法事での香典の相場はいくら?香典袋の書き方・入れ方などマナーを解説

お葬式のマナー・基礎知識
法事での香典の相場はいくら?香典袋の書き方・入れ方などマナーを解説

この記事はこんな方におすすめです

法事の香典の相場を知りたい
香典袋の書き方やマナーを知りたい
法事の香典は、お悔やみの気持ちを伝えるため用意しますが、血縁関係や故人との付き合いの深さ、年齢、食事あり・なしで包む金額が変わります。金額だけではなく香典袋についてのマナーも押さえておくと安心です。この記事では法事における香典の相場をはじめ、香典袋の選び方や書き方、入れ方、渡し方のマナーについて紹介します。

法事での香典はなぜ必要?

香典は、故人に対してお悔やみの気持ちを表すためにお供えするものです。昔は線香や花をお供えしていましたが、現代では金銭に置き換えて贈られるようになりました。またお葬式や法事をおこなうためには費用がかかることから、喪家の負担を軽減する役割もあります。
法事とは、僧侶にお経をあげていただくといった追善供養の法要とその後の食事も含めた行事全体のことで、法事に出席する場合はその度に香典の準備が必要です。法要には初七日・四十九日といった忌日法要や、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌などの年忌法要があります。
法事と法要の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

法事での香典の相場

法事の香典は、故人との関係性や年齢、地域によって包む金額が変わります。法要後におこなわれる会食に出席する場合は、多めに包む必要があるでしょう。ここでは法事における香典の相場を紹介します。

法事の香典の相場①親族

親族の場合、忌日法要と年忌法要で金額に差が出ます。
<忌日法要>
・両親
 法要のみ:30,000円〜
 法要・会食出席:30,000円〜100,000円
・兄弟
 法要のみ:10,000円〜
 法要・会食出席:10,000円〜50,000円
・祖父母、叔父叔母
 法要のみ:5,000円〜
 法要・会食出席:10,000円〜30,000円
<年忌法要>
・両親、兄弟
 法要のみ:10,000円〜
 法要・会食出席:10,000円〜50,000円
・祖父母
 法要のみ:5,000円〜
 法要・会食出席:10,000円〜30,000円
・親戚
 法要のみ:5,000円〜
 法要・会食出席:10,000円〜30,000円
夫婦や親子など「〇〇家」として参列する場合、会食まで出席するときのみ会食費をプラスし多めに包みましょう。故人と血縁関係が近い親の法事などの場合や関係性が深い場合、また年齢が高い場合は、この目安よりも多くなります。故人が亡くなった日から時間が経つにつれて法要も簡略化されるため、香典で包む金額は少なめになる傾向があります。

法事の香典の相場②友人・知人

友人・知人の場合は、忌日法要と年忌法要で金額は大きく変わりません。ただし、年齢や生前の故人との関わりの深さによって金額が変わります。
<親しい友人・知人の場合>
法要のみ:10,000円~
法要・会食出席:10,000円~50,000円
<一般的な付き合いの友人・知人の場合>
法要のみ:5,000円~
法要・会食出席:10,000円~30,000円
法要別・年齢・関係性別の香典の相場は、こちらの記事で詳しく解説しています。

法事の香典マナー|香典袋の選び方

法事に使う香典袋は数種類あり、金額や地域の習慣にふさわしいものを選ぶことが大切です。法事の香典袋の選び方を紹介します。

表書き・水引が印刷されたタイプを選ぶ

市販の香典袋には表書きが袋や短冊に印字されたもの、水引が印刷されたものがあります。表書きの表記は宗教・宗派によって異なるため、あらかじめ調べておきましょう。表書きや水引が印刷された香典袋は、5,000円以下の金額を包むときに使います。

水引の種類で選ぶ

香典袋についている水引は、主に黒白・黃白・双銀の3種類。不幸が繰り返されないという意味で、一度結んだらほどけない「結び切り」や「あわび結び(あわじ結び)」の水引を選びます。香典の金額が10,000円以上なら水引がついたものを使用しますが、一般的に通夜や葬儀、法要の際に使われる水引の色は、黒白です。黄白の水引は主に関西で使用されますが、通夜や葬儀では使用せずに、四十九日以降の法要の際に使われます。

双銀の水引も通夜や葬儀、法要の際に使います。見栄えが良く高級感もあるため、50,000円以上など大きい金額を包む際に使われます。

中袋あり・なしで選ぶ

香典袋には一般的に中袋がついていますが、中袋が付いていないものも販売されています。地域によっては二重の袋は不幸が重なることを連想させるため、中袋のない香典袋を使うことがあるようです。
一方で、中袋のない香典袋は略式と捉える考え方もあるので、周囲に確認してから準備しましょう。

法事の香典マナー|香典袋の書き方

香典袋に文字を書く際には適切なペンを選び、遺族がわかりやすいよう表書きや名前、住所を記入しましょう。香典袋の書き方のマナーを解説します。

香典袋に使用するペンの選び方

香典袋の表書きや名前は毛筆または筆ペンを使います。初七日までは薄墨を使って書くのがマナーです。理由には諸説ありますが、「涙が硯(すずり)に落ちて墨が薄まってしまった」「墨を磨る間もなく急いで駆けつけた」という意味があるとされています。
四十九日以降の法要では濃墨の筆ペンを使用します。また中袋の名前や住所などは、正確な情報を伝えるためにボールペンや万年筆などを使っても良いとされています。

表書きの書き方

表書きは香典袋の中央上に書きます。仏教の場合、四十九日より前の法事には「御霊前」、四十九日以降の法事には「御仏前」が使われます。故人の魂は四十九日を持って仏になると考えられているためです。
ただし、浄土真宗では亡くなったと同時に成仏すると考えられているため、葬儀に渡す香典から「御仏前」で統一します。宗派がわからず迷ってしまう場合は、宗旨宗派を問わずに使える「御香典」や「御香料」と書くと良いでしょう。

中袋あり・なしの書き方

香典袋の中袋があるかないかで書き方が異なります。
中袋がある場合:表面に金額を、裏面の左側に住所と氏名を縦書きする。
中袋がない場合:裏面に住所と金額を書く。金額は香典袋の左下側に、住所は金額の右側に少し小さい文字で縦書きする。
香典返しやお礼状を送る際に活用されるため、郵便番号や都道府県を省かないようにしましょう。

金額の書き方

香典袋に書く金額は、一般的な漢数字ではなく「大字(だいじ)」と呼ばれる字体を使って書きます。
1 2 3 5 7 8 10
書き方は「金 〇〇圓」とし、10,000円を包む場合は「金 壱萬圓」、30,000円は「金 参萬圓」と書きます。
香典袋の書き方についてのマナーは、こちらの記事も参考にしてください。

法事の香典マナー|お札の入れ方

香典袋には新札ではないお札を選び、向きをそろえて入れましょう。香典袋のお札の入れ方マナーを紹介します。

新札を使用してもかまわない

お葬式では新札を使うと不幸が来ることを予期していたと思われる可能性があるため、使用感のあるお札が適していますが、ある程度スケジュールがわかる法事では、新札が入っていてもかまわないとされています。
法事での香典を包む際の考え方は地域の慣習にもよります。
「一周忌の香典を包む際の注意点」の記事にはお札の選び方や入れ方など、注意したい点が書いてあるので参考にしてください。

法事の香典マナー|香典の渡し方

香典は袱紗(ふくさ)という四角い布に包み、渡すときに袱紗から香典袋を出して手渡します。最後に香典の渡し方のマナーを紹介します。

袱紗(ふくさ)に包んで持参する

香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参するのがマナーです。袱紗の色は紫色や灰色、緑色など地味な色を選びます。

<香典袋の袱紗の包み方>

  1. 袱紗の角を上にしてひし形になるように広げる
  2. 広げた袱紗の中央に表書きを上向きにして香典袋を乗せる
  3. 袱紗の角を右→下→上の順にたたむ
  4. 最後に左側をたたみ、端を裏側に回す
袱紗についてのマナーや購入先は、こちらの記事を参考にしてください。

袱紗の上に乗せて差し出す

会場での法要は受付で、自宅での法要は遺族に挨拶する際に渡します。袱紗から香典袋を出したら袱紗を香典の下に敷き、相手から名前が読めるように向けて両手で差し出します。
葬儀の場合は「この度はご愁傷様です」という言葉を添えて渡しましょう。葬儀から日数が経っている法要では「お招きいただきありがとうございます」「御仏前にお供えください」という言葉を使うと良いでしょう。

法事の香典の相場やマナーを押さえて失礼のないよう心がけよう

法事の香典の相場は、故人との関係性や会食あり・なし、また年齢や地域によっても変わるため、紹介した相場を目安に周囲に尋ねながら用意しましょう。金額にふさわしい香典袋を選び、遺族がわかりやすく書くことが大切です。お札の入れ方・香典の渡し方のマナーも押さえながら、遺族に失礼のないよう心がけてください。

監修:1級葬祭ディレクター 瀬戸隆史

家族葬のファミーユにて新入社員にお葬式のマナー、業界知識などを伝える葬祭基礎研修の講師を務める。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)/サービス介助士、訪問介護員2級養成研修課程修了