不動明王とは大日如来の化身?由来やご利益、真言とは

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不動明王とは大日如来の化身?由来やご利益、真言とは

この記事はこんな方にオススメです

不動明王とはどんな仏様か知りたい
不動明王を祀っている場所を知りたい
不動明王(ふどうみょうおう)は密教において、最高位の仏様とされる大日如来(だいにちにょらい)の化身と言われています。怒った表情が印象的ですが、実は慈悲深く、祈願するとさまざまなご利益があるとされる仏様です。この記事では不動明王の由来、ご利益、真言、日本三大不動尊、参拝方法を解説します。

不動明王の由来

不動明王は怖い顔をしているので、一体なんの神様なのだろうと思われる人もいるかもしれません。不動明王は鬼などの怖い存在や神様ではなく、仏様です。どのような仏様なのか、なぜ怒った表情をしているのか不動明王の由来を解説します。

大日如来(だいにちにょらい)の化身

不動明王は密教における本尊、大日如来の化身とされています。密教とは、仏教の1つの考え方です。不動明王の起源は、インド神話のシヴァ神とされています。サンスクリット語の「アチャラ(動かない)ナータ(守護者)」という名前から不動明王と訳されました。
日本へは真言宗の祖である空海によって伝えられ、真言宗や天台宗、日蓮宗などの宗派で信仰されるようになりました。現在でも日本各地で「お不動さん」や「不動尊」の名前で親しまれています。

五大明王の中心的存在

明王とは密教において、人々を困難なできごとから救う仏様とされています。不動明王は五代明王のひとりであり、その中心的存在。不動明王を中心として、東西南北それぞれに4人の明王が配置されています。
明王名 降三世明王(ごうざんぜみょうおう)
化身 阿閦如来(あしゅくにょらい)
西 明王名 大威徳明王(だいいとくみょうおう)
化身 阿弥陀如来(あみだにょらい)
明王名 軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)
化身 宝生如来(ほうしょうにょらい)
明王名 金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)
化身 不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)の化身

怒った表情をしているが、実は慈悲深い仏様

不動明王は怒った表情をしていますが、実は煩悩を断ち切るように導いてくれる慈悲深い仏様です。怒った表情をしているのは怒りをもって、煩悩を抱えた人たちを力ずくで救済するため。人々を常に見ていることを表現しているのです。
右手に持った俱利伽羅剣(くりからけん)には、よこしまな心や、迷いを断ち切る意味があります。左手の羂索(けんさく)と呼ばれる網は、悪を縛り上げ、煩悩を断ち切れない人を吊り上げて正しい方向へ導く意味があります。

生きているうちに得られる不動明王のご利益

不動明王には、生きているうちに得られるご利益(現世利益)があると信じられています。
<不動明王のご利益>
  • 厄除け
  • 煩悩退散
  • 学業成就
  • 立身出世
  • 商売繁盛
  • 健康祈願
  • 修行者守護
そのほかのご利益として、戦勝や国家安泰なども挙げられます。鎌倉時代中期に起きた元寇(げんこう=元の日本襲来)では、不動明王を含む五大明王に戦勝祈願したところ、元軍の船団が暴風雨で大打撃を受け、侵略は失敗に終わったという言い伝えがあります。戦国時代には武将たちが戦の前に、五大明王に必勝祈願をしていたそうです。

簡単に分かりやすく解説! 不動明王の真言

真言とは仏様の言葉を意味し、祈願するとき、ご利益を得たいときに唱えます。真言は聖なる呪文とも呼ばれることから、不動明王の真言を唱えるのは危険なのではと思う人がいるかもしれません。ですが心配は無用です。不動明王に願いを届ける真言の種類、唱え方を解説します。

真言の種類

不動明王の真言を3種類紹介します。真言はサンスクリット語の言葉を唱えます。

  1. 「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・センダン・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン」
  2. 不動明王を祀る場所でよく使われている。中咒(ちゅうしゅ)もしくは、慈救咒(じくしゅ)と呼ばれる。

  3. 「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン」
  4. 一般的によく使われる真言。小咒(しょうしゅ)もしくは、一字咒(いちじしゅ)と呼ばれる。

  5. 「ノウマク・サラバタタ・ギャティビャク・サラバボッケイビャク・サラバタタラタ・センダマカロシャダ・ケンギャキギャキ・サラバビギナン・ウンタラタ・カンマン」
  6. もっとも長い真言。大咒(たいしゅ)もしくは、火界咒(かかいしゅ)と呼ばれる。不動明王の大咒は、すべての悪を取り除き、あらゆる願いを叶えるとされている。

真言の唱え方

真言を唱えるときは深呼吸をして、心を落ち着かせることが大切です。参拝時は心の中で唱えるのが望ましいとされています。自分流に言葉を変えてはならないので、正確に唱えてください。真言が覚えられないときは、メモに書いたものを読んでもご利益は得られます。
真言を唱えるときには三密があります。手で印を結ぶ「身密」、はっきりと声に出して唱える「口密」、心に仏様の姿を思い浮かべる「意密」。また、不動明王の真言は3・7・21・108・1080回のいずれかの回数を数えると、ご利益が高まるとも言われています。

日本三大不動尊と参拝方法

最後に日本三大不動尊と呼ばれるお寺は3つ以上ありますが、その中から瀧泉寺、成田山新勝寺、長寿寺を紹介します。不動明王の参拝方法についても解説します。

瀧泉寺(目黒不動尊)|東京都目黒区

東京都目黒区にある瀧泉寺(りゅうせんじ)は「目黒不動」として知られています。本尊の不動明王像は慈覚大師(じかくだいし)作。平安時代初期の808年、慈覚大師が比叡山に向かう途中で目黒に立ち寄りました。そのとき、夢の中で不動明王からのお告げを受けて不動明王の像を彫り、安置したのが瀧泉寺の始まりとされています。

江戸幕府の三代将軍徳川家光が53棟からなる大伽藍を造立したことでも知られています。家光公が目黒へ鷹狩に出向いた際、可愛がっていた鷹がいなくなってしまいました。公が自ら不動明王に祈願したところ、本堂前の松に鷹が戻ってきたと言われています。それから家光公は不道明王を篤く尊信し、この建立に至ったとされています。
瀧泉寺では池の中に不動明王が祀られており、多くの参拝者が水をかけて祈願することから「水かけ不動明王」とも呼ばれています。

成田山新勝寺|千葉県成田市

成田山新勝寺の本尊である不動明王像は、空海本人が1回彫るごとに3回礼拝する一刀三礼で彫ったものとされています。

成田山新勝寺の始まりは平安時代まで遡ります。939年に関東で平将門の乱が勃発。朱雀天皇(すざくてんのう)より平和祈願の命を受けた寛朝大僧正(かんちょうだいそうじょう)は、空海の彫った不動明王像を持って京都から関東へ向かいました。940年に平将門の乱が平定されると、朱雀天皇が東国の平和を守る目的で、不動明王を祀ったとされています。

江戸時代になると、歌舞伎役者・市川團十郎丈が成田不動にあやかって屋号を成田屋にします。不動明王が登場する芝居をきっかけに、多くの庶民が信仰するようになりました。

長寿寺(木原不動尊)|熊本県熊本市

九州三十六不動霊場の1つでもある長寿寺。本尊である不動明王立像は、天台宗の祖である最澄(さいちょう)が一刀三礼で彫ったとされています。熊本市南区富合町木原にあることから「木原不動尊」として親しまれてきました。かつて地域で起こった大干ばつから、住民を救ったとして「水引不動」の名でも知られています。

毎年2月28日の春季大祭では、火渡りや湯立てなどの荒行が実施され、多くの参拝者が訪れます。

不動明王の参拝方法

不動明王の参拝方法には特にきまりはありませんが、ここでは少し特徴的な「飛不動尊」と呼ばれる正宝院(関東三十六不動霊場 第二十四番札所)の参拝方法を紹介します。
  1. 軽くお辞儀をして一礼する。
  2. 両手を合わせて二拍手する。
  3. 両手を合わせたままお辞儀をして、祈願するとともに不動明王の真言を唱える。
祈願のとき特に大切なのは、心を込めて願うことです。

不動明王を参拝して真言を唱えてみよう

不動明王は怖い顔をしていますが、煩悩を抱える人々を救う慈悲深い仏様です。不動明王の真言を唱えると、さまざまなご利益があります。悪いものを遠ざけたいとき、新しい道を切り開くときなど不動明王の力を借りてみてはいかがでしょうか。日本三大不動尊以外にも、全国各地に不動明王を祀っている場所があります。機会があればぜひ不動明王を参拝してみてください。