超えるものもあります。

数珠の選び方と保管・お手入れ方法

お葬式などの必需品である数珠は、お守りという意味合いもあります。数珠は正しい保管とお手入れをすれば、末永く使用できる仏具の1つです。数珠の選び方と保管・お手入れ方法について見ていきましょう。

数珠の選び方

数珠には主に本式数珠と略式数珠の2種類があります。本式数珠は「正式数珠」とも呼ばれるもので、珠数や仕様が自分の宗派に適した数珠のことを指します。一方の略式数珠は、宗派にこだわらずに使用できる数珠のことで、「片手数珠」と呼ばれることもあります。

数珠を購入する際は、本式数珠と略式数珠のどちらにするかを最初に決めましょう。次に、男性用か女性用かを選びます。ここからは、価格やデザイン、素材などに着目して数珠を選んでいきます。

数珠の価格は素材によって異なり、安いものだと数千円から購入可能です。白檀を使用した数珠はとても高価です。数珠は手入れや修理をすることで何十年と使えるので、基本的には頻繁に買い替えることはありません。そのため、自分が気に入った素材や色の数珠を選ぶことも大切です。

末永く使用するものは妥協せずしっかり選びたいもの。以下の記事では自分に合った数珠を選ぶコツを分かりやすく紹介していますので、ぜひチェックしてくださいね。

数珠の保管方法

数珠を自宅で保管する場合は、形が変わらないように専用の箱や桐(きり)の箱に納めます。数珠を持ち歩くときは、素材に傷がつかないように数珠袋に入れると良いでしょう。白檀のように木で作られている数珠は、箱や袋の中に防虫剤を入れておくと虫がつきづらいです。防虫剤は、変色などの恐れもあるので、注意事項を確認してから使用することが大切です。

数珠のお手入れ方法

数珠はお葬式や法要のときに使用するもので、日常使いするものではありませんが、年に数回、短い時間だけ使用する場合でも意外と汚れがついているものです。

しかし、数珠の汚れが気になったとしても、質を保つために水洗いは絶対にやめてください。また、洗剤の使用もいけません。これは素材にかかわらず、すべての数珠に共通している注意点です。数珠の汚れが気になる場合は、乾いたやわらかい布で優しく拭き取りましょう。

また、数珠を長年使用していると、糸が緩んできたり、切れてしまったりすることもあります。そのような場合は買い替える人が多いかもしれませんが、仏具店などに修理の相談をするのも一つの手です。

白檀を使った仏具で故人を偲ぼう

白檀を使用した仏具は質が良く、色艶が魅力です。さらに、お釈迦様や仏教と白檀の関係を深掘りしていくと、歴史のロマンも感じられることでしょう。位牌や仏像、数珠など、白檀を使用した仏具で大切な故人を偲びましょう。