リカレント教育の必要性とは。老後のために今できること

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リカレント教育の必要性とは。老後のために今できること
リカレント教育とは、就職した後に再び教育機関で学び直すことや、仕事と学習を繰り返す教育システムのことです。人生100年時代が近づき、寿命が長くなっている背景からリカレント教育の必要性が注目されています。本記事ではリカレント教育の必要性やメリット、教育を受ける方法を解説します。

リカレント教育の基本情報

はじめにリカレント教育の内容や必要性などを解説します。

リカレント教育とは

リカレント教育は、スウェーデンの経済学者であるゴスタ・レーンがその必要性を呼びかけました。リカレント(recurrent)とは英語で、「循環」や「回帰」、「反復」といった意味です。そこに教育を結び付けたリカレント教育は、義務教育や高校、大学などを修了した後も生涯にわたり学習と就労を繰り返す教育のことを言います。「学び直し教育」や「社会人の学び直し」とも呼ばれています。
現在、世界各国でリカレント教育への取り組みや研究が進められており、日本では学校以外の勉強や働きながら勉強することもリカレント教育の一環として捉えられています。

生涯学習との違い

リカレント教育と似たような言葉に生涯学習があります。生涯学習とは、人生で学ぶすべての学習のことを指し、豊かな人生を送るために学ぶことが目的です。例えば、趣味やスポーツなど、好きなことや生きがいを学ぶことも生涯学習に含まれます。
一方のリカレント教育も生涯学習に該当しますが、仕事のスキルアップやキャリアアップなど、働くことを目的としている点が両者の違いです。

必要性

人生100年時代と言われるようになり、世界でも随一の長寿国の日本でも、さらに平均寿命が延びることが予想されています。生活費を稼ぐ期間が長くなることが予想され、長期的なキャリア形成にリカレント教育が役立つことが考えられます。時代は日々進化し、仕事に求められるスキルも変化しています。今後はさらに、誰でも学びたいときに学んでスキルアップやキャリアアップをすべきという時代が来ることでしょう。

対象となる人

リカレント教育の対象となる人は、社会人全てです。特に年齢制限はなく、現在働いている人はもちろん、過去に働いていた経験がある人も対象になります。例えば、出産や育児、介護などを理由に退職してブランクがある人、定年退職した人、キャリアアップや年収アップのために転職を希望する人などです。

リカレント教育のメリット

リカレント教育は専門的なスキルを身につけることで、さまざまなメリットが得られます。こちらではリカレント教育のメリットについて解説します。

専門的なスキルが身につく

これまで経験した仕事のスキルアップをするための学び直しは、全く経験がない場合に比べて、専門知識や技術が身につくスピードが早いと言えます。未経験のことを新たに学習する場合でも、これまでの自分の経験や知識がヒントになるでしょう。パターン化していて誰にでもできるような仕事から、専門的な仕事へキャリアアップを目指したい人にリカレント教育はおすすめです。

年収アップが期待できる

リカレント教育で専門的なスキルや資格を身につけることで、難関職に就ける可能性が広がります。国家資格を必要とする職業や専門性の高い職種は年収が高い傾向にあるため、今よりも収入アップが叶うかもしれません。しかしながら、その実現のためには、習得の難しい技術や難易度の高い学習に取り組み、コツコツと学び続ける必要があります。

早期再就職が目指せる

出産や育児、介護で離職してからしばらく経っている人は、リカレント教育を受けることで早期再就職の実現を目指せます。学習意欲のある人材だと自分をアピールでき、再就職前に知識を備えることで、安心して仕事がスタートできるのもリカレント教育におけるメリットの1つです。

転職や副業に活かせる

今までは同じ会社で働き続けることが良しとされてきましたが、最近は転職でキャリアを積む人、独立する人、副業などを併用する人も増えています。
リカレント教育によって得意分野が増えれば、転職にも有利です。また、政府の推進により、副業OKな企業も増えつつあります。リカレント教育を転職や副業に活かすことで、老後の資金に関する不安が軽減できるかもしれません。

リカレント教育を受ける主な方法

昼間働いている人や、育児・介護などで時間の確保が難しい人でも、リカレント教育を受ける方法はあります。こちらではリカレント教育を受ける主な方法を紹介します。

国の職業訓練と教育訓練給付制度を利用する

働く人のキャリアアップや能力開発を支援するために設けられた雇用保険の制度を利用できます。これは、一定の受給要件を満たした対象者が、厚生労働大臣から認められた教育訓練を受講すると、受講料が無料になったり、経費の20~50%を支給してもらえたりする制度です。失業保険をもらいながら学校に通うことも可能です。
ただし、教育訓練給付の種類によっては、受講開始時の年齢が45歳未満でなければならないなど、支給要件が厳しいので注意が必要です。

大学など教育機関のカリキュラムを活用する

通信教育課程を設置している大学も増えてきており、遠方に住んでいても希望する学校での学習が可能です。その他、昼間働いている人や育児、介護などがある人でも学習できるようにと、多くの大学で昼夜開講制や夜間部があります。

大学の通信教育課程、夜間部で学ぶ

通信教育課程を設置している大学も増えてきています。希望する学校から遠方に住んでいても学習が可能です。その他、昼間働いている人や育児、介護などがある人でも学習できるようにと、多くの大学に昼夜開講制や夜間部があります。

企業内研修を受ける

独自で学習プログラムを提供し、社内でリカレント教育を実施している民間企業もあります。例えば、業務内容に関する知識や技術を深めることなどを目的に、職種別や階層別の研修を行ったり、教育カリキュラムを大学と共同開発したり、企業によってさまざまです。なかには、社員以外の一般社会人でも学習できる機会を提供している企業もあります。

オンライン講座を受講する

資格取得や語学の習得などの学習をオンラインで受講できるサービスもあります。スクールなどに通わず、スマートフォンのアプリを使って自宅で手軽に学べます。最近ではプログラミングなどIT関係のオンライン講座も増えてきています。

事例でみるリカレント教育の内容と、今後の課題

社会人に学習の機会を提供している大学や企業のリカレント教育の事例と今後の課題を解説します。

大学の事例

日本女子大学では、大学を卒業後、出産や育児のために仕事を退職した女性を対象にリカレント教育を実施しています。講座には再就職課程と再教育課程があり、復職や再就職後、スムーズに仕事をするために必要な知識を身につけることが可能です。
再就職課程では、再就職を希望する受講生のために、企業とのマッチングなど再就職支援を行っています。一方の再教育課程においては、企業から求められる即戦力の人材になるために必要な英語、IT関連の知識などを習得できます。

企業の事例

ヤフー株式会社では、スキルアップのために専門知識を習得する期間として、最大2年間休職できる勉学休学制度を実施しています。実際に勉学休学制度を利用し、大学院へ進学する人も。
また、株式会社ミクシィでは、従業員であれば外部講師の研修などを特別優待で受講でき、資格取得、プログラミング学習などの講座でスキルアップを目指せます。

今後の課題

2020年、文部科学省が「リカレント教育」の総合施策を打ち出しました。日それでも、まだ広く浸透していないのが現状です。理由としては、企業の理解不足が考えられます。個人も「学習時間の確保が難しい」、「受講費用が数十万円以上かかる」など、なかなか踏み切れない事情を抱えています。
今はリモート学習の急速な普及と発展で学びやすい環境が整えられつつあります。しかし、仕事に加えて育児や介護などをしている人が学ぶ時間を作ることは容易ではありません。

リカレント教育についてもっと多くの人が理解し、地域社会や企業による費用の支援や時間の配慮、サービスの拡充などが必要になるでしょう。

リカレント教育で時代の変化に対応する教養を

人生100年時代が迫ってきた今、さらに豊かな教養や時代に則した知識が必要となることが考えられます。新しいキャリアの発見や、充実した老後のためにリカレント教育について理解を深め、学び直しをスタートさせてみてはいかがでしょうか。

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