急逝(きゅうせい)の意味や使い方。逝去との違いや対処法も

お葬式のマナー・基礎知識
急逝(きゅうせい)の意味や使い方。逝去との違いや対処法も

この記事はこんな方におすすめです

急逝の意味や読み方を知りたい
身内が急逝した場合の対処法を確認したい
急逝(きゅうせい)とは、健康だった人が突然亡くなった際に用いる言葉です。人の死を表す言葉は、急逝の他にも逝去や死去などがありますが、それぞれ意味や使い方が異なります。本記事では、急逝の意味や使い方、類義語との使い分け、身内の急逝を知らせるときの連絡マナーなどについて紹介します。

急逝(きゅうせい)とは、人が突然亡くなったという意味

急逝(きゅうせい)とは、予兆もなく急に人が亡くなることを意味する言葉。「逝」は訓読みで「ゆく」「いく」、音読みで「セイ」と発音し、人が去って戻らないことや死を表します。前日まで病気や怪我の様子もなく、まだ元気に過ごせると思っていた人が突然あの世へ旅立った際に用います。

急逝の使い方と例文

ここからは、急逝の使い方を例文とともに紹介します。丁寧語に分類される急逝は、故人が亡くなったときに身内同士で使うのが基本です。

丁寧語なので身内に用いるのが基本

急逝は尊敬語ではないため、身内同士のかしこまった席や故人が亡くなったことを身内へ連絡する際に使います。また、口語ではなく文語で表す際に使われることが多いです。

<例文>

  • 母が急逝し、父方の祖父宅に引っ越した。
  • 今朝、祖母が急逝したと知らされた。

若くして亡くなった人を惜しむ場合にも使われる

亡くなるにはまだ若い年齢であの世へ旅立った故人に対して、残念に思う気持ちを示すために急逝を使用するケースもあります。

<例文>

  • 人気の若手アーティストが急逝したとニュースで報じられた。
  • 部下が急逝したと連絡が入り、職場が混乱している。

類似した言葉と急逝との違い

ここからは、急死・逝去・死去・他界といった急逝以外に人の死を表す言葉を紹介します。それぞれの言葉の意味や使い方、急逝との違いを確認するために役立ててみてください。

急死:急逝の口語表現

急死とは、急逝と同様に急に人が亡くなることを示す言葉です。ただし、改まった場で丁寧な表現にしたいときは急逝を用います。また、急逝は文語、急死は口語として使われるのも両者の違いです。また、交通事故などの唐突な原因で亡くなった際に急死と表現することがよくあります。

<例文>

  • 父は脳溢血で急死した。

逝去:人が亡くなった意味の尊敬語

逝去(せいきょ)とは、尊敬語として人が亡くなったことを表現する言葉です。急逝は突然あの世へ旅立ったことを表す丁寧語ですが、逝去は突然という意味を含みません。故人への尊敬の意を示す言葉であり、身内以外で自分より地位が高い人などに対して使います。
逝去は尊敬語の一種であるため「逝去された」や、接頭語の「ご」を付した「ご逝去」といった表現は二重敬語に当たります。しかし、葬儀などでは深い敬意を表すために敢えて二重敬語にすることも多いです。

<例文>

  • ご母堂様のご逝去に、謹んでお悔やみ申しあげます。

死去:人の死を表す一般的な言葉

死去は、一般的に人が亡くなったことを表す言葉。尊敬語には分類されず、社内の人が亡くなったことを社外の人に連絡したり、親族の訃報を伝えたりする場合など、身内の死に関して使います。
ただし、社内の人でも家族へ挨拶する際は失礼な表現だと捉えられるため使いません。身内に用いる点で急逝と似ていますが、突然の死という意味を含んでいないところが違いです。

<例文>

  • かねてより入院していた母〇〇が、〇〇年〇月〇日に死去しました。

他界:人の死を遠回しに表現した言葉

他界とは、「他の世界」や「境界」を意味すると同時に、婉曲的に死を表現する言葉です。死去の同義語に当たり、主に身内が亡くなったときに使います。突然の死を意味しないところが急逝との違いです。
仏教においては、死とは現世とは異なる世界へ旅立つことと説かれており、存命中にいた場所とは違う場所を意味する「他」、範囲を表す「界」を組み合わせているのが特徴です。ただし神式やキリスト教の弔電においては「他界」という言葉をマナーとして使用しない方が良いとされています。また同じ仏教でも、浄土真宗のように他界を使わない宗派もあるため注意が必要です。

<例文>

  • 私の祖父は、昨年80歳で他界しました。

身内が急逝したときの連絡マナー

身内が急逝したときには、故人と縁のあった人たちへの連絡が必要です。突然訪れた悲しみの中で冷静になるのは難しいかもしれませんが、あらかじめポイントを押さえておけば対応しやすいのではないでしょうか。ここでは、急逝を伝える際のマナーを紹介します。

故人と身近で親しい順番から伝える

身内が突然亡くなった際の連絡は、故人が生前に親しくしていた順番でおこないます。順番を決めるときの目安は、以下の通りです。
  1. 家族・親族(三親等以内が目安)
  2. 故人の友人・知人・関係者
  3. 遺族の友人・知人・関係者
  4. 近隣住民や町内会など居住地の関係者
親族は葬儀のスケジュール調整が必要となる可能性が高いため、早めに伝えます。学校や職場、親しい友人仲間、町内会など故人が存命中に属していたところには、特に近しい関係にあった人から連絡してください。親しい人に連絡する際は、代表者として他の友人・知人への連絡もお願いすると手間を減らせます。
また、菩提寺がある場合も連絡を忘れずに。余裕がない中で大変かもしれませんが、葬儀社も早めに決めて連絡をしておくと、後々の予定を立てやすくなります。

電話で伝えるのが一般的

身内の急逝を伝える際は、電話を使うのが一般的です。訃報は、なるべく早く正確に伝えることが大切。なかでも親族に対しては葬儀関連の相談も必要となるため、電話ならスムーズに意思の確認ができます。もし電話がつながらない場合は、メールなどで取り急ぎの連絡をした後、少し時間を置いてから再び電話をしてください。

伝える際の注意点

連絡の際には、以下のポイントを意識します。
  • 早朝や深夜の時間帯は故人と相手の関係を配慮して判断する
  • 目上の人への連絡ではメールを避ける
  • メールや書面の連絡では句読点を使わない
  • 葬儀の日程や会場、形式、宗教、宗派を正確に伝える
  • 家族葬の場合でも葬儀前に訃報を伝える

身内が急逝したとの連絡を受けたら

最後に、急逝の連絡を受けた際の対応や注意点を解説します。突然の訃報に動揺したとしても、まずは遺族の気持ちに寄り添うことを意識してみてください。

お悔やみの言葉を述べる

急逝の知らせを受けたら、簡潔にお悔やみの言葉を伝えます。考えてもみなかった訃報に頭が真っ白になるかもしれませんが、なるべく心を落ち着かせて対応することが大切です。
お悔やみの言葉を伝える際は、不吉なことを想起させる忌み言葉を使ったり、亡くなった原因を聞いたりするのは控えてください。また、宗派によって避けた方が良い言葉もあるため注意が必要です。

<避けた方が良い言葉>

  • 浄土真宗の場合:「御霊前」「ご冥福」など
  • 神式・キリスト教の場合:「成仏」「供養」など

葬儀の情報を確認する

お悔やみの言葉の後は、葬儀やお通夜の日程、場所、形式、宗派について聞いてください。親族など故人と近い間柄にあった場合は、お通夜の前に弔問へ行きます。職場関係者の訃報では、まず上司の判断を確認しますが、お通夜もしくは葬儀・告別式に参列するのが一般的です。近所の人や町内会の人が亡くなった場合は、お通夜などの知らせまで待機し、参列の準備を整えます。

親族など近しい場合は、なるべく早く駆け付ける

故人が旅立った後は、葬儀の準備のために人員を確保する必要があります。故人の親族である場合は、なるべく早く先方へ向かうようにしてください。急逝の連絡を受けたものの、入院や出張などの理由ですぐに向かえないときは、誰かに代理を依頼したり、弔電を送ったりしてお悔やみを伝えます。日を改めて遺族の都合を聞き、心を込めて弔問すれば問題はありません。

急逝の意味を知り、大切な人の訃報に寄り添おう

急逝は、想定していなかった人が亡くなった際に使われる言葉です。身内の訃報に用いることが多く、連絡をする人も受ける人も突然のことで動揺してしまうかもしれません。類義語との違いや使い方を理解し、もしものときは心を落ち着けて対応できるよう意識すべきことを押さえておくと良いのではないでしょうか。