初盆提灯(はつぼんちょうちん)とは。選び方や飾り方も解説

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初盆提灯(はつぼんちょうちん)とは。選び方や飾り方も解説

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初盆の提灯について知りたい
故人が亡くなって四十九日の忌明け後に、はじめて迎えるお盆を初盆(はつぼん)、またの名を新盆(にいぼん)といいます。お盆には通常、盆提灯を飾りますが、初盆には専用の提灯を使う習わしがあります。しかし、初めての経験なので、選び方や飾り方に迷うこともあるでしょう。そこで今回は、初盆に飾る「初盆提灯」について解説します。

初盆(はつぼん)の提灯

まずは初盆の提灯について基本をおさえておきましょう。

盆提灯とは

「盆提灯」とは、お盆に帰ってくる故人の霊が道に迷わないようにするための目印です。また、同時に故人の冥福を祈り、感謝を表すものでもあります。盆提灯を灯すことは、家の中に故人の霊が戻ってきたしるし。その風習は鎌倉時代に始まったとされており、現代にも形を変えて受け継がれています。

盆提灯には、上から吊るすタイプの御所提灯(ごしょちょうちん)、下に置いて使う大内行灯(おおうちあんどん)、霊前灯(れいぜんとう)などがあります。絵柄は秋の七草や桔梗、菊などが基本とされていますが、故人の好きだった花の絵柄を選ぶ方も多いようです。伝統的なもののほか、現代的なデザインの盆提灯もあります。置くスペースや好みに合わせて選ぶとよいですね。

なお浄土真宗では「お盆に故人の霊が戻る」という考え方はしないため、基本的には盆提灯を飾りません。

初盆の提灯とは

初盆には、通常の盆提灯だけでなく初盆用の白提灯を飾るといった習わしがあります。初盆用の提灯は、故人の霊がはじめての里帰りで道に迷わないための目印です。わかりやすいように玄関や縁側の軒先、仏壇の前などに吊るしましょう。

故人の霊がはじめて家に帰ってくる初盆は、親族や故人と親しかった人が集まり、通常のお盆よりも手厚く供養します。古くから初盆を迎える家には盆提灯を贈る習わしがあります。贈られた盆提灯の数が多ければ多いほど、故人が慕われていた証と考えられていたようです。ただ、初盆用の白提灯は1つあれば良いとされるため、多くの場合白提灯ではなく絵柄の入った提灯を贈ります。

初盆に提灯を贈る際の注意点

初盆を迎える家へ贈るお供え物として、盆提灯は最高のものです。親族だけでなく、故人と親しかった人が贈ることもあります。

盆提灯を贈る場合は絵柄の入ったものを選ばれたほうがいいです。お盆の月の初めごろに届くよう手配しましょう。一対で贈るのが正式ですが、1つだけ贈るのも失礼には当たりません。予算や先方の飾る場所などを考慮して選びます。のし紙をかける場合の表書きは「御仏前」が一般的です。関西など地域によっては「御供(ごくう)」とすることも。

盆提灯を贈る際に注意したいのが、「贈られた側に飾るスペースがあるかどうか」です。贈る前に故人のご家族に確認するのがスマートでしょう。また、提灯を贈るのに代えて現金を包むことも多いようです。その場合、不祝儀袋に現金を入れ、表書きは「御提灯料」とします。相場としては、故人との関係にもよりますが3千円から1万円ほどとされています。

そもそも初盆に提灯は必要?

故人を迎えるという気持ちがいちばん大切ではあり、必ず提灯を用意しなくてはならないというものではありません。しかし、故人の霊に感謝を示しにぎやかにお迎えする意味でも、初盆にはぜひ提灯を用意したいものです。

初盆の提灯はいつからいつまで飾る?

初盆の提灯は、故人の霊を迎える「迎え火」、故人の霊を送る「送り火」としての役割があります。そのため、お盆の初日である迎え盆(7月または8月13日)から最終日である送り盆(7月または8月16日)まで飾るのが一般的です。

ただ、盆提灯は故人を偲び敬う気持ちを表すものであるため、お盆の間だけでなくもっと長く飾っておいても問題はありません。お盆の月の初めごろから飾るご家庭も多いようです。

初盆提灯の選び方・飾り方

初盆の提灯にはいくつかの種類があり、飾り方や、処分の仕方にもマナーがあります。選び方や処分方法を覚えておきましょう。

初盆の提灯の選び方

初盆の提灯には、通常の柄付きの盆提灯ではなく白提灯を用意します。この白提灯はひとつあればよいので、故人の家族が購入することが多いです。

初盆の白提灯は、亡くなって間もない故人を清浄無垢な気持ちで迎えるという意味で、白木に白紋天(しろもんてん)のものを選ぶのが一般的です。吊るすタイプが主流ですが、仏壇の前に設置できる「置き提灯」も人気があります。

初盆用の白提灯を選ぶ際、宗派によっての違いはありませんが、地域によって慣習が異なることがあります。初盆の提灯として「白地の提灯に戒名や家紋を入れたもの」を用意する地域もあります。初盆を迎える前に地域の方や菩提寺に確認しておくといいですね。

戒名や家紋入りの白提灯を購入する場合は、通常の白提灯に比べ、手元に届くまで時間がかかります。初盆の提灯は1年中販売しているため、お盆に間に合うよう余裕を持って、早めに注文する必要があります。

初盆の提灯の飾り方

初盆の提灯は、正式には玄関先や軒先に吊るして飾るものです。もともとは吊るした提灯に明かりを灯し、故人の霊はその明かりを目印に、迷うことなく家に帰ってくるとされました。玄関先や軒先に吊るすのが難しい場合は、窓辺や仏壇の前に飾っても問題はありません。マンションなどの場合はベランダに飾ることもあります。

吊るすタイプの提灯には、ろうそく立てがついていることが多いものです。ろうそくに火を灯している間は危険ですので、提灯の側を離れないようにしましょう。ただ、安全を考えて実際には火を灯さず、提灯を飾るだけのご家庭も多くあります。そのほか、ろうそくの代わりに提灯に入れる「ろうそく電池灯」を使うことも。ろうそく電池灯はろうそくの形をした照明で、電池を使用します。火災の心配が少ないため安心して使用できます。

初盆の提灯には迎え火・送り火としての意味もあります。お盆の月の13日の夕方に火を灯し、16日には火を消すのが一般的です。基本的には夜を中心に点灯しますが、必要に応じて昼間も点灯します。夜中は消すことが多いですが、地域によっては一日中つけたままにすることもあります。

使い終わったら燃やして処分する

初盆用の白提灯を飾るのは1回限りです。また、初盆の白提灯は故人ひとりにつき1つが原則で、基本的に使い回しはしません。

初盆が終わったら、初盆用の白提灯は燃やして処分します。昔は送り火として燃やしたり、自宅の庭でお焚き上げしたりするのが一般的でした。現在では自宅で燃やすことが難しいため、菩提寺に持参してお焚き上げをしてもらうか、形だけのお焚き上げとして火袋の一部を燃やした後、白い紙に包んで処分することが多いようです。

初盆の提灯の価格相場

初盆の提灯の価格はさまざまで、3千円~2万円が一般的です。中心の価格帯は5千円~1万円ほど。初盆の提灯は1回限りしか使用しないため、それほど高価でないものを選ぶ方が多いようです。

初盆は白提灯で故人をしのぼう

お盆に帰ってくる故人や先祖の霊を案内するという、重要な役割を果たすのが盆提灯。とくに初盆では、はじめて里帰りする故人の霊が道に迷わないように白提灯を飾ります。初盆を迎えるにあたっては、故人を偲び敬う気持ちを込めて、正しい作法でお迎えしたいものですね。