【二礼二拍手一礼】いつから始まった?作法の意味と歴史

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【二礼二拍手一礼】いつから始まった?作法の意味と歴史
神社を参拝する際の基本的な作法とされているのが、二礼二拍手一礼です。お賽銭箱などの前で2回お辞儀をし、2度手をたたき、最後にもう一回お辞儀をします。明治時代に定義されたのが始まりと言われています。今回は二礼二拍手一礼の作法の意味、四拍手などの例外的な参拝方法をとる神社などについて紹介します。

始まりはいつ?二礼二拍手一礼の起源と歴史

二礼二拍手一礼の始まりとなったものから、今の形式として受け継がれるまでの歴史を解説します。

起源は約150年前

二礼二拍手一礼の起源は諸説ありますが、その一説によると、明治時代にあたる1875年ごろに遡ります。皇室の儀式や祭典などを取り仕切る宮内庁の式部寮から発せられた「神社祭式」という書物に、「再拝拍手(さいはい・はくしゅ)」と記載されていたのが始まりと言われています。「再拝」とは、2度深くお辞儀をする作法です。当時の実質的な首相であった内務卿・伊藤博文も、「一揖再拝二拍手一揖(いちゆう・さいはい・にはくしゅ・いちゆう)」を取り入れていたとされています。「一揖」とは、浅いお辞儀をすることを指します。

今の形式になるまでの流れ

1907年「神社祭式・行事作法」の制定により、祭式の作法が定義付けられ、「再拝→二拍手→押し合わせ→祝詞奏上(のりとそうじょう)→押し合わせ→二拍手→再拝」の形式が基本となりました。そこから度々改訂され、1942年には「再拝→祝詞奏上→再拝」と少し作法が簡略化されます。さらに改訂を重ね、戦後1948年版には、「再拝→祝詞奏上→再拝→二拍手→一拝」と、ほぼ現在の形式が記されます。そして一般参拝者には、祝詞を省いた「二礼二拍手一礼」が広まっていったと考えられています。

一般に広まった時期

二礼二拍手一礼が世間一般に浸透し始めた時期は、戦後や平成に入ってからなど諸説ありますが、それほど古くはありません。比較的新しい作法なので、懐疑的な意見もありますし、神社によっては異なる作法をとるところもあります。いずれにしても参拝で最も大切なのは神様への敬意を表す気持ちと、その神社への配慮です。郷に入っては郷に従う精神で現地の作法を重んじ、想いを込めて参拝することが大切と言えます。

二礼二拍手一礼が持つ意味と作法の解説

参拝時のマナーとしておこなわれる二礼二拍手一礼には、作法の1つ1つにも意味が込められています。二礼二拍手一礼をする意味と、作法のそれぞれの意味を紹介します。

1つ1つの動作に込められた意味

二礼二拍手一礼は、「二拝二拍手一拝(にはい・にはくしゅ・いっぱい)」とも呼ばれることがあります。「礼」と「拝」はともにお辞儀をする敬礼の動作を表しているため、ほとんど同じ意味合いで使われることが多いです。しかし厳密にはお辞儀の角度が異なります。一般的に、「礼」の場合は30〜45度、「拝」はより深いお辞儀を表し90度くらいとされていますが、神様を敬う気持ちに違いはありません。さらに「二拝」として2度お辞儀するのは、通常の1度のお礼に対し、もう1度頭を下げることで神様への敬意を表していると言われています。そして先述の「揖(ゆう)」という言葉も軽い会釈を表す敬礼作法の1つなので、併せて覚えておくと便利でしょう。
ほかにも、参拝時におこなう拍手には、神様を招いたり邪気を祓ったりする意味が込められています。また参拝時の拍手の作法として、右手を下にずらすのが好ましいとされています。なぜそのようにするかというと、神道では左手を『陽=霊』、右手を『陰=身体』と考え、霊を重んじるために左手を上にします。ずらした指先を最後に合わせることで、神様と人が一体となり力を得られる、とも言われています。この他の意味を持つ場合もあるので、神社のパンフレットやホームページなどで確認してみるとより気持ちが込められそうです。

神様を敬う気持ちや感謝を表す作法

作法が表す動作と、全体の流れは以下を参考にしてください。
  1. 二礼→姿勢を正して、お辞儀を2度する。
  2. 二拍手→胸の高さで、右手を少し下にずらして2度拍手する。
  3. 両手をあわせて心をこめてお祈りをする
  4. 一礼→最後に1度だけ、心を込めてお辞儀をして締め括る。

二礼二拍手一礼の例外となる神社と寺院

神社参拝の基本とされているものは二礼二拍手一礼ですが、その他の作法を正式とする神社もあるため注意が必要です。二礼二拍手一礼の例外となる代表的な神社と参拝の仕方、またお寺への参拝についても紹介します。

「二礼四拍手一礼」出雲大社ほか

二礼二拍手一礼以外の参拝方法をとる神社で、代表格は出雲大社です。通常時は「二礼四拍手一礼」を基本作法とし、出雲大社で最も大きな祭典である5月14日の例祭(勅祭 / ちょくさい)では、「二礼八拍手一礼」をこの時だけの特別な作法として採用します。
8という数字は古くから無限を司り、8回拍手をすることで、神様に限りない拍手を捧げ讃えるという意味合いが込められます。日常ではこの半分の4拍手が基本となっていますが、神様を讃える気持ちは同じです。
出雲大社のほかにも、「二礼四拍手一礼」を正式な作法としている神社は全国にいくつもあります。例えば、大分県の宇佐神宮、新潟県の彌彦神社です。東京の桜神宮などは、四拝八拍手一拝としています。

「八度拝八開手」伊勢神宮

神社の中でも最上格とされる伊勢神宮の参拝方法も特徴的です。伊勢神宮では、「八度拝八開手(はちどはい・やひらで)」が正式な作法とされおり、八方に対して礼をするという意味があるとも言われています。しかしこれはあくまでも、神職者が祭祀の際におこなう作法で、一般参拝者がお参りする場合には二礼二拍手一礼です。伊勢神宮のホームページでも参拝方法は、二礼二拍手一礼としています。

「合掌一礼」寺院

お寺に参拝するときの基本作法は「合掌一礼」です。まず、仏様の前で胸の前で手を合わせて静かに合掌します。その際、お願い事がある人は合掌しながら唱えてください。そして最後に1度お辞儀をします。神社と違い、拍手はしません。
山門・総門に入る時や本堂の前でも一礼します。ただし、決まりきった参拝方法はなく仏様に手を合わせる気持ちが大事、としているところも多いです。
ちなみに、手や口を清める手水の手順は神社と同じです。そしてお賽銭を入れたあとに、「合掌一礼」をおこないます。線香を供える場合は、息を吹きかけずに手で仰ぐのがマナーです。

神社参拝のマナーや基本の流れをおさらいしよう

最後に、神社を参拝する際の全体的な流れと、二礼二拍手一礼をするタイミングを解説します。迷う人が多いお賽銭やお願いごとをする順番や、その他の知っておきたい基本的なマナーにも触れていますので、ぜひ参拝時の参考にしてください。

神社参拝時の基本マナー

神社に参拝に行くときは、目上の人のお宅へ訪問するような気持ちで向かうと良いでしょう。服装は礼儀を重んじて清潔感のあるようにし、特に七五三などのお参りや式典に参加するときには正装を心がけてください。
神社に着いて最初に鳥居をくぐる前と退出時に鳥居をくぐったあとには、神社に向かって一礼するのがマナーです。拝殿に向かう際は、神様が通る道とされる参道の中央を避け、左右どちらかに寄って歩くようにします。もし中央を横切る必要があるときは、一礼してから横切ると神様に敬意を表せます。

一般的な神社参拝の流れ

<基本的な参拝の流れ>
  1. 鳥居をくぐる
  2. 手水をとる(手水舎の水で心身を清める)
  3. 参道を通ってご神前へ向かう
  4. お賽銭を入れる
  5. 二礼二拍手一礼の作法で拝礼する
鳥居をくぐるときは端を通るようにし、左端からくぐる場合は左足から、右端からくぐるなら右足から中に入るとスマートです。
手水をとるときの流れは、まず右手で柄杓(ひしゃく)を持ち、左手に水をかけて清めます。次に柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます。再び右手に持ち替えたら、左手で水を受けて、口をすすいでください。そして忘れずに改めて左手を清めましょう。最後に残った水で柄杓の柄を清め、元に置いてあった位置に戻して終了です。

二礼二拍手一礼をおこなうタイミング

拝殿に着いたら軽く会釈をしてお賽銭を入れ、鈴を鳴らします。ここから二礼二拍手一礼を始めます。まず2回お辞儀をし、拍手を2回打って祈願します。そして最後に一礼するのが一般的な順序です。
この他、参拝するといい時間、お賽銭の額などを知りたい人は下記の記事もご参考してください。

ニ礼二拍手一礼で神様への敬意や感謝を示して

二礼二拍手一礼は新しい作法というイメージを持っている人もいらっしゃるかもしれません。しかし遡るとその起源は明治の頃です。そこから紆余曲折を経て、今の二礼二拍手一礼の形となり定着しました。形式にとらわれすぎる必要はありませんが、参拝時にはぜひマナーを意識して、神様へ敬意や感謝を伝えるようにしてください。