残った時間を有意義にするターミナルケアとは?家族が知っておくべきポイント

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残った時間を有意義にするターミナルケアとは?家族が知っておくべきポイント
ターミナルケアとは、余命わずかと診断された人におこなう医療や看護のことで、終末期医療とも呼ばれます。患者の苦痛を和らげて生活の質を向上させ、満足のいく最期を迎えてもらうことが最大の目的です。本記事では、家族が知っておきたいターミナルケアの内容や他のケアとの違い、自宅でおこなうときに重要なことを紹介します。

ターミナルケアの基本情報

終末期医療を受ける人とその家族が、残された時間を有意義に過ごすためにあるターミナルケア。本人はもちろんのこと、家族もケアの意味や内容を知っておくと安心です。まずは基本事項から確認していきましょう。

ターミナルケアの意味

ターミナルケアは、終末期医療とも表現されます。ターミナル(terminal)という英語には、「終末の」という意味があり、また、余命がわずかな状態を終末期と呼ぶことに起因します。その目的は、患者の苦痛を緩和して「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)=生活の質」を保ちながら、残された時間を自分らしく過ごせるようにサポートすることです。

本人や家族が満足できる時間を過ごした上で、最期のときを迎えられるようにすることも目的の1つです。高齢化が進む日本では、ターミナルケアに力を入れる医療機関や介護施設が増えています。

始める時期とケアの場所

ターミナルケアを始める時期に関する決まりはないので、本人や家族が話し合って決定します。病気の回復が見込めない、治療の効果が期待できない、老衰で寝たきりの人や認知症の人が食事をできなくなる、などのタイミングで始められるケースが多いようです。

ターミナルケアをおこなう場所も様々です。病院、介護施設、自宅など、本人の希望や健康状態にもよって終の棲家は変わってきます。

おこなわれる主な3つのケア

身体・精神・社会的ケアがターミナルケアのメインです。1つ目の身体的なケアは、医療従事者を中心におこなわれます。主なものは、病気による苦しみや痛みを和らげるために投薬をする、食事を摂れなくなった人に対して経管栄養や点滴をする、褥瘡(じょくそう)を防ぐためのケアをする、など。

家族が深く関わるのが、2つ目の精神的なケアです。ベッド周りの環境を整え、リラックスした生活を送れるようにしたり、最期までの時間を一緒に過ごし、不安な気持ちを和らげたりします。死に対する不安や、恐怖心を完全に取り除くことは難しいと理解した上で、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。

3つ目の社会的ケアとは、費用面など社会的な援助を受けることで、専門家や家族が関係する内容です。どんな医療・看護・介護行為も費用面が気になるものです。医療費を抑えたいときは、福祉事務所や病院などに所属するソーシャルワーカーに相談すると適切なアドバイスをもらえます。ほかにも、遺産相続や遺品整理のサポートも、社会的なケアの一環です。

ターミナルケアと他のケアの違い

「緩和ケア」や「ホスピスケア」など、「ケア」が付く言葉はいくつかあります。こちらでは、他のケアとターミナルケアの異なる部分を解説します。

緩和ケアとの違い

生命を脅かす病気を患っている人の生活の質を改善し、苦痛を予防し和らげることを緩和ケアと呼びます。ターミナルケアと緩和ケアは患者の苦痛を緩和するという共通項がありますが、「ターミナルケアは終末期における医療・看護行為」で「緩和ケアは治癒の可能性もあるなど、病気の進行度は関係のない医療行為」と考えられています。

*日本緩和医療学会「WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002)」定訳
緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。

特定非営利活動法人日本緩和医療学会
https://www.jspm.ne.jp/proposal/proposal.html

ホスピスケアとの違い

イギリスのロンドンにある施設で始まった「ホスピスケア」は、ヨーロッパでは広く知られているものの、日本ではあまりなじみのない言葉です。患者と家族を中心に、医師、看護師、ソーシャルワーカーなどの専門職とボランティアとで構成するチームによるケアが特徴です。緩和ケアと同じく、病気による痛みや苦しみを和らげることを目的としています。治療の見込みのない患者をケアする行為ですが、必ずしも終末期医療・看護だけを対象としていない点がターミナルケアと異なります。

看取りケアとの違い

看取り介護とも呼ばれる「看取りケア」は、老人ホームなどの介護施設や自宅で人生の最期を迎える人に対して施すケアのことです。身体的・精神的苦痛を緩和したり、軽減したりしつつ、最期まで自分らしい生活を送れるようサポートしていきます。

ターミナルケアは医療面を示すことが多いですが、看取りケアは終末期における介護や介助など医療行為外のサポートを意味する点が違いと言えるでしょう。

ターミナルケアを受ける前に知っておきたいポイント

最期を迎える方法や場所に関する考え方や意思は、本人と家族で異なることもあります。その上で、ケアを受ける前に家族が知っておきたいポイントを見ていきましょう。

ターミナルケアをおこなう場所について

場所は、家族と本人の意思を尊重した上で、場合によっては医療機関など専門家のアドバイスを受けながら決めることが大切です。前述の通り、病院・介護施設・自宅のいずれかを選択します。悔いが残らないよう、なるべく早い段階でターミナルケアの場所を話し合っておきましょう。

本人と意思の疎通が取れなくなっている場合は、これまでの本人の発言や考え方などを思い出しながら決めるのも一つの手です。

延命治療について

終末期における延命措置の判断は、場所の決定と同じくらい大切なポイントです。ケアをおこなう前に決めて意思を家族間で共有しておけば、万が一のときに慌てなくて済みます。本人が元気なうちに「事前指示書」を用意しておく方法もあります。

費用について

①病院:厚生労働省から「緩和ケア病棟」に認定されている病院に入院する場合は、治療内容に関係なく費用は一定です。高額療養費制度の対象になるので、一定額以上の費用を請求される心配は必要ありません。

②介護施設:費用は施設によって異なります。看取り介護加算がプラスされますが、利用者の負担額は通常の介護保険サービスと同じく1~3割です。
③自宅:サービス内容や、医師・看護師の訪問回数などによって費用が変わります。在宅医の往診費は1回2〜3万円前後、訪問看護費は1回あたり1万円前後が一般的です。往診や訪問看護は医療保険が適用されるため、費用は1〜3割の負担で済みます。自宅での医療行為も、高額療養費制度の対象です。また、ベッドやポータブルトイレなど、介護に必要な物の費用もかかりますが、1~3割負担の介護保険が適用されます。

いずれの場合も、状況によって、高額医療・高額介護合算療養費制度の利用も検討しましょう。

自宅でのターミナルケアの際に重要なこと

家族を自宅で看取る場合は、医療や介護面の体制を整えてから必要な手続きをします。こちらでは、自宅でケアをおこなって看取るときの準備や手続きを解説します。

まずは本人・家族で話し合いを

自宅でおこなうターミナルケアは、住み慣れた我が家で最期を迎えられること、最期まで家族と一緒にいられることが最大のメリットと言えます。一方、費用がかさむ恐れがある、家族にかかる負担が大きいなど、しっかりと考えなくてはならない部分もあります。

これらのことを踏まえた上で、本人と家族の両方が自宅での看取りを希望しているのか、最初に確認することが大切です。自宅でターミナルケアをおこなう場合は、緊急時に病院に搬送するかどうかも話し合っておきましょう。

体制を整える

24時間体制で医療と介護をおこなえるチームを準備します。具体的には、医師や訪問看護などの医療面のチームと、ケアマネージャーや訪問介護士などの介護面のチームです。

ターミナルケアは余命が短い人に対して施すため、在宅歯科医や理学療法士など、看取りに特化したチームを作る必要もあります。特に、ケアマネージャーと看取りに対応可能な在宅医を見つけることが重要です。

ケアマネージャーと在宅医は、地域包括支援センターに相談すれば紹介してもらえるケースもあります。体制を整えたら、本人がリラックスして過ごせる環境を作りましょう。

必要な手続きをする

何も準備や手続きをしないまま自宅で家族が亡くなると、不審死扱いされるケースがあります。望んでいた最期をしっかり迎えてもらうためにも、自宅でターミナルケアをおこなう場合は、延命治療をおこなうか否かや医療行為の内容などに関する患者の意思を示す「同意書」を事前に作っておくことが大切です。

本人の意思を尊重した場所で満足のいく最期を

身体と精神の苦しみや痛みを和らげてくれるターミナルケアは、いつどこでおこなうかが重要です。本人の希望や家族の想いが合致する場所でケアを受ければ、つらい最期を迎えずにすむはずです。まずは元気なうちに家族で話し合うことから始めてくださいね。