「功徳を積む」の意味・例文とは?人生を豊かにするヒント

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「功徳を積む」の意味・例文とは?人生を豊かにするヒント

この記事はこんな方にオススメです

「功徳を積む」の意味が知りたい
功徳を積む過ごし方を知りたい
功徳とは見返りを求めずに善いおこないをすることで、「功徳を積む」などと表現されます。周囲を思いやり優しい言動をすることで、結果的に自分や亡くなった人、ご先祖までもが幸せになるかもしれません。今回は功徳の意味や例文、類語をはじめ、今日からできる功徳を積む生き方や、仏教徒ならではの功徳を積む方法を紹介します。

【基本】功徳を積むとは?意味を紐解く

功徳(くどく)は仏教から来た言葉です。まずは言葉の意味と、功徳を積んで得られるものから紹介します。

功徳とは「善いおこない」のこと

“功徳”という言葉に込められた意味は主に2つあります。
①今生きているこの世の中や、来世に幸せを届ける基となる善行
簡単に言うと、「善いこと」「善いおこない」という意味です。
②善いおこないをしたことによって得られる、神仏からのご利益
善いことをしたあとに授かる、「功能(くのう)=よい働き」や「福徳(ふくとく)=幸福、利益、恵み」のことも功徳と言います。

なお、功徳は「功徳を積む」「功徳を施す」といった使い方をします。

功徳の積み方

功徳を積むような善いおこないは、大きく2つに分けられます。一つは仏教的なもの、もう一つは日常的なものです。詳しくは後述しますが、前者には読経、写経、断食、祈祷、お布施などが、後者には人助け、ゴミ拾いなどのほか、いつも笑顔でいる、きれいな言葉を使うといったものがあります。

功徳を積むとどうなる?得られるもの

功徳を積むことで得られると言われるのは、主に次の4つです。
①人望・人脈
功徳を積む最中は、自分だけでなく周りの人のことも大切にします。他人を思いやる行動をしていると、その心が相手に伝わって自然と人が集まります。周りの人との絆が生まれることで、自分が困ったときは誰かが助けてくれるかもしれません。
②明るく前向きな考え方
誰かのために行動することで、自信も力もみなぎって前向きな姿勢でいられます。人の役に立つおこないを心がけることで、生き方も明るく前向きになるでしょう。
③仕事が順調に進む
善いおこないを人目がないところでしていたとしても、周囲の人には伝わるものです。それが困った時の周囲の助けなどにつながり、仕事にも好影響を与える可能性があります。
④良い出会い
善いおこないをしていると良いつながりができ、良縁に恵まれると言われています。恋愛、仕事関係、友人など、きっと素敵な人と出会えるはずです。

「功徳」の例文・類語

ここでは功徳を使った例文や、類語を紹介します。日常の会話ではあまり使う機会がないかもしれませんが、知っておくと何かの役に立つかもしれません。

例文

功徳を使った例文は次の通りです。
<例文>
  • あの人に良いことが訪れるのは、功徳を積んでいるからだ
  • 人知れず功徳を施す
  • 功徳を父母に回向する

類語

功徳の類語はいくつかあります。それぞれの意味は次の通りです。
<類語>
  • 善行(ぜんこう):道徳にかなった善いおこない
  • 篤行(とっこう):人情にあつい誠実なおこない
  • 陰徳(いんとく):密かにする善いおこない
  • 善根(ぜんこん):良い出来事を招くおこない
このうち、善根は功徳と同じ仏教語です。意味もほぼ同じですが、一般的に使われるのは功徳の方です。
なお、功徳を含めた五語は主に文章の中で使われますが、善行は話し言葉でも使われます。

【仏教】功徳を積む方法

お経を読む・聞くこと、写経をすることも功徳を積む方法の一つとされます。ここでは、お経と写経について紹介します。

お経を読む・聞く

お経の最後に“回向文(えこうもん)”があります。回向文の内容は『功徳によって、すべての生き物が悟りを開けますように』『良い方向へと導かれますように』というもの。このような願いが込められたお経は、読んでいる本人だけでなく、聞いている人も功徳を積めると言われています。
また、お経を声に出して読む行為(読経)は、さらに功徳を積めるそうです。経本が手元にあれば、自分でも好きなタイミングで読めます。故人のあの世での幸せを願ってお経を読めば、自分の功徳を回し向けることにつながります。お墓や仏壇の前などでおこなう、読経を習慣にしてみてはいかがでしょうか。

写経をする

写経は、仏像一体を刻むのと同じくらいの功徳を積めると言われています。写経は習字とは違うため、字が下手でも問題ありません。また、書いてある言葉の意味が分からなくても構いません。写経で大切なのは、一文字ずつ心を込めて書くことです。
写経に興味がある人は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

【日常】今日からできる、功徳を積む生き方

功徳を積むことの一つにお布施がありますが、これはお金だけに限りません。仏法の教えには“無財の七施(しちせ)”というものがあり、日常生活にも活かせます。具体的には次の7つです。
  1. 「眼施(げんせ)」
  2. 「和顔悦色施(わげんえつじきせ)」
  3. 「言辞施(ごんじせ)」
  4. 「身施(しんせ)」
  5. 「心施(しんせ)」
  6. 「床座施(しょうざせ)」
  7. 「房舎施(ぼうしゃせ)」
無財の七施は言葉で見ると難しそうに感じるかもしれませんが、意味を知るとどれも身近なものであることが分かります。こちらで無財の七施に沿った過ごし方を紹介するので、今日から意識してみてはいかがでしょうか。

①優しい眼差しで相手を見つめる(眼施)

優しい眼差しで人に接することが、眼施(げんせ)に当てはまります。会話をする際、睨みつけていては相手も良い気分にはなりません。人と接するときは相手を思いやる心を持ち、優しい表情や目つきを意識します。そうすることで、相手だけでなく自分も温かい気持ちになるはずです。
苦手な人と接する際は、深呼吸をして心を落ち着かせます。心に余裕が生まれれば、優しい眼差しで接することができるでしょう。

②笑顔で過ごすことを心がける(和顔悦色施)

にこやかな顔で接することが、和顔悦色施(わげんえつじきせ)です。笑顔は周りに良い影響を与えます。話しているときに自分が難しい表情をしていると、相手にも緊張感が伝わり、お互いに硬い表情になってしまいます。仮に嫌な出来事があっても、一緒にいる人には関係のないことです。表情には出さず、そういうときこそ笑顔を心がけたいものです。

③きれいな言葉遣いを意識する(言辞施)

優しい言葉や、きれいな言葉遣いを意識することが、言辞施(ごんじせ)です。言葉はコミュニケーションの要となるものです。汚い言葉は周囲を不快にする原因となり、美しい言葉遣いは周囲も自分も心地よく包みます。
「おはよう」「ありがとう」など、人と接したときは挨拶や感謝の言葉を積極的にかけるように意識すると、お互いに気持ちよく過ごせるでしょう。

④人の手助けをする(身施)

自分の体を使い、できる範囲で奉仕することが身施(しんせ)です。難しく考えず、次のようなことを意識してみてください。
<身施の一例>
  • ボランティア活動をする
  • 重い荷物を持ってあげる
  • 困っている人を助ける
  • お年寄りや体の不自由な方をお手伝いする
  • 掃除をする
人の手助けをする際は、見返りを求める邪な心ではなく、善良な心でおこなうことが大切です。続けるうちに、困っている人を見かけたら体が自然と動くようになるかもしれませんね。

⑤人を思いやり幸せを願う(心施)

自分以外に心配りをすることが、心施(しんせ)に当てはまります。「自分だけが良ければそれで良い」と思うのではなく、人の気持ちに寄り添うことが大切です。相手の幸せを心から願うことで功徳を積めるのです。

⑥人に座席を譲る(床座施)

他者に席や場所を譲ることが、床座施(しょうざせ)です。分かりやすいのは、電車やバスの座席でしょうか。満席の際は、困っている人に席を譲ります。体は疲れるかもしれませんが、自分と相手の間に優しく温かい空気が流れるのを感じられるでしょう。
そのほか、ライバルや後輩などの他者に自分の地位を譲ることも床座施に含まれます。

⑦人を家に泊めてあげる(房舎施)

人を家に泊めてあげることや雨や風をしのぐ場所を提供することが、房舎施(ぼうしゃせ)です。具体的には、友人・知人を自宅に泊めてあげる、雨や雪のときに軒下を貸してあげる、困っている人に傘を貸してあげる、といった思いやりのある行動が当てはまります。
また、いつでも人を招けるように、自宅は普段から掃除をしておきます。掃除をし、きれいな空間にすることも功徳を積むおこないの一つです。

今日から「功徳を積む生活」をしてみては

「功徳を積む」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、簡単に言うと「他者を思いやり、優しい言動を心がけよう」ということです。読経や写経はハードルが高いと感じる場合は、きれいな言葉を使う、笑顔を心がけるなど、今すぐできることから始めてみてはいかがでしょうか。人に優しくすることで、きっとあなたの周囲は温かくなります。