勤行は修行?心にも体にもいいこと?言葉の意味と実践方法

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勤行は修行?心にも体にもいいこと?言葉の意味と実践方法
勤行(ごんぎょう)とは仏教で勤めに励むことです。その内容は「仏壇の前でお経を読むこと」で、善行に通じるとされています。本記事では勤行の意味やその目的、各宗派別のやり方の違いを解説します。また、勤行を生活に取り入れ、心身を健康にするための手引きも紹介します。

勤行の意味と目的

勤行と聞くと、「お寺でお坊さんがお経を唱える姿」をイメージする人も少なくないかもしれませんね。しかし、実は勤行の意味はもっと広義にわたります。まずは勤行の本来の意味とその目的、内容を詳しく解説していきます。

読み方と本来の意味

勤行は“お勤め”とも呼ばれます。「行い」と「勤める」という漢字が組み合わさっています。

勤行の本来の意味は勤めに励むこと。仏教用語においては、修行をすることや、毎日決まった時間にお経を読むことを意味します。

さらに突き詰める形で、ひたすら仏道修行に励む精進(しょうじん)することもあらわします。これが転じて、何か特定のことに一生懸命に打ち込む意味でも使われます。

また、正しい行いを勤め行う「善行」という意味でも用いられます。

現代における意味

現在では主として仏壇の前でお経を読むことを勤行と呼びます。具体的な内容は、仏前で手を合わせたままお経を読んでその徳をふりわける=回向(えこう)、寺院でおこなわれる年間行事への参加、法要や葬儀での読経などが含まれています。一般家庭においての勤行は、仏壇の前でお経を読み、拝むことです。

勤行の目的

宗派の経典に合わせ、仏教徒として良いおこないをすることが勤行の目的です。勤行はすべての修行の根本であり、幸せな生活を築く原動力となる修行。毎日きちんと実践すれば、規則正しい生活ができ、健康にもつながります。また、心が安定するので、心配事や困難なことも悠々と乗り越えやすくなります。

勤行は自分の都合でいつでも1人でできますが、同時に自分がやる気にならないといつまで経ってもできないものでもあります。最も優しい修行である一方で、怠けずに自分1人で続ける難しさがあります。

各宗派ごとの違い

勤行は毎日のお勤めとして、それぞれの宗派の経典に従い、定められた時間におこないます。この章では、各宗派の大きな違いについて見ていきます。記したのはあくまで一例です。同じ勤行でも多彩であることをお伝えする意図ですので、実際に取り組む際は、自らの信じる宗派、お寺、僧侶に学んでください。

天台宗

天台宗では、朝は法華経(ほけきょう)、夕方は念仏で勤行をします。一般の信徒は般若心経(はんにゃしんぎょう)も唱えます。

続いて作法の一例をご紹介します。勤行を始める前に、環境を整えます。供花(くげ)や供物(くもつ)、水などが供えられているかを確認します。勤行の前には手を洗い、口をゆすいで身を清めます。ちなみに、天台宗では線香が必要です。煙が広く行き渡り、ご先祖様にも届いて供養できるように願います。

真言宗

真言宗では朝夕ともに、大日経(だいにちきょう)、理趣経(りしゅきょう)を経典とするところが多いようです。しかし、主な宗派だけで18宗もあるのでお勤めに使う経典にも違いがありそうです。一般の信徒は般若心経も読みます。

事前の準備は天台宗と変わりなく、仏壇にお供えをし、燈明を灯して線香を焚きます。口を水でゆすぎ、手を洗って身を清めてから始めます。

真言宗の勤行は合掌と礼拝で、特に祈りに重きを置くので礼拝は大事です。左手に数珠を持つなど、数珠を扱うときには細かな決まりも。唱えるとともに自分のおこないを反省し、正しい方向に進むことを心に刻みます。

浄土宗

浄土宗のお勤めは日常勤行式と呼ばれ、主に「仏説無量寿経 四誓偈(ぶっせつむりょうじゅきょう しせいげ)」を唱えるとされます。
他にも、三宝礼(さんぼうらい)、四奉請(しぶじょう)、懺悔偈(さんげげ)、十念(じゅうねん)など、勤行に使用するお経はいろいろあります。

勤行は1日6回が原則とされていましたが、現代では1日4回の勤行や昼3回の勤行、朝夕2回の勤行など多様化が進んでいます。

真宗大谷派

真宗大谷派では、朝夕の2回共に正信偈(しょうしんげ)や念仏を唱えます。信徒が自宅で唱えるときには正信偈を用いて、お内仏(おないぶつ=仏壇)、または携帯可能な三折本尊などの前で読経します。時間に余裕がないときは、仏前に座って合掌と礼拝をします。朝の勤行時には、花立(はなたて)の水を換えます。

日蓮宗

日蓮宗では朝夕の2回、法華経を唱えます。全八巻ととても長いので、半巻ずつなど抜粋して読まれることが多いそうです。

総本山である身延山久遠寺の朝のお勤めでは、法華経の中から方便品(ほうべんぽん)、寿量品(じゅりょうぼん)、神力品(じんりきほん)の3種を大勢の僧侶が読み上げます。予約不要で誰でも参列できます。

勤行を生活に取り入れる

お経をすらすらと読むことは、難しいと感じるかもしれません。しかし毎日繰り返し唱えることによって、少しずつできるようになるはずです。こちらでは、勤行を生活に取り入れるにあたっての手引きを紹介します。

勤行をする時間を設ける

勤行は、お寺では決まった時間にするものです。朝は早朝4~6時頃、夕方は日の暮れる16~18時頃に多くおこなわれています。一般家庭での勤行においても朝は午前中に、夕方はその日の締めくくりとして、日付が変わる前にするのが理想です。

朝の勤行には「無事に1日を過ごせますように」という願いを込めます。夕方は、「無事に1日が終わりました」と報告し、平穏な1日が過ごせたことへの感謝の気持ちを込めましょう。

規則正しい生活は健康につながりますが、誰もが毎日同じ生活リズムで過ごせるとも限りません。もし夜勤などで夕方に起床したとしても、自分にとっての1日が始まる前に朝の勤行をすることが大事です。また、再び寝る前に夕方の勤行をはじめるなど、臨機応変に対応してください。

時間にとらわれすぎずに、まずは勤行をしてみることが大切です。できれば自分が決めた時間にきちんとおこなうようにしてください。

勤行時はきちんとした服装で

朝のお勤めでも、きちんとした身なりが大切。眠い顔のままや、寝間着姿で仏前に座るべきではありません。勤行をするときは、最高の礼を尽くすといった気持ちで取り組むことが大切です。

勤行時の姿勢は正座で

勤行をするときは正座をし、胸の前で合掌します。よそ見をしたり居眠りをしたり、雑念が湧いてきたら、自らを律します。朝は「行ってきます」、夜は「ただいま帰りました」という挨拶の気持ちを込めておこないます。

勤行を手軽に取り入れるためのツールも

勤行は自分には難しい、でもやってみたいと思う人もいるかもしれません。そういう人にはデジタルツールです。CDやアプリ、動画があります。手元に経本がなくても、スマートフォンなどを使って手軽に始められます。

勤行で大切なのは手を合わせる気持ち

お坊さんがお寺でお経を読むのも、私たちが家庭の仏壇に手を合わせるのも同じ勤行です。勤行は自分自身の修行でもあり、善行にもつながっています。毎日仏前で手を合わせることから始めてみてはいかがでしょうか。