自分史で生きた足跡を残そう。書き方やメリットを紹介

終活
自分史で生きた足跡を残そう。書き方やメリットを紹介
自分史とは、自分自身の歴史のことで、個人の人生を文章でまとめたものを指します。過去を振り返る中で自分自身を見つめ直せるだけでなく、形にすることで後世まで、家族の歴史や時代の証言を残せます。今回は自分史を作る意味とメリット、基本の書き方を紹介します。

自分自身の歴史を紡ぐ自分史

読んで字のごとく、自分の歴史を記す自分史。自分の過去を振り返るものですが、年表絵巻、小説本、フォトアルバムなど仕上げにこだわるのも楽しみの1つです。最初に自分史とは何か、そして書く意味や自伝・エッセイなどとの違いを解説します。

自分の生い立ちやエピソードをまとめたもの

自分史とは、自分の生い立ちや思い出深いエピソードなど、これまでの人生を文章でまとめたものを言います。最近では写真を整理したものも自分史のジャンルに組み込まれており、年表入りの歴史書にしたり、一代記のような小説調で語ったり、写真をメインにアルバム風にまとめたりと作り方は自由です。自分の人生を振り返るとともに、きちんと形に残すことで後世の人に自分の生き様・自分の生きた時代を伝えることもできます。

これまでの人生を見つめなおして今後に生かせる

単に昔を懐かしむだけなく、思い出を文章にまとめる過程で自分を客観視できるようになり、人生を見つめなおすきっかけになります。今まで意識していなかった周囲の人との絆や、生きる意味に気づくこともあるかもしれません。新たにやりたいこと、今後の生き方を見つけるヒントにもなるでしょう。
近年では、エンディングノートと合わせて終活に利用する人も増えています。

自分史と自伝・私小説・エッセイとの違い

自分史に近い言葉とその違いは次の通りです。

・自伝(自叙伝)との違い
まず自伝は自叙伝の略です。自分史と自伝は自分で自分のことを書くという面では同じです。ただし、自分史は一般の人、自伝は有名人という印象があります。また、自伝は生涯を振り返りながら、精神的な成長や人格形成にまで踏み込んだ物語(文章)が主ですが、自分史はこれに限りません。年表だけでも構わないからです。

・私小説との違い
自分史よりも自伝に近い文学ジャンルが、私小説です。フィクション(虚構)の世界を現実のように書く物語が小説ですが、その中でも少々異質で、書き手の経験を元に書くのが私小説です。歴史をたどる自分史とは意味合いが異なりますが、自分史を元にした私小説は作れます。

・エッセイとの違い
エッセイはこれまでの経験から得たことや、その感想・考えなどを自由に書き記した散文です。随筆とも言います。文学のジャンルの一種で、自分史をエッセイ風にアレンジすることも可能です。

自分史を書くメリット

自分史を作る過程は、自分の内面、そして周囲の人との関係にも影響を与えます。続いては自分史を書くメリットを紹介します。

生きてきた足跡を残せる

モノと違って体験は、自分で残さなければ消えてしまいます。自分史として形にすることで、家族や友人、さらには子孫にまで受け継ぐことが可能です。時代背景まで盛り込めば、後世にわたり歴史的に貴重な資料になることもあります。

より深く自分を理解できる

生い立ちや今までの経験を文字にすると、自分とはどんな人間なのかを冷静に認識することができます。自分への理解が深まれば、過去の挫折や辛い経験も、今の自分につながる重要なできごとだったと思えるようになるかもしれません。過去の後悔から解放されれば、今後の人生がさらに豊かになっていくでしょう。

生きがいが見つかる

過去を振り返るなかで、昔好きだったことや得意だったことが明確になって自分の強みが見えてきます。改めて興味や情熱が湧き上がり、新しい夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出す人もいます。

他者とのコミュニケーションツールになる

コミュニケーションを深めるには、お互いを理解することが大事です。自分史は、他者に自分を理解してもらうためのツールとしても活躍します。さらに、家族や友人など読み手との思い出を丁寧に綴っておけば、自然と感謝の気持ちも伝えられるでしょう。

脳を活性化できる

何かを思い出そうとしたり、考えをまとめようとしたりすると、脳が活性化します。最近の医学では、脳のある部分を日々活用すると、認知症の予防につながるとも言われています。自分史を書くにはある程度時間が必要なので、継続して脳を働かせるのに効果的です。

基本的な自分史の書き方

自分史には形式や書き方に決まりはありませんが、ただ単にこれまでの思い出をまとめるといっても、どこから手をつけて良いか分からない人もいるでしょう。ここでは、自分史の基本的な書き方を紹介します。

準備1.自分史を作る目的を明確にする

初めに自分史を作る意味と目的を明確にします。文章は書き進めているうちに、主題が分からなくなってしまうことも。自分なりの意味と目的をはっきりさせておくと、軸がぶれるのを防げます。

例えば生きがいを見つけたいなら、これまでの自分の体験や経歴などを中心に振り返り、今後に生かせることを探ると良いでしょう。家族に見せたり子孫に残したりするのが目的なら、家族との思い出を多く盛り込んで、そのときの気持ちも綴っておくのがおすすめです。

目的と同時に、本にしたい、フォトアルバムにしたい、ホームページにしたいなどの最終形も決めておくとこの後の作業がスムーズです。

準備2.まとめ方(手段)を決める

まとめ方のルールはありませんが、代表的な手段は以下の2種類です。
  • 手書きでまとめる
  •  思い出を文章にして、手書きでノートなどにまとめる最も基本的なやり方です。誰でも手軽に書き始められます。空欄を埋めるだけのワークブック本を利用するのもおすすめです。
  • パソコンやスマホを活用する
  • パソコンやスマホを使ってデジタルでまとめる方法です。自分史制作用のソフトやアプリ、テンプレートもさまざまあるので、利用すれば簡単に書き進められます。デジタルにすることで、保存・複製や写真の挿入がしやすいというメリットがあります。

準備3.材料を集め、年表を作る

いきなり文章を書き始めるのではなく、年表を作成すると、これまでのできごとをまとめやすくなります。まず、情報源となる材料を集めます。履歴書、日記、手帳、アルバム、写真、昔の携帯電話、表彰状、新聞の切り抜きなどです。それから、「誕生」「成人」「還暦」のように誰にでも訪れることや、「就職」「結婚」「出産」など、人生の転機となったようなキーワードを書き出し、時系列に並べます。

準備4.エピソード・情報を整理する

次に、作成した年表を元に、それぞれの時期に起きたエピソードや関連する資料などを整理していきます。日本の時事年表、流行語など客観的な資料を用意すれば、時代背景も加えられます。この時点では、文章にするより箇条書きにしておいた方が、執筆するときに構成しやすいです。記憶があいまいなところは家族や友人に聞けば、コミュニケーションのきっかけにもなります。

制作・執筆

整理したエピソードを軸にして、構想を練ります。年表を活かした時系列もの、就職や家族、名言などでくくったテーマ別のほか、書き方を変えれば小説やエッセイ、詩集、論文のようにもできます。

作風が固まったら、ようやく執筆開始です。中に写真を入れる場合には、キャプション(短文のコメント)を付ければ、読み手も理解しやすいでしょう。

また、写真を中心にアルバムやインスタグラム風にまとめる方法もあります。写真があると自分の様子だけでなく、時代の雰囲気も感じ取りやすくなるでしょう。文章を書くことに苦手意識がある人も挑戦しやすいです。

仕上げ

できあがったら自分でファイルやアルバムにまとめ、表紙をつけます。本格的な書籍のように仕上げたい場合は、業者に製本を依頼するのも良いかもしれません。

パソコンやスマホの場合は、ホームページやブログにアップするのも簡単です。自分だけのオンライン書籍を作るのも面白そうですね。

エピソードを深めるために!自分史を書くときのポイント

基本の書き方に加えて、よりエピソードを深めるためのポイントを紹介します。淡々と起こったことを綴るだけでは内容が少ないと感じた場合は、取り入れてみてください。

時代背景と照らし合わせる

前の章でも書きましたが、年表を作るときに、時代背景を捉えながら思い出を振り返ると、当時の感情や状況をより鮮明に思い出せます。自分の年表と一般的な時事年表を比較しながらまとめるのが簡単な方法です。歴史的な事件や流行、時代の変化と自分の行動をリンクさせれば、エピソードの深みが増すでしょう。

テーマを絞ってみる

小説風にする場合は、過去に起こったことをすべて書くのではなく、「趣味」「仕事」「家族」などひとつのテーマに沿って内容を絞るのもおすすめです。「楽しかったこと」「がんばったこと」など心情で分けることも。テーマを絞ることで、一つひとつのエピソードをより深く堀り下げられるようになります。

家族や知人にも話を聞く

資料を集めるだけでなく、家族や友人にも確認すれば、より正確な情報が得られるでしょう。当時を振り返りながら、思い出話に花を咲かせるのも楽しいですよ。

プロの知識を得る

自分史の作り方の書籍を読んだり、カルチャースクールの自分史講座を受けたりするのもおすすめです。何から始めていいか分からない時や、やってみたがイマイチという時には専門家のアドバイスを受けるとより良いものが作れそうです。

自分史で生きた足跡を残そう

自分史を作ることは自分の人生の棚卸しでもあります。思い出を懐かしみ、これまでの経験を見つめなおすことで、これからの人生をより良いものにしていくヒントが見つかるでしょう。今回紹介した基本の書き方やポイント参考に、世界に1つの自分史作りに挑戦してみませんか。