お葬式にかかる最短の日程を紹介。火葬場の空き状況が重要

わたしのお葬式
お葬式にかかる最短の日程を紹介。火葬場の空き状況が重要
お葬式における日程の決め方を把握しておくと、いざというときに慌てずに済みます。日程を決める際は、火葬場や菩提寺(ぼだいじ)、葬儀会場、参列者など、確認するべき事項が意外と多くあるものです。本記事では、主に3パターンあるお葬式の日程を始め、日程を決める際に確認すべき事項、六曜との関係性や地域差などを紹介します。

お葬式の日程は大きく分けて3パターン

人が亡くなってから火葬するまでをお葬式とすると、「二日葬」、「一日葬」、「直葬」(ちょくそう、じきそう)と大きく3種類に分けられます。なお、家族葬は、二日葬と一日葬を選べます。
また、葬儀を計画する上での注意点として、法律を考慮しなければなりません。人は亡くなった後、火葬まで最低でも24時間は空ける必要があると法律で定められているためです。
実は3種のお葬式の最短日数は同じです。ここではその理由を詳しく見ていきます

1.基本のお葬式|二日葬

1日目にお通夜、2日目に葬儀・告別式と、通常2日間かけてお葬式をおこなうのが二日葬です。亡くなった日を1日目と数えると、火葬までの最短日数は3日となります。
<二日葬の最短日数>
  • 1日目:亡くなった日
  • 2日目:お通夜
  • 3日目:葬儀・告別式・火葬
2日目に通夜を執りおこなうことで、亡くなってから24時間が経過するため、葬儀・告別式が終わったらそのまま火葬に進みます。
ただし、亡くなったのが深夜0時~明け方の場合、当日の夜にお通夜をすることも可能です。この場合、最短日数は2日になります。
<深夜~明け方に亡くなった場合の最短日数>
  • 1日目:亡くなった日(午前)・お通夜
  • 2日目:葬儀・告別式・火葬

2.お通夜なしのお葬式|一日葬

お通夜を省略したお葬式が一日葬です。ただし“一日葬”という名称であっても、法律によって亡くなった日に火葬をおこなうことはできません。人が亡くなった日を1日目と数えると、火葬までは最短でも2日かかります。
<一日葬における火葬までの最短日数>
  • 1日目:亡くなった日
  • 2日目:葬儀・告別式・火葬
夜に亡くなるとさらに日数が増えます。例えば23時に逝去されると、翌日の23時までは火葬ができません。火葬場は公営であることが多いため、営業時間が9時~17時であることが多いです。23時に火葬するのは難しいため、お葬式を終えるまで最短でも3日かかります。
<夜に亡くなった場合の最短日数>
  • 1日目:亡くなった日(夜)
  • 2日目:安置場所で故人を偲ぶ
  • 3日目:葬儀・告別式・火葬
2日目に自宅や葬儀場などの安置場所でご遺体を保管し、故人との別れの時間を過ごすことで、死後24時間が経過します。そして、3日目に葬儀・告別式をおこなった後、火葬をします。
なお、一日葬はお通夜がないだけで、お葬式の流れや葬儀・告別式にかかる時間は二日葬と基本的に同じです。
一日葬の内容は下記の記事で紹介しています。

3.儀式なしのお葬式|直葬

お通夜だけでなく、葬儀・告別式も省略し、火葬のみの葬送方法が直葬です。前述の通り、亡くなった当日に火葬はできないため、最短でも2日はかかります。
<直葬における火葬までの最短日数>
  • 1日目:亡くなった日
  • 2日目:火葬
直葬も亡くなった時間によっては3日間になる場合があります。
いずれのお葬式でも、火葬場の予約が取れないと、火葬まで数日間待たされることもあります。その場合はご遺体を安置し続ける必要があり、日数は多くかかります。

お葬式の日程を決めるときの確認事項

お葬式の日程を決める際は、自分たち身内の都合だけでなく、火葬場や菩提寺(ぼだいじ)、参列者などの都合を確認・配慮することが大切です。ここでは、日程を決める際の確認事項をそれぞれ詳しく解説していきます。

火葬場と葬儀会場の空き状況

お葬式の日程を決めるには、火葬場と葬儀会場の予約が重要です。執り行いたい葬儀場や任せたい葬儀社が決まったら、火葬場や葬儀会場の空き状況を確認して全体の日程を決めます。また、火葬場は友引の日や、12月30日~1月3日頃までの年末年始も閉まっていることが多いので、希望する日が休館日ではないかも確認してください。予め葬儀社が決まっていれば、大抵の段取りはつけてくれます。
葬儀社・火葬場の年末年始の営業状況や、葬儀については以下の記事で詳しく解説しています。

菩提寺の都合

菩提寺とは先祖代々のお墓があるお寺のことで、お葬式などの弔事・仏事は基本的にそちらでおこなわれます。そのため菩提寺がある場合は、そのお寺の僧侶をお通夜・葬儀・告別式に呼ぶのが通例です。
ただし、僧侶は何かと忙しいため、急に呼ばれても来られないかもしれません。そうならないよう、お葬式を執りおこなうことが決まった時点で早めに僧侶へ連絡をし、予定を確認した上で読経を依頼します。

参列者の都合

火葬場の空き状況や菩提寺の都合とともに重視したいのが、参列者の都合です。参列者が多い場合や、遠方に葬儀へ招きたい親族・知人がいる場合は、それぞれの都合も考慮します。時期や移動手段などから、遺族や親族といった身内が無理なく集まれる日程か確認することが重要です。

六曜とお葬式の関係性

お葬式の日程を決めるのに「六曜(ろくよう)」を気にする人もいることでしょう。六曜は吉凶を占う暦の一種で、先勝(せんしょう)、友引(ともびき)、先負(せんぶ・せんまけ)、仏滅(ぶつめつ)、大安(たいあん)、赤口(しゃっこう)の6種類あります。どことなく宗教色を感じますが、仏教や神道とは関係がありません。ここでは、六曜とお葬式の関係性を紹介します。

仏滅

六曜の中でも、仏滅は縁起が悪い日として知られた存在です。しかし、確かに結婚式などの慶事は避けられますが、弔事であるお葬式をおこなうのは問題ないと考えられています。また、仏滅には「仏」という漢字が充てられているものの、宗教的な意味は含まれていません。

友引

六曜はお葬式の日程に無関係とはいえ、友引だけはお葬式に向かないと考えられています。その理由は、友引は「友を引く(故人が友人を連れて行ってしまう)」という意味が連想されるためです。
しかし、本来の友引は引き分けを意味する「共引」と書くので、実際はお葬式をおこなっても問題ない日です。とはいえ、先述した理由から友引にお葬式をおこなうことに抵抗を覚える人も少なくありません。もめ事を避けるためにも、日程を決める際は他の人の意見も尊重することが大切です。また、友引は休館日としている火葬場が多い点も注意してください。
なお、友引は葬儀・告別式には不向きとされますが、お通夜をおこなう分には問題ないと考えられています。

大安

六曜の中で最も縁起が良いとされる大安は「やってはいけないことが何もない日」。つまり、お葬式などの弔事をおこなっても良い日です。しかし、大安は結婚式など慶事の予定が入りやすい、おめでたいイメージがあるなどの理由で、お葬式の日程としては避けられる傾向にあります。

先勝、先負、赤口

先勝と先負は、時間帯によって吉凶が異なるものの、お葬式に適さない時間帯はありません。赤口は、六曜の中で最も縁起が悪いとされる日。しかし、お葬式に縁起は担がないので、この日を選んでも問題ないと考えられています。

お葬式の日程にまつわる地域差と、繰り上げ法要について

二日葬は「1日目にお通夜、2日目に葬儀・告別式」が多いですが、地域によっては日程が異なることがあります。また、近年は「繰り上げ法要」を選択するご家庭も増えています。ここでは、地域による葬式の日程の違いや、繰り上げ法要に関する意識の違いをご紹介します。

お葬式の日程は地域差がある

地域によってお葬式の形式、日程には違いがあります。例えば東北地方の一部などは、亡くなってから日を置かず当日にお通夜をおこないます。その際は、亡くなった当日の夕方からお通夜を、翌日に葬儀・告別式をします。
その他、告別式の前に火葬をする地域も存在します。また、地域は同じでも宗教宗派や家庭によって異なる場合もあります。

近年は繰り上げ法要が増えている

繰り上げ法要とは、初七日法要を葬儀・告別式と同じ日に繰り上げて済ませることを言います。初七日法要とは、亡くなって7日目、一番最初におこなう追善供養(故人の冥福を祈る儀式)です。遺族や親族などを招き、僧侶に読経してもらいます。また、地域や事情によっては初七日に加えて四十九日法要も葬儀・告別式と同じ日に繰り上げることがあります。
なお、繰り上げ法要は首都圏から始まり、今では全国的に浸透してきています。広まったのは、核家族化の進行によって家族が集まるのが難しくなっている、仕事の休みが取りにくい、などが主な理由です
初七日の繰り上げ法要については、以下の記事でも確認できます。

お葬式の日程の決め方を把握し、いざというときの心構えを

お葬式の日程を決める前に、法律や火葬場の事情、菩提寺との関係などを知っておく必要があります。それほど難しいことではありませんが、お葬式は急を要する場面が多いです。あらかじめ備えていれば、時間が生まれ、心のゆとりにもつながることでしょう。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。