初盆(新盆)とは?準備や服装マナー、当日の流れを紹介

法事・お墓
初盆(新盆)とは?準備や服装マナー、当日の流れを紹介

この記事はこんな方にオススメです

初盆の準備をしたい人
初盆の法事のマナーを知りたい人
先祖や亡くなった家族の魂が現世に戻ってくると考えられているのが、お盆です。特に初盆(はつぼん)は故人が初めて里帰りするとされ、近親者や友人が集まる法事をします。この記事では、初盆を迎える準備や初盆の流れ、初盆の法事に招かれた際のマナーについて紹介します。

初盆(新盆)とは

初盆、または新盆(にいぼん)とは、四十九日を過ぎて初めて迎えるお盆のことを指します。初盆や新盆の読み方、一般的なお盆との違い、初盆の時期について紹介します。

初盆(新盆)の読み方

初盆または新盆とは、どちらも四十九日を終えて迎える初めてのお盆のことです。基本的に両者は同じ意味ですが、地域によって呼び方が異なります。初盆は主に西日本の地域で用いられています。「はつぼん」と読むことがほとんどですが、地域によっては「ういぼん」と読むことも。
新盆は関東よりも東の地域で用いられています。「にいぼん」と読む地域が多いですが、千葉県や長野県では「しんぼん」と読みます。北関東では「あらぼん」と読むのが一般的です。

新盆のもう一つの意味

また地域により、お盆をおこなう時期が7月と8月とに分かれています。多くは8月15日(旧暦7月15日)を中心として先祖の霊魂を迎え供養しますが、7月におこなう場合もあります。この場合、7月のお盆を新暦のお盆という意味での新盆(しんぼん)、旧暦にもとづく8月のお盆を旧盆と呼ぶこともあります。

一般的なお盆との違い

初盆は故人が初めて家族の元へ帰ってくる日であり、一般的なお盆(二回目以降)よりも丁寧に供養をおこないます。一般的なお盆の読経は5~10分ほどに対し、初盆では30分~1時間ほど時間をかけて初盆法要をおこなうお寺もあります。
期間についても、一般的なお盆の3~4日よりも長い地域があります。今でも関西の一部で初盆を迎える家庭は、8月7日をお盆入りとしています。

初盆の時期

先述したように、関西の一部で初盆を迎える家庭は8月7日を「盆の入り」としています。お盆の時期は地域によって異なり、全国的には8月のところが多いものの、東京など一部地域のお盆は7月です。
一般的には13日を「盆の入り」とし、16日の「盆明け」までの4日間を「お盆」の期間としています。4日間のうち「盆の入り」である最初の日を迎え盆、間の2日間を中日、最後の日を送り盆と呼び、それぞれ行事をおこないます。
ただし、沖縄など、旧暦の7月13日~7月15日の3日間をお盆とする地域もありますので、初盆の法事をおこなう場合は、事前に「その土地のお盆の時期」を確認しておくと安心です。故人が亡くなって四十九日が過ぎる前にお盆を迎える場合は、その年には初盆の行事をせず、翌年におこないます。

初盆を迎える準備

初盆を迎える準備は早めに取りかかると安心です。ここでは、準備の仕方を紹介します。

日時を決める

法要を営む日時を決めます。招待客への案内を考えると、お盆の2ヶ月~1ヶ月前までには日時を決定しておくとよいでしょう。

僧侶を手配する

お盆は僧侶にとって忙しい時期です。菩提寺には早めに連絡し、お経を上げてもらう日時を相談します。法要後に会食をする場合は僧侶の参加を確認し、料理を手配します。

会食の場所を決める

初盆の法要では多くの場合、集まってくれた人へのお礼として食事を振る舞います。そのため、食事会場の手配をしておきましょう。かつては精進料理が一般的でしたが、現代では参列者の好みや年齢に合わせた食事を用意します。自宅で会食をおこなう場合は、人数調整のしやすい寿司やオードブルなどがおすすめです。

招く人を決め、案内を送る

初盆に招く人を決め、案内状を作成します。招かれた側が日程調整できるよう、1ヶ月前までを目処に発送するのがおすすめです。案内状には初盆法要をおこなう日時と場所、会食の有無も記載します。返信用はがきを同封するか、往復はがきを使って出欠の返事をもらいます。近親者には案内状ではなく、電話で連絡してもよいでしょう。

返礼品の手配をする

初盆のお返しは不要とする地域もあります。事前に親戚に聞くなどして、調べておくと安心です。初盆の返礼品としては、すぐに消費できる「消え物」が基本です。そうめんや調味料のほか、洗剤などもよく選ばれます。かけ紙には、「志」「粗供養(そくよう)」などと記すことが多いですが、地域によっては「初盆志」「初盆供養」なども使われます。

精霊棚(しょうりょうだな)を手配する

精霊棚は盆棚とも呼ばれ、お盆の間に位牌やお供えを置く棚のことを指します。先祖や故人の魂を迎えるために、盆の入り前日である12日までに作ります。本来は祭壇を設けますが、最近では住宅事情から簡易的に飾ることが多いようです。
簡易的な精霊棚の飾り方としては、小さな机などに真菰(まこも)のござや白い布を敷きます。その上に位牌を置き、盆花や故人の好物や季節の野菜・果物などをお供えします。そして、先祖の魂の乗り物とされる、キュウリで作った馬やナスで作った牛の飾りを置きます。

仏具などの手配をする

先祖や故人の魂をお迎えするものとして「盆提灯」も飾ります。初盆の年は普通の盆提灯だけではなく、初盆用の「白提灯」を飾る慣習があります。この白提灯は初盆のみ飾るため、初盆が済んだら菩提寺の引取りやお焚き上げが可能かを確認しておくとよいでしょう。盆提灯は、お盆の間は軒先か精霊棚の前に飾り、夜には灯りを入れます。
迎え火と送り火を焚くための麻の茎「おがら」も用意しておきます。おがらは「ホウロク」と呼ばれる素焼きの皿の上で焚いて迎え火や送り火にしたり、ほかにもキュウリの馬・ナスの牛の手足に使ったりします。おがらやホウロクはスーパーや仏壇店で手軽に購入できます。

僧侶への謝礼を用意する

初盆は通常のお盆に比べて盛大に供養するため、僧侶への謝礼であるお布施も相場が高めです。地域差もありますが、10,000円~30,000円程度とされています。
また、寺院以外に僧侶を招く場合は「お車代」を渡します。さらに、僧侶が食事を辞退された場合は「御膳料」を渡すのが一般的で、それぞれ5,000円~10,000円程度が相場です。

初盆の流れ【迎え盆】

ここからは初盆の流れについて説明します。お盆の初日である迎え盆は、その名の通り、故人を家に迎える日です。お供えやお墓参り、迎え火、盆提灯といった迎え盆におこなうことを紹介します。

お供え

精進料理をお供えします。毎日3食料理を交換するのが理想ですが、難しい場合は中日のみでも問題はありません。自分たちの食事をする前にお供えをし、自分たちの食事を終えた後にお供えした精進料理を下げます。迎え盆は、お迎えだんごもお供えします。
<お供えする精進料理の内容>
お供えする精進料理には、霊供膳(りょうぐぜん)という器を使います。ご飯・味噌汁・煮物・和え物・炒め物の一汁三菜が基本です。並べ方は宗派や地域により異なるため、確認をしておくとよいでしょう。
ご飯は、故人が飢えないようにとの意味を込め、器に丸く大盛にします。おかずは赤・緑・黄・白・黒の5色や、甘い・酸っぱい・辛い・苦い・しょっぱいの5味を意識して3種類用意をします。

お墓の掃除とお墓参り

午前中にお墓の掃除とお墓参りをします。時間に決まりはありませんが、故人のお迎えの意味を込めて13日の午前中におこなうのが望ましいです。故人が戻ってきた際に安心できるように、お墓の掃除を念入りにしてください。
お盆の時期は高温多湿でコケや草花の成長が早く、短期間で伸びている可能性もあります。スポンジや布、ブラシなど用意しておけば、コケや草花をできる限り取り除けて、石塔も掃除しやすいです。

迎え火

迎え火とは、故人の霊を迎える目印として火を焚く風習のことです。13日の夕方、自宅の門前や玄関先にて、松の割り木や麻の茎・おがらで火を焚き、盆提灯を灯します。故人の霊は燃えている松の割り木やおがらの煙に導かれてくるといわれています。
マンションなどで迎え火を焚けないときは、代わりに門灯(もんとう)をつけるか提灯を下げるとよいでしょう。

盆提灯

普通の盆提灯および、初盆用の「白提灯」ともに灯りを入れます。提灯は迎え火であると同時に故人を導く目印であり、故人への感謝を込めて華やかにお迎えするためのお供え物にもなります。本来は本物の火でおこなわれていましたが、最近は火事の心配から、電球式の盆提灯が一般的です。夜は灯りを消してもよいですが、家族の意向で、一日中灯す家庭もあります。

初盆の流れ【中日】

続いては中日です。中日には家族みんなでお墓参りをし、自宅に親族や知人を招き、僧侶を読んで法要をおこないます。その後、集まってくれた人へのお礼の意味をこめて食事を振る舞います。
この期間は、盆提の灯りを絶やさないようにし、可能であれば精進料理を1日3回食します。地域にもよりますが、お供えの食べ物は毎日変わります。迎え盆ではあんこつきの迎えだんごでしたが、14日はおはぎ、15日はそうめんなどを並べます。最終日の16日は送りだんごをお供えします。

初盆の流れ【送り盆】

16日は故人をあの世へ送り返す日である送り盆です。送り火やお盆飾りの片付けなど、送り盆におこなうことを紹介します。

送り火

お盆の最終日は故人の霊を送り出す日です。見送りの意味を込めて、夕方、迎え火と同じように自宅の門前や玄関先で送り火を焚きます。また地域共同でおこなう送り火もあります。燃やした煙に乗り、故人があの世に帰るといわれています。
見送りをする間は、お供えやお祈りをするのが慣習です。できるだけ長く一緒にいるために、夕方以降におこなうのがよいとされています。

お盆飾りの片付け

送り火を終えたら、お盆飾りを片付けるのが一般的です。夕方に送り火を焚くので、片付けは翌日でも問題はありません。白提灯や真菰(まこも)、牛馬、盆花、蓮の葉などのお盆飾りは早々に処分をします。以前は、送り火で一緒に燃やす風習がありましたが、現代では難しいでしょう。
家庭で処分する場合、お清めの塩(味塩以外)を振り、白紙に包んで家庭ゴミとして出します。家庭ゴミで処分するのに抵抗がある人は、お寺のお焚き上げで処分してもらいます。白提灯ではない盆提灯といった翌年以降にも使用できる盆用品は、ほこりや汚れを払って大事に保管してください。お盆飾りを片付けたら、初盆は終了です。

初盆の参列マナー

最後に、初盆に招かれたときの服装マナーや、お香典の相場、お供え物、出席できないときのマナーについて紹介します。

服装のマナー

初盆に招かれた際の服装は、特に案内がなければ喪服が安心です。案内に「平服でお越しください」とあるときは、男性は黒や紺、グレーのスーツ、女性は黒や紺、グレーのワンピースやアンサンブルを着用します。
葬儀のときと同様、露出の多い服装やつま先の空いたミュールなどはマナー違反です。また数珠を忘れずに持参します。

初盆のお香典の相場

初盆のお香典の相場は、故人との関係にもよりますが5,000円~10,000円程が一般的です。会食にも招かれている場合は、食事の分も考慮して5,000円~10,000円をプラスするとよいでしょう。
お香典は不祝儀袋に入れ、表書きは「御仏前」または「御供料(ごくうりょう)」とします。表書きには薄墨を使わず、普通の墨で書くのがマナーです。

お供え物

初盆には、近親者が盆提灯を贈る習わしがあります。白い盆提灯は初盆にだけ飾るものなので、白提灯ではなく毎年使える「柄入り提灯」を贈ることが多いです。提灯の代わりにお金を包んでもよいでしょう。その場合、不祝儀袋の表書きは「御提灯代」とします。
初盆の法要をやむをえず欠席する場合は、案内が届き次第、欠席の返事をします。返信書類におわびの手紙を添え、供物・供花または供物料を手配するようにします。供物や供花は初盆の前に届くように送ることが大切です。供物料の場合、表書きは「御仏前」として現金書留で送ります。出席できないおわびと、追悼の言葉を記した手紙を添えるとよいでしょう。

初盆の準備は故人への想いを込めて

地域や宗派、それぞれの家庭によって初盆の慣習や過ごし方はさまざま。忌明け後初めての本格的な法要ということもあり、事前の準備が大切です。初盆の流れを把握し、初めて帰ってくる故人の霊をもてなす気持ちで準備をしてみてはいかがでしょうか。

監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう てっしゅう)

接客から管理職まで葬儀社歴25年。「家族葬」の黎明期からお葬式の変遷を見てきた経験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)