喪中に恵方巻きは食べてもいい?正しい節分の過ごし方

お葬式のマナー・基礎知識
喪中に恵方巻きは食べてもいい?正しい節分の過ごし方
恵方巻きは節分に食べる太巻きで、福を呼ぶ方角の「恵方(えほう)」を向いて食べると縁起が良いとされます。縁起ものゆえ、喪中に食べていいか悩む人も多いかもしれませんが、全く問題ありません。本記事では、喪中の節分が問題ない理由と、恵方巻きを仏壇にお供えする方法をご紹介します。また、2024年の節分の日付と、恵方の方角、恵方巻きを食べるときの作法など、家族での節分の過ごし方もお伝えします。

恵方巻きとは

いまや全国的に有名になった恵方巻き。まず、恵方巻きの意味や由来について解説します。

恵方巻きとは節分に食べる太巻きのこと

恵方巻きとは節分に食べる太巻きのことです。1年の無病息災や、商売繁盛などを願いながら恵方を向いて食べるとご利益があるとされています。
ちなみに恵方とは、何事においても吉とされる縁起が良い方角です。吉凶を占う陰陽道(おんようどう)で、その年の福徳をつかさどる神様「歳徳神(としとくじん)」がいる方角のことを言います。
2月の節分と言えば、豆まきをするイベントでしたが、最近はそれに加えて恵方巻きを食べる家庭も増えています。太巻きを1本食べれば満腹になり、家族で節分の行事も楽しめるので、家庭の切り盛りをする人にも受けが良いようです。

喪中に豆まきや恵方巻きは問題ない

節分と喪中が重なった場合、一連の行事を自粛するべきか悩む人もいるかもしれません。こちらでは、喪中に豆まきをしたり、恵方巻きを食べたりしても問題がないかを解説します。

喪中に節分の行事をしてもいい理由

節分は無病息災などを願う行事で正月のようなお祝いごとではありません。そのため、喪中でも恵方巻きを食べたり、お寺や神社などでおこなわれる節分のイベントに参加したりするのも問題ありません。
ただし、身内が亡くなってから49日間の忌中は、神社でおこなわれるイベントへの参加はしない方が良いとされます。神道では死=穢れ(けがれ)とされ、神社への参拝はふさわしくないと考えられているためです。また、忌中には肉や魚などの生臭いものを避ける風習があるので、恵方巻きの具材にえびなどを入れるのは控えるのがマナーです。

恵方巻きをお供えしてもいい

節分はお祝いごとではないため、恵方巻きは仏壇にお供えして構いません。故人にも無事に2月の節分を無事に迎えたことをお伝えしましょう。その年の恵方に向けて海苔巻きを供えてあげれば、冥福を祈っていることがより伝わりそうですね。
供えた恵方巻きは、しばらくしてから家族でいただくこともお忘れなく。

2024年の節分は2月3日土曜日、恵方は「東北東」

歳徳神がいるとされる場所「恵方」は毎年変わります。2024年の恵方は「東北東」です。
また、2024年の節分は2月3日の土曜日です。節分は2月3日のイメージがありますが、必ずしもそうではありません。例えば2021年の節分は2月2日でした。
節分には季節を分けるという意味があり、実は年に4回あります。一番有名なこの豆まきをする時期の「節分」は、立春の前日にあたります。そして、立春は変動制で、1年ごとに国立天文台が発表します。節分の日も恵方も毎年変わる可能性があるので、事前に確認するのがおすすめです。

恵方巻きを食べるときの作法

恵方巻きは恵方を向いて食べるのはもちろんですが、それ以外にも運を逃がさないための縁起が良い食べ方があります。恵方巻きを食べるときの作法を見ていきます。

その年の恵方を向いて食べる

恵方巻きはその年の年神様のいる方角を向いて食べるのが基本。全部食べ終わるまで恵方を向き続けることで、ご利益が得られると考えられています。

切らずに一気に1本食べる

恵方巻きは切らずに一気にまるごと1本を食べます。恵方巻きを切らないのには「縁を切らない」という意味が込められているからです。太巻きを1本一度に全て食べる自信のない人は、短めのものや、中太・細巻きなどの食べやすいサイズを選ぶのがおすすめです。

声を出さずに食べる

恵方巻きを食べるときは、1本全部食べ終わるまで声を出さないことも作法のひとつです。食べている途中に声を出したり、口から離したりすると「運が逃げる」とされているからです。何度も醤油をつけると口から恵方巻きが離れてしまうので、食べる前に一度つけて最後まで一気に食べます。家族との会話は、全部食べ終わった後でというのがお決まりのルールです。

目を閉じて願いごとをしながら食べる

恵方巻きを食べながら願いごとをすると、願いが叶うとされています。食べるときには目を閉じ、声を出さずに心の中で願いごとを唱えるのがポイントです。いろいろとお伝えしましたが、無理は禁物。楽しく食べられるようにしたいですね。

恵方巻きの基本の具材と込められた意味

恵方巻きは7種類の具材を入れると縁起が良いとされています。こちらでは、恵方巻きに使われる基本の具材と込められた意味を解説します。

具材は七福神にあやかった7種類が縁起が良い

恵方巻きに入れる具材は7種類が良いとされています。福をもたらす7人の神様「七福神」にあやかり、具材も7種類がいいとしているようです。「食べると福がくる」という縁起ものですね。

基本の具材と込められた意味

恵方巻きの具材にも、それぞれ縁起のいい意味があります。
  • きゅうり
  • 語呂合わせで「9つの利」をもたらすとされる
  • かんぴょう
  • 細長い見た目から「長生きしますように」との意味がある
  • 伊達巻きまたは卵焼き
  • 色が黄色いことから財運や金運アップなどの意味がある
  • しいたけ
  • かさの部分が陣笠のような見た目をしていることから、「身を守ってくれる」という意味がある
  • エビ
  • エビの飛び出たような目玉の様子から「めでたし」とされる。長いひげと腰が曲がった見た目から長寿の意味もある
  • ウナギ
  • 見た目が細長いことから長寿を表す。「うなぎのぼり」の言葉があるように出世・上昇運アップなどの意味もある
  • 桜でんぶ
  • 桜でんぶは鯛などの白身魚をほぐしてピンク色に着色する。鯛にかけ「めでたい」という意味がある

恵方巻きの由来と別称

恵方巻きは大阪発祥

恵方巻きの由来は諸説ありますが、一説には江戸時代から明治時代にかけて商売繁盛や無病息災を願うために生まれたとされています。最初に恵方巻きを食べていたのは、大阪の花街の商人や芸子たちと言われていて、芸遊びをしながら食べていたとのことです。

もともとは恵方巻きという名前ではなく、「太巻き寿司」や「丸かぶり寿司」と呼ばれていました。恵方巻きという名前は、大手コンビニエンスチェーンの販売戦略によるものというのが通説です。関西地方で太巻きを恵方巻きと名付けて販売したことにより、全国的に広まったとされています。

恵方巻き以外の呼び名

恵方巻き以外にも「恵方寿司」「招福巻き」「幸福巻き」「丸かぶり寿司」など地域や販売店によってさまざまな呼び名で販売されています。

節分に食べると縁起が良い恵方巻き以外の食べ物

恵方巻き以外にも節分に食べると縁起が良い食べ物があります。節分献立のおかずとして加えてみるのも良いかもしれません。おすすめの縁起が良い食べ物をいくつか紹介します。

イワシ

節分に食べるイワシには無病息災の意味が込められています。鬼はイワシのニオイを嫌うとされ、魔除けや鬼除けの意味も。今でも一部の地域で節分には柊の枝にイワシの頭を指したものを玄関に飾る風習が残っており、「柊鰯(ひいらぎいわし)」や「節分いわし」と呼ばれます。
西日本の一部では、節分にイワシを食べる風習もあります。恵方巻きと合わせて、栄養価の高いイワシを塩焼きやつみれ汁にすると良さそうです。

そば

節分に食べるそばには「厄落とし」や「細く長く生きる」といった意味があります。昔は立春が新たな年の始まりと考えられていたため、年越しそばとして節分に食べられていました。シンプルなかけそば・ざるそばはもちろん、好きな具材をトッピングして食べるのもおすすめです。

こんにゃく

四国地方など一部の地域では、節分にこんにゃくを食べる風習があります。「砂おろし」とも呼ばれるこんにゃくは身を清めるものと考えられ、昔から節分に食べられていました。
こんにゃくに含まれる豊富な食物繊維は胃や腸をきれいにする働きがあったため、疫病を追い払う意味を込めて食べられていたそうです。節分のおかずにはこんにゃくの甘辛煮や味噌田楽などがおすすめです。

今年も恵方巻きで福を呼び込もう

恵方巻きは商売繁盛や無病息災だけでなく、家族の幸せを願いながら食べる人も多いのではないでしょうか。子どもや孫にも恵方巻きや節分の意味を交えて、日本の伝統について教えるいい機会になりそうです。また、故人やご先祖に恵方巻きをお供えすれば、この季節ならではのいい供養になりそうですね。