お百度参りは神仏に願いを届ける作法。参拝方法とは

お葬式のマナー・基礎知識
お百度参りは神仏に願いを届ける作法。参拝方法とは

この記事はこんな方にオススメです

実際にお百度参りがしたい
願いを叶える方法が知りたい
お百度参りは、神社やお寺などでおこなう願掛けのひとつです。何としても叶えたい願いを神仏に伝えるために、参拝を100回繰り返します。本記事ではお百度参りの概要から事前準備、当日の参拝手順、そして、実際にやる時の注意点までを紹介します。お百度を踏む前の参考にしてください。

お百度参りとは、神仏に願いを伝える参拝方法

まず最初に、お百度参りの概要と何度も参拝を繰り返す理由を説明します。

心を込めて参拝を繰り返すのがお百度参り

家族の重病平癒など、願いごとを叶えるために神社や寺院で100回参拝を繰り返すことをお百度参りと言います。境内の一定距離を移動して神仏へのお参りを繰り返します。「お百度石」という石が境内に設置されていて、この石と本殿を往復する場合もあります。これは平安時代から続く風習とされ、「お百度を踏む」「百度詣で(ひゃくどもうで)」とも言われています。

その名の通り100回参拝するのが基本です。しかし、実施する本人の負担を考えて、自分で回数を定めてもよい神社などもあります。

まれに「お百度参り」と「丑の刻参り」を混同し、怖いというイメージを持つ人もいます。しかし丑の刻参りは呪いの儀式であり、前向きなお願いをするお百度参りとは全くの別物です。誤解のないようにしてください。

何度も参拝する理由

何度も参拝を繰り返すのは、回数を重ねることで神仏への強い信仰心を示せると考えられているためです。加えて、参拝を繰り返すうちに雑念が取り払われて、祈願に集中できるとともに、自分自身の心と向き合えるという効果もあります。

【準備】お百度参りに向かう前にしておくこと

お百度参りをやり遂げるためには、念入りな事前準備が肝心です。あらかじめ決めておくべきことや用意するものなど、寺社に出向く前にしておきたいことを紹介します。

1.参拝日数を決める

お百度参りには2種類の方法があります。ひとつは1日に「100回参拝」することで、もうひとつは1日1回の参拝を100日連続でおこなう「百日詣(ひゃくにちもうで)」と呼ばれる方法です。まずは、1日で参拝するか複数日に分けるかを決めます。100回にこだわらなくてもいい寺社では、本当に100回にするか、しない時には何回までにするかも考えておきます。

2.参拝する神社やお寺を決める

お百度参りをおこなう場所に指定はありませんので、なじみのある神社や寺院で構いません。特に数日に渡る場合は、通いやすい近隣から選ぶようにします。1日でする場合は、お百度参りの名所として有名な神社や寺院の中から選ぶのもおすすめです。名所と言われる場所では、回数を数える道具の貸し出しをしていたり、参拝の目印が置いてあったりするため実施しやすいのが理由です。

その他、祀られている神仏のご利益で選ぶという決め方もあります。例えば、病気の治癒・回復を願うなら、病気平癒の神様を祀っている神社の中から選ぶとより効果的に感じられるのではないでしょうか。

3.参拝回数を数えられるものを用意する

1日でお百度参りをする場合は、参拝の回数をカウントできるものを用意しておくと便利です。場所によっては100本の紐を束ねた「お百度紐」の貸し出しや、目印の「お百度石」付近にそろばんや札が付いていてカウントできるようになっているところもあります。このような設備の有無は、先に調べておくと当日の手間が省けます。計数資材が何もない場所では、参拝回数分の紙縒り(こより)やお賽銭、小石、竹串などを持参して、お参りの度に他の人の邪魔にならないところにひとつずつ置いていき数えるようにします。

【当日】お百度参りの作法や参拝手順

お百度参りの詳しい作法と、神社・寺院それぞれの一般的な参拝の手順や注意点を紹介します。ただし、作法はすべての寺社が同じではありません。その場所に合った参拝方法を繰り返してください。

お百度参りの基本作法

回数をカウントする基準は、神社の鳥居や寺院の山門などの入口から、参道を通って本殿・本堂に向かい祈願をし、再度入口まで戻って1回とします。お百度石がある寺社では、お百度石から本殿・本堂までの往復で1回と数えます。

また、お百度参りをおこなう時間帯に決まりはありませんが、100回のお参りにはそれなりに時間がかかります。場所によっては参拝時間が決まっているので事前に確認が必要です。

詳しい参拝手順<神社の場合>

神社でのお百度参りは、神社参拝のマナーを守り、1回1回心を込めて行ってください。一般的な神社の参拝手順は以下の通りです。
<神社参拝の手順>※場所によって異なる場合あり
  1. 鳥居の前で一礼する
  2. 手水舎で身を清める
  3. 参道を通って本殿へ向かう
  4. 本殿の鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼の作法で祈願する
  5. 再び参道を通って入口に戻る
この一連の流れを1回と数え、2回目以降は「2」の手水を除いた行為を100回繰り返します。参道を通る際は、神様が通るとされる真ん中を避け、端を歩くのがマナーですので覚えておいてください。また複数の社殿を回る場合は、大きいところから回るのが良いとされています。

詳しい参拝手順<お寺の場合>

次に寺院でのお百度参りをする人に向けて、一般的な参拝の手順を解説します。神社とは少し異なる点があるのでチェックしておいてくださいね。
<寺院参拝の手順>※場所によって異なる場合あり
  1. 山門の前で合掌し一礼する
  2. 手水舎で身を清める
  3. 参道を通って本堂へ向かう
  4. 本堂の鈴を鳴らし、合掌して一礼し祈願する
  5. お焼香できる場合は、心を込めておこなう
  6. 山門に戻る
神社と同じように手水を除いて、上記を100回繰り返します。寺院では合掌する際に拍手はしないのが注意点です。

お百度参りをする際の注意点

神仏への心遣いを忘れず、同時に自分自身とも向き合うのがお百度参り成功の鍵。そのために注意すべきことを紹介します。無理をする必要はありませんが、ぜひ意識してみてください。

当日は神仏へ失礼のない服装を心がける

お百度参りの服装は、白装束を着用し裸足でおこなうのがふさわしいと言われることがあります。しかし周りの人を驚かせたり、怪我をしたりする可能性があるので、あまり現実的とは言えません。そのため現代では、特別な衣服を着る必要はありません。ただし、神仏に失礼にならないように、清潔感のある格好を心がけてください。

お百度参り中は声を出さない

お百度参りの最中は、雑念を取り払ってお参りに集中できるように声を出さないのが基本です。実施時間が長くなると一切話さないのは難しくもありますが、必要な場合を除いてこちらからは人に話しかけないように意識してみてください。参拝者の少ない朝方におこなえば、人との接触を減らせます。加えて、携帯電話の電源なども切っておくとより集中しやくなります。

途切れない方が望ましいが無理はしない

「百日詣」をする場合は、毎日連続しておこなうべきと言われることがあります。とは言え、天候や体調により難しいことはあるので無理は禁物。もしどうしても参拝を続けられなくなった場合は、中止して1回目からやり直すか、一旦休憩を挟んで神仏に参拝が途切れた理由を謝罪し途中から再開することも可能です。お百度参りは神仏へ願いを伝えるだけでなく、自分自身の心と向き合うことも大切なので、無理のないやり方で続けてください。もし途中で迷ったら宮司や住職に相談するのも良いでしょう。

結果報告とお礼参りをする

願いごとが叶ったら、結果の報告と感謝の気持ちを伝えるために、再び参拝に出向きます。これがお礼参りです。やむを得ない事情がない限り、お礼参りはなるべく早いタイミングでするのが礼儀です。お礼参りの作法は通常の参拝と同様ですが、いつもより少し多めにお賽銭を奉納するとより感謝の気持ちを表すことができそうです。

心を込めて祈りに集中するのがお百度参りの真髄

お百度参りは100回寺社にお参りするという大変な願掛けです。大切な人のことを心配して居ても立っても居られないときには、お百度参りで祈願に集中することで、少し落ち着けるかもしれません。ただし、くれぐれも無理のない範囲で挑戦してくださいね。