表で分かる「二十四節気」。行事と食から季節の名を知る

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表で分かる「二十四節気」。行事と食から季節の名を知る
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、暦に記される季節を表す言葉です。太陽の動きを元に1年間を24等分であらわし、春・夏・秋・冬に各6種類あります。知っておくと時候の挨拶にも使えて便利です。本記事では、二十四節気の概要や歴史、さらにはそれぞれの意味を行事や旬の食べ物とともに紹介します。

二十四節気の概要

二十四節気(にじゅうしせっき)は、季節の変わり目を示す24の日のことです。まずは二十四節気の概要から解説します。

太陽の黄道上の動きを24等分したもの

暑い日は真上に、寒い時期は遠く斜めにある太陽。季節を知るためにはこの太陽の位置が重要です。二十四節気を知る上でも太陽の位置がポイントになります。

太陽が移動する天球上の道を黄道(こうどう)と言います。二十四節気は、太陽の黄道上の動きを15°ずつ24等分したものです。それぞれの季節は6つに分類され、季節の始めに立春・立夏・立秋・立冬の「四立(しりゅう)」が配されています。以下はその一覧表です。
(太陽黄経)
立春 雨水 啓蟄
315° 330° 345°
春分 清明 穀雨
15° 30°
(太陽黄経)
立夏 小満 芒種
45° 60° 75°
夏至 小暑 大暑
90° 105° 120°
(太陽黄経)
立秋 処暑 白露
135° 150° 165°
秋分 寒露 霜降
180° 195° 210°
(太陽黄経)
立冬 小雪 大雪
225° 240° 255°
冬至 小寒 大寒
270° 285° 300°
ちなみに太陽黄経とは、太陽が天球上を通る経路(黄道)を等角に分割した座標のこと。春分の日の元となる「春分点」を座標ゼロとしています。

また、24の「節気」からなるわけではなく、「節気」と「中気(ちゅうき)」の繰り返しでできています。立春は節気、雨水は中気という訳です。

国立天文台が算出している

二十四節気の計算は、国立天文台によっておこなわれます。国立天文台は、算出した二十四節気を2月に出す官報に「歴要項(れきようこう)」として掲載。これをもって、次の年の二十四節気が決定します。

日本人の季節感の指針として使われる

二十四節気は、発祥の地である中国を流れる大河、黄河の中・下流域の気候に基づいていると言われています。そのため、暑さ・寒さのピークは日本より1~2ヶ月ほど早いことも。二十四節気と日本の気候はマッチしないこともありますが、日本人はこのずれも含めて二十四節気を季節感の指針として大切にしてきました。現在も俳句の季語などを見ると、二十四節気に由来するものが数多く見られます。

二十四節気はビジネス文書などの挨拶にも使いやすいものです。かしこまった文書を作る時に、「穀雨の候」「立秋の候」などのように文頭で「○○の候」とするだけで季節の挨拶として使えます。

春の二十四節気

この章からは、二十四節気の詳細をみていきます。春の二十四節気には、立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨があります。それぞれの意味や過ごし方を紹介します。

立春(りっしゅん)

節分の翌日、2月4日頃です。この日から立夏(5月6日頃)の前日までが暦の上では春とされます。まだまだ厳しい寒さが続きますが、梅の花などが咲き出しはじめ、春の気配も感じられるでしょう。

雨水(うすい)

2月19日頃で、農民が農作業の準備を始めるための目安にすると言われます。雪や氷が溶けて水となり、冷たい雪は雨へと変わっていきます。草木も目を出し始めます。

啓蟄(けいちつ)

3月6日頃に当たることが多く、そろそろ冬ごもりしていた地中の虫がはい出てくる頃です。「啓」はひらくことを意味し、「蟄」は虫(蛙や蛇)などが冬眠することを示しています。

春分(しゅんぶん)

3月21日頃で、国民の祝日の1つです。春のお彼岸の中日(ちゅうにち)でもありますから、お墓参りに行ったり、ぼたもちを食べたりして過ごします。また、春分は昼夜の長さがほぼ等しくなる日。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われる通り、日が徐々に長くなり、暖かくなります。

清明(せいめい)

「清浄明潔(せいじょうめいけつ)」を略したものと言われます。4月5日頃を指し、すべてのものが清らかかつ、生き生きとして見える時期です。

穀雨(こくう)

4月20日頃で、やわらかな春の雨がすべての穀物を潤すと言われます。種まきの目安とされ、この時期に種をまくと雨に恵まれ良く育つと言われてきました。また、穀雨の終わりの「八十八夜」に摘まれた茶葉を飲むと、無病息災でいられるそうです。

夏の二十四節気

夏の二十四節気には、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑があります。それぞれについて紹介します。

立夏(りっか)

5月6日頃で、この日から立秋(8月8日頃)の前日までが暦の上の夏です。新緑が美しく夏の気配が感じられ、爽やかな晴天が続きます。

小満(しょうまん)

5月21日頃に当たり、麦が実って田植えの準備が始まる頃です。気候も良くなり、草木が伸びて生い茂るという意味があります。

芒種(ぼうしゅ)

6月6日頃、田植えをしたり穀物の種をまいたりする時期です。「芒」は訓読みでは「のぎ」と読み、穀物の穂先につく毛のようなもののことを指します。農家はこの時期から繁忙期に入ります。

夏至(げし)

6月21日頃。日本を含む北半球では、昼が最も長く夜が短い日で、暦の上では夏の中間地点に当たります。6月30日には、神社で「夏越の祓え(なごしのはらえ)」という、半年間の穢れを祓う行事がおこなわれます。6月晦日(みそか)であるこの日は、和菓子の「水無月(みなづき)」を食べるのが習わしです。

小暑(しょうしょ)

「だんだん暑さが増してくる」という意味で、7月7日頃です。梅雨明けが近く、本格的な夏はすぐそこに迫っています。暑中見舞いを送るなら、この時期の梅雨があけてから。喪中でも暑中見舞いは送っても構わないとされています。お相手の身体を気遣い、心に寄り添ったメッセージを届けてはいかがでしょうか。

大暑(たいしょ)

7月23日頃で、いよいよ暑さも本番。7月20日頃が「夏の土用の入り」とされ、丑の日にはウナギを食べて英気を養います。

秋の二十四節気

秋の二十四節気には、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降があります。それぞれについて紹介します。

立秋(りっしゅう)

8月8日頃で、暦の上では秋になります。まだまだ暑さが続きますが、立秋以降は「残暑」です。文書などで挨拶を送るときは「残暑見舞い」と記します。

処暑(しょしょ)

8月23日頃で、「暑さが止む」という意味があります。吹いてくる風に涼気が含まれるようになり、朝晩は暑さのやわらぎを感じることもあるでしょう。

白露(はくろ)

9月8日頃に当たり、朝晩の空気に冷たさを感じることもあります。野の草に白露(しらつゆ)が宿り、秋の訪れを感じる頃です。

秋分(しゅうぶん)

9月23日頃で、秋の彼岸の中日に当たる他、国民の祝日に定められています。春彼岸と同様にお墓参りをしたり、おはぎを食べたりして過ごします。また、秋分は昼夜の長さがほぼ同じになる日。徐々に夜が長くなっていきます。

寒露(かんろ)

10月8日頃で、秋が深まり野の草に冷たい露が降ります。この頃になると、稲刈りはほぼ終わりです。また、その他の農作物も収穫どきを迎えます。

霜降(そうこう)

10月23日頃で、早朝に霜が降りることもあります。朝夕の寒暖差が激しく、そろそろ冬の到来を感じることもあるでしょう。

冬の二十四節気

冬の二十四節気には、立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒があります。それぞれについて紹介します。

立冬(りっとう)

11月7日頃で、「冬立つ」とも言われます。この日から立春の前日までが暦の上での冬とされ、冬の気配を強く感じ始めるでしょう。関東や近畿地方では木枯らしが吹くこともあります。

小雪 (しょうせつ)

11月27日頃で、冬の入口とも言える時期です。雨が冷たい雪に変わり、山には初雪が舞い始めます。

大雪(たいせつ)

12月7日頃で、本格的な冬が訪れます。山には雪が降り積もり、平地でも雪になる日があるかもしれません。人々は年末準備で慌ただしくなる頃です。

冬至(とうじ)

12月22日頃。北半球では太陽の南中高度が最も低くなることから、この日は「昼の長さが1年で最も短い日」です。古くから厄除けとして、かぼちゃ、ゆず、小豆粥などを食べる習慣があり、無病息災を願います。

小寒(しょうかん)

1月5日頃で「寒の入り」と言われる時期です。寒さがいよいよ厳しさを増し、この時期に文をしたためる場合は「寒中見舞い」の挨拶として送り、松の内が明けてから、春の節気の立春までには出します。喪中にもらった年賀状への返事や、喪中と知らずに年始の挨拶をしてしまったときのお詫びとしても良いでしょう。

大寒(だいかん)

1月20日頃で、1年で最も寒さが厳しくなる時期です。この寒気を利用して、人々は凍り豆腐、寒天、酒、味噌などといった食物を仕込みます。

二十四節気を知れば季節の移ろいに気づきやすくなる

二十四節気は、実際の季節とは若干のずれがありますが、古くから親しまれてきました。変化に富んだ四季があるのは、日本の大きな魅力の1つです。二十四節気を意識して日々を過ごせば、季節のささいな変化にも敏感になるでしょう。日本の四季を実感し、心豊かな毎日を過ごしてください。