大切な人が危篤になったら。心構えとまずすべきことは

ご家族の通夜・葬式準備
大切な人が危篤になったら。心構えとまずすべきことは
医師から家族が危篤状態にあることを告げられたら、または大切な人が危篤であると連絡を受けたらどのように行動すればよいのでしょうか。もしかしたら最後の別れになるかもしれない状況に備え、やるべきことや準備しておきたいことを紹介します。

危篤について知っておくべきこと

入院中の家族が「危篤」と連絡を受けたら、不安になることでしょう。漠然と「命の終わりの日が近づいている」というイメージを持っている人は多いと思いますが、心構えのためにも危篤という言葉が示す状態を承知しておきましょう。

危篤とはこんな状態

一般的に危篤とは、「死に近づいている状態」のこと。すでに意識を失くされているケースが多いです。家族のもとに急な連絡が入るのは、これが最期の別れになるかもしれないからです。病院から連絡があった場合は、何をおいても迅速に駆けつけるのが望ましいでしょう。

危篤かどうかは医師が判断

患者が危篤状態かどうかは、担当医師によって判断されます。医師の目から見て患者の状態が悪く、もう長くはないと判断された時が危篤状態。医師はバイタルサインや経験などさまざまな観点から決断を下すため、ここから回復に向かうのは非常に困難と考えられます。一概には言えませんが、もって一晩、また、2~3日の場合が多いです。ただし、本人の生命力が強くて体調を持ち直したり、医師に告げられた余命よりも長く頑張ってくれることもあります。

必要なのは「深呼吸」と「冷静さ」

家族が危篤状態にあると言われれば、誰もが落ち着かないのは当然です。その場で家族と向き合ったり、無事に病院に向かったりするために、一度深呼吸をして心のバランスを整えます。吸う息よりも吐く息を長めにすると、気持ちが落ち着きやすくなります。

危篤からの回復はとても難しいものです。ただし、その状態から回復した人もいますし、最期の別れがいつ来るのかは医師にも本人にも誰にも分かりません。危篤の知らせを受けてもあわてずに、できれば冷静に状況を見守りましょう。

危篤を伝える連絡はどうする

家族が危篤との連絡を受けた場合、他の家族や近しい人にも連絡を取ることになります。危篤の連絡は誰に、どのようにすべきなのでしょうか。

家族や近親者に連絡

まず連絡すべきは、家族や近親者です。病院などでも危篤の場合などいざという時に連絡を入れる人は決まっています。本人の3親等以内の親族、具体的には、配偶者、兄弟姉妹、子ども、孫、ひ孫、祖母、曾祖母、甥、姪です。それぞれに配偶者がいる場合は、たとえ血が繋がっていなくても連絡をしておくべきでしょう。

また、3親等に含まれていなくても、家族と特に仲のよかった人がいる場合は、そちらへもきちんと連絡を入れましょう。

必要事項をもらさず伝える

危篤の知らせは急を要するため、電話で行うのが一般的です。ただし、気が動転している場合も多いため、病院・病室などの必要な事項は事前にメモするなどしておくと安心でしょう。
危篤の連絡では、以下の項目を忘れずに伝えるようにします。

①自身の名前、危篤の家族との続柄
②危篤者の名前(※親族同性のためフルネームで)
③入院している病院の名前、病棟、病室、電話番号、住所
④状態

危篤の連絡をする際は、タイミングや時間を気にする必要はありません。早朝でも深夜でも、早めに連絡をして病室に駆けつけてもらいましょう。

会社には早めに相談しておく

家族や近親者の連絡と並行して、現状を伝えておきたいのが自身の会社です。危篤状態がいつまで続くかは誰にも分からないため、状況によっては数日間病院を離れられないこともあります。

この場合、仕事に支障が出ないよう、なるべく早く上司や同僚に連絡して理解を得ることがベターです。医師の言葉などを使って現状を説明し、会社に行くことができない旨を伝えましょう。

危篤の連絡を受けた場合の対応

自身が危篤の連絡を受ける側になった場合、応対は慎重に行わなければなりません。連絡をくれた人は危篤者と近い続柄のはずですから、驚きや不安を人一倍感じているはず。不用意な発言をしないよう注意が必要です。

もちろん、連絡を受けた側にもいろいろな感情がわき上がってくるでしょうが、落ち着いた対応を心がけてくださいね。まずは「連絡をくれてありがとう」を伝えることが大切でしょう。

相手の状況を確認

連絡をくれた人が取り乱している場合は、冷静に相手の状況を確認します。危篤との知らせを受けたのですから、あえて病状について触れるのは避け、病院名や住所、電話番号などを尋ねましょう。不要な会話は避け、すぐに病院へ向かう準備を整えてください。よく病棟を聞き忘れて、思わぬ時間を要する場合もあります。「東棟、A棟、別棟などある?」と聞いても良いでしょう。

知らせを受けたら一刻も早く駆けつける

相手のもとに駆けつける場合は、服装を気にせず手ぶらで向かいます。「お見舞いの品が必要では」と考える人もいるでしょうが、危篤状態で重要なのは「一刻も早く駆けつけること」です。お見舞いを準備していればその分到着が遅れますし、受け取る側もそれどころではないでしょう。

なんらかの事情で「どうしても渡したい」という場合は、相手に負担の少ない「お見舞い金」を渡すという方法がベターです。

相手の家族には言葉を選んで声かけを

相手の家族へは、いたわりの言葉を手短に伝えます。危篤者を見守る家族は、不安と悲しみでいっぱいのはず。相手の立場を思いやり言葉を選びます。

特に注意したいのが、安易に励ましの言葉をかけないこと。大切な家族との別れが迫っている人に対して「しっかり頑張って」などの言葉はかえって重く聞こえる可能性があります。「困ったことがあれば声をかけて」や「ちゃんと食べてる?」といった、相手の状況や体を気遣うような言葉の方が好ましく、少しは気持ちもそらせるでしょう。

「危篤の後」も考えておくべき

家族が危篤状態にある場合、臨終後の手続きや段取りについても考えておかねばなりません。臨終直後は大切な家族との別れによって、深い悲しみが襲ってくるもの。冷静な行動など、できなくて当然です。しかし、病院からは退去せねばならず、各種手続きも必要になります。望ましい形で家族を送ってあげられるように、早めに準備や段取りを考えておくこと、頼りになる人(葬儀社)を探しておくことが大切です。

病院から出る時の段取りをしておく

いざという時に病院からスムーズに出られるように、事前に信頼できる葬儀社が見つかっていれば安心です。病院が葬儀社を紹介してくれるケースもありますが、それが自分や家族と相性がいいとは限りません。葬儀だけではなく、その後のお役所などへの手続きを頼む場合もあります。個人情報を扱うことになるので、信頼できる人に任せることが何より肝要です。

危篤の知らせを受ける前に、葬儀の相談なんてしたくない、と思う人もいることでしょう。縁起が悪いと思う人もいるかもしれません。ただ、その時の備えができていると気持ちの面で少し重さが変わります。安心のできる葬儀社、それも担当者を見つけておくことをおすすめします。

各種手続きが必要に

葬儀や火葬するうえで必要となるのが「死亡診断書」です。これは個人が亡くなったことを医学的・法的に証明するもの。病院で亡くなった場合は、担当医師が作成してくれます。

発行費用は病院によって異なりますが、保険は適用されません。安いところなら1000円程度の場合もありますが、病院によっては1~2万円の費用を請求されることもあります。

また、死亡診断書は「死亡届」も兼ねています。死亡の事実を知った日から7日以内に役所に提出する必要があります。葬儀社と契約していれば、役所への届け出も代行してくれます。

危篤と告げられたら大切な人を送る準備を

危篤と言われたら、大切な人とのお別れが近づいています。最後の場面には近しい人が揃っていられるように、早めに周知をおこないましょう。必要な連絡先は携帯や電話帳などにもらさず登録しておきます。

また、お別れの時には、通夜や葬儀の段取りと、その後の手続きが必要になります。心中は不安と悲しみでいっぱいでしょうが、冷静に行動することが大切です。願わくば、そばに頼れる人がいる、そんな環境を整えていてほしいです。